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■18417 / inTopicNo.1)  風の唄
  
□投稿者/ 金丸 大御所(316回)-(2007/03/24(Sat) 00:11:45)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    春の唄

    夏の唄

    秋の唄

    冬の唄


    朝の唄

    昼の唄

    夜の唄


    一瞬の唄

    永久の唄


    わたしたちは唄い続け

    わたしたちは聴き続ける


引用返信/返信 削除キー/
■18418 / inTopicNo.2)  生琉の唄
□投稿者/ 金丸 大御所(317回)-(2007/03/24(Sat) 01:03:32)
http://id26.fm-p.jp/4/nxnxnxn/
    雨降り夕暮れの小さな公園で、傘も差さずに古びたベンチに力なく座る生琉が居た。

    雨の雫と共に桜の花びらが堕ちて来る。

    辺りは疎らに花びらのモザイク

    そこに紛れて生琉はただ目の前を見つめていた。


    ポケットに入った携帯は震えていたが、生琉はその携帯を握り締めたまま動かない。

    いつからそこに居たのか

    生琉の肌は白くなって血の気がない。


    その場所だけ時間がない様に見えるほど

    動くのは雨の雫と花びらたち。


    白い肌に漆黒の短い髪

    そのまま消えてしまいそうだと思うほど

    不自然に世界に溶け込んでいた。


    陽も落ちて公園の明かりが生琉に影を落す


    生琉が動く

    携帯が開き生琉の顔が一瞬照らされた


    「…」

    「…公園」

    「帰る」


    立ち上がると幾枚かの花びらが落ちた


    生琉が歩きだした瞬間

    強い風が吹いた

    不自然だった景色が生琉の抜けた部分を埋めようとするかのように

    雫より多く花びらは散り舞い堕ちた


    気がつけば

    生琉の姿はなかった


    帰るとは

    どこのことだったのか



引用返信/返信 削除キー/
■18662 / inTopicNo.3)  夜明けの風
□投稿者/ 金丸 大御所(340回)-(2007/04/17(Tue) 05:24:36)


    きみの手を


    きみの身体を


    今このとき


    優しくこの腕に抱き締められたらと


    柔らかく心が締め付けられ


    静かにゆっくりと熱くなる




    優しく

    きみの髪を撫でられたらと


    まぶたを閉じ

    掌を握る



    それに耐えられずに

    煙草に火をつけた



    コンポからは

    優しい唄が流れる



    風に揺られ


    キラキラと音が鳴る

    あの出だし




    決まって

    きみの優しいあの笑顔が浮かぶ

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18722 / inTopicNo.4)  聴こえず流れる唄
□投稿者/ 金丸 大御所(341回)-(2007/04/19(Thu) 01:36:01)
    ずっと続けると言っていた想い綴ったあの場所を

    迎えた結末と共に終わりにした

    ひとつの

    けじめとして

    物語に沿って

    終わりとした



    けれど

    募り

    重なり

    深くなっていく想いは

    終わりにしようとは思わない


    終わりには

    出来ない


    また別の形にして

    想いを綴る



    聴こえず流れる唄のように


    絶えず生まれる音符



    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18744 / inTopicNo.5)  空の匂い
□投稿者/ 金丸 大御所(342回)-(2007/04/20(Fri) 01:00:17)
    『雨の匂いがする』

    君がそう言っても

    私にはピンと来なかった


    空を見上げ

    雲に向かって鼻をスンスンしてみたけど

    雨の匂いがどんなものかわからなかった


    雲を眺め

    その色に聞いてみる


    答えはしない雲は

    顔色を暗くする



    「降るっぽいね。」



    何度目かの春風が

    頬を撫でた





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18745 / inTopicNo.6)  さくら
□投稿者/ 金丸 大御所(343回)-(2007/04/20(Fri) 01:14:16)
    「花見したい。」と何度も何度も言った


