| 最近彼女の態度が─
「聴いてる?」
「……ん?あーごめん。何?」
変わり始めている。
洒落たカフェでも、夕陽が沈み行く海でも。
それこそ彼女が住む一つ屋根の下であっても。
「…………。」
ハッキリ言って上の空。
元々無口な人なのはわかっているけど…。
“ごめん、来週の週末、仕事が入ったから”
どこかおかしい。
手帳に付けたハートのマークがやけに虚しいよ。
けど─
「ねー…」
「……ん?」
「なんでもなーい」
その理由を聞けない私がとにかく一番虚しい。
なにげなーく。 “好きな人でも出来た?”
それか。 “キーっ!浮気してるんでしょー!”
聞けたのなら。 どんなにいいだろう。
my勘違い?
realすれ違い?
ああもう分からなくなる。
「ねー…」
でも、
もし聞けたなら─
お願いだから笑って誤魔化して。
そんな器用な事出来る人じゃないのは、
わかってるけど。
「んー?」
最初はネガティブな事なんて考えないの。
めくられる小説の終わりなんて想像しないの。
ねぇ。
あの頃の二人は、 どこにあるの?
勘違いでも─
すれ違いでも─
もうどっちでもいいから。
「あのさー…」
ああやっぱり笑って誤魔化さないで。
かなり大切な人なんだから。
私がまだ、 あなたの中から消えていないのなら。
「何?」
ちゃんと聴かせてよ。
早く抱きしめてよ。
続きを読ませてよ。
思い出になんかしたくないんだから。
私はもう、
心に嘘がつけないの。
fin.
“ktk” music by. Chrystal kay
(携帯)
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