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■17590 / inTopicNo.81)  夏菜様
  
□投稿者/ 金丸 大御所(276回)-(2007/01/01(Mon) 15:53:07)
    明けましておめでとうございます。

    一番乗り!!!!ですね(笑




    辛い時期に私の言葉が支えになってくれたら

    そう思うと文章に想いがまたひとつ重なります。

    そんな時期に読んでくれてありがとうございます。


    まだ書き表したいことの4分の1も書けません。
    けど、まだ伸びることができると信じて書いていきます。

    不完全だからこそ

    まだまだガキだからこそ

    先に

    前に進むことが出来ます。


    もし明日死んでしまうとしても

    あと一時間で死んでしまうとしても

    そのときまで進めると信じて

    歩んでいきます。


    どうかその姿を見守ってください。

    私が描いた何かが夏菜さんに届くことを祈ります。


    ありがとう。


    金丸
引用返信/返信 削除キー/
■17591 / inTopicNo.82)  新年のご挨拶
□投稿者/ 金丸 大御所(277回)-(2007/01/01(Mon) 16:00:26)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    明けましておめでとうございます。

    昨年は拙い私のエッセイを読んでいただき

    ありがとうございました。

    どうぞ今年も宜しくお願い致します。


    金丸
引用返信/返信 削除キー/
■17592 / inTopicNo.83)  海鏡の光橋-18-
□投稿者/ 金丸 大御所(278回)-(2007/01/02(Tue) 02:50:50)
    探しているものが

    見つかりそうだと思っていた

    もう少し

    もう少しでいい


    あと少しなんだ




    時間は容赦なく過ぎて行く



    始発で帰ろうか


    でも迷惑になったら…




    四季を見つめた



    その奥に答えがありそうな気がした



    この瞳の中


    あの場所と私を繋ぐものがあるかもしれないと


    迫り来る時間の残酷さが


    私を動かさない




    「帰った方がいいと思う?

    何か見つかりそうな気がするんだ」


    そう投げかけると


    静かに目を閉じ

    四季は頷く



    あぁ…




    「お前にしか見つからないものがある。」



    その瞳の奥にみたものは

    ただの私の願望なのだろうか




    もう一度



    心の中で

    静かに叫ぶ


    ここに


    お前の傍に居たい


    慰めてほしい訳でも

    ただ温もりがほしい訳でもない



    その


    瞳に


    繋がる鍵があるかもしれない




    でも


    やはり私にしか見つからないものがあるのかもしれない



    ここに居ては見つからないものが





    「わかった。」


    静かに立つ




    無言で着替える


    「送ってくる。」



    そう四季がともさんに伝える



    玄関で靴を履き終えると

    ともさんが見送ってくれた


    「ありがとう。またね。」


    笑顔で言う



    ごめんね が言えなかった





    早足で歩く


    いくつか交わす言葉は


    終電の時間




    これから待ち構えているものは



    果たして何なのだろうか



    「ありがとう。」



    「ん。気をつけて。」


    「ん。」



    改札を通り


    一度後ろを振り返る


    四季は手を振った



    私は一瞬手を振り



    きびすを返し前へ進む



    振り返らず



    これから待ち構えているものに


    向かうように



    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17593 / inTopicNo.84)  海鏡の光橋-19-
□投稿者/ 金丸 大御所(279回)-(2007/01/02(Tue) 02:57:32)
    電車に乗っている間は


