ビアンエッセイ♪

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■16632 / 親記事)  Runa&Emi
  
□投稿者/ 映美 一般♪(16回)-(2006/09/25(Mon) 03:03:04)
    2006/11/07(Tue) 02:04:41 編集(投稿者)


    題名:Runa&Emi(ルナ&エミ)

    はじめまして^^
    筆者の映美と申します よろしくお願いしますm(__)m

    運命の糸に手繰り寄せられたかのように、一瞬で恋に落ちたふたり
    ふたりを取り巻く、人間模様・同性愛の哀しい苦悩・寂寞たる想いを
    自身の体験をも交えて綴っています

    創作ですが、ほんのすこし実話も入っています
    拙い、ドラマですが、どうか最後までよろしくおねがいしますm(__)m




                          



引用返信/返信 削除キー/
■16633 / ResNo.1)  雨の朝
□投稿者/ 映美 一般♪(17回)-(2006/09/25(Mon) 03:07:51)
    2006/09/25(Mon) 03:12:49 編集(投稿者)

    ”甘い香りのコロン”をルナの部屋で見つけたエミ

    別れて1年も経つ 彼女のもの?が
    部屋にあることに疑問を抱くエミ

    いたずらにそのコロンをつけてみるエミ
    「前の彼女のなの?」

    ルナに何度も問いただす・・・
    そんなエミを責めることも
    問いに答えることもしない
    只、エミを抱きしめるだけ

    そんなシーンから・・・はじまった夜



    朝の空気を感じて・・・目醒めた・・・
     
    手探りで枕元の携帯を探す 
    ・・・AM 8:12 

    ルナの部屋で朝を迎えるのは何度目だろう


    『ねぇ ルナ・・・もう朝だよ・・・』
    隣で眠るルナの瞼にそっとくちづけする


    『・・ん〜ん・・エミィ・眠い〜・・・zz』 
    薄目を開けて眩しそうに顔を手で覆うルナ


    ルナの肩にブランケットをかけなおす
    安心した笑みを浮かべてまた瞼を閉じるルナ

    また夢の中に戻っちゃうの ルナったら(苦笑)

    《ねぇ その夢の中に私はいる?》


    《エミィ・・・つまんないことした罰だよ 今夜は寝かさないからね(笑)》

    そう いってたくせにルナったら(微笑)
    ・・・私より眠りに誘われちゃったのね(悔しい^^)


    ルナの寝顔を見つめてると・・・
    薄れ掛けたあの香りがまた脳裏に漂ってきた


    寝顔のルナにつぶやく
    《もう訊かないよ・・・ルナ》


    どうせ またさらりと交わすんでしょう^^
    きっと私のジェラシー楽しんでるんでしょう

    いつか仕返ししてやるからね ルナ・・・ 


    ・・・雨の音が聞こえた


    裸身のままベッドから降りて 窓に近づく
    ロールカーテンの隙間から灰色の空が見えた

    ベッドに座り
    眠るルナの額に繋る 前髪に触れる

    ・・・今日は雨だよルナ

    出掛ける予定もキャンセルね・・・


    携帯にセットしたアラームをOFFにして
    ルナの隣に身体を滑らせた・・・


    眠らさないでね ルナ・・・

引用返信/返信 削除キー/
■16644 / ResNo.2)  出逢い@
□投稿者/ 映美 一般♪(18回)-(2006/09/26(Tue) 03:45:31)
    ねえ ルナ 貴女はいま幸せ?
    誰かを愛してる?

