ビアンエッセイ♪

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■19386 / ResNo.20)  ジゼルさんへ^^
  
□投稿者/ 映美 ベテラン(206回)-(2007/07/02(Mon) 14:43:54)

    こちらこそお返事嬉しいです^^

    えっ…ジゼルさん
    私の好きな曲もサビで
    5人組が歌っていて…古い洋楽ですよ^^

    ちなみに私はその曲のシングルを持っています

    もしや同じ曲なら
    聴いていた年代もジゼルさんと
    同じくらいだな〜って思ってました^^

    私はジゼルさんがお好きな曲が
    J-POPのK・Hさんの曲かなと勝手に勘違いしてましたm(__)m

    歌はいろんなドラマを生み出してくれますね

    また良い曲をヒントにストーリーを描いてみたいです

    この【ルナエミ】ほんとに更新スローですが^^;
    お時間許すかぎり読んでいただければ嬉しいです

    コメントありがとうございました^^


                  映美



引用返信/返信 削除キー/
■19395 / ResNo.21)  【emotional heart】
□投稿者/ 映美 ベテラン(207回)-(2007/07/03(Tue) 02:35:37)

    ―そうなんだ ルナはマユさんに会ったんだ


    『トオルがLOVESONGを捧げたい女性ってエミさんだったんですね…』


    ライブが跳ねたあと会場で声をかけてきた 鋭いマユの瞳が浮かんだ





    ワイングラスを口に運ぶルナの瞳は哀しく光った


    『あのギターピックは彼(トオル)のだったんだね…』



    (…あのギターピック?)

    あぁ そうか…
    ステージに駆け寄りギターピックをトオルに渡したところ
    一部始終を見ていたマユがルナに話したんだ
    “あのギターピック”の意味を…そう解釈した


    私は知らなかった…
    ルナの部屋で過した夜
    落ちたバックから転がったギターピック
    それをルナが手にして見たことを…



    『そっか 全部マユさんが報告したんだ…』



    表情を変えずスマートに煙草を吸うルナの指先を見つめた



    『エミィ LOVESONGで心が揺れた?』



    『ううん 揺れてなんかいないわ…。 ねぇ マユさんはルナに何を話したの?』



    『エミィが私に言えなかったことよ…』



    2本目の煙草をルナは灰皿でもみ消した



    …ふと思った
    マユはいったいなんのつもりで
    ルナを呼び出してまでそんなことを話すのだろう


    嫉妬?
    それとも…?


    ―そうだ…今夜こそルナに訊かなきゃ
    ルナとマユさんの関係


    『ねぇ ルナ訊いてもいい?マユさんはルナの恋人だったの?』



    メンソールの煙草をまたケースから一本取り出し
    一呼吸おいてルナは答えた


    『恋人じゃなかったよ…』


    『そうなんだ…』


    『けど…一度だけ…』


    『…一度だけ?』


    『マユを抱いたわ…』


    躊躇なくあっさり答えるルナの言葉に私は耳を疑った


    『抱いた…って…』



    突然のルナの衝撃的な告白に手にもったワイングラスが震えた



    『ね…ねぇ…ルナはマユさんを愛してたの?』


    『ううん…』


    ルナは首を振った


    『…ルナは愛していなくても抱けるの?』


    『そうね…そんなこともあったわ…』


    ショックだった


    涙が一気に溢れ出した


    『なんだか…悲しいわ』


    『…でもね…あのときは仕方なかったのよ』


    『言い訳なんか訊きたくないわ!』


    『そう…じゃあ 言わないわ』



    ルナは煙草を置きグラスのワインを口にした
    そのクールな瞳はワインの赤に染まって見えた




    『すごくショックよ ルナ…』
    『私が誰かにほんの少し心揺れたくらいどうだっていうの!』
    『ルナがそんなことできる人だったなんて…!』
    『マユさん きっと今もルナの事好きなのよ なのに…』