    何も見ちゃいなかった


    ただ黙々と電車を乗り換える



    果てしなく長い道のりのような


    たった一瞬の幻のような感覚だった。



    私の家の最寄り駅に着くと


    寒空の中歩き出した



    フードを被り


    イヤホンからは音楽が流れる



    全てを


    遮断するように





    帰りの道のり

    歩くたび

    歩くたび

    喪失感が増す


    寒さも

    温かさも感じない


    クリスマスイルミネーションも

    澄んだ星空も

    街灯も

    歩く道も何もかも見えていなかった


    イヤホンから流れる音楽さえ聴こえない

    足元はおぼつかなくて

    力が入らない

    定まらない

    今にも膝から落ちてしまいそうになる




    どこを歩いているのか

    どこを目指しているのか

    何を見ているのか

    何を感じているのか

    何を聴いてるのか


    わからない



    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17594 / inTopicNo.85)  海鏡の光橋-20-
□投稿者/ 金丸 大御所(280回)-(2007/01/02(Tue) 03:03:02)
    月は見えず

    星は遥か遥か遠く



    ポケットの中握り締めた手の体温を感じない

    決して冷たい訳ではなく

    決して温かい訳ではなく

    ただただ

    感じない




    またいつかこの時を思い起こした時

    記憶はあまりないのだろうか

    そんなことをふと考えた



    あぁ


    瞼が重い

    真実から逃げるように睡魔は襲う



    本当は眠りたくない


    いつまでも


    いつまでも


    考えていたい




    無機質



    そんな今

    どこかに温かさを探している




    気がつけば家に着いていた



    鉛のように


    冷たく動かなくなった体を無理やり動かし着替える



    ベッドに倒れるように潜り込んだ




    眠りたくない



    見つけたい




    私にしか



    見つからない何かを






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17601 / inTopicNo.86)  海鏡の光橋-21-
□投稿者/ 金丸 大御所(281回)-(2007/01/04(Thu) 10:17:56)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    冷たい毛布を握り締め

    目を閉じる





    何故無くさなきゃいけなかったんだろう


    執着するなってこと?

    本当に諦めろってこと?

    居ない存在を求め続けるなってこと?



    形もない


    宿したこともない


    存在すら


    していない



    願いと愛情

    そんな想いが作り上げた心のあの場所



    見えない存在を

    少しでも形作ったあの紙



    二人の想い込めた紙

    いつのまにか

    温かさをくれるようになっていたあの紙



    私を守るように

    私に守られるように

    傍に居た



    ごめんね


    守り上げてあげられなかったよ



    急に涙が込み上げ

    溢れ出す




    君は今独りなのだろうか


    君を独りにしているのだろうか



    温もり探すように抱きしめた


    もう少しで温もり届きそうで


    けれど


    私は独りで

    君を抱きしめてあげられるようにならなきゃ意味がないのかもしれない






    君はどこに居るんだろう


    心の中


    私は君を見失った



    抱き寄せ

    抱き締め


    もう離さないと伝えたい


    私の心の中


    君は今

    どこに居るのだろう



    声すら聞こえない


    姿も見えない


    ただわかるのは


    温かさを求める


    たったひとつの

    温もりだけ




引用返信/返信 削除キー/
■17602 / inTopicNo.87)  海鏡の光橋-22-
□投稿者/ 金丸 大御所(282回)-(2007/01/04(Thu) 10:53:46)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    目が覚める