    たくさん愛をくれたルナ・・・
    あなたしか見えなかった

    ねぇわたし
    貴女以上の人にまだ巡りあわないよ・・・

    もうあんなに誰かを愛せないかも・・・

    二人が離れることになるなんて
    思いもしなかった あの頃・・・


    私はまだ立ち止ったまま


    あれから・・・もう3年だね
     

    *************



    ルナとはじめて出会った日



    あれは忘れもしない・・・
    3年前の6月の雨の午後だった




    メールの着信音で起こされた土曜の朝・・・


    会社の同僚の亜紀子からだった


    「おはよう〜エミ♪ 今日買い物に付き合ってくれない?
     それとちょっと聞いて欲しいこともあるの あいてる?」


    すこし疲れててまだまだ眠りたいモードだった
    しかし・・・ 断れない性分の私


    「うん、いいよ・・・じゃあ11時にね」


    【送信完了】の文字を見ながら 瞼が自然に重くなってくる


    あ〜やっぱ眠い・・・断ればよかったかも(^^;)
    溜息つきながら洗面に向かう


    ラジオの天気予報では午後から雨・・・


    折りたたみの傘をバックにいれて曇り空の街に出かけた



引用返信/返信 削除キー/
■16652 / ResNo.3)  出逢いA
□投稿者/ 映美 一般♪(19回)-(2006/09/27(Wed) 02:47:22)


    待ち合わせの時間に早めに着いた私は、改札を出ると
    繋がっている地下街のショッピングモールの本屋に入った


    ほんの時間つぶし・・・何を見るでも 買うでも目的はなく索引別に
    並んでる文庫本コーナーを歩く・・・。


    お気に入りの女性作家の文庫が並ぶ棚の前で足が止まる


    《まだ、新刊出てないね・・・、あ、これ読んだかな?》


    その気になる題名の本に手をのばしたとき 同時に伸びる誰かの手に触れた
    慌てて引っ込める・・・


    「あ、すみません」


    「いえ・・・こちらこそ すみません」


    すぐ隣に立つスレンダーな女性と目が合った・・・。


    バツの悪そうな笑みを浮かべてお互い会釈する


    目が合った・・・。
    それはほんの数秒の出来事だった。


    その人の黒い瞳に不思議ななにかを感じた
    一瞬にして心を捉えられてしまったような なにかが・・・。
    (なんだろう これって・・)



    携帯が鳴った・・・
    本屋の外に慌て出る


    「エミ〜 着いたよ どこ?」


    亜紀子からだった・・・。


引用返信/返信 削除キー/
■16663 / ResNo.4)  出逢いB
□投稿者/ 映美 一般♪(20回)-(2006/09/28(Thu) 01:39:22)
     
    地下街のショッピングモールでランチをして目的の買い物も終わり
    亜紀子と私は地上の通りに面したカフェに入った。


    丁度 PM3:00のティータイム 
    カフェも混んでてテーブル席は満席だった


    「あ、ほら…エミ あそこのカウンター席空いてるみたい〜♪」


    せっかちな亜紀子は店員の案内も聞かずさっさと向かう


    「ここの席 いいね〜 外の様子もよく見えるし ねっ エミ〜♪」


    ガラス張りの歩道に面したカウンター席
    交差点の角にある店なので 車や人の行き交う様子がよく見える


    「でもさ〜 外からもよく見えるね。 なんか落ち着かなくない?」


     あれ、亜紀子・・・?

    見ると相変わらずせっかちな亜紀子
    すでにセルフサービスの注文カウンターに向かってる


    「ねぇ〜エミ 何する?ホットコーヒーでいい〜?席座っててよ
     私一緒に買うからさ〜」カウンターから大声で言う亜紀子


    回りの視線がいくつか感じる 
    亜紀子の方に大きく頷いて 席に座る私(赤面)


    《まったくぅ・・・亜紀子の行動はせっかちなおばさんね(苦笑)》


    コーヒーカップを二つ並べて座ると 亜紀子は早速おしゃべりを始めた・・・


    「ね、エミ知ってる?課長が部下にセクハラしたって問題になってるらしい
     私も、飲みにいかないかって誘われたことあるんだよね・・・あのエロ課長〜」


    「そうそう あゆみが会社辞めるらしいよ・・・結婚するんだって
     相手は○○物産の若社長だって知ってた?どうみても
     あゆみのタイプではないしさ・・・きっとあれはセレブ狙いよね〜」

    「ふ〜ん そうなんだ」


    亜紀子の口から次から次にでてくる話題に 適当に相槌をうつ
    (今日のコーヒーはなぜか苦く感じるなぁ…)


    交差点の行き交う人や車の流れをガラス越しに見ながら・・・


    私はずっと…さっき本屋で出逢ったあの女性を思い浮かべてた


    亜紀子の電話であのまま店出ちゃったけど 
    あの人…あの本 買ったのかな?あの作家のファンなのね^^
    (…私ったら、どうしたんだろ・・なんで気になるのかな…)