    やり場のない悲しみが攻撃的な言葉に代わった
    それをルナにいくつもいくつもぶつけた


    『・……』


    『言いたいことはそれだけ?
    もう終ったことじゃない…今更どうしろっていうの?』


    ルナは目を閉じた



    開けた窓からの涼しい夜風が二人の髪を靡かせた…



    こんな重い空気の中 今夜はこの部屋で過したくなかった
    なによりも心も身体も今は、ルナを受入れられない



    『…帰るわ ルナ…』



    私は、ルナの部屋を飛び出した



    ルナは追ってはこない
    引き止めもしない


    わかっていた…


    あの時だってそうだったから


    だから…ふりかえらなかった


    駅へ急ぐ自分の足音だけが
    虚しく夜道に響いていた…


引用返信/返信 削除キー/
■19400 / ResNo.22)  【A lonely heart】
□投稿者/ 映美 ベテラン(208回)-(2007/07/05(Thu) 14:18:33)

    帰るわ…


    涙目で立ち上がるエミに言葉も掛けず…


    メンソールシガレットを片手に
    ただ黙って慌しく出て行くその背中をルナは見送った


    閉まるドアの音が響いた…





    灰皿の中の吸殻を数えながらルナは後悔した


    どうしてひきとめなかったんだろう…
    どうして追いかけていかなかったんだろう…


    今更遅いね…



    エミィ…今夜は注意もしてくれなかったね 


    煙草に火を点ける度
    ”ルナ また吸うの〜身体に毒よ〜はい今日はもうおしまい”
    そう言いながら煙草ケースを閉じるエミの顔が浮かんだ




    テーブルの二つのワイングラスを見てルナは苦笑した


    まるであの日と同じね


    いつかマユが訪ねてきた朝 
    エミは部屋を飛び出していった


    あの時もテーブルにはワイングラスが二つ並んでいた





    エミの飲み残したワイングラスを見つめ呟いた


    エミィはいつも最後までちゃんと話を訊かないまま
    勝手に勘違いしてしまうね
    エミィはいつも物事を悲観的に捉えてしまうね

    マユとのこと…確かに軽率だったって反省してる

    でもそれはエミィと出逢うずっと前の出来事

    やっぱりいいわけになるかもしれないけど
    誘われてお酒の酔いの勢いもあったし
    マユも私も あの夜はお互い特別寂しかった

    それはどうしてだったか・・・ 
    エミィにこんどちゃんと話すからね





    やれやれ・・・とやっと立ち上がり
    グラスを台所に運び開いた窓とロールカーテンを閉めた


    “いつだってクールなルナが好きよ…”


    エミのいつものセリフがよぎった


    ねぇ…エミィこれでよかったの?

     
    私だってどんなときも
    クールでいれるわけないじゃないよ


    ルナはもういちどカーテンを開き霞んだ月を見上げた



    〜Lonely Heart〜
    そう…きっと貴女も私も〜

    そんな曲がBGMから流れていた



    さて…ご機嫌斜めの彼女には
    どんなタイミングでメールすればいいのかな…


    ルナは携帯を開いた…


    『…あれ?』


    着信履歴が一件画面に出ていた
    サイレントモードにしていたから気付かなかった


    『きっとエミね…(苦笑)』


    …ん?


    だが、ルナの電話を鳴らした相手はエミではなかった…


引用返信/返信 削除キー/
■19403 / ResNo.23)  【A good old voice】
□投稿者/ 映美 ベテラン(209回)-(2007/07/05(Thu) 16:40:01)
    2007/07/05(Thu) 23:12:50 編集(投稿者)




    最終のひとつまえの電車がホームに滑り込んできた


    私はすぐ乗り込まず
    発車ぎりぎりまでホームで迷っていた


    ジリリ〜と響くベルとともに
    あきらめて…飛び乗った


    ホントはこの電車をやり過ごそうと思った…



    最終電車まで待つつもりだった


    それは 心のどこかで待っていたから…


    もしかして…
    ルナが追いかけてくるかもしれない

    もしかして…
    あの時みたいにメールで
    呼び戻してくれるかもって



    やっぱりそんなわけなかったね
    ルナはいつもクール ううん…今夜は特に冷たい(苦笑)