    いつのまにか夜は去り

    朝陽が差し込む


    「貯金引き出さなきゃ…」


    生気のない体を起す


    兄に電話をかける

    「もしもし?あのさ、昨日財布落としたから銀行行って貯金引き出したいんだけど、車で送ってくれない?」


    自分でも驚くほど声のトーンが低かった

    でもそれをコントロールするほど

    私には余裕がなかった。


    「あっらぁ。なぁに?財布落としちゃったのぉ?そりゃ残念ねぇ〜。」

    兄がふざけて、いつものおねぇ言葉をしゃべる


    「うん。」

    「自業自得ってやつよねぇ。そ・れ・は。」

    一瞬殺意が湧く

    「銀行つれてって。」

    「高いわよぉー。」

    「うん。」

    「わかったよ。すぐいけるから用意しな。」

    「ありがと」


    兄のおふざけに付き合う余裕はない。

    車の中では相変わらず

    「財布落とすなんて馬鹿のやることよねー。」

    「送り賃いくらにしようかしらぁー。」

    など、毒舌オンパレードで

    私はいくらも反応しなかった


    すると

    「お前いい加減笑えよ。」

    と少し怒る


    あぁ

    笑わせようとしてくれてたのか

    不器用な兄の一所懸命な励ましだったことに気づく


    ってゆうかお前のブラックジョークは今笑えねぇもんばっかなんだよ と

    あまりの兄の不器用さに笑っていた


    感謝するように

    少しづつ笑い出す



    貯金は全額無事で

    それを一円残らず引き落とす


    貯金が無事なことは

    少しの安心を呼んだが

    あの紙を無くしたことを超えるものじゃなかった。


    帰り道

    また同じように兄がブラックジョークと毒舌で笑わせようとする

    奈落の底に落ちたような妹を

    兄なりに励まそうとする姿に

    なんとなく愛しさが湧く


    優しい言葉をかけられない捻くれ者の兄

    過去の恋愛もこうだったんだろう

    兄弟だからこそ

    長い年月を共に過ごしたから理解できるけど

    彼女にこんな不器用だったら長く続かないだろうなぁ と

    窓の外を眺めていた



引用返信/返信 削除キー/
■17633 / inTopicNo.88)  海鏡の光橋-23-
□投稿者/ 金丸 大御所(283回)-(2007/01/10(Wed) 03:34:14)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    あれから数日


    私はまだ傷が癒えず


    その痛みに時折、別世界へ飛び立つ


    自分の中

    さまよい

    探し回り

    届かないあの場所を

    途方に暮れながら眺めていた



    それでも朝は来て

    家族と話し

    バイトに行かなきゃならない



    バイトに行けば

    お客さんを相手に笑い


    店の女の子に笑う



    それが『働く』ということだと思っているから。



    店で一番の仲良しのゆかさんに

    財布を落とし

    大切なものを失ったことを話した



    「また書けばいいよ。また作ればいいよ。」


    違うと叫びたくなる


    「もう同じものは作れないんです。

    同じ場所で同じように

    同じ紙に同じペンで書いても、それはあれじゃない。

    もう今出来るのはなくしたものを受け入れることだけです。」



    静かに

    静かに

    そうじゃないんだと伝えたかった



    蒸し返さないでくれ


    代わりはないんだよ



    長い沈黙の中


    私とゆかさんは待機席から別々のテーブルに呼ばれ

    終業まで顔を合わせることはなかった。



    家に帰り

    電話が鳴る


    着信はキョウ


    「はいもしもし」


    「お前大丈夫?財布見つかった?」

    「見つからない。多分もう帰ってこない。」

    「他に何なくしたの?」


    今までの経緯を

    吐き出すように話し出した



    「そっか…あたしは下手に何も言えない」

    「それでいいんだよ。」


    「なんかお前の…なんてゆうか…そうやって弱い所をさらけ出してくれた事が嬉しい。なんかドキドキしてる」と

    キョウが笑う


    「そうかもね。そうだね。初めてかもね。」


    苦笑するように私も笑った



    ここまで


    何にも包まずさらけ出したのは


    幾年も付き合いのある、しかも深い繋がりのあるやつにすら

    初めてのことだった。



    それほど私は





    もがいているのかと知った



    後日

    ゆかさんは「ごめんね」と謝ってきた


    「いいんです。私も八つ当たりに近かったし。こっちこそごめんなさい。ありがとう」


    そう返事をし



    キョウは

    「お前が少しでも元気になってよかった。この前は本当に死んだような声だったよ」と笑い

    「そんなに?」と聞くと再現してくれた


    その声のトーンや遅さに驚き


    「そんなだった?」笑って聞くと


    「ほんっとにこんなだったから!!!」と念を押した

    今少しはマシになったのかもしれない

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17660 / inTopicNo.89)  海鏡の光橋-24-
□投稿者/ 金丸 大御所(284回)-(2007/01/14(Sun) 00:10:53)
    昔大嫌いだった私の笑顔は

