ビアンエッセイ♪

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

■20747 / ResNo.60)  【〜Past love〜回想E〜】
  
□投稿者/ 映美 ベテラン(246回)-(2008/03/22(Sat) 23:18:46)
    2008/03/23(Sun) 00:06:24 編集(投稿者)




    締め切り間近な原稿を書いていた 日曜の午後 
    テーブルの端っこで携帯が振動した

    画面に表示されたのはマユの番号だった

    いま近くまで来てるの すぐ帰るからというマユに
    1時間だけの訪問を許したのだった。




    インスタントの薄いコーヒーを入れたカップを手に
    マユは部屋をぐるりと見回した


    「ルナの部屋って…なんだか落ち着くわ〜」


    『こんなに散らかってるのに、どこが落ち着く部屋なのよ(苦笑)』


    私はテーブルと床に…乱雑に散らばった書類たちを目で示した


    「ううん〜そうじゃなくて(笑)きっと…ルナがいるから落ち着くのよね」


    コーヒーカップをテーブルに置き
    なにかふっきれた表情でマユはエクボをみせた


    「ルナ…、実は 私 彼(トオル)と別れたの」


    『えっ 別れたっ…て どうして?』

     
    「…う…うん」


    そういえば…先日 マユにきついこと言ったことを思い出した



    数日前 いつもの「聞いてよ〜ルナ」から始まった 酔ったマユからの電話 
    彼(トオル)には、やはり女性の影が絶えないだの…約束した曲もつくれないと言われただの
    他の人に交際を申し込まれて 気持が揺れてるだの…
    いい加減な話ばかりに 連日の仕事の疲れで苛立っていたのだろう


    『だから どうしたいわけなの?本気じゃないなら つまんない恋なら もう別れたら!
    それと酔っての電話は今夜限りでお断りだからね!』

    …と一方的に電話を切ったのだった
    あとで言い過ぎたかなって反省したのだったが…


    『もしかして あのとき 私が別れろっていったから?』


    「ううん…そうじゃない…。気付いたの…自分の気持ちに嘘ついちゃだめだってこと」


    『嘘…?』


    「きっと私…ルナに気にかけてもらいたくて 彼と付き合ってたのかもしれない
    なんだかね…彼もそうだけど どの人といても楽しくないの〜」


    マユがあの夜と同じ縋るような目をして私を見詰めた


    「ねえ・・・ルナ ルナがサオリさんのこと忘れるまで待つわ」


    『……』


    「……」



    (心が空っぽになったからって恋なんて すぐできるわけじゃない
    私はね そんなに、簡単に誰かを好きにはなれないのよ…)


    心で呟き…マユを見詰めた


    ぎこちない沈黙の中…俯いたマユに ゆっくり答えた


    『マユ…。私は彼女(サオリ)を忘れない。それと恋はしばらくしない。ううん できないのよ…。ごめんね マユ…。貴女の気持には応えられない』


    「…」



    「わかった じゃあ 私はずっとルナに片思いしてる」



    マユは、立ち上がりコーヒーカップをキッチンに運び
    バックを持ち帰るわと告げ玄関ドアに向かった







    あれから…2年



    あの日 エミに出会っていなければ


    しばらく恋しないは…
    継続しているはずだったのに


    「ルナ…、もしかしてエミさんに私とのこと話したんじゃないの?」


    マユのその台詞で…
    一気に現在(いま)に引き戻された





引用返信/返信 削除キー/
■20765 / ResNo.61)  せつない…
□投稿者/ レオ 一般♪(1回)-(2008/04/01(Tue) 00:52:31)
    こんばんは 映美さん^^
    お久しぶりです

    ルナとマユの回想シーン
    う〜ん、胸が痛いです…
    なんだか色々とダブっちゃいます(笑
    これから、どんな展開になっていくんでしょう
    ハラハラしますねー^^:

    続いて、更新楽しみにしております^^

    暖かくなりました
    あちらこちらで、桜満開!
    お花見、夜桜、楽しみですね

    では、身体に気を付けて
    無理せず、ガンバってください^^
引用返信/返信 削除キー/
■20781 / ResNo.62)  レオさんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(248回)-(2008/04/08(Tue) 22:58:43)
    こんばんは
    お久しぶりですね レオさん^^

    忙しい日々が続いてまして…^^;
    更新もまた間が開いてしまいました

    春本番 桜満開ですね〜^^ 
    レオさんは お花見 夜桜は楽しみましたか?