    外は雨がポツリポツリ 降り出した
    信号待ちや歩く人波に傘が一つ二つと開いていく
    向かい側の信号が青になり人波が動きだす

    ぼんやりとそんな様子を眺めてると
    傘の間をよけながら足早に歩道を渡る ひとりの女性にふと目が留まった…。


    《あっあの人…さっきの…》(胸が高鳴る)


    視線はその人(女性)を追いかける…


    隣の亜紀子が私の腕をつつく・・・


    「ね、ちょっと エミ〜? 話聞いてる? 何?誰見てるの?」


    亜紀子の声に ハッとしたとたん…
    その人はもう追いつけない視界に消えていた


    落ち着かない様子で外を見る私を怪訝そうに覗き込む亜紀子


    「そ、そうだ ね、亜紀子 今日聞いて欲しい話って?
     セクハラや誰かの結婚話だけなの?それとも??」


    「あ〜そうだった ごめん〜ごめん〜 本題に入らなきゃね 
     エミ〜聞いてくれるぅ 実は彼のことなんだけどさ〜 昨日ね…」


    そう亜紀子が言いかけたとたん 


    テーブルに置かれた携帯の着信音が派手に鳴った・・・










引用返信/返信 削除キー/
■16669 / ResNo.5)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 ベテラン(215回)-(2006/09/29(Fri) 01:30:54)
    ちゃんとずっと拝見していますよ…

    私のちょっとした勘違いから映美さんに出逢ったことは必然なんでしょうか?
    私も不思議なご縁を感じます。

    私で良ければ支えにして下さいね

    誰かが読んでいてくれる…そう感じることが書くことの糧になることを私も知っていますし

    私の支えであるASUMIさんから頂いPowerを映美さんにも分け合いたいから…


    女の子って言う表現は適切ではありませんね。
    決して子供っぽいと言う意味ではなく
    女性らしいと伝えたかったのですが…


    いつも深夜の更新ですが最近朝晩は冷えて来ましたので
    風邪などひかれませんようにご自愛下さいませ

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■16679 / ResNo.6)  出逢いC
□投稿者/ 映美 一般♪(21回)-(2006/09/30(Sat) 00:54:04)
    派手なメロディが鳴り響く携帯を右手に持ち亜紀子は
    慌てて席を立つ…


    「エミ〜、ちょっと外で話してくるね〜」


    「うん…」


    ガラス越しに映る街はすっかり雨模様…
    傘の花が交差点を埋め尽くしてる 

    さっきの女性をまた…探す自分がいた
    (あの人 傘持ってなかったみたいね・・・)


    《いつからだろう…同性に恋心を抱くようになったのは…》

    亜紀子にはもちろんカムアウトしてない
    (あんな おしゃべりには絶対いえない(笑))
    だが亜紀子は 女の勘っていうのか なにか感じるものがあるのか
    時々ドキッとすることを言っては探ろうとすることがある
    それは、私が男性の話題にあまり関心のない態度から察するのだろう

