| 細いアリサの膝のうえは見た目より骨張っていなく居心地がよかった。
アリサには見えづらい綾の嫉妬した顔を除いては。
ヤケ酒のようにどんどんお酒を飲み込んでいく綾。 エリナにべったりのアリサは、つんつんと背中を押し、初仕事だよ♪と耳打ちをする。
あやされている間に自分の立場を忘れていたエリナは、とっさにボトルに手を掛ける。
「お酒お注ぎします…」 綾の動きが止まる。不愉快そうにだが、アリサの手前仕方なさそうにグラスを差し出す。
(やだやだやだぁ…めっちゃ嫌われてるんだけど…) お客の前ではエリナはプロになりきる。 不安な気持ちを抑えて柔らかな笑顔を綾に向けた。
その笑顔に綾は一瞬ひるんだが、しかしまた不愉快そうに脚を組み、グラスを傾けた。
『まぁ、ただ若いだけが売りの女じゃないわね』
「ありがとうございます」『よくできまちたぁ♪』
少し頭を下げたエリナをすぐにアリサは膝のうえに戻す。 綾にジロっと睨まれる視線が痛い。エリナは苦笑いを綾に向ける。
『エリナは可愛いねぇ♪』能天気に自分を抱き締めて触り続けるアリサの腕に思わず手を掛け立ちあがった。
「なんですか。可愛がってくれるのは嬉しいし、アリサさんの事は嫌いじゃないですけど、お客さんの前でくらい仕事して下さい!」
強気なエリナの面が一気に吹き出した。元々おとなしい性格では無く、かつ真面目な性格のため仕事中もべたつくアリサの態度には我慢ならなかった。
黙ってエリナを見つめるアリサ。しかしすぐにアリサに笑顔が戻る。
『エリナ、おいで♪』
笑ってるアリサを睨む。
「嫌です」
ふいっと顔を反らして扉に向かう。
(携帯)
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