□投稿者/ 柏葉 一般人(2回)-(2009/09/19(Sat) 15:10:20)
| 私が通う『市河女学園』は、名前の通りの女子校である。結構生徒数も多いし人気もある。 幼稚園から高校まであるのだが、私自身は小学校までは他の学校にいた。 しかし、父親と母親がそれぞれカナダとフランスに単身赴任をする事になったため、寮があるここへ編入。 編入してきたのが中学校1年生の夏。だから、もう早くも編入して3年目になる。 完全に慣れてきた今では、最初から授業をサボることもしばしばだ。
「よろしくお願いします」
起立した後、学級委員長の号令で、クラス全員で教師に挨拶を済ませて着席する。 3限目の今は古文。今は『竹取物語』を学習している。 この科目の担当教師、田林絵里菜先生は、40代でありながら結構気を使っていて、見た目が30代。 それに、肌がかなり綺麗で白い。かなり頑張って手入れをしているのだろう。 やっぱり女子校だと、容姿には気をつかうものなんだろうか。 噂では、彼女はついこの間婚約を申し込まれた恋人がいるとかいないとか。 私は噂だとかそういうのに興味はないから、いてもいなくても関係ないのだが。
「ここは、竹取の翁がーーーーー」
事務的に何も考えずに、ただ黙々とカツカツと黒板の縦書きの文字をノートに写す。 田林先生は文字が綺麗だから、比較的黒板の文字を写しやすい教師だ。 でも、今日は別に何に対しても不満は無いが、苛々していて真面目な気分はどこかへ行った。 そのため、あっという間にこの古文の授業をさぼってしまおう、というイケない思考がむくむくと膨らむ。
「田林先生、頭が痛いので保健室で休んできてもいいですか」
がたっと音を立てて立つと、何事かと振り返った彼女に向かって発言した。 田林先生は単純というか・・・・人を信じて疑わない性格の教師。今は都合がいい。 勿論、私の予想通りの返事が返ってくる。
「あら・・・園原さん大丈夫?いいわ、行ってきなさい。お大事にね?」
私は内心やっぱりね、と意地の悪い笑みを浮かばせつつも、辛そうな顔をして後ろのドアから出て行った。 出る前に1番廊下側の後ろ、つまりドアの近くの席に座っている佳奈が小声で、
「またサボリでしょ?・・・・・・いってらっしゃい」
呆れている声だが、その可愛らしく整った顔は微笑んでいる。常習犯である私を止めはしない。 今日も佳奈がとったノートを、必要な教科だけ放課後に写させてもらうとしよう。
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