    まっいいか…
    あえてこちらからいう必要ないし、ずっと疑惑の人でいよう^^



    携帯を片手に亜紀子が席に戻ってきた…


    「エミ〜ごめん〜」


    「彼がね〜近くまで来てるからって言うの…」


    亜紀子の目で訴えてる意味を理解した私


    「…ということは私に話したい相談事も解決したわけね(笑)」


    「うん…したかも… ごめん〜エミ」


    「わかった〜(苦笑)」


    「ねぇ エミはどうする?一緒に…くる?」


    「まさか〜お邪魔虫じゃん〜 彼に怒られちゃうよ(笑)たっぷり
    仲直りのデート楽しんできなさい〜。私はもう少し地下街みて帰るわ」


    「ごめんねエミ〜 あ、そうだ お詫びに月曜日 ランチ私奢るからさ♪」


    「ほんと(笑)じゃあ デザートとコーヒーつきでね」


    「うっ〜 はいはい〜おっけぃ〜(苦笑)」


    残りのコーヒーを流し込むと 慌しく席を立つ亜紀子
    自動ドアの前でなにか思い出したように振り返りもどってくる


    「そうそう エミー、外 雨がひどくなってきたよ〜傘持ってる?」


    「もちろん♪ 相合傘でもOKの大きめ目の傘持ってきたよ〜^^」


    「さすが、エミ〜(笑)相合傘とは気が利くね〜
    私が男なら絶対彼女にしたい〜いや女でも彼女にしたくなるよ〜(にっこり)」


    《 はっ?えっ? それって…どういう意味よ^^; 》


    返事に詰まる私に亜紀子はくるりと背をむけ
    ヒラヒラ片手を振って足取り軽く自動ドアの外に出て行った…

    《まったくぅ〜》

    他人の痴話喧嘩の結末はいつもこんなもんね 
    何回付き合わされたことか…
    犬も食わないよ… 私も、もう二度と食ってやんない(笑)




引用返信/返信 削除キー/
■16680 / ResNo.7)  昴さんへ♪ 
□投稿者/ 映美 一般♪(22回)-(2006/09/30(Sat) 01:22:01)
    昴さんへ


    レスありがとうございます

    夜型人間の私はこんな時間が一番集中できるんですが
    つい没頭してると、気がついたときには明け方とか
    続いちゃって 朝起きれなくてあせっちゃいました^^;

    週末は夜更かしOKだから・・
    ちょっとがんばってみようかななんて思ってます^^

    あなたの励ましのお言葉にはいつも力をいただいてます

    本当に感謝していますm(__)m

    かん違いは私の責任でさせちゃったことです・・・
    私にとっては必然な出逢いだと勝手に思っていますが・・・

    吹く風も冷たくなってきてますので 
    お風邪などお召しにならないように・・・

    昴さんのお話、毎回読ませていただいています(^^)

    更新お互い頑張りましょうね・・・


                         映美
引用返信/返信 削除キー/
■16681 / ResNo.8)  出逢いD
□投稿者/ 映美 一般♪(23回)-(2006/09/30(Sat) 19:11:04)


    外の雨はまだひどく降り続いてる・・・

    《 はぁ〜・・・》
    カフェにひとり取り残された私は深いため息をついた
    ダメダメ ため息はやめよう・・・幸せが逃げちゃう


    朝、亜紀子のメールに気づかぬふりして あのまま寝てればよかった
    土曜の休日 散々・・。しかも雨のおまけつきだし最悪(苦笑)


    もう一杯 コーヒー飲んでから出よう・・・


    二杯目はカプチーノにした・・・
    帰りに あの本屋にもう一度寄ってみようと ふと思った


    カップのカプチーノが半分ほどになったとき・・


    背後で声がした・・・


    「あの〜すみません・・・」 


    振り向いた私の瞳に映ったのは・・・さっき本屋で出逢った黒い瞳だった
    (さっきから心の中でずっと探していた あの人だった・・・)


    「お隣の席 空いてますか?」


    その瞳はまっすぐに私を見つめている


    突然のドラマのようなシチュエーションに声がでない私 
    胸の鼓動が鳴りだした
    (聞こえたらどうしょう)


    「あ、あいてます・・・」やっと声が出た


    雨宿り目的で入ってきた人達であろうか 店内は満席だった・・・

    唯一 空いてるひとり分の席は私のバックが占領してたのだった
    亜紀子が座っていた席に置いてたバックを膝にのせる


    その人は手にもったカップをテーブルに静かに置き 会釈した
    「すみません・・・ 助かりました」


    声と顔の輪郭がぼやけるなか 捉えた瞳は黒く潤んでいた・・
    隣に座るその人の空間の空気が動いた瞬間 コーヒーの香りじゃない
    いい香りが漂った・・・


    いま目の前で起こってる 3度目の偶然の出来事
    ううん 違う・・・
    この出逢い これは偶然じゃない・・・私は確信した。


    あの本屋で絡みあった黒い瞳
    一瞬にして・・私は落とされたんだ・・・この人に


    《本屋でのこと 憶えてないのかな?》


    その人は、手に持った文庫本をテーブルに置くと
    灰皿を手元によせ・・・バックからメンソールシガレットを取り出した
    そして一本だけ弾き出すとしなやかな動作で火をつけ指にはさんだ・・・。

