ビアンエッセイ♪

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■14635 / inTopicNo.21)  ♪さん
  
□投稿者/ チョビ 一般♪(19回)-(2006/05/24(Wed) 00:07:56)
    ありがとうございますっ!
    私の駄文なんかを読んでくれる人はいるのかな〜と思っていましたが、
    コメントもらえると嬉しいです。
    もっと文章が上手ければ、綺麗な表現もできるんでしょうが、
    私にはこれが精一杯です(^^;)
    見捨てずにお付き合い願えれば光栄です。
引用返信/返信 削除キー/
■14642 / inTopicNo.22)  僕の居場所15 行間
□投稿者/ チョビ 一般♪(20回)-(2006/05/24(Wed) 23:36:32)
    *********************

    葬儀は、後継人となった宮嶋会長が取り仕切り、
    形式上は天を喪主として行なわれた。
    その間天は、涙も流さずに、どこか遠くを見ていた。

    初七日も終わり、
    今後は宮嶋会長の援助を受けて現在の生活を続けていけるよう取り計らわれたが、天が学園に登校する事はなかった。



    カーテンの引かれた部屋の中央にうずくまる天・・・。

    父さん・・・母さん・・・

    ・・・何かもう・・・どうでもいい・・・

    その瞳には何も映さず、外の光も届かない・・・。

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■14643 / inTopicNo.23)   僕の居場所16 side悠稀
□投稿者/ チョビ 一般♪(21回)-(2006/05/24(Wed) 23:41:14)
    葬儀が終わっても、あなたは学園へは来なかった。
    他のクラスメイトに聞いても、あなたを見かけたという人はいなかったわ。

    葬儀の間、あなたはずっと遠い目をしていた・・・涙も流さずに。
    心配になって、寮の部屋を訪ねたわ。

    もう夜だというのに、部屋は真っ暗で、
    暗闇の中でじっとうずくまっているあなた・・・
    話しかけても反応がない。

    あの日校内を案内したときには、あんなにも笑顔で、
    はにかんだように笑っていたあなたの面影もなく・・・
    青白くうつろな目をして・・・。

    抱きしめて、無理やり顔を上げさせても・・・
    その眼は私をみていない・・・否、何も映していない・・・。

    ああ・・・天・・・こんなにそばにいるのに、
    あなたの世界には、私は存在しないのね。
    今のあなたの世界には、何も存在しないのかもしれない。
    あなたにとって一番大切なものが消えてしまったこの世界には。

    天・・・

    気がつくと、私は泣きながらあなたを抱きしめていた。
    何の反応もないあなたを・・・。

    天・・・

    あなたをこの世界に、取り戻してみせるわ・・・どんな方法を使ってでも。

    うつろな瞳をした、あなたを抱きしめて、額にキスをした。


    「まったく、あなたの親には失望したわ。」

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■14644 / inTopicNo.24)  僕の居場所17
□投稿者/ チョビ 一般♪(22回)-(2006/05/24(Wed) 23:47:06)
    ん・・・なんだ・・・

    父さん母さん・・・どうかしたのか・・・

    「まったく、、、
    あなたのご両親にはうちのグループからかなりの援助をしてたのに、
    大損害だわ。
    研究はじめる前に死んでしまうなんて、役に立たない人達ねっ。
    設備投資だけで何億かかったと思っているのかしら。」

    なんだ・・・それ・・・
    僕の両親が役に立たないって!
    怒りにまかせて悠稀をにらみつける。

    「なんだって・・・」
    「だってそうでしょ?宮嶋グループは大損害だわ。」
    ・・・頭の中が真っ赤になって、すぐに言葉がでない。

    「・・・僕の両親のこと、お前にとやかくいわれる筋合いはないっ!」
    怒鳴りつけた。
    「父さんも母さんもすごく優しくて、夏休みには遊びにこいって・・・」
    悠稀に言葉を叩きつけながら・・・涙が出た・・・。

    「死んだ人のことなんてどうでもいいわ。
    それより、他に親戚のいないあなたの今後の面倒は、
    おじい様がみることになっているから。
    あなたの親が出した損害分、少しは私の役に立ってもらうわ。」

    怒り・・・それしか沸いてこなかった。
    僕の両親を馬鹿にするなんて許せない、許せない・・・
    怒りでかみ締めた口からは、言葉が出なかった。

    「とりあえず、あなたには私のコテージへ移ってもらうわ。
    その方がなにかと都合がいいし。
    生徒会の仕事も手伝ってもらうわ。」

    「・・・出ていけっ!お前の言葉になんて従わない!」
    勝手なことばかり言う。
    僕の両親を馬鹿にした、こんなやつに従えるかっ!