    いつしか誰かの心に響くものになっていて


    笑うことへの嫌悪感は

    誰かを救う力になるのだと思えるようになった。



    心に届けと願い笑い

    心に素直に笑い


    いつからかその笑顔が誉められるようになった。



    『笑顔がいいね。』

    『ほっとする。』

    『子供みたい。』




    そう言われるようになった。



    笑うことが愛情表現

    笑うことが最大の武器

    笑うことが誰かを救う



    宿命のように笑い続け

    幸せを握り締めるように笑った。



    けど


    『無理して笑わなくていい』と言われた時


    何故だか安心した



    あの日失った事実が

    あの日失った時の痛みが



    私を無くそうとしている



    『このままの状態を続ければ、お前が居なくなる。』



    自分が自分でなくなり

    誰かの何かに気づいてあげられないこと

    それは私が一番恐れていること



    誰も気づかない些細なことを


    拾い上げることが


    私にできることだと思っている



    けど


    今の現状を保たなければ

    私のできることは無くなり


    私の意味が無くなる気がする



    でもそれを保ち続ければ

    いつしか私は潰れ

    それすら出来なくなる。



    私はこうじゃなくちゃいけない


    私はこうしなきゃいけない


    私はこうあるべきじゃなきゃいけない


    私はこうなってはいけない


    私はやらなきゃいけない



    沢山のプレッシャーを自分に課せてきた


    プレッシャーが大嫌いなのは

    既にプレッシャーというキャパがいっぱいいっぱいだからだろう



    そのプレッシャーを何か外さなければ


    今の私は耐えきれず潰れる。



    仕事では


    笑わなきゃいけない

    喋らなきゃいけない

    気を配らなきゃいけない


    やることは沢山ある


    家では

    やることが沢山あり

    独りになることさえままならない



    ならば何を省けるのか



    はっきりと区切りをつけ

    独りの時は無になること



    でもそれは


    私が分裂してしまうんじゃないか


    そんな不安がよぎる



    日々の記憶が薄くなり


    何か書き記すのもままならない今


    どうすればいいかわからない混乱と


    これからどうなるのかという不安と


    なりたくない自分が浮かぶ




    私は一体


    どうしたらいいのか

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17661 / inTopicNo.90)  海鏡の光橋-25-
□投稿者/ 金丸 大御所(285回)-(2007/01/14(Sun) 01:53:40)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    全てを壊したいと