    けれど

    桜の咲いていた間

    花見は現実にはならず

    私は独り

    夜桜の下を歩いた



    葉桜になり

    やがて花が散り

    枝の色と若葉の色に樹が染まる頃


    そういや私桜嫌いだった


    なんとも間抜けなことに気づいた


    あれほど毎日言っていたのに

    花見どころか

    桜が嫌いだったことに

    桜の花が散った後に気づいた



    私が生まれた季節に

    咲き誇り

    桜吹雪で人々を包む


    どんなに人を恋焦がれても

    どんなに望んでも

    叶ったことのない桜の時期



    悲しいことや

    寂しいことが多いから

    桜は嫌いだった


    なのに毎年

    桜が咲くのを待ち焦がれる


    望みはこの掌に大事にしまって

    枝が赤く染まる時期から

    花が散り

    優しい色をした葉が太陽に向かい背を伸ばすまで

    大事にしまって

    やがて

    掌をあけて

    春の夜風に飛ばしてしまう



    そんなことを毎年して

    桜が嫌いになった




    そして気づいた


    花見がしたかった訳じゃなく

    ただ君の傍に居たかった


    君の好きな

    花の下で

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18746 / inTopicNo.7)  春が終わった頃
□投稿者/ 金丸 大御所(344回)-(2007/04/20(Fri) 01:29:24)
    早く

    もっと暖かくなれと

    毎日思う。



    ねぇ

    暖かくなったら

    あの場所に行こうよ

    去年の夏

    君と手を繋ぎ歩いたあの場所に

    今度はちゃんと閉園よりずっと前に行って

    シートを敷いて


    ぽけーっと二人で

    空を眺めて

    風に目を細めて

    太陽に包まれて



    お弁当は作るのが面倒だから(笑)サンドイッチでも買って

    お酒も持って

    夕方のあの笑い転げた時間まで



    二人で

    ポツポツ喋りながら

    のんびりしようよ


    私の膝はいくらでも貸すから

    太陽に包まれて

    私の膝の上で

    いつも通り眠ったらいいよ


    そしたら私は

    いつも通り

    君の寝顔をいつまでも

    眺めてるから

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18823 / inTopicNo.8)  きみがわらう幸せ
□投稿者/ 金丸 大御所(346回)-(2007/04/27(Fri) 19:15:22)
    天気のいい日

    窓際で

    きみを膝の上に座らせていた

    きみは優しく笑い

    私もつられて優しく笑った


    小さな体

    膝にかかる重さに

    伝わる温もりに

    ケラケラと笑う私達に

    幸せと

    優しさが包んで

    窓からの日差しが

    柔らかく抱いてくれた


    幸せで

    しあわせで


    あまりに幸せすぎて

    目が覚めて泣いた



    もう幾年か昔の夢

    未だに忘れぬあの幸せと悲しみ


    きみは

    私が諦めた子供だったんだろうか



    嬉しくて

    嬉しくて

    私はあのとき

    きみ以上に笑っていたよ


    きみの微笑みがうれしくて

    きみの温もりがうれしくて

    きみが居ることが

    うれしくて





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18894 / inTopicNo.9)  刹那
□投稿者/ 金丸 大御所(348回)-(2007/05/03(Thu) 01:40:53)
    帯のように延びた

    あなたに照らされた雲は

    流れ流れ

    私の背中の向こうへ廻ってゆきます


    時折見える

    あなたの優しさに

    見とれてしまいます


    あなたの姿に

    心打たれ

    流れくる光に

    包まれる度

    あぁ

    私はここに居るのだと

    澄んだ瞳であなたを見やることができます


    あなたの明るさに

    雲は色付き

    大きな命があるように

    流れ流れます


    雲の向こうに見える空は

    とても儚い色に染められ

    一層に輝きを際立たせます



    ゆるくゆるりと去る風に

    僅かに身を縮ませながら

    僅かに願いをのせます



    こんな月夜を

    きみは見ていますか

    こんな優しい夜に

    あなたを見ながら

    きみは何を想い歩むのでしょう

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18895 / inTopicNo.10)  流れ唄
□投稿者/ 金丸 大御所(349回)-(2007/05/03(Thu) 02:05:05)
    雲に乗って