    彼女はため息をつきながらこういった。
    「あなた、自分の立場が全然わかっていないようね。
    あなたに拒否するなんて権限はないの。それに・・・」

    一息つくと彼女は僕を見て言った。
    「あなたが飼ってた薄汚れた犬の世話なんて、私にはできないわ。」

    えっ・・・犬って・・・
    「・・・デュークがいるのか?」
    「名前なんて知らないわ。
    大やけど負った汚らしい犬が、シドニーからわざわざ運ばれてきただけよ。」

    デュークが生きてる・・・生きてるんだ・・・

    「どっ、どこにいるんだ!」
    彼女に掴みかかる。
    「私のコテージよ。離してちょうだい。」
    僕は慌てて彼女の襟元を掴んだ手を離す。

    「いいわね、今日からあなたはコテージに移って、私に従うの。」
    「・・・わかった。」
    デュークは僕の大事な家族だ、従うしかない。
    それに、デュークがいるなら、そばにいたい。

    その日から僕は、悠稀のコテージで生活することになった。
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■14864 / inTopicNo.25)  続きが早くみたい!!
□投稿者/ T 一般♪(1回)-(2006/06/07(Wed) 07:55:06)
    とても面白くて、続きが早く読みたいです♪
    チョビさん忙しいのかな?
    次の続き、首を長くして待ってますからね♪
引用返信/返信 削除キー/
■14981 / inTopicNo.26)  Tさん
□投稿者/ チョビ 一般♪(23回)-(2006/06/13(Tue) 11:59:30)
    お返事遅くなって申し訳ないです。

    面白いといっていただけるなんて、嬉しいです。
    こんな駄文でも、続きを書こうって思えてしまいます(^^;)
    作者と主人公がヘタレなため、なかなか話が先に進みませんが、
    いつかどこかにたどり着けるように(なんて適当なんだろう(汗))頑張ります。

    今後とも、お付き合い願えれば光栄です。
引用返信/返信 削除キー/
■14982 / inTopicNo.27)   僕の居場所18
□投稿者/ チョビ 一般♪(25回)-(2006/06/13(Tue) 12:08:25)
    コテージには、デュークがいた。
    体の半分近くを包帯で巻かれて、床に丸くなって寝ている。

    「デュークっ!大丈夫かっ!」
    クゥ〜ンと鼻を鳴らし、わずかに顔を上げて、僕の手に頭をこすりつける。
    「デュークっ・・デューク・・・お前、こんなに怪我して・・・」
    床にしゃがみこんで、デュークを抱きしめる。
    デュークの暖かさが伝わって、泣きそうになった。

    「ごめんな、なんにもしてやれなくて・・・。
    デューク・・お前が生きててよかった・・・」
    ふかふかの毛に顔をうずめる。
    デューク・・デューク・・・
    父さんと母さんがいなくなっちゃったんだ・・・デューク・・・

    その日はそのまま、デュークのそばで眠った。
    目が覚めると、慌ててデュークを探す。
    もし夢だったらって思ってしまう。

    そしたら・・・よかった・・・デュークがいた。
    僕とデュークは二人して毛布に包まっていた。
    あったかい・・・
    デューク・・・お前がよくなるまで、付きっきりで看病するからな。
    そう思って抱きしめる。

    ・・・それなのに。
    聞きたくもないあいつの声が聞こえてきた。
    「そんなところで汚らしい犬と一緒にいないで、早くシャワーを浴びてきなさい。
    まったく・・・いったい親はどんな育て方をしたのかしら。」

    ・・・なんだと。思わずにらみつめる。
    こいつは・・・父さんと母さんの悪口をいうやつは許さない。

    「この時期は、各部活動の予算案で忙しいの。あなたにも手伝ってもらうわ。」
    僕がこんなに怒っているのに、怒らせた本人が冷静でいることにも腹が立った。
    「勝手にしろ。僕はこいつのそばにいる。」
    床に横になっているデュークの頭を撫でながら言う。
    冗談じゃない、僕はデュークのそばにいるんだ。

    「そう、じゃあ勝手にさせてもらうわ。
    あなたも忌引きの期間は過ぎたのだから、今日から学園へ戻ってもらうわ。
    行かないんだったら、その犬、どうなっても知らないわよ。」