    一瞬頭をよぎる


    誰にも何も気を使わずいこうかと




    誰かが悲しそうな顔をして俯き

    無言で誰かに助けを求めている時



    何かにイラつき口をへの字にして悶々している時



    何か言いたくてもなかなか言い出せない時



    全てに気づかなくなってしまおうか、と。


    張り巡らした神経を

    誰かに向ける温もりも


    笑顔も


    眼差しも


    全てOFFにし


    何も気づかない

    何も応えない

    手を差し伸べることすらせず

    目を閉じ

    耳を塞ぎ

    拳を握り腕を組み

    口を紡ぐ



    そうしてしまえば

    楽になるだろう



    出来るか出来ないかは別として


    そうすれば


    楽になるだろう




    そんなことを考えていたら気分が悪くなった


    吐き気もする



    自分が一番なりたくない姿


    自分がされたら嫌なことを人にする人間になるということ




    壊れたい

    壊したい


    そう願いながら


    反比例するように

    そうなりたくないと願う



    全てを捨ててしまえば

    背負っていたものが無くなり

    その分楽になれる



    けど

    そうなっても恐らくそれだけじゃ終わらない


    その嫌悪感が

    私を取り巻き


    嫌悪感と開放感が入り混じる


    それでもまた道を探し続ける


    楽な方へと

    楽な方へと。



    楽な方へと行くにつれ嫌悪感は増幅し絡みつく



    苦しみは軽くなるどころか邪悪になる



    それから逃げるように


    今自分を追い詰めているのかもしれない


    足枷から逃げれば

    重く冷たいタールの海に沈み、もがき、嘔吐を繰り返しながら自分の身を切り刻む



    足枷を外そうと鎖に立ち向かえば


    何重にも絡まり

    数え切れない程に足に括りつけられた鎖を見ながら途方に暮れ

    掴んではその複雑さに虚しくなり、手をはなす




    そんな状態で唯一届くのは



    四季の声




    今は

    四季からの痛みさえも

    漆黒の闇に落ちているような私には

    光に等しい




    冷えてかじかみ鎖を持つことすら出来ず
    動かぬ手に


    感覚がもどる




    ふと


    迷惑じゃなかろうかと頭によぎる



    また一つ鎖は重くなり


    手が冷えていく





    あぁ…と力のない声が漏れた気がした

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17662 / inTopicNo.91)  海鏡の光橋-26-
□投稿者/ 金丸 大御所(286回)-(2007/01/14(Sun) 02:23:24)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    吐き気がのどの奥に詰まり

    胃酸が込み上げる



    そんな中


    元から無かったものなのだ

    執着しすぎていつしか形になっていただけなのだ

    追い求めてもなにしても

    元から無かったものをどうして掴めようか

    『無い』は『無い』なのだ

    変わりようがない

    今苦しんでいるのは

    ただの―







    ならば

    あの母性愛も無かったものなのか


    私の大半を占めるこの母性愛を消去することになる


    一番私を作っている中心を

    消去した時

    私には何が残る?


    自分自身の中で一番大切なものを

    無くそうとしているのか


    苦しみから逃れたいがために



    吐き気が増す




    のどが渇く



    首筋は熱く痺れて重い




    何をしたいのか

    わからなくなってくる



    私は一体


    どうしたいのだろうか







    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17680 / inTopicNo.92)  海鏡の光橋-27-
□投稿者/ 金丸 大御所(287回)-(2007/01/15(Mon) 18:18:25)
    「どうしたの?」


    「大丈夫?」


    そう言われても私は

    枯れた笑い声を喉から出すだけ



    何を言っても

    今は相手を黙らす程

    何も言えなくなることしか言えない



    無意識に

    入るな

    解るはずがない

    私だけの問題なのだ


    と思っているかのように。



    それでも

    当たり散らすようには言わない。


    それが今できる精一杯の気遣いだから。


    何を言われても

    今の私には届かない。


    届かないと思っている。


    でも

    考えが堂々巡りな今

    助けを求めていることも事実。


    その矛盾にさえ

    苛立つこともある。


    最近聞き取りにくくなった左耳も

    紙を前にペンを手にしても何も浮かばないことにも

    笑えない自分にも

    薄れていく記憶にも

    周りの状況が把握できないことも



    心の中も



    悲しみにも似た苛立ちが湧く。




    全てを投げ出し

    貯金を握り締め

    青い海に白い砂浜に行けたら と


    思えば自分の情けなさが余計に苛立たせる。



    なんの意味もない。



    環境から逃げても自分からは逃げられない。


    探すしかないのだ


    自分の中


    何かを。



    それをわかっていてもまだ



    鎖に途方に暮れることしか出来ていない


    光を見つめようとする余力さえ


    今の私の手にはない


    現実を見つめることすら出来ていないのだから

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17720 / inTopicNo.93)  海鏡の光橋-28-
□投稿者/ 金丸 大御所(288回)-(2007/01/20(Sat) 22:54:31)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    また時を戻すようなことが起こった

