| 麻衣子の言ったとおり、今度のチームはバスケ部の人がいるらしく、 ゴール下もしっかりディフェンスを固めて、なかなかシュートが決まらない。
ガンッ!しいちゃんのシュートがリングにはじかれる。
「リバンッ!」麻衣子の声が響く。 ゴール下には、相手チームのセンターと晶。同時にジャンプして・・・
「晶っ!」 着地と同時に晶に声をかける。 リバウンド競り勝ったのは晶だった。 一瞬目が合うと、晶は僕にボールをパスしてきた。
よしっ、速攻だ。 そのまま僕はドリブルでゴール前に近づく。 ゴール前でディフェンスをしている人をかわすと見せかけて、 後ろから走ってきた麻衣子にパス。 そのままレイアップシュートでゴール。
「ナイスシュート」 麻衣子に声をかける。 「神埼も、ナイスアシストだわ。」 麻衣子が嬉しそうに返事をする。 「まあね。でも、一番の功労者は晶だな。」 そう思って反対側のゴール下にいる晶の方を見る。
「ナイスリバン、晶!」 そう叫んだら、今日初めての、晶の笑顔が見れた。
ピィ〜!
前半終了のホイッスルが鳴る。 28対40で僕らの大幅リードだ。 ハーフタイムでベンチに戻る僕に麻衣子が話しかけてる。
「ねえ、神崎、あいつになに教えたの? あんな短時間でリバウンドとれるようになるわけ?」 不思議そうに麻衣子が尋ねる。
そうなんだ、あの後も晶が大活躍だった。
「う〜ん・・・そんなに難しいこと教えたわけじゃないよ。 基本的なリバウンドのとり方だけ。 ただ、もともと運動神経良い子だったし、位置取りとか、 プレッシャーのかけ方とかは、空手でやってる体さばきと近いものがあるからね。 でもまさが、こんなに上手くいくとは思わなかった〜。」 僕もびっくりした。
晶はさっきの試合とは別人みたいだった。 体育館裏で練習したように、確実にリバウンドをとってくれて、 チームの誰かにパス。 そこから得点に繋がって、僕らの大幅リードだ。
運動神経はいい子だと思ってたけど、 あんな短時間の練習で、ここまで上達するなんて・・・ リバウンドだけっていうのが、余計なこと考えずに集中できるのかな。
「ナイスプレイ、やればできるじゃない!」 大幅リードに気を良くした麻衣子が、ベンチに向かう晶の肩を叩いて声をかける。
「別に。お前に褒められても嬉しくないよ。」 晶はそういって憎まれ口を叩くけど、その顔はまんざらでもなさそうだ。 まったく・・・素直じゃないな〜。
「神崎さん・・・バスケって・・・結構楽しいですね。」 僕の隣のペンチに腰掛けて、晶が下を向いたままぼそっとそういった。 なんだか嬉しいな、そういう風に思ってもらえるのは。 「うん、僕も、晶と一緒にバスケできて、楽しいよ。」
さて、この調子で、一気に後半もいくぞ〜。
ピィピィ〜。 後半開始のホイッスルが鳴る。
後半も波に乗った僕らは、試合前は苦戦するかと思った試合だったけど、 大差で勝ってしまった。 すごいな〜、なんとなくで集まったこのチーム、すごく強いや。 次は準決勝だって。
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