    もう涙もとまっていた



    乗客もまばらな車内

     
    私はわざとルナのマンションが
    見えない窓側に座った



    電車が揺れる度
    何度も無意識に携帯電話を開いた



    そのたびに小さな溜息がこぼれる



    ”私ったらそんなに気になるなら
    自分からかければいいじゃない…”


    ”ううん かけない だって私は悪くないもん”


    強気の私と意地っ張りの私が押し問答していた



    けどやっぱり…マユとルナのことはショックだった



    『マユを一度だけ…抱いたわ』



    しかも愛していなかったなんて
    なんだかとても悲しい…



    『もう終ったことよ 今更どうしろっていうの?』



    それはルナの声にも重なった



    たしかに終ったこと わたしと出逢う前のこと
    今更 ルナを責めてもしかたないこと



    なのに私は、なにを勝手に傷ついているんだろう



    仕方なかったのよと話すルナの声に耳を塞ぎ
    ただ、やりきれなく悲しくて衝動的に部屋を飛び出してきた



    もっと冷静になって最後までルナの話を訊けばよかった



    ・・・後悔していた 
    ・・・反省していた



    でも今夜はもう戻れない






    なんだかこのまま帰りたくないな…
    だって今夜はルナのところに泊まるつもりで出てきたから



    私はふっと思い出した


    …あっそうだ…ミチ姉とこに行こう〜


    従姉のミチコは一人暮らしだった
    今までも嫌なことあったらミチコのところへ相談しにいったり
    何度か泊めてもらったりしていた
    私にとっては本当の姉のような存在だった


    携帯を開きミチコに発信しようっと思ったとき
    着信画面に変わった



    画面に見覚えのない11桁の番号が点滅していた


    …ん…この番号は?


    誰 間違い電話かしら?


    躊躇いながら…通話ボタンを押した



    『…もしもし』


    『あっ もしもし エミさんですよね?』


    やけに明るい声が響いた


    『はい…』


    『エミ〜♪ わたしわかるよね?』


    『…え…あ、あの』


    『やだな〜エミ〜 忘れちゃったの? 私よ ミ・サ・オ!』


    そうだった…ちょっとハスキーなその声はミサオだった


    『あっ ミサオさん〜♪』


    ハッと声のトーンが上がった口元を慌てて押さえた


    私は自分が電車の中にいることを一瞬忘れていた


    ふと周りを見回した


    幸い車内の乗客もまばらで眠っている人
    同じく携帯を眺めてる人
    私の声にふり向き気にする人は誰もいなかった


    だが電車の中で会話はタブーだ


    『あの…ミサオさん いま私 電車の中なんです 
    もうすぐ駅に着きますから かけなおしていいですか?』



引用返信/返信 削除キー/
■19410 / ResNo.24)  【I meet you again】
□投稿者/ 映美 ベテラン(211回)-(2007/07/07(Sat) 08:27:04)
    2007/07/07(Sat) 08:31:28 編集(投稿者)



    駅のホームに降りすぐミサオにcallした


    3度目のcall音が弾んだハスキーボイスにかわった


    『遅くにゴメンネ エミ〜!
    わたしったら思い立ったらすぐ行動に移しちゃうんだよね(苦笑)』


    『ところでエミ こんな時間に電車に乗ってたなんて お出かけだったんだ?』


    『ええ…ちょうど今 帰るとこだったんです』


    『はは〜ん さてはデートの帰りだな〜(笑)いいな〜 ねっあのとき話してた 彼女〜♪』



    『…はい そうなんだけど…』



    答える声が消えそうに小さくなっていく



    『どうしたの〜エミ〜? なんだか元気ないぞ〜!』



    そうよ…元気なわけないわ


    ミサオは続けた


    『あのね〜思い立ってエミに電話したのはね 近いうち会えないかな〜って思って
    え〜と 早速だけど明後日の夜なんかどう?』


    『…明後日 ええ 私は大丈夫ですよ』


    そうだった…
    トオルのライブに急いでたあの日
    途中 思いがけないミサオとの再会をした
    そのとき携帯の番号を交換しまたゆっくり会おうと約束していたのだった