    強い光が目を潰し
    耳を切り裂き
    全身を引き裂くような

    そしてそれが鮮烈であり

    鈍く

    一瞬のようで

    永久のように



    痛みが生き返る

    そして重なり

    頭の中が白くなる


    白なのか黒なのかわからない世界が

    私を引きずり込む


    叫びだしたくなる

    崩れ落ちたくなる

    気を失ってしまえば楽なのに



    こうして私は

    閉じ篭った


    自らに引きずり込まれ

    幽閉され


    立ちはだかる壁の中に

    狼狽する余裕もなく

    倒れ込んだ
引用返信/返信 削除キー/
■17721 / inTopicNo.94)  海鏡の光橋-29-
□投稿者/ 金丸 大御所(289回)-(2007/01/20(Sat) 23:10:53)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    笑うことさえ

    話す事さえ

    何かを目にすることさえ

    出来なくなるほど

    力を失った



    私の仕事は

    お客さんを相手に聞き、話し

    笑い、笑わせ

    その人の何かを読み取らなきゃいけなくて

    お酒をつくり

    灰皿を換え

    様々なことに気を配り

    頭をフル回転させなきゃならない


    仕事が休みの日は

    家事や生後半年の甥っ子の子守

    生活用品や、食材の買い物


    本当に独りになれるのは

    仕事の日の寝る前2時間


    今の自分の現状を受け入れようと意識するので精一杯で

    それ以上のことは出来ずに過ごしていた


    やらなきゃいけないことが多い

    投げ出せばたちまち仕事でも家庭でも非難されるだろう


    この先やりたい事の為にも投げ出したくはない


    何の気力も湧かぬまま

    時間は過ぎる
引用返信/返信 削除キー/
■17722 / inTopicNo.95)  海鏡の光橋-30-
□投稿者/ 金丸 大御所(290回)-(2007/01/21(Sun) 00:37:00)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    四季へメールすることさえ出来なかった


    苦しい時

    もがいても、もがいても行き着く場所は四季だったのに


    もがくことさえしなかった



    堂々巡り出来ればまだいい


    その気力を失った時

    ここまで何も出来なくなるのかと漠然と思っていた。



    ただ

    私が命を絶つような真似はしないと四季がわかっていても


    生きていると

    それだけでいいから伝えなきゃならないと


    仕事に行く途中

    一行のメールを送った

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17723 / inTopicNo.96)  海鏡の光橋-31-
□投稿者/ 金丸 大御所(291回)-(2007/01/21(Sun) 01:06:58)
    [気力がギリギリ]


    なぜそう送ったのかは自分でもわからない


    [メールできないけど心配いらない]

    そう送れば済むのに、メールを送ることさえやっとな筈なのに

    私は返事を待つように

    送信画面を見届けて携帯を閉じた。


    コーヒーショップに行くと

    大学の試験の為に店を休んでいた優奈が
    試験勉強をして居た


    「元気ないね。大丈夫?」

    私は生返事をして枯れた笑い声をだした


    テーブルの上には教科書やプリントが並び、ダーバンを巻いた男が弦楽器を持っている姿が見えた



    「なんかあったの?」


    泣きそうな顔をして私の腕に触れた


    「んー…」

    目線をプリントに落とし私は今の状態を話し始めた


    少しでもわかりやすく説明することで精一杯で表情までは気がいかなかった


    話し終え優奈を見ると


    もう目から涙が出そうになっていた


    「そっちは?」


    私も今辛いと話し始めた


    みるみるうちに余計に泣き顔になっていく


    唇が震えて

    眉間にシワが寄っている



    「海は独りになりたくて私は独りが嫌で、真逆だね。取り替えられればいいのに。」と優奈は笑った

    「そうだね。試験勉強は嫌だけど。」と笑うと


    安心したように優奈は笑った


    「コーヒー買ってくる。」と席を立ち



    今この状況すら少し辛い

    笑うことさえ無理やりで

    たった独りでどこかに閉じ込もりたい

    幽閉されるくらいでもいい


    けど



    「携帯鳴ってたよ。スタン。」

    「ありがと。」


    スタンは四季専用の着信音


    あのメールの返事が来たのだ



    (携帯)
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■17724 / inTopicNo.97)  海鏡の光橋-32-
□投稿者/ 金丸 大御所(292回)-(2007/01/21(Sun) 01:34:41)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    [なら、やめてしまいなさい]


    頭が回らない


    やっと出てきた言葉をやっとの思いで打つ


    [店を?考えるのを?

