□投稿者/ ゆー 一般人(2回)-(2009/09/15(Tue) 00:38:28)
| 私は驚いてぽかんとしているその子の手を握って引っ張り、無理矢理連行した。 相手はまだこっちに気付いてないようだったけど、一応反対の方角に逃げる。 やくざっぽい、ぎらぎらしたシャツにエナメルのパンツ、サングラスにリーゼント。 そんな男が一瞬建物の影に見えて、ますますその子を放って置けなくなった。
しばらく敵が分からないまま逃げて、とある公園に着いた。 そこは広くて公園にしては綺麗な場所で、植物がたくさん植えられている公園。 その中の噴水の近くにあるベンチに座って、私が買ったお茶をその子に渡す。 ちょっと顔や服が汚れてるけど、顔立ちは整ってるし、体のバランスもいい感じ。 まさに私の理想像の女の子。見た目からして多分年下だろうなって思っていた。
「あの・・・・ありがとうございます。お名前は・・・・・?」
見惚れてぼーっとしていた私に、不安げなその子が上目使いがちに聞いてきた。 そういえば、名前も何も教えないで強引にここまで走って連れて来たんだっけね。
「私の名前は柏木香澄。26歳なの。貴女は何というお名前なのかしら?」
最初は、両親や実家や育ちとか、そういうお金持ちですって事は言わない。 いかにも普通の家庭に生まれて育った女、って感じのほうが打ち解けやすいから。
「あ・・・・私は船橋宮子、です・・・・・17歳です」
年下だろうなって予想はしていたけど、9歳も年下で内心結構驚いた。 だって、17歳にしては大人っぽい雰囲気だし、身長もあるし、そうは見えない。
でもこの子、1回は今までに見たことはあったかもしれない。 船橋といえば、私の母親である美知代の幼馴染の方が経営する大きな会社の名前。 確か、会社では香水や化粧品を製造していたはず。 そこの会社の社長の1人娘に、美人だって噂の私の9歳年下の子がいるって聞いていたもの。 パーティーで1回会った気がするんだけど、相手はそれを思いもしていないみたい。
「あのっ、船橋といっても、あの会社の娘とかじゃあないですよ・・・・・?」
その時、私の心を読んだかのように宮子が訂正した。どうやら違うみたい。 船橋といっても、会社のご令嬢ではないらしい。
「ああ、ごめんなさい。てっきりそうなのかしらって思っていたわ。美人だって有名な方ですもの、貴女みたいにね?」
そういうと、ちょっと頬を赤らめて俯いた宮子が、とても可愛らしい子に見えた。 私の身寄りにはこういう純粋な可愛らしい方がいないから、余計そう見えるのかもしれない。
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