    「なっ・・・デュークに何かしたら絶対許さないからな!」
    こんな大怪我したデュークに何かするなんて・・・なんてやつだ。

    「あなたが私の言うことに従えば、私も面倒なことをしなくても済むわ。」
    くそっ、こんなやつのいうことに従いたくなんかない。けど、デューク・・・。

    「・・・わかった。学校へ行く。おまえの仕事を手伝えばいいんだな。」
    こいつ・・・デュークに何かしてみろ・・・絶対許さない。
    「ええ、授業も通常通りこなしてもらうわ。宮嶋グループの援助を受けた者として、それなりの成果をだしてもらわないと。」

    こいつの言いなりになるのは、気に入らないし、そばにいたくもない。
    でも、デュークのためだ・・・。
    僕は絶対デュークを守るからな。
    あんなやつにデュークは指一本触れさせない。

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■14983 / inTopicNo.28)  僕の居場所19
□投稿者/ チョビ 一般♪(26回)-(2006/06/13(Tue) 12:19:55)
    何日ぶり・・・いや、何週間ぶりになるんだろう・・・学校へ行くのは。
    僕のことは噂で広がってるのか、
    どいつもこいつもよそよそしくて、腫れ物に触るみたいだ。
    まあ、その方が僕もいいけど。
    誰かと話すのも面倒だ。ほっといてくれ。

    昼休みになったけど、教室のよそよそしい雰囲気の中にいるのが面倒で、
    僕は廊下へ出た。
    誰かに話しかけられるのも面倒だ。
    そう思って、人気のない階段を登る。
    上まで登ると、屋上への扉があった。
    鍵はかかってないし、誰もいないみたいだ、ちょうど良い。
    授業が始まるまでここで過ごすか。
    フェンスにもたれかかり、空を見上げる。
    しばらくぼ〜っとしていると、扉が開く音がした。
    ・・・やれやれ、一人になる場所もないのか・・・疲れるな・・・。
    移動しようと腰を上げ、ドアの方へ目をやる。

    なんだ、麻衣子か・・・
    「神崎・・・あの・・・」
    そこまで話しかけて、麻衣子は口を閉ざして、苦しそうな顔をしながら僕を見る。
    「ごめん、神崎。なんていって良いのかわかんない。・・・
    けど、また会えて、私、ほっとしてる。」

    あ〜・・・やっぱこいつとは友達になれそうだ・・・。

    「いや、僕も、なんて答えて良いかわかんないから・・・ちょうどいいや。
    ありがとな。」
    苦しそうな顔をして僕を見ていた麻衣子の顔から、
    ふっと力が抜けたのがわかった。

    「まあ、なにかあったら私に言いなさいよ。
    こう見えても、学園の情報は一通り把握してるんだから。」
    照れ隠しのように話し出す麻衣子をみて、僕も肩の力が抜けた。
    力抜いて話するって大切なのかもしれない。
    もちろん、今の状態じゃ、元気なんて出ない、空元気だけど、それでも・・・

    「それはそれは、頼もしい記者さんだ。
    でも、取材のときに、なんていって良いのかわからないなんていってたら、
    スクープものにできないぞ〜。」
    さっきの麻衣子の言葉に揚げ足をとる。

    「はっ!私はそこいらの三流記者を目指してるわけじゃないから、
    無神経な質問はしないだけよっ!それに神崎に泣きつかれても困るしっ!」
    「え〜、泣きついたら助けてくれないの〜?」

    こうして、冗談いっぱいに話してるだけでも、良いのかもしれない・・・

    「ばっかじゃないの!自分のことは自分でしなさい。
    大体それで無くてもこの学園の生徒は、親のすねかじって、
    世の中のこと甘く見てるんだから・・・
    欲しいって思ったらなんでも手に入ると思って、
    欲しいものを手に入れるのに努力もしないで・・・
    私なんて取材用のICレコーダー買うのにどれだけバイトしたと思って・・・」
    こらこら、どんどん話がそれてるぞ、麻衣子。
    でも、まあ・・・

    「麻衣子。」
    ぶつぶつと文句を言っている麻衣子をさえぎって呼びかける。
    「なによ。」ふてくされたように答える彼女に、一言。

    「サンキューな。」
    まだまだ、自然にはできないけど、すごく久しぶりに、笑顔が出た気がした。

    麻衣子を見ると、なぜか顔を赤くしてる。
    ・・・?暑いのかな?
    ここってそんなに陽が当たるか?