    メールもやっとだよ]



    優奈が心配そうな目をしていた


    スタンが鳴る


    [ぜーんぶ。
    そこまでして立ってる必要ある?]



    叫びたくなった


    [目標を失いたくない]そう打って携帯を閉じた



    悟られまいと息を深く吐いて優奈を見ると


    未だに泣きそうな顔をしていた


    ポツリポツリと優奈が話し始めた


    「あのね。友達に「優奈は仕事に逃げすぎだよ」って言われたの。」

    「うん」

    「実際に辛いことがあると仕事に行くことが多くて、逃げ場なんだと思う。現実逃避なんだよ。」

    「それも必要だと思うけどね。」

    「友達はもっと頼りなよって言ってくれたけど、迷惑なんじゃないかって思ってできない。」

    「高校の時のトラウマじゃない?また裏切られるんじゃないかって心の底にあってできないんじゃね?」

    「そうかもね…。でも友達は今会いたいって言っても来れないのが当たり前だけど、お客さんなら必ず来てくれるから…」

    「トラウマで甘えることが出来ないんだよ。同い年だからっていうのもあるかもしれないけど、相手に果たして自分を受け入れる余裕があるのか解んないんじゃない?余裕が無ければ拒否されるんじゃないかって思ってんじゃね?」

    「うん…」

    「もしかしたら実際にそのキャパはないかもしれないよ。でも友達がいくら手を差し伸べても、その手を拒否してたら何も変わらないよ。踏み出さなきゃその人の器さえ見えないままだよ。」


    「…うん…」


    あ、優奈が泣く


    その時スタンが鳴り響いた

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17810 / inTopicNo.98)  海鏡の光橋-33-
□投稿者/ 金丸 大御所(293回)-(2007/01/29(Mon) 02:22:06)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    [そのままでたどり着けんのかよ
    休む事を覚えろ]


    憤りが襲った


    [完全に休めて塞ぎ込めるならば、したいよ]


    家庭の事情


    それが大きい原因だった。


    休みの日も独りになることすら難しい状況


    休めるなら


    独りになって己と向き合えるなら




    「そろそろ行かなくて大丈夫?」


    「あ…うん。そろそろ行かなきゃね。」


    心配そうに優奈が見ていた


    「トイレ行くから私も行くよ。」

    「おう。」


    優奈がぴったりと寄り添ってきた


    「ありがとうね。」

    「私もだよ。」


    「じゃぁ…ね。」


    「うん。無理しないでね。」


    優奈が私の服の袖をギュッと掴む


    「ありがとう。君も無理しないように。」


    そう言って抱き締めてバイバイした。



    私の中は


    憤りでいっぱいで


    落ちるのか怒りにまかせたいのかわからなかった



    店に着き、着替え、化粧をして髪をセットする


    店のボーイ達が大声で笑っている横を通り抜け

    待機席に座った


    店の女の子達と一言も交わさぬ内に朝礼が始まる



    夜の7時前に響く「おはようございます」


    朝礼の内容は筒抜けで気がつけば終わっていた



    溜め息も出ない位

    私の中は静かに嵐になっていた

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17811 / inTopicNo.99)  海鏡の光橋-34-
□投稿者/ 金丸 大御所(294回)-(2007/01/29(Mon) 02:39:19)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    サイレントマナーにした携帯が光る

    画面を開くと四季が笑っていた


    [仕事だけ辞めちゃえば?]