    私も、出かけの通り道 桜の木を毎日眺めています^^
    ピンクの花弁が舞うと散らないでと切なくなりながら

    回想シーンに胸痛くなって…だなんて
    それはきっと、レオさん自身のリアル恋物語に重なるシーンがあったからですね^^
    レオさんのステキな恋物語 どこかに書いてほしいなって思います(^^)

    この先の展開…取り合えず すれ違ったままのルナとエミを逢わせて
    そのあとは…どうでしょう
    ちょっとまた波乱が…起きるかも?かな(*^_^*)お楽しみに

    相変わらずマイペース更新ですが気長にお付き合いくださいね

    いつもコメント有難う御座いますm(__)m


               映美

引用返信/返信 削除キー/
■20782 / ResNo.63)  【〜Her Lingering scent〜@】
□投稿者/ 映美 ベテラン(249回)-(2008/04/09(Wed) 03:59:48)


    床に座り込んだままマユは
    二つのワイングラスをじっと見詰めた


    「やっぱ 話したんだ それでエミさん出て行ったんだね…」


    『…隠し事したくなかったからね ただ、話すタイミングを誤ったなと後悔してる…』


    「エミさんにサオリさんのことは話してないの?」


    『・・・うん 話しそびれた…っていうか 聞きたくないって耳を塞いで出て行ったからね…』


    ショックだと悲しみに歪んだエミの顔が浮かんだ


    「そうなんだ… エミさん傷ついてるでしょうね…」


    『私が悪いのよ…。 でもね エミと出会う前の過去のこと
    そんなに責められることなのかなって思ったりもしたわ・・・』


    「過去のことだと許してても・・・その相手が身近な人だと知って複雑な気持ちだったのよ
    とってもルナを愛してるのよ わかるわエミさんの気持ち」


    『私だって、エミを愛してるからこそ 全てを話したいと思ったのよ…』


    「愛してるからこそか・・・」


    はぁ〜っとマユが溜息を床に落としたとき

    ピー♪

    テーブルの上の携帯が充電切れを知らせた
    切れた携帯を手にしたとき  ふっと思い出した


    『そういえば マユ さっき電話で エミに謝ってほしいって言ってたけど 何のこと?』


    「あっ…う…うん…このまえね トオルのライブでエミさんに会ったとき
    睨んじゃったから きっと不快に思ってるだろうなって…」


    『何も言ってなかったけど・・・どうだろう 気にしてないと思うけど…』


    「私 エミさんに嫉妬してた ルナに愛されてるのが羨ましくて…。それにあの日
    トオルまでがエミさんを好きでLOVESONGまで書いてたって知って
    とても悔しかったの…私の欲しいもの望んだものを全部手にいれてると思うとね・・・」






    壁掛け時計が午前1時を指していた


    『もうこんな時間 マユ もう寝ましょう 
    さっきも言ったけど お説教はほんとに今日限りだからね…。』


    ワイングラスとボトルを持ち立ち上がった時 マユが言った


    「ねぇ ルナ・・・  私 もうお酒やめる〜!」


    『ホントに? やめられるの?(苦笑)』 


    「…そっ…そうね いっきには無理かもしれないけど…量を減らして…いくわ」


    マユの声は自信なさげにだんだん小さくなっていく
    勢いで言ったことに慌ててるのが分かる
    マユの禁酒宣言を聞いたのは今回が初めてではない 以前だって2週間で挫折したのを知ってる


    私はワザと明るく言った


    『じゃあ 酔っ払いからの電話はもうなくなるってことね(笑)』


    「う…うん・・・(苦笑)ねぇ ルナ 」


    『ん…?』


    「このまま友達…でいてくれるよね?」


    『勿論よ(微笑)  …マユも早くいい恋しなきゃ』


    「いい恋か〜ルナに言われるとやっぱチクッって胸が痛くなる〜(苦笑)」







    マユがベットで寝息を立ててからも 私はソファで眠れずに朝を迎えた


    考えてた・・


    リツコのときも…マユのときも…
    私はなんて虚しい短絡的な行動をしたのだろう

    あの頃…身体中に沁みついたサオリの消えない残り香が
    いつまでも私を苦しめていた 
    燻り続けるサオリを消し去りたいばかりに
    目の前の温もりに思わず手を伸ばしてしまった
    どうかしてたんだ 私…

    ちゃんと話そう 過去の恋のことも
    エミには私の全てを知って欲しい
    誰よりも深く愛してるから…


    ブランケットに微かにエミの香りがした…

    〜Her Lingering scent〜
    彼女の残香

    ずっと消えないでほしい


    エミィ…
    早く戻ってきて



引用返信/返信 削除キー/
■20794 / ResNo.64)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(430回)-(2008/04/15(Tue) 23:59:46)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    一足早く【おめでとうございます】
    次回はいよいよ250投稿目、大御所入りですね♪