    「そういえば、あんたお昼は?」
    急に頭をぶんぶんと振り出すと、麻衣子が言った。
    「あ、いや、あんまり食欲なくて。」
    「そう・・・でも何も食べないのはよくないんじゃない?
    ねえ、よかったら私のサンドイッチどう?」
    お腹は空いてない・・・食欲もなくて、食べる気もしなかったけど・・・
    断ったら麻衣子に悪い気がした。

    「んっ、ありがと。じゃあ、一つもらうね。」
    そういって、タマゴサンドを一つほおばる。

    「昔さ・・・
    父さんと母さんとピクニックに行って・・・
    よくこうしてサンドイッチ食べたっけ。」
    「そう・・・」
    麻衣子はそれだけ言って、黙っていた。
    二人で黙々とサンドイッチを食べ、空を見上げてる。
    真っ青な空。
    夏になったら暑くなるんだろうな。

    屋上での昼休みは、不思議と、いやな時間じゃなかった。

    麻衣子が片親で、彼女が幼稚園の頃に、母親を事故で亡くしてたなんて、
    そのときの僕は知らなかったけど。

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■14984 / inTopicNo.29)  僕の居場所20
□投稿者/ チョビ 一般♪(27回)-(2006/06/13(Tue) 12:26:41)
    放課後は生徒会室に行くんだっけ。朝あいつが言ってた。
    あいつの顔なんて見たくもないけど、デュークのためだ・・・。
    それに、昼休みに麻衣子と話して、少し落ち着いた気がするし。
    生徒会室のドアを開けると、あいつが一人で窓の外を見ていた。
    僕が部屋へ入ると、振り返る。

    「・・・で、なにをするんだ?生徒会長様。」
    吐き捨てるように言う。
    「あなたには、今年度の予算案のための、各部の実態調査をしてもらうわ。
    予算はそれぞれの部の予算案の内容と、
    昨年度の大会の成績を元に考えるのだけど、
    それ以外にも、実際の活動内容を評価していきたいの。
    あなたにはそれをやってもらうわ。」
    活動内容ね・・・別に、どうでもいいや。

    「文化部は私が確認するから、あなたは運動部の方を見てきてちょうだい。
    実際にどれだけ活動しているのか、部員たちの様子や、設備の使われ方などよ、
    わかった?」
    あ〜、要は、部活やってるのを眺めてくれば良いんだな。
    「わかった。話はそれだけだな。」
    一秒でも長くこいつと一緒にいたくなくて、僕は生徒会室を出ようとする。
    こいつと一緒にいるのは嫌だ。
    体の中の血が沸騰しそうになる。

    「ちゃんと報告をして頂戴。」
    背後からあいつのそんな声が聞こえたけど、
    振り返るのも嫌で、そのまま部屋を出た。

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■14985 / inTopicNo.30)  僕の居場所21
□投稿者/ チョビ 一般♪(28回)-(2006/06/13(Tue) 12:33:03)
    各部の実態調査ね・・・馬鹿らしい。
    金持ちの集まりなんだから、そんな面倒なことせずに、
    好きなだけ金を使ったらいいだろうに。
    どうせ、膨大な額の学費や寄付金集めてるんだろうし。

    適当なところからちょっと眺めとけばいいだろ。
    屋上へあがると、そこは昼休みと同様、誰もいなかった。
    グランドで練習してるのはソフト部かな・・・。
    しばらくぼーっとしていたけど、だんだん眠くなってきた。
    そういえば、あんまり寝て無かったかな?
    葬式のこととかあまり覚えてないし・・・寮のベットで寝た記憶もない・・・。
    そのまま、青空の下で、目を閉じる。
    父さん・・・母さん・・・。

    そのまま僕は屋上で寝ちゃったらしい。
    肌寒くなって起きたら、あたりは薄暗くなっていた。
    これじゃあ、もう他の部活は終わってるだろうな。
    でもまあ、体育館でも覗いていくか。

    体育館に着てみたけど、バスケ部も、バレー部も、もう練習は終わったみたいだ。
    この時間なら当たり前か。
    あれっ、バスケのコートに誰かいる。
    残って練習してるのかな。
    一人でスリーポインシュートの練習をしてる。
    結構上手いな。
    でも、バスケ部のジャージも着てないし、
    体力がありそうな感じには見えないな・・・
    背は高い方だろうけど、でも、細いというか、モデルみたいな体系だし。
    チャージとかあったらすぐ怪我しそうだ。
    変なやつ・・・。
    まあ別に、どうでもいいか。

    さて、一応部活を覗いたわけだから、これでいい。
    早く帰ってデュークの傷に薬つけないと。

    コテージへ戻ると、あいつはまだ帰ってきていなかった。
    よかった、顔を合わせなくて済む。
    デュークの火傷に薬をつけて、抱きしめているうちに、そのまま眠ってしまった。

    朝、毛布に包まれて目がさめると、まだ5時だった。
    あいつは寝室にいるみたいだったので、僕は身支度をすると、コテージを出た。

    「じゃあ、デューク、行ってくるね。」
    デュークの鼻先に軽く口付けると、僕は学園に向かった。
    こんな時間に学校に行くのは、初めてだったけど、
    あいつと顔をあわせたくなかった。