    『ねぇ エミ〜 いまから家に帰るんだよね?』


    『…ええ…』


    『実は今、寂しくひとり飲んでるだ〜 ねっ エミ 一緒に飲まない?』


    『えっ…』


    『あはっ 私ったら〜こんな時間に何誘ってるんだろ ごめ〜ん! ちょっと酔ってるかも 許されたし(苦笑)』

     
    ハスキーボイスが懐かしく耳に響く


    その声に私はミサオにとても会いたい衝動に駆られた


    それに…今夜は帰りたくなかった


    …迷わず返事をした


    『ミサオさん 私も…とても飲みたい気分なの…』







    ―今夜の月は霞んでいた

    〜I meet you again〜

    孤独な二つのハートの隙間に流れる酔い水

    今夜は貴女に逢いたいと誘う…






    その頃ルナは…着信履歴の相手を確認して
    CALL BACKしていた


    『もしもし…もしもし…』


    繋がっているはずなのに声は聞えない


    電話の向こうでは
    談笑する声や賑やかな音が飛び交っていた


    『もしもし〜』


    『マユ?』


    『あ〜ルナ かけくれたんだ〜♪』


    『なんだか賑やかね…。もしかして また飲んでる?』


    『正解〜♪飲んでまぁす』


    …きっとマユは酔ってるんだろう


    『はぁ〜(溜息)…で…用件はなんなのマユ?』


    『……』


    『えっなに?…聞えないわ〜』


    周りの雑音に掻き消されてマユの声がよく聞えなかった


    ルナは声のトーンをあげた


    『マユ…お酒に呑まれないようにって 何度も忠告したよね 
    私が言ったこと何も守れていないね…』


    『え、守れてないって何を?』


    マユの耳には届いていないようだった


    時計はまもなく午前零時を示しそうとしていた


    『マユ また、終電に乗り遅れて誰かの部屋に泊めてもらう気?』


    『……』


    『酔っ払いの相手してるほど…暇じゃないから 切るね』


    携帯のボタンを押しかけた時


    『待って…切らないでルナ…』


    鮮明にマユの声が聞えた


    どうやら…賑やかな場所から移動した様子だった


    『何?』


    『エミさんに謝っておいてほしいの わたしが……』


    そのとき…電話の向こうでマユを呼ぶオトコの声が聞えた


    “お〜いマユ 今夜は泊まるんだろ?そろそろ帰ろうか〜”


    たぶん受話器を手で塞いだのだろう
    その声に返答するマユの声は聞えなかった


    『ルナ…ごめんね じゃあ切るね』


    『ちょっと待ってマユ!』


    ルナは、強い口調で告げた


    『そのオトコのところへ泊まるならうちにおいで!』


引用返信/返信 削除キー/
■19437 / ResNo.25)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(393回)-(2007/07/10(Tue) 01:56:22)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    前回から随分と間を空けてしまいました
    映美さんは頑張っていらっしゃるのに

    最初の頃に言ってた 昴を支えに
    今ではおこがましい気がしてなりません

    どちらが先でしょうね?
    完結目指して頑張りましょうネ♪
引用返信/返信 削除キー/
■19504 / ResNo.26)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(212回)-(2007/07/20(Fri) 04:39:56)
    コメントありがとうございます^^

    いえいえ 昴さんも頑張ってらっしゃるじゃないですか^^


    昴さんおこがましいなんて言わないでください^^;

    いつも温かいお言葉が励みになっていますから
    だから私は、ここまで書き続けてこれたんです
    これからも見守っていてくださいね^^

    お互い無理しないで自分のペースで
    このまま完結まで頑張りましょうね^^


                  映美


引用返信/返信 削除キー/
■19505 / ResNo.27)  【Magic of the love】
□投稿者/ 映美 ベテラン(213回)-(2007/07/20(Fri) 05:13:44)


