| コウちゃんがベッドに入ったのを確認してから『駅裏』に電話した。
今日のバイトを休むことだけは 伝えておかなければ…と思ったからだ。
「一晩様子を見て 熱が下がらないようなら また 連絡します」
電話の向こうのMadamは
「面倒かけてごめんなさいね…今週は休むように伝えて」と言ってくれた。
お昼頃 一度様子を見に寝室を覗いたら コウちゃんと目が合った…
「汗 かいた? タオル持ってきたけど…自分で拭ける?」
「はい…」
コウちゃんは 上半身を起こしながら答えた。
「着替えは どこ?」
「そこのタンスの上から3番目です…」
長袖のTシャツとハーフパンツが 何組かセットで入っていた。
「下着は?」
「右の抽斗です…」
「じゃ 替えようか…」
「はい…」
「手伝った方がいい?」
「いや 大丈夫です…」
脱いだものを片付けるようにして コウちゃんに背中を向けたまま
「拭けた?」
「はい…さっぱりしました…ありがとうございます…」
「熱 計って…」
コウちゃんに体温計を渡した。
「どう?」
「これ…」
デジタルは 38.7℃ さっきよりは 下がっているが まだまだ高い。
「なんか食べる? それとも もう少し寝る?」
「もうちょっと寝ます…」
水分補給をして…
「また あとで 見に来るけど…なんかあったら ワン切りでいいから電話して…」
「はい…ありがとうございます」
夕方 熱は37.8℃になった…
「おなかどう?」
「空きました(^^;」
「おじや作ったけど 食べれそう?」
「はい…」
「ちょっと待ってて」
サイドテーブルに 1人用の土鍋とお茶碗を乗せたお盆を置いた。
お茶碗に軽くよそって コウちゃんに手渡した。
「ゆっくりね…」
「はい…」
お茶碗は すぐ カラになった…
「もう少し 食べる?」
結局 コウちゃんは 全部 平らげた…
「起きれそうなら 歯磨きしてから 寝た方がいいよ」
「はい…」
洗い物を済ませて 寝室を覗いたら
コウちゃんは 安定した呼吸に戻っていた。
この分なら 熱は 順調に下がるかも…と思ったら 体の力が抜けた…
(明日は 休みだし…このまま ここに居ようかな… その前に 洗濯だけしておこう)
一度 自分の部屋に戻り コウちゃんが脱いだ衣類を洗濯機に入れた。
あとは 勝手に乾燥までしてくれる…
(日に当てた方がいいけど…明日のお天気 雨だもんね…)
食事を済ませ 乾いた衣類を持って コウちゃんの部屋に戻った…
コウちゃんの寝顔を見て…思わず…デコキスをしたのは この時だ。
コウちゃんが起きていたなんて 思ってもいなかった…
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