    朝早くの学園は静かで、空気もシンとしてる。
    広い敷地に、森まであるこの学園は、
    ずっと前に父さん母さんといた研究所を思い出すな・・・。

    このまま教室に行くにはあまりに早かったし、
    教室でいろいろ聞かれるのも嫌だったから、少し遠回りしていくことにした。

    体育館の前を通ると、中からボールをつく音がする。
    こんなに朝早く、朝練かな?
    覗いてみると、あれっ、あの子。
    昨日の夕方体育館にいた子かな・・・。
    一人でシュートの練習をしていた。

    前の僕なら話しかけたかもしれない。
    けど、今の僕は、人と話すのが面倒で、そのまま通り過ぎた。
    これだけ大きな学校だから、いろんな人がいるんだよ。
    HR開始の予鈴がなるまで、学園の裏の森の中をぶらぶらして、
    僕は教室へ向かった。

引用返信/返信 削除キー/
■14986 / inTopicNo.31)  僕の居場所22
□投稿者/ チョビ 一般♪(29回)-(2006/06/13(Tue) 12:39:45)
    朝、あいつが起きてくる前にコテージを出て、
    ホームルームが始まるまで校舎の外を散歩する。
    授業が終わると、屋上で空を眺めて、
    夕方になったらコテージへ戻って、デュークに薬を塗って寝る。
    時々麻衣子と屋上で一緒に昼食を食べたりした。

    そんな生活の繰り返しで、あいつと二人で顔をあわせることはほとんどなかった。
    たまに顔をあわせても、あいつが一言二言命令してくるだけで、
    僕はあいつをにらみつけて、無言で立ち去ることが多かった。
    前よりも、あいつと二人でいる空気に耐えられない。

    そんな二人の関係を知っていたのは、たぶん麻衣子だけだったと思う。
    すごく驚いていたけど、そのとき彼女は、
    僕とあいつの関係を深く追求してこなかった。

    いろいろ聞かれないことが、ありがたかった。
    だから、麻衣子と一緒にいるのは、嫌じゃなかった。
引用返信/返信 削除キー/
■14987 / inTopicNo.32)   僕の居場所23
□投稿者/ チョビ 一般♪(30回)-(2006/06/13(Tue) 13:00:27)
    デュークは少しずつよくなって、
    2週間もすると、包帯もとれて、朝や夕方、一緒に散歩するようになった。

    デュークと散歩するのは楽しい。
    僕はデュークにいろんな話をした。
    父さんと母さんのこと、学校のこと、麻衣子のこと。
    もちろん、デュークは犬だから、言葉では返事ができないけど、
    でも、僕の気持ちをわかってくれる。
    言葉なんて、必要なかった。

    コテージで、僕はデュークのそばに座り込んで、頭を撫でる。
    珍しく早く帰ってきたあいつは、今は風呂に入っている。
    こうしてデュークと一緒にいると、少しずつ、穏やかな気持ちになれた。
    「元気になったな〜、デューク。よかった〜。」
    尻尾を振りながら、僕に擦り寄ってくるデュークを抱きしめる。
    本当によかった。
    火傷も見違えるようによくなったし。

    これは・・・一応あいつのおかげなのかな・・・。
    あいつのことは大嫌いだけど、
    でも、デュークを助けてもらったことには変わりないし。

    一応・・・な・・・。

    風呂からあがったあいつが、デュークのそばに座り込んでいる僕に向かって言う。
    「あなたももう寝なさい。
    明日も学校があるのよ。
    宮嶋グループの一員として、遅刻なんてみっともない真似、許さないわ。」

    相変わらず、むかつくやつだ。けど・・・

    「おいっ・・・」
    あいつの方へ顔だけあげると、声をかけた。
    僕から話しかけるなんて、いつ以来だろう。
    あいつは寝室に行こうとして、立ち止まった。

    「ひとつだけ言っておく。
    ・・・デュークのことに関しては・・・
    お前のおかげで、助かったのかもしれないから・・・礼を言う。
    ・・・ありがとう。」

    あいつの背中にそういうと、僕ももう寝ることにした。
    何か言い返されるかと思ったけど、何も言われない。
    振り返ることもなく、あいつはそのまま立っていた。
    まあ、いいや。いうことは言ったし。