    コツコツと書き続けていらしたのを
    最初から拝読させて頂けて昴はラッキーでした

    エミサイドとルナサイドの回想シーンも終わり
    ルナとエミは無事仲直り出来るのでしょうか?
    続きを楽しみにしていますネ♪

    お互いに完結目指して頑張りましょうネ♪
引用返信/返信 削除キー/
■20807 / ResNo.65)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 大御所(250回)-(2008/04/25(Fri) 01:42:20)
    昴さん お久しぶりです^^

    えっそうなんですか〜^^;
    250投稿目で大御所なんですね

    いつもながら投稿数なんて全然見ていない私です^^;
    毎回 昴さんに教えていただいてますね
    それにしても私が大御所だなんて…
    相応しくなさすぎでとても恐縮しています

    このレスが記念すべき250投稿目^^
    ずっと最初から見て頂いてる昴さんには
    いつも励ましのお言葉も含めて感謝しています
    本当にありがとうございますm(__)m

    私の中で『ルナエミ』はとっくに完結してるはずなんですが
    物語りは立ち止まってばかりです…^^;
    ここにいるルナとエミは終わりたくないのかな…(苦笑)

    早く完結しないと、私も次に進めませんから
    夜更かし覚悟で執筆に拍車かけなきゃと思ってます

    どうか 最後まで見守っていてくださいね^^

             映美


引用返信/返信 削除キー/
■20808 / ResNo.66)  【〜Her Lingering scent〜A】
□投稿者/ 映美 大御所(251回)-(2008/04/25(Fri) 02:30:18)


    『エミ〜 ロスに帰国する前に電話するね』


    軽くハグしたミサオから懐かしい海の香りが漂った


    〜Her Lingering scent〜


    鼻先を霞めるミサオの残り香に…消えないでと言葉が追いかけた


    「…あ、あの ミサオさん 空港に見送りいってもいいですか?」


    ミサオは答えずじゃあね…と手を振るとくるりと背中を向け改札を通り抜けた

    (…聞こえなかったのかしら…?)


    歩くミサオの背中を見つめた

    (…またあらためて電話で出発の時間を訊こう) 

    ホームに下りる階段前でミサオはふり向くと大きく手を振った
    笑顔が寂しく感じたのは気のせいなのだろうか…





    コンコースを歩きながら
    ルナに向かう電車に乗ろうか迷った

    どうしたんだろう…ルナ
    メールの返信もこずCALLしても繋がらない


    疲れて寝てるのかな…
    それともまた急な仕事で出かけたのかもしれない
    時計に目をやりながらも…
    迷っているはずの足は自然にルナに向かっていた

    …ルナに会いたい



    電車に乗り込んだとき メールが届いた
    ルナからかもしれないと慌てて開く

    そのメールは、ミサオからだった


    件名:見送り拒否(笑)

    本文:エミ〜空港に見送りになんかきたら 
    今度こそ強引にロスに連れていっちゃうからね(笑)
    早く彼女んとこ行って仲直りしなさい〜。
    また電話するね  サンキュー エミ〜!

     
    ミサオさんったら…やっぱ聞こえてたんだ


    いつものハスキーボイスが聞こえた気がして
    思わず胸がアツくなった
      
    ミサオさん…ありがとう…。


    ルナの最寄り駅まであと3駅
    …もう一度ルナにメールした




    .....





    その頃 ルナの部屋では…
    目覚めたマユがベランダで空を眺めていた


    「ルナ〜 雨降りそうだよ」

    マユの声に、窓の外に目をやると灰色の空が重く広がっていた

    雨か…

    昨夜は眠れず…重ねてこの空模様 
    どうりで頭痛がするわけだ こめかみに手をあてた

    帰り支度を整えたマユが心配顔で窺う


    「ルナ 大丈夫? 私のせいで眠れなかったんじゃない?」


    『大丈夫よ それよかマユはよく眠れた?二日酔いは?(苦笑)』


    両腕を伸ばしてストレッチポーズをしながらマユは言った


    「このとおり気分爽快〜♪ルナのベットで眠れて幸せな夢見てたわ』


    『そっか…(苦笑)』


    「さ〜て 私はそろそろ帰るね!またエミさんと鉢合わせしちゃ大変だし〜」


    マユが携帯を開いたのを見て思い出した

     
    …そうだった

    昨夜 切れた携帯を充電したままだった


    エミからのメールを読んだのはマユを
    エントランスまで送り部屋に戻ってからだった


    メールと時間を見て…ため息をついた


    エミィ タイミング良過ぎるよ…(苦笑)


    でも大丈夫
    誤解なんてもうさせないから…






引用返信/返信 削除キー/
■20809 / ResNo.67)  【〜Her Lingering scent〜B】
□投稿者/ 映美 大御所(252回)-(2008/04/26(Sat) 02:06:07)

