SMビアンエッセイ♪

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■478 / 親階層)  花の覚醒
□投稿者/ 小波 一般人(1回)-(2004/06/15(Tue) 21:11:42)
    朝陽の眩しさで目を覚ました麻衣は、隣から寝息が聞こえドキッとした。
    そうだった。昨夜はこの人と…
    本当の名前も知らない。勿論仕事も、住んでいるところも知らない。なのに、麻衣は酔いに任せてこの人とHOTELに入ってしまった。興味本位だったのだ。
     麻衣はSEXの経験がなかった。ただ想像しては自分自身を慰めていた。
    「初体験は女の人か…」思わず麻衣はつぶやいていた。つぶやいた自分の言葉で昨夜の事がありありと思い出されてきた。「あっ…」麻衣の股間がまた潤ってきた。見ず知らずの女性に身を任せ、導かれるままに女性の柔らかな部分に触れた。思い出しただけで麻衣の身体は火照ってきた。



     
    「ひとり?」不意に声をかけられ驚いた。
    「初めてでしょう。」声のほうを見るとショートカットの可愛い感じのする人が立っていた。目が合うと彼女はするりと隣の椅子に腰掛けた。
    「はじめての子って最初は誰と話していいか分からないから、大抵一人でポツンとしてんのよね。誰かが声をかけてくれるのを待ってる。」そう言って彼女は笑った。
     麻衣はどう答えたらいいのか分からずにただ言葉を探した。
    「ふふふ、いいの。緊張しないで。こういうパーティ、初めてなの?」
    「はい…」麻衣はやっと答える言葉を見いだせた事で、少し安堵をおぼえた。
    「どこで知ったの?このパーティ。」
    「インターネットで」麻衣は話しかけてもらえた事が嬉しかった。
    ここに座って1時間。誰とも話してなかった。他の人たちはパーティが始まるとそれぞれ顔見知りの誰かと話していたが、始めてやって来た麻衣にはそんな人も無く、さりとて自分から話しかける度胸も無く、ただ話しかけてもらえるのを待っていた。
    「インターネットかぁ。で、どうやって検索したの?」彼女は目を細めて聞いた。
    「それは…」
    「そんなの決まってんじゃん。【レズビアン】でしょう。」口(くち)篭(ご)もる麻衣の代わりに答える声がした。
    「新人さん苛めはダメだよ、サム。次から来なくなっちゃう。ねぇ。」そう言いながらその人はもう一方の隣の椅子に腰掛けた。ちょっとジャニーズ系の顔立ちをしたショートカットのマニッシュな人だ。
    「タキは向こうに行っててよ。私が先に声かけたんだからね。」
    「そんなの関係ないじゃん。それにいろんな人と話がしたいよねぇ?」
    二人に挟まれ麻衣はどう答えていいのか分からなかった。
    「あっそ。」はじめに声をかけてきた人は椅子から立ち上がった。そして
    「じゃあ、また後でね。後でゆっくりお話ししよう。」そう言って麻衣の肩にそっと手を置いてからみんなの輪に入っていった。肩に手を置かれただけなのに麻衣はどきどきした。
    自分の知らない、世間から隔離された世界にいる。そういう気がしていた。
    「ったく…サムは…。気にしなくていいからね。そうだ、何人か紹介してあげるよ。みんなって言うと分かんなくなっちゃうでしょう?」そう言うとタキと呼ばれた人は、3人で話をしている子達に声をかけた。
    「端から、みくちゃん、リリさん、おくちゃん。みんなハンドルネームって言うか、ビアンネームだけどね。」
    「ビアンネーム?」初めて聞く言葉だ。この世界にはそんなものまであったのか…麻衣は改めて思った。やっぱりこの世の世界じゃないのかも知れない…
    「本名だとまずい人もいるでしょ。だからここでは自分で好きな名前を付けてるんだ。それで、ビアンネーム。いま勝手に自分が作ったんだけどね。(笑)」
    「あっ、でもビアンネームって、良い。それって良いと思うよ。これからはそう言おうよ。」
    おくちゃんと呼ばれた子は目をクリクリさせていた。
    「それで、ビアンネームはなんていうの?」みくちゃんと紹介された子が言った。
    「それは…えーっと、」そんなもの今日が初めてのあたしにあるわけ無いじゃない。と麻衣は思った。とっさに言われたって困る…
    「ここのパー券買ったときは?」タキが横から聞いてくれた。
    「麻衣です。鈴木麻衣。で買いました。」
    「えっ、」一瞬4人は絶句した。
    「まさか本名じゃないよね…」タキが聞いた。
    「本名ですけど…いけなかったんですか…」麻衣は取り返しのつかないことをしてしまったのかと思い、急に不安になってきた。
    「いけなくは無いけど、勇気あるなぁ」タキに感心されてよけいに不安はつのる。
    「じゃあ、まいちゃんでいい?」リリさんが優しく微笑んだ。
    「あっ、でもそれじゃ、まずいんじゃないんですか?」麻衣は慌てて言った。
    「良いんだよ。本人がよければね。」タキは麻衣の不安を知っているかのように言ってくれた。実際麻衣の表情は引きつっていた。
    「そうそう、ただの呼び名なんだし、この4人以外本名だって知ってる人いないんだしさ。」
    「それに、本名だって思う人いないよ。」
    「いない、いない。まさかって感じだもんね。」
    「おくちゃん!!!一言多い!」みんなに言われておくちゃんはしょげた。
    しかしそのおかげでなんだか麻衣は打ち解ける事が出来たのだ。
     なれないビールを口にしてタキから紹介された3人に次から次へといろいろな人を紹介され、麻衣は少しボーっとなっていた。
    「ところでさぁ。麻衣ちゃんってタチ?ネコ?」?????おくちゃんに聞かれている意味が麻衣にはわからなかった。
    「麻衣ちゃんはネコよね。どう見たってネコじゃない。おくちゃん」みくが答えた。
    「でも、リリさんはスカダチだよ。」おくちゃんは引き下がらない。
    「そっか…、麻衣ちゃん。どっち?」3人の好奇な目がこちらを向いている。
    「え〜っと、その…あたし…」麻衣はしどろもどろになってしまった。まさか言葉の意味が分からないとも言えなかった。
    麻衣は冷やかしでこのパーティにやってきたのだ。【レズビアン】この淫靡な言葉を意味する人達はいったいどんな人達なんだろうという好奇心だ。
    「まだ経験が無いからどっちとも言えないんでしょ」最初に声をかけてきたサムだった。
    いつのまにか側に来ていたのだ。
    「はい。」とっさに麻衣は答えていた。
    「そーかぁ。でも希望としてはどっち?タチ?ネコ?」おくちゃんはシツコイ。
    「両方よ。ねっ、そうでしょう?」サムは麻衣のグラスにビールをついでくれた。
    「はい。」分からないまま取りあえずそう麻衣は答えておいた。

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