    「おいで、デューク。部屋に行こう。」
    そういって、デュークと寝室へ入った。
    前はリビングの床でデュークを一緒に寝ちゃうことが多かったけど、
    あいつが、床で寝るのはみっともないとか言うから、
    用意された寝室で寝るようにしてる。
    デュークと一緒にベットで寝ることに対しては、何も言わなかった。
    あいつも自分の目に入らないところでなら、気にならないんだろ。

引用返信/返信 削除キー/
■15004 / inTopicNo.33)  Re[2]: 僕の居場所23
□投稿者/ T 一般♪(2回)-(2006/06/15(Thu) 02:14:55)
    待ってましたよ〜〜(≧∇≦)
    続きが観たくて毎日チェックしてたんだけど、なかなか更新されてなくて、あきらめてたんですよ〜〜!
    よかった〜〜〜♪
    チョビさんの小説、本当におもしろくて続きが早くみたくてワクワクしてるんですよ!ストーリーの内容もわかりやすく、背景もイメージしやすいしね!

    これからどんな展開になっていくのか楽しみにしてます♪
引用返信/返信 削除キー/
■15057 / inTopicNo.34)  Tさん
□投稿者/ チョビ 一般♪(31回)-(2006/06/20(Tue) 00:16:00)
    待っていただけるなんて嬉しいですね〜、ありがとうございます。
    ストーリーがわかりやすいのは、作者が単純なせいだと思います(^^;)

    これからどんな展開になっていくのか・・・私にもわかりません(爆)

    当初はもっとラブラブな予定だったのですが、、、
    なぜか友情路線を突っ走りつつあります(汗)

    懲りずに長い目で見てお付き合い下さい。
引用返信/返信 削除キー/
■15058 / inTopicNo.35)  僕の居場所24 side悠稀
□投稿者/ チョビ 一般♪(33回)-(2006/06/20(Tue) 00:24:19)
    あの子が寝室のドアを閉める音を確認してから、ほぅ〜とため息がでる。
    握り締めた両手から、意識して力を抜く。

    あんなこと言われるなんて・・・返す言葉が見つからなかった。
    あの子は、大切なご両親を悪く言う私を、憎んでいるはずなのに・・・。
    私なら、憎い相手がなにをしてくれても、利用しようとしか考えないわ。

    あの子がすぐ寝室へ行ってくれてよかった。
    きっと私は、真っ赤な顔をしていただろうから。
    こんなところ、見せるわけにはいかない。
    あの子は私を憎んで、私への憎しみで、動いているのだから。

    あの時・・・
    暗闇でうずくまるあの子を、抱きしめて、決めたことなのに。
    あの子が私のことを憎んで、それでも生きていてくれるなら、
    それで良いって思っていたのに・・・

    あの子をコテージに連れてきたとき、どういう形であれ、
    あの子のそばにいられるならって思ったわ。
    いつかあの子が、憎しみ以外のことに気持ちを注ぐことができて・・・
    たとえそれが私じゃなくても、それで良いと思っていたのに・・・。

    それなのに・・・
    あの子が見せる優しさに、もっとふれたいと願ってしまう自分がいる。
    自分で決めたことなのに、
    あの子の笑顔が、私に向けられたらって思ってしまう。

    屋上で楽しそうに友人と話をするあの子を見ていると、
    あの場所に私もいられたらどんなにいいかって思ってしまう。

    ・・・駄目ね、こんなんじゃ。

引用返信/返信 削除キー/
■15061 / inTopicNo.36)  チョビ様へ
□投稿者/ 麻莉菜 一般♪(2回)-(2006/06/20(Tue) 12:32:24)
http://fhp.from.jp/marinakt/
    side悠稀更新♪゛
    毎回楽しく読んでます(e^□^e)続きが気になるッッ☆★
    自分のペースで更新頑張ってくださいね!!応援してます♪

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■15134 / inTopicNo.37)  麻莉菜さん
□投稿者/ チョビ 一般♪(34回)-(2006/06/25(Sun) 00:32:55)
    レスありがとうございます。
    楽しみに読んでくださる方がいらっしゃって
    嬉しい限りです(^−^)
    更新は超スローペースですが、
    こうして感想をいただけることが何よりの励みになります。

    ぼつぼつと話は進みますので、ゆっくりお付き合い下さい。
引用返信/返信 削除キー/
■15290 / inTopicNo.38)  駄犬のつぶやき
□投稿者/ チョビ 一般♪(35回)-(2006/07/12(Wed) 12:12:54)
    ようやく少し更新できそうですが、
    まだまだ上手く表現できないです。
    文章って難しい(=_=;)
    季節が変わってしまう前に、話を進められたらいいなあと思います。
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■15291 / inTopicNo.39)  僕の居場所25
□投稿者/ チョビ 一般♪(36回)-(2006/07/12(Wed) 12:37:35)
    「各部の活動報告をしてほしい。」
    朝、あいつに言われた。
    どうでもいいことだけど、やっぱりな・・・。