    風に乗って

    様々な声が聞こえます


    自然と微笑みたくなる幸せな声も

    身を切られるような悲しい声も

    耳を塞ぎたくなるような声も

    抱きしめたくなるような愛の声も


    雲が包み

    流れ流れます

    風が受け止め

    流れ流れます



    青い青い空と海からの声も

    灰色に染まった街の声も

    銀世界からの声も

    どんよりとした空気の場所からも

    流れ流れ

    辿り着く場所を求めてさまよいます


    あなたの声も

    きみの声も

    流れ流れ




    泣かないで小さなきみよ

    何よりも輝いた笑顔をしたきみよ

    優しく笑う母よ

    守る人よ

    叫ぶあなたよ



    皆の声が

    流れ流れ

    私の中を通り抜け

    また空へと旅立ち

    辿り着く場所へと

    また長い旅路へと

    還る場所へと

    流れ流れてゆきます



    私も一言

    たった一言

    空に旅立たせよう



    届くあなたのもとへ

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18897 / inTopicNo.11)  名前
□投稿者/ 金丸 大御所(351回)-(2007/05/03(Thu) 02:54:02)
    とあるカフェで

    いつぶりか

    きみが私の名を呼びました


    賑わう店内で

    呼ばれた名前


    久しぶりすぎて

    少しだけ戸惑ったことを

    きみは知っているでしょうか


    いつも『お前』とか『なぁ』とか『ねぇ』とか

    そんな風に私を呼ぶきみが

    珍しく私の名を口にした時

    少しの戸惑いと

    嬉しさが入り混じって

    私はそれはそれは素敵な程


    無表情でした。



    後ろから聞こえた

    きみの声で作られた私の名前



    思い出す度嬉しくて

    何度も何度も思い出してしまいます。





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18903 / inTopicNo.12)  ふたり
□投稿者/ 金丸 大御所(352回)-(2007/05/03(Thu) 17:33:36)
    不器用なふたりの

    不器用な唄



    遠く離れた

    ふたりの唄



    聞こえなくて

    聞きたくて


    聴こえなくて

    聴きたくて



    聞こえ

    聴こえる

    ふたりの唄



    遠く離れた

    近くあるふたり



    不器用なふたりの

    不器用な唄



    時折聴こえる

    きみの声



    多くを伝え

    多くを語らぬきみの声



    きみの唄が聴こえると

    どうしても恥ずかしくて

    どうしても嬉しくて

    どうしても

    戸惑う



    きみの唄は

    不意に

    ごく稀に聴こえる時


    私は

    優しくきみの名を叫ぶのです

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18937 / inTopicNo.13)  抱きしめればよかった
□投稿者/ 金丸 大御所(353回)-(2007/05/06(Sun) 03:50:15)
    「ハル!」


    そう叫んだ時には

    ハルの体は鉄の塊に跳ね飛ばされていた。


    冷たいアスファルトに

    ハルの身体は

    鈍い音を残し

    叩き付けられた。




    救急車のサイレンが耳に残っている。

    集中治療室の静けさがまだ身体に焦りを残してる。

    触れた頬の冷たさや

    異様な固さが

    今も掌に蘇る。


    名前を呼ぼうとしても

    口は開くのに

    声が出せない。



    予備の煙草は

    まだ木の箱に入ってる。


    洋服は

    綺麗に畳んで衣装ケースにしまってある。


    2人で行こうねって

    夏になったら行こうねって

    いろんな所に行って、写真もいっぱい撮ろうねって

    貯めてた貯金箱に

    ちゃんと月に二回、貯金してる。



    ベッドの左側

    いつでも寝れるようにあけて寝てる。



    いつ帰ってくるの?なんて言わない。


    どこに居るの?なんて言わない。



    帰ってこないのなんか

    わかってる。



    ただ

    怖いんだよ


    こうしてないと

    もっと遠くにあんたが行っちゃいそうで

    こうしてないと

    帰ってきてよって

    言っちゃいそうで


    あんたのご飯まで

    作りそうになる


    作ったら

    冷たくなって乾いたご飯

    捨てなきゃならない

    捨てたら

    あんたが居ないって

    また思わなきゃいけないじゃん



    1日の何百も何千回も思ってるのに

    帰ってこないのなんかわかってるのに

    また一つ

    思わなきゃいけないじゃん



    あんたが

    あのとき言いかけた掠れた声が

    耳にこびりついて離れてくれない






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18938 / inTopicNo.14)  抱きしめればよかった-2-
□投稿者/ 金丸 大御所(354回)-(2007/05/06(Sun) 04:04:38)
    今日は天気がいい。

