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■563 / 1階層)  花摘み人(続・花の覚醒)A
□投稿者/ 小波 一般人(11回)-(2004/06/30(Wed) 01:36:10)
    どれほど眠っただろう。

    電話の音で目が覚めた。
    「アキ…」
    きっとアキが寄りを戻そうとかけてきたのだ。
    もうこんな事には慣れっこだった。

    去る者は追わず、来る者は拒まず、今までもそうしてきたし、これからもそれを変えるつもりはない。

    そろそろ留守電に切り替わる。
    相手の懺悔を聞いてから電話に出る事にしている。

    『はい。こちらサム、只今電話に出る事が出来ません。発信音の後にメッセージをどうぞ。』

    『あ、あの…あの…あたし…』
    麻衣!サムは電話に飛びついた。

    「もしもし、もしもし。麻衣?麻衣でしょ?私よサムよ。今どこ?どこにいるの?一人?」

    「あ、たし、今、…………やっぱり…」

    「待って!切らないで!逢いたい…麻衣、迎えに行くよ。どこにいるの?」

    「・・・・・・あたし・・・」
    躊躇いがちな麻衣の声。

    「麻衣、お願いだからもう1度だけでいいから、逢って。
    何もしないよ。本当だよ、何もしない。
    だから・・・逢って・・・どこにいるの?どこでも迎えに行く。
    麻衣言って。どこ?」

    「今・・・・は、パーティがあったところの近く・・・・」

    「今行く。動かないで!そこにいて!」
    サムは車の鍵を掴むと部屋を飛び出した。

    どうかそこにいて…帰らないで…麻衣…サムは祈るように車を飛ばした。
    そして…そこに麻衣はいた。

    「麻衣…」
    そのあとはもう言葉にならない。
    サムはその時はじめて知った。
    自分が麻衣を愛している事を、アキの言った言葉の意味を、



    『今度は本気だね』



    アキの声が木霊する。

    「こんにちは・・・・・」
    怯えたように、俯いたまま麻衣は言った。
    小鳥に近づくようにサムは注意して麻衣に近づいた。
    今にも逃げ出してしまうのではないかと思えたからだ。
    麻衣の前に立った時、嚇かさないように小さな声で話かけた。
    「こんにちは、麻衣。」
    驚いたように麻衣は顔を上げた。

    その瞳・・・・・サムの愛した瞳。
    抱きしめたい衝動をどうにか抑え、出来るだけ穏やかに聞こえるような話し方をする事に努めた。

    「食事は?」
    麻衣は無言で首を横に振る。
    「じゃあ、食事しようか」
    本当は早く二人だけになりたかった。
    しかし、そんな事を言ったらこの小鳥はきっと逃げ出してしまう。
    「はい・・・・・・」
    消え入りそうな声で麻衣はやっと答えた。

    二人はサムの車で食事に向かった。
    食事をするのにサムは、今まで他の女の子達を連れて行った店に連れて行きたくはなかった。

    「どこか行きたい店、ある?」
    「いいえ」
    麻衣の声は、やはりまだ硬い。

    しかし・・・・・
    アタシハ・・・イッタイナニヲシテルンダロウ・・・・・

    麻衣の中の誰かが言う。
    コノヒトノコノ、ユビデ・・・・・・・・・ソノクチデ・・・・・・・、

    麻衣は身体の芯が潤ってゆくのを感じていた。

    「麻衣…でもきっと夜になったらまた私が欲しくなる…そうしたら、抱いてあげるよ…」

    その言葉の呪縛から逃れようとした。
    しかし無駄だった。
    毎日あの場所に立ち、そして・・・・夜毎襲うその言葉に自分で自分を抱いた。
    だがそれは、サムから与えられた快感と絶頂には程遠い物。
    満たされぬ快感に、あらゆる妄想が麻衣を襲った。
    それは夜となく昼となく襲ってくる。
    その度に麻衣は下着を汚した。

    サムを待っている間もそして今も・・・・・その事をサムに知れるのが怖かった。

    厭らしい自分・・・・・・・股間から厭らしい匂いが立ち上っているような気さえしていた。

    コノヒトハ、シッテイルノカモ・・・・・

    サムはいつも1人で行くレストランを選んだ。
    誰にも麻衣を合わせたくなかったからだ。
    誰かに不用意に声をかけられ、この振るえる小鳥が逃げ出す事を恐れた。
    こぢんまりとした静かなレストラン。会話もあまりなく食事はすんだ。

    「どこか行きたい所はある?」
    サムは恐る恐る聞く。
    もしかしたら帰ると言うかも知れない。
    しかし、今日はそう言われてもおとなしく引き下がるつもりだ。
    その代わり次の約束を取り付けようと・・・・焦らずにゆっくりと麻衣の気持ちをほぐすつもりだった。
    「あた・・・し・・・・、誰も・・・・いないところに・・・・・」
    声が上ずっていた。
    「麻衣・・・・・」
    サムは思わず唇を舐めていた。

    小鳥が自分から飛び込んでこようとしている。
    今すぐにでもその震える唇に吸いつきたかった。
    しかし何とかそれを押しとどめた。

    「じゃあ、私の部屋に来る?」
    こくんと頷く麻衣の瞳はもう潤んでいた。


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