    毎日ぶらぶらしてたけど、一応活動してる部活は覗いてきたし、
    あとは、あの空手部だけだな。
    あの部長には会いたくないけど、ちょっと窓から覗くくらいならわからないだろ。
    それに、一応・・・あいつの頼みでもあるし・・・
    何もしないっていうのもな・・・

    放課後、大抵の部活はもう始まってるだろうから、
    覗きに行くにはいい時間だろう。
    そう思って、道場へ行った。

    窓から中を覗き込むと部活は始まってるみたいだ。
    あれ?部長は今日はいないのかな。
    まあ、いないほうが何かと面倒がなくていいか。

    「おいっ!なにを見ている!」
    そう思った矢先、声をかけられた。
    部長だ・・・かっちりと道着を着てる。外にいたのか。
    覗いてるところを見られたりして、まずかったかな・・・。

    「お前は・・・」
    僕の顔を見るなり、部長が睨み付けてくる。
    前にも睨まれたけど、今回は殺気立ってるって感じだ、どうしたんだろ?

    「お前・・・悠稀様のコテージで暮らしてるっていうのは本当か!」
    ああ・・・そのことか。
    別に隠していてもそのうちわかることだから、仕方ないね。

    「ああ、そうだけど。」
    そう言ったとたん、襟首を掴まれる。

    「お前、あれほど悠稀様に近づくなといったのに、まだわからないのか。
    お前みたいなクズが悠稀様のそばにいるなんてなんておこがましい!」
    そのまま僕の首を絞めにかかる・・・なんなんだ、こいつは・・・。

    「操さん」
    そのとき、あいつの声がした。
    一瞬部長の手が緩んだので、僕は慌てて絞められていた手を振り解いた。
    ててっ、これは首にあざが残るな。

    「その子は、私の意思で一緒に住まわせているの。」
    そういうあいつに、部長が驚いた顔でいう。

    「そんな・・・そんなどこの馬の骨ともわからないやつが、
    悠稀様と一緒に暮らすなんて、考えられません。
    後援会だって納得しませんよ。」

    悠稀様ね、神様みたいな扱いだな、笑っちゃうよ。

    「両親を亡くして身よりもない子に、施しをしているだけよ。」

    へぇ〜・・・そうか・・・

    「ですが、なにも・・悠稀様のおそばに置かなくても・・・」
    「使用人のようなものよ。
    まだ何もできないけれど、教えていくことも必要でしょ。
    かわいそうな子じゃない。」

    そうか・・・
    あいつはやっぱりそういう風に僕を見てたんだよな・・・使用人ね。

    「お先に失礼しますよ、お嬢様。」
    そう言い捨てて、僕はその場を後にした。
    待ちなさいってあいつの声がしたけど、相手なんかしてられるか。


    イライラする・・・
    あいつに使用人って呼ばれたことがそんなにショックだったのか?
    単なる気まぐれか、くだらない世間体で
    僕をそばに置いときたいだけだろうに・・・
    そんなことはじめからわかってたのに・・・
    今更なんで僕はこんなにイライラするんだ・・・。

    学内の小道を歩く。クリーム色の垣根の中に、鮮やかな花達が咲いていた。
    その色が、眩しくて・・・余計に僕の神経を逆なでした。
    立ち止まって、垣根を蹴りつける。
    バキっと音がして、垣根が一箇所砕けた・・・
    あ〜、イライラするな・・・

    デュークが待っていたけど、そのままコテージに戻る気にはなれなくて、
    久しぶりに学校の外へ出た。
    葬式以来・・・だな。

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■15292 / inTopicNo.40)  僕の居場所26
□投稿者/ チョビ 一般♪(37回)-(2006/07/12(Wed) 13:59:14)
    学園を出ると、閑静な住宅街、この辺も金持ちが住んでるんだろうな。
    開けた場所があったと思ったら、公園だった。
    そろそろ暗くなる時間だったから、誰もいないみたいだ。
    ベンチに腰を下ろす。

    昔は、よく父さんと母さんと近所の公園に来たっけ。
    この町は、前に僕がいた町とは全然違うな・・・
    うつむいて、地面を見ると、干からびたミミズをアリたちが運んでいた。
    こんなところは同じなのにね・・・。
    少しずつアリたちが移動するのを見ていて、
    公園に人が入ってきたことに気がつかなかった。