    店のドアを開いたと同時に
    午前零時を告げる時計の音が響いた


    いらっしゃいませ〜♪


    『あっ エミ〜♪ こっちよ〜』


    店のオーナーの声に続きハスキーな声が響いた


    奥のカウンターから手招きするミサオの顔が見えた



    …電話を切って15分後に
    私はミサオのいるBARに辿り着いていた



    偶然にもこのBAR 降りたターミナル駅のすぐ近くだったのだ



    隣に座る私を眩しく見つめながらミサオは微笑んだ


    『エミ〜ほんとに来てくれたのね〜♪ 午前零時の鐘とともにやってきた 私のシンデレラさん(笑)』


    私は店内の壁時計を見上げた



    『午前零時…ほんとですね もうすっかり魔法もとけました(苦笑)』



    『あはは そっか〜とけたのは彼女のかけた魔法だな(笑) じゃあ 今度はわたしがかけるからね』



    ミサオは意味深に笑いグラスを揺らしながら私を見つめた


    私は思わず自分の頬を両手で覆った


    まだお酒も入っていないのに…私の頬はなぜか熱く紅潮していた




    …それにしてもこんなシチュエーション
    彼女とケンカして家に帰りたくない夜に
    タイミングよく昔の恋人から誘われてって…まるでドラマね…(苦笑)


    私はドリンクメニューを開いたままボーっとそんなことを考えていた


    『ねっ エミ〜 何飲むの 決まった?』


    ミサオの声にハッとした


    『あ…じゃあ あのカシスソーダで…』

     




    『あ〜あ〜もう〜』


    トイレに立ったミサオが戻ってくるなり
    テーブルに突っ伏した


    『えっ ミサオさん?大丈夫ですか〜酔って気分でも悪いの?』


    『大丈夫よ〜 これくらいのお酒で私がダウンするわけないのエミも知ってるでしょう(苦笑)』


    顔を上げて頬杖をつき余裕の笑みを浮かべた


    そうだった
    ミサオは酒豪だったんだ



    『やっぱあの時 エミも一緒にロスに連れて行けばよかったかな〜』



    『えっ…』



    『ねっ エミ〜 今夜かけてもいい? 〜Magic of the love〜』



    私の頬にミサオが指先で触れた




引用返信/返信 削除キー/
■19506 / ResNo.28)  【Night to forget you】
□投稿者/ 映美 ベテラン(214回)-(2007/07/21(Sat) 05:00:23)