    駅を出ていつものコンビニの前で足が止まった


    …ルナ 寝てるかな?
    なにか軽く食べられものでも買って行こう


    自動ドアの前に立ったとき名前を呼ばれた


    「エミさん〜」


    ふり向くとマユがにっこりとエクボをみせて立っていた


    『マユさん…』


    驚いた…。
    こんなところでマユに会うなんて
    でも ここで会うってことは もしかして…


    『あのう マユさん…。 ルナのところに?』


    「そうなの…。 昨日ね ルナの部屋に泊めてもらったの〜」


    (え…泊めてもらった?って)


    一瞬 耳を疑った…と同時に頭の中で色んな場面(シーン)が重なった


    『…あ、あの…マユさん… ……あの…』


    次の言葉が出てこない
    私は何を訊こうとしているんだろう… 


    詰まる私にマユが首を傾げたとき 携帯が鳴った


    「はい もしもし〜♪ うん〜!いま駅に向かうところよ…」



    誰かと話すマユの隣で…呆然と立つ私の頬にポツリと冷たい雫が落ちた


    …雨


    手のひらを開き 灰色の空を仰いだ


    …ルナ 私も泣きそうよ



    携帯を閉じて振り返ったマユから
    ルナの部屋の香りが微かに漂った気がした

    「エミさん ルナのところに早く行ってあげてね」

    マユは私を促すと小走りに駅に向かっていった




    コンビニの軒先で雨を避けしばらく佇んでいた
    雨足はだんだんひどくなりサンダルのつま先を跳ねる雨粒が濡らす


    (ルナの部屋に泊めてもらったの〜)
    頭の中でリピートするマユのセリフ

    私が部屋を出てから…何があったんだろう

    きっと何か事情があったに違いない
    ルナを信じてる 信じなきゃ…

    そう思う心と、過去にあった二人の関係を知っただけに
    また、なにかがあったのかもと不安が押し寄せる

    私だって昨夜は、ミサオと過したんじゃない
    ルナを責めることはできない…

    いいたいこと素直にぶつければいいのに
    どうしていえないの…

    自問自答を繰り返す 
    そんな自分の優柔不断さが嫌いだった



     
    こんな気持でルナに会わないほうがいいかもしれない


    雨に濡れるのを覚悟で駅に向かって歩き出した時


    ふいに腕を掴まれた…


    「え…」


    ふり向くと…


    ルナが私の手を引き傘を差しかけた 


    『エミィ 何してるの…遅いじゃない(微笑)』


    「ルナ…」





引用返信/返信 削除キー/
■20840 / ResNo.68)  【〜Her Lingering scent〜C】
□投稿者/ 映美 大御所(253回)-(2008/05/24(Sat) 00:08:15)

    『エミィ 帰るつもりだったの?』


    傘を差しかけ濡れた肩をルナは抱きしめた…
    額を流れる雨の雫を拭う指先に切なさが込み上げてくる


    「ごめんね ルナ…」


    『なんで謝るの…エミィ なんか悪いことした?(微笑)』


    顔を上げるとルナの黒い瞳のなかに私が映っていた





    降りしきる雨の中
    ひとつの傘でルナのマンションに向かい
    ドアを閉めた玄関でくちびるを探りあい長いKISSを交わし
    雨に濡れた服を脱がしあった…
    シャワーの雨の下で狂おしく抱き合い
    ベットで溶けあい…何度も何度もルナの名を呼んだ…
    ルナの魔法で痺れた体のまま 私は夢の中に落ちていった



    あれから何時間経ったのだろう…



    目を閉じたまま
    快適な温度の中で私は微睡んでいた


    『雨…よく降るね…』


    ルナの声に、ブランケットをずらし雨の音を聞いた
    雨はまだまだ止みそうにないリズムで窓を叩いていた


    「今日は一日雨模様ね… でもこんな雨の日もいい感じ(微笑)」


    『エミィは雨の日がお気に入り?』

    「うん…。ルナとはじめて出逢った日が雨だったから
    だから あの日から雨の日が好きになったの…」


    『そう…』

    ルナは笑みを浮かべブランケットを私にかけなおして
    ベットを下りた…

    『エミィ 何か飲む?』

    「うん…じゃあ アメリカンコーヒーで…」

    『はいはい じゃあ少しお待ちくださいませ』

    キッチンに向かうルナの背中を見詰めながら
    こんな幸せな時間がずっと続くこと信じて疑わなかった




    コーヒーをふたつテーブルに置き
    BGMの音を絞ってルナは
    じゃあゆっくり話そうかと私をソファに促した

     
    ルナの好みのタバコの煙が部屋に漂う…



    『エミィ マユに会ったよね?なにか