    「ねえねえ、君、その制服聖クリストファー学園だよね。」
    ニヤニヤとしながら、派手な格好の男二人が近づいてきた。
    こんな公園にもこういうやつらがいるのか、まったく。
    「俺ら今暇しててさ〜、一緒に遊びにいかない?」

    うるさいな・・こいつら。
    イライラしてたんだ、ちょうど良い。
    なれなれしく肩を抱こうとする男を、わざと乱暴に振り払った。

    「って、こいつ・・・せっかく人が誘ってやってるのに。
    お嬢様だからってお高く留まってんじゃないのか?」
    はっ、お嬢様ね。
    偉そうなお嬢様がいて、それをやっかむやつらがいて・・・

    「くだらないな。」
    僕が言うと、本気で怒ったみたいだ。掴みかかってくる。
    ちょうど良いや、むしゃくしゃしてたんだ。
    掴みかかってくる男に、半歩近づくと、下腹部に掌底を入れる。
    男はもがきながら、膝をついた。
    ん〜・・・お腹殴るって痛いんだよね、ははっ。

    「こいつ・・・ふざけるなよっ!」
    もう一人の男も怒りの形相で僕にむかってくる。
    ほんと、くだらないね〜・・・
    横にかわして、足をなぎ払う。
    男はそのまま地面に倒れこんでうめき声を上げている。
    転がっている男をつま先でけりつける。
    ははっ・・・こんなんじゃストレス解消にもならないよ・・・


    「天・・・」
    あいつが僕を呼ぶ声がした。
    思いもしなかったあいつの声に、僕が顔をあげると、
    公園の入り口にあいつが立っていた。
    そのまま近づいてきて、倒れこんでいる男達を見渡し、僕のほうへ顔を向ける。

    「あなた・・・なにをやっているの。」
    なぜか、怒っているのに、泣きそうな顔をしている。
    イライラするな・・・イライラする・・・
    こいつの顔を見ているだけで、冷静でいられない。

    「うるさいなっ、お前には関係ないだろ!」
    「あなた・・・こんな喧嘩ざたを起こして・・・事件になったらどうするの。」
    うるさいっ!うるさいっ!
    ゆっくりと話しかけてくるあいつに、余計イライラする。

    「だったら僕にかまわなければいいだろっ!
    哀れみで拾った使用人が何しようと、どうだっていいだろ!
    気に入らなかったら捨てればいいだろうがっ!」

    「・・・」
    怒鳴りつける僕に、あいつは何も言わないまま、
    悲しそうな顔をして僕を見つめてくる。
    なんなんだ・・・
    あいつの視線に耐えられず、目をそらす。

    「天っ」
    急にあいつの鋭い声がして、次の瞬間、僕は突き飛ばされていた。
    ふらついて、僕は振り返る。

    「なにするんだ・・・」
    そこには、さっき殴り倒したはずの男と、
    あいつが重なり合うようにして立っていた。
    なんだ・・・男のほうが目を見開いて、ふらふらとあいつから離れる。
    手に何か持っている・・・
    えっ?
    あいつはわき腹を押さえるようにして、しゃがみこんだ。
    な・・・に・・・?

    「はっ・・・ははっ・・・ざまあみろ・・・」
    男は興奮した口調で震えながら立っている。
    手には・・・光るものが・・・ナイフ・・・
    腕には血がついている・・・血って・・・あいつ刺されたのか・・・?
    しゃがみこんでいるあいつの下の地面が、濡れたように染まっていく・・・

    慌てて駆け寄り、抱きかかえると、僕の手に生暖かいものが伝って・・・
    真っ赤に染まっていた・・・

    血だ・・・血・・・抱きかかえたあいつはぐったりとして動かない・・・
    あ・・あ・・あ・・・

    「馬鹿なやつだ・・俺の邪魔するから・・・」
    立ち上がる。
    ナイフを構えている男に向かう。
    右手でナイフを振り回してくる男の動きがすごくゆっくりにみえた。
    左腕で受けると、下腹部から持ち上げるように一発。
    ボキって鈍い音がした。
    もう一発。
    今度は顔。
    次はどうしようか?
    手当たり次第に殴りつける。
    僕の手は、あいつの血なのか、男の血なのかわからないくらい、
    真っ赤に染まっていた。
    男がまったく反応しなくなって、なんだ・・・もう動かないのか。

    のそっと立ち上がって、あいつのそばにもどる。
    真っ白な顔で倒れている彼女・・・なんだよ、これ・・・。

    「おいっ!ゆうきっ!」
    肩を揺さぶって大声で呼んでも、返事はない。


    遠くの方で、誰かの声がする・・・
    救急車・・か・・・そうだ・・病院にいかないと・・・

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