    暑くて

    風が優しく吹いてるよ。


    あんたが好きそうな

    雲が流れてる。



    もうすぐ誕生日だよ。

    あんたはもうあの頃から

    プレゼントは何にしようか悩んでた。

    私にわからないように何が欲しいか探ってた。


    バレバレだったよ。


    それが可愛くて

    私はわざと

    何が欲しいとか言わなかった。



    あと一週間で

    あんたがあれだけ悩んでた誕生日が来る。


    「おめでとさん」って言って

    にやけながら

    私の目もまともに見れずに

    プレゼント渡すあんたを

    今年も

    来年も

    この先ずっと見れないんだね




    誕生日なんか

    来なけりゃいいのに

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18939 / inTopicNo.15)  抱きしめればよかった-3-
□投稿者/ 金丸 大御所(355回)-(2007/05/06(Sun) 04:16:43)
    来なけりゃいいのに

    どんなにそう願ったって1日1日と過ぎていって

    誕生日の朝

    雨の音で目が覚めた。



    今日1日は

    泣くことを許してやろう。


    静かに息を吐いて

    込み上げる感情に身を任せたのに


    涙が出ない。


    乾いた頬を撫でたら

    あんたの冷たさを思い出した。



    着替えて

    傘も持たずに

    外に出た。



    手を繋げるあんたが居ないから

    ポケットに手を入れた。




    この道

    あんた好きだった


    この公園

    あんたも私も好きだった。



    濡れたベンチの右側に座って

    出ない涙の代わりに

    雨粒をいっぱい浴びた。





    誕生日

    一緒に居れなくてごめんねって

    あんたが泣いてるから雨が降ってるみたいだよ



    それとも


    私の代わりにあんたが泣いてるのかな






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18940 / inTopicNo.16)  抱きしめればよかった-4-
□投稿者/ 金丸 大御所(356回)-(2007/05/06(Sun) 04:31:02)
    アパートの階段を

    ずぶ濡れになって重くて仕方ない体で

    気力もなくあがった。



    部屋の前に

    ママが居た。



    ハルのお母さんは

    二人目の母親みたいなもんだから

    ママと呼んでた。



    「ママ…どうしたの?」


    「どうしたのはこっちの台詞よ。」


    「ちょっと水浴び。」


    「風邪引くよ。」


    「なんとかは風邪引かないらしいから。」


    鍵を開けて

    ママを招き入れた。

    「ここでいいよ。」

    「上がればいいのに。」


    「これ渡しに来ただけだから。誕生日おめでとう。」



    そう言ってママは封筒を差し出した。


    『はっぴぃばーすでー』


    へったくそな字で

    しかも平仮名で

    そう書かれた封筒。


    受け取ろうと手を出したら

    ずぶ濡れで

    急いで服で拭おうとしたら

    服もずぶ濡れで


    私はうろたえて



    「じゃぁここに置くね。」



    ママは封筒をげた箱の上に置いて

    行っちゃった。



    「ママ!」

    玄関を開けて

    叫んだ


    振り返ったママに

    「ありがとう。」


    噛み締めて言った


    思ったより声が出なくて


    もう1度言おうと口を開いたら


    「ハルに言ってやって。」


    そう言って階段を降りていった。







    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18941 / inTopicNo.17)  抱きしめればよかった-5-
□投稿者/ 金丸 大御所(357回)-(2007/05/06(Sun) 04:40:41)
    玄関を閉めて