    きっと酔っているのだろう…


    魔法をかけてあげると…ミサオが私の頬をなぞる


    その指先の熱さに胸が震えた


    …それは あの時と同じ熱さだった





    ミサオがロスに旅立った日の事をわたしは思い出していた


    空港で最後の別れの時 


    『エミも一緒に連れて行きたい…』


    『嘘…そんなこと 今更…一緒にだなんて 
    本気じゃ…ないなら 言わないで…くだ…さい…』


    嗚咽しながら途切れ途切れに繋がらない私の言葉に
    ミサオは首を左右に振り…ポツリと言った


    『本気よ…』


    涙でミサオの顔が歪んでいた…


    『他の人の見送りを断ったのは
    エミとふたりになりたかったからよ』


    『もう…遅いわ…』


    私の頬に流れる涙をミサオは指先で何度も拭ってくれた
    そして濡れたままの頬にミサオは口づけをした


    …さよなら エミ




    離陸した飛行機が雲の向こうに
    見えなくなってもわたしは動けなかった


    何時間泣いたのだろう


    あの日 一生分の涙を流して別れた人
    二度と逢うことはないと思っていた人


    なのにどうして…
    これは運命の悪戯なの…


    いまは愛する人がいるのに…


    なぜ 貴女は再び私のもとに現れたの…


    今夜 同じぬくもりに触れた時
    再び呼び覚まされた感情



    …お願い
    私の中からルナを追い出さないで



    だが…誘惑の魔法はすでにかけられていたのだった



    『頬熱いね…エミ〜酔ってる?
    …それとも私の魔法にかかってるのかな…ふふっ』



    『ね、エミ〜 彼女のこと教えてほしいな…』



    ミサオのハスキーな声に弱かった


    その声に誘導されるように
    ルナとの出逢いから…今夜の諍いの理由まで
    わたしは全て話していた


    ミサオは私の話を始終笑顔のままで頷き訊いていた


    持ったままのカシスソーダは溶けた氷ですっかり薄くなっていた



    2杯目に頼んだのはミサオが選んだカクテル
    それは…やけに赤くて
    一口飲むたびに身体が酔いの赤に染まりそうだった





    『ね、エミ〜 出ようか…そろそろCLOSEだし…』


    『…ええ…でもどこへ?』


    ミサオが小声で囁いた



    『眠れる場所を探そう…』



    …ルナ  今夜は私 
    貴女を忘れてしまうかもしれない






引用返信/返信 削除キー/
■19766 / ResNo.29)  【With you tonight】
□投稿者/ 映美 ベテラン(216回)-(2007/08/14(Tue) 17:41:28)
    2007/08/14(Tue) 21:45:14 編集(投稿者)







    『うっ…なんか肌寒いね〜』


    Barの外に出るとミサオが両腕をさすった
    すっかり秋を感じさせる夜風は半袖の肌に冷たい


    「ほんと…もう秋ですね…」


    歩き出すミサオの背を見ながら私は携帯を開き
    時間を見るふりをしてメールと着信履歴をチェックした


    (…はぁ やっぱり…)


    …ルナからは何も連絡がきていなかった


    『ふふっ…彼女の魔法は待てど…電波にも届かないって感じね・・・』


    ミサオの声に慌ててわたしは携帯を閉じた






    ほろ酔い気分のふたりはネオンの街をしばらく泳いでいた


    ミサオのセリフ(眠れる場所をさがそう・・・)が
    頭の中でリピートしていた…。


    (今夜は私の壊れそうなこのHEARTが眠りたい場所を探しているのよ…)


    浮かんだルナの顔が滲んだ…






    『ね〜エミ…あそこいってみよか』



    ミサオが指す看板目指して歩く
    程なく辿り着いたそこはヨーロピアン調の外観がお洒落なHOTEL

     

    『いいじゃん ここにしょう♪…てか わたしちょっと変装しなきゃかな〜』
    呟やきながらサングラスをかけるミサオ



    「ミサオさん…」


    『…ん?』


    エントランスに入りちょっと躊躇う私の様子にミサオが
    レンズ越しに見つめる


    「あはっ なんて顔してるのエミ〜 まだまだエミと話したいだけ で…眠くなったら寝ようね。 大丈夫・・・彼女裏切るようなことはしないからさ〜(笑)』


    そんなやりとりをしてると私達の前を通り過ぎ
    怪訝そうに振りかえりながら男女のカップルが入ってきた



    そのカップルが数メート先の案内版で立ち止まる
    男性がパネルで部屋を選んでる間
    女性の方がチラリと私たちに視線を送った


    その視線に…私は咄嗟にミサオの腕に手を廻した


    カップルはエレベーターに向かう際
    女性だけが再度 私たちの方をチラッと見る

    そして密着してる私達の様子に納得の笑みを浮かべ頷いた


    『ふふ…恋人同士に見えたのかな・・』


    ミサオの言葉にハッとして腕から手を離した


    『さっ…エミ 行こう 怪しまれないうちにね(笑)』


    ミサオが私の手とり再び自分の腕に巻いた


    『部屋に入るまでこうしてなきゃね(笑)』



    With you tonight
    〜今夜はあなたといたい〜



    こんな風にミサオとふたりになること
    私は予感していたのかもしれない


    きっと あの再会の日から…





引用返信/返信 削除キー/

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