| 「春になるとさ、菜の花が綺麗だよね・・」 「うん」
彼女はソファーで本を読みながらティーカップ片手に返事をする。
「菜の花から改良されて、ブロッコリーとかキャベツが作られたんだよね?」 「うん。たぶん・・・って何が言いたいの? いきなり」
「いや・・何も・・」 「だったら、邪魔しないでくれる?」
彼女が読書タイムにはいると何だかつまらない・・・
「関係ないけど、よくさぁ、コウノトリが赤ちゃんを運んでくるって言う 話があるじゃない。外国によっては、キャベツから生まれるなんていう 言い方もするじゃない? うろ覚えに聞いた話しだけどさ・・・」 「また、適当な話しして・・・だから、何が言いたいの?」
彼女の隣で、だらけた格好で話しを続ける。 「菜の花って“元”だよね。元って大事だよね?・・・例えば、 出会った頃のような気持ちとかさぁ・・・」
「・・・・・」
「ねぇ、何か言ってよ」
小さく息を吐いて彼女は本を置き、そっと近づいてくる。
チュ・・
「前振り無しで、素直に言えないの?」 「うん・・・。今度また、デートごっこしよ? 初心なデートがしたいの。 演技でもいいからさ・・・時々は、初心を思い出したいの」
チュ・・
ずっと、好きでいたいから・・・
あなたをもっと好きになりたいから・・・
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次は『kiss and cry』で
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