    封筒を見つめた。




    『はっぴぃばーすでー』





    私は封筒をそのままにして

    お風呂に入った。



    体を丁寧に拭いて

    部屋着に着替えた。



    タオルを頭にかけて

    脱衣所から出た。




    『はっぴぃばーすでー』




    封筒を手に取り


    部屋のベッドに腰掛けた。




    なんで




    なんで




    あんたがいったの

    いつだと思ってんのよ




    今5月だよ




    あんたがいったの


    2月じゃん




    用意早すぎでしょ




    どんだけよ




    しかもなんで平仮名なのよ



    HAPPY BIRTHDAYくらい調べなさいよ






    封筒を持つ手が


    震えだした










    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18943 / inTopicNo.18)  抱きしめればよかった-6-
□投稿者/ 金丸 大御所(359回)-(2007/05/06(Sun) 04:54:53)

    震えた手で


    封筒を開けた




    薄っぺらい紙




    目を閉じて



    封筒から出した





    目を閉じたまま


    開いた



    心の中で


    あんたの名前を呼んで


    目を開けた




















    『  愛してる  』








    -END-

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18947 / inTopicNo.19)  抱きしめればよかった-エピローグ-
□投稿者/ 金丸 大御所(360回)-(2007/05/06(Sun) 18:43:13)
    マフラーを巻いて

    やっとあんたのお墓の前に来れた。


    好きだった

    カスミ草いっぱい持っていった。


    水は刺すように冷たいけど

    構わずに優しくお墓を撫でた。


    お線香はケチらずに山ほど。


    あんたが好きだったお香も一本混ぜた。



    手を合わせずに

    ただ見つめた。




    背後から

    「来てくれたんだ。」


    驚き振り向いたら

    ママが居た。


    「やっと来れました。」

    軽く笑うと


    ママは優しく笑って「ありがとう。」

    そう言ってくれた。





    ママが笑って話し始めた

    「あの子の部屋を見渡したらね。ゴミ箱に何枚も手紙が入っててね。全部あの誕生日の下書きだったのよ。」



    「え?」



    「封筒の『はっぴぃばーすでー』以外にも、英語の綴りも、カタカナも、平仮名もあったのよ。(笑)」


    私は笑って聞き続けた



    「さすがにクシャクシャになった便箋は開かなかったけど、便箋何枚も何枚も書いてあってね。(笑)」


    「ハルらしいね…(笑)」



    「全くよ。全部とってあるけど、読む?」



    「…」



    しばらく考えたあと


    「いや…まだいいです。」



    「本当に?」



    「今の私には…あの手紙だけで…溢れるくらい愛情を感じるから。」



    「そっか。読みたくなったら言ってね。」



    「ありがとうございます。」





    心の中で

    ハルの名前を

    狂おしい程優しく呼び

    お寺を後にした。








    あんたは


    本当に不器用で




    あたしは



    あんた以上に不器用で




    あんなに穏やかな2人の雰囲気は


    狂おしい程の愛を秘めていたんだろうね








    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■18972 / inTopicNo.20)  きみとぬいぐるみ
□投稿者/ 金丸 大御所(361回)-(2007/05/08(Tue) 03:00:41)
    きみを抱きしめるように

    毎晩抱いていたぬいぐるみ


    きみの温もり探すように

    毎晩抱いていたぬいぐるみ


    きみの匂い探して

    抱きしめたぬいぐるみ



    きみと同じように抱きしめた


    きみにするように包んだ


    きみの頭を撫でるように撫でた




    ベッドの左側に寝かせて

    わたしは右側


    ぬいぐるみの頬に

    おでこをくっつけて


    きみにするように

    鼻を押し上げた



    きみに向けるように

    微笑んで眠りについた





    キスはおでこにしたよ



    頬をすり寄せた




    寂しい夜は

    悲しい夜は

    いつもより少しだけ

    強く抱きしめた



    抱きしめると

    きみに伝わる気がして



    抱きしめると

    きみの優しさが伝わる気がして


    またいつもの笑顔になれた





    ぬいぐるみは今

    きみのそば



    あの子は時々

    わたしの温もり伝えてくれますか?





    ぬいぐるみの居ないベッドの左側が寂しくて


    わたしのきみの居ない左側は恋しくて




    寂しいから

    向けた背中が

    こがれてる






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/

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