    かき乱される


    仕事をやめれば貯金が出来ない


    貯金が出来なければ1人暮らしの資金がなくなる


    1人暮らしが出来なければ



    四季の傍に行くことは出来ない




    [もーどうしていいかわかんね]



    そう打ってる最中


    「あーもー携帯へし折りたい」

    そうもらすと「どうしたの?」と笑って店の女の子が聞く


    私は笑いながら「携帯壁に投げつけるんでもいいんですけどね。」と気力の無い声をだした


    携帯が光る


    [お前が選んでここまで来たんだから、これからもお前が決めるしかないだろ
    ]



    私は


    早くお前の傍に行きたいんだ



    家庭からも解放されて


    早く自由になりたいんだよ


    早く



    [逃げたいけど逃げたくない

    もう既に自分の中で自分から逃げようとしててそれすら嫌気がさす


    誰でもかれでも罵倒したくなる]



    [休む事がなんで逃げになんの?
    そんな状態で働かれるのも八つ当たりされるのも迷惑だよ]



    [現実から逃げるように感じる


    仕事はちゃんとやってるよ。
    仕事以外でなりそうになる
    無反応かブチ切れそうになる

    今四季に八つ当たりするのもすげーやだ]


    [別に八つ当たりされてるとは感じないけど、今はまだいいけど周りがその内耐えられないで離れていく人も出てくるんじゃないか。
    ちゃんとやってるようでも、これから仕事でも支障が出てくると思うよ。
    背負う性分なら、背負って潰れる事も覚悟しろよ。お前は悩みだすといつも中途半端なんだよ。本気で嫌ならどっちかに転がり込めばいいだろ。中途半端だから今は苛立ちしか覚えないよ。]



    私はいつもこうなんだろうか


    中途半端だから

    悩んだり悲しかったりすると周りが苛立つんだろうか



    そう考えると

    憤りと共に悲しみが湧いた




    [とりあえず来月前期は休む方向で考える

    今月後期は店と家以外で人に逢わないようにする


    多分メールも日記もする気力ないと思う


    それが今私が出来ること]



    悲しみを断ち切るように目を閉じると


    ボーイに呼ばれ


    仕事が始まった

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17821 / inTopicNo.100)  海鏡の光橋-35-
□投稿者/ 金丸 大御所(295回)-(2007/01/30(Tue) 02:05:08)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    ヘルプから戻ると四季から[はいよ]とゆうメールがきた。



    私の中では

    不安と憤りと悲しみが渦巻いていた


    本当に独りになり

    私は何かを見つけることは出来るんだろうか


    四季は見放さないとわかっていても

    呆れられた、と自分の不甲斐なさに腹が立ち落胆する


    いつまでも私は中途半端なんだろうか


    逃げに行こうと

    楽な方に行こうとしている今


    その意志への怒りとこれから立ち向かうことへの不安が心いっぱいになる。



    待機席からテーブルに行く際、仮面をつけるように切り替える度


    疲れが増した。



    仕事が終わる頃には疲労困憊になり、笑う顔も引きつっていた。


    無表情で「お疲れ様でした。」と吐き捨てるように言い家路につく



    着替えて顔を洗い部屋に戻ると携帯がチカチカと光っていた

    なんだろうか


    パスワードを打ちメールフォルダが開かれると、四季のフォルダに一件の数字



    [あたしがお前に出来る事は、とても限られてる。こういう時、まざまざと思い知る。
    笑顔にしてやる事も、苦しい時側に居てやる事も、出来ない。
    お前の屈託のない子供みたいな笑顔が好きなんだ。あんなものを作らなければって、お前から笑顔が消えていく度に心底思うよ。
    どんなになってもいい、あたしの為に乗り越えてくれないか。
    あんな風に当たったけど、お前の笑顔を作れない自分が苛立たしいんだ。
    辛い時にあんな風に言ってごめんな。
    お前がバカみたいに幸せな笑顔を早く見たいよ]



    かじかみ痺れた心の深く奥が

    滲むように温かくなる


    その温かさは

    あの紙が持っていた温かさ



    気がつくと涙が出ていた

    (携帯)
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