| 「でも…約束の時間に 手土産を持って現れた19歳は 私の想像を超えていました。 和室で 座布団を外してキチンと挨拶するのを見た時点で 気後れしたのは 私の方でした。 和室に通したのは 『足崩していいよ』で余裕をみせる という腹積もりだったのですが… これが 見事に玉砕で…(笑)」
「坂本クン 全然 姿勢が崩れなかったの(^^♪ 『足崩していいよ』は 最後まで言えなくて… だから この人も ずっと正座のまま(笑)」
母の言葉に ミカが少し微笑んだ。
「結局…私は 坂本クンの『凛とした佇まい』と 理路整然とした発言に 圧倒されて 父親としての威厳を 見せることが出来なかったんです。 その代わり 坂本クンが 娘のことを 真剣に思っていてくれる姿を見ることができました。 そこに賭けることにしたんです。もし 2人が上手くいかなくなったとしたら それは 坂本クンに 非があるのではなく 娘が 坂本クンの気持ちに応えることが出来なかったからだろう…と…」
父は そこで ひと息ついた。
「ミカさん 南郷さん…私は 私の意地を通した結果 早々に坂本クンと会う羽目になりました。 娘の気持ちを大切にする理想の父親 なんかじゃないんですよ。 今 お父様は ご自分の意地を通そうとしていらっしゃる。 お二人が その『意地』に対してどう向き合うのか…もしかしたら そこを見極めようとして いらっしゃるのかもしれませんね…」
|