    ぼやけてた輪郭が今、こんな近くではっきりみえる

    スタンドカラーの淡いブルーのストライプのシャツ
    襟元で揺れるショートレイヤーの黒髪
    燻らすタバコの煙の間からシャープな横顔が覗く


    かっこいい女性だと思った・・・
    (宝塚の男役スターの誰かに似てる^^)


    じっと見つめる私の視線に気づき・・・
    その人はハッとして手にしてるタバコを持ちかえた


    「ごめんなさい・・ タバコ? 煙いですか?」
    灰皿に近づけもみ消そうとする


    「いえ、全然 平気です・・・ どうぞ 気にしないください」


    雨で霞むガラス越しの街を眺めながめている 名も知らぬ人に
    とめどなく胸に熱く溢れものを感じる

    こんな感情は生まれてはじめてだった
    これが一目惚れというものなんだ・・・そう思った 


    カップとタバコを交互に持つその人の指先に目が行く
    自分と同じものを強く感じた
    この人絶対ストレートじゃない・・


    胸の鼓動は高鳴るばかりだった
    このまま去ってしまうのはイヤだと思った


    勇気を振り絞り出り 話しかけてみた・・・


    「あの〜さっき地下の本屋で会いましたよね?」


    その人はタバコの灰を灰皿に落とし首を傾けた


    「えっ・・・本屋ですか?・・」


    傾けた視線の先にある文庫本に気づくと 私と文庫本をを交互に見た


    「あ〜あの時の方ですか〜」


    まっすぐ私に向けられた顔に笑みが広がる
    私も頷いて笑みを返す・・・


    「さっきはどうも・・・」


    タバコの火をもみ消しながら 
    私を見つめる その黒い瞳が潤んだ・・・




引用返信/返信 削除キー/
■16700 / ResNo.9)  出逢いE
□投稿者/ 映美 一般♪(24回)-(2006/10/01(Sun) 23:39:26)

    その瞳に見つめられて胸の鼓動はさらに高鳴っていた・・・。


    「これ、あなたとニアミスしちゃった本ですよ」
    文庫本を手にとるとその人は悪戯っぽい笑みを浮かべた


    「あの作家 お好きですか?」


    ・・・あっ


    そのとき私の膝に置いていたバックが滑り落ちた
    慌てて拾い席に座りなおそうとした時 手がカップにぶつかった
    倒れたカップから流れたカプチーノがテーブルに広がり文庫本をぬらした

    「あ〜 すみません〜(汗)どうしょう」

    慌ててバックから取り出したハンカチで流れる液体をふき取る
    (カップに残ってたカプチーノがすこしだったのが幸いだ)

    文庫本を手にとるとその人は「いいのよ ありがとう」
    そういいながら薄っぺらい紙のブックカバーをはずした


    「ほら、本はこのとおり無事だし(笑)」


    「ほんと 私ったら あわてんぼうでドジで〜(赤面)」


    「ううん、気にしないで〜、それよりハンカチ汚しちゃったね」


    《・・・肝心なときに私ってホントにドジ〜》



    「そろそろいかなきゃ・・・」


    腕時計に目をやり席を立とうとする その人の動きに私は焦った


    《あっ、行かないで・・・なにか言わなきゃ・・・訊かなきゃ・・・》


    「すみません・・・あの〜お名前教えていただけませんか?」


    胸の鼓動は壊れそうに高鳴っていた・・・いきなり名前訊くなんて・・・
    きっとへんな女だと思われてるだろう 怖くて表情をみることができない


    「ルナって言います^^」


    顔をあげると 最初に出逢ったあの黒い瞳が私を映していた


    「あなたは?」


    「エ、エミです 自分がさき名乗らなきゃいけないのにすみません」


    黒く潤んだ瞳は私を見つめた


    「エミさんね・・・  私も訊こうって思ってたの・・・」


    ガラス越しの雨の街をバックにふたりの視線は絡み合った・・・




    それがルナと私の出逢いだった・・・



引用返信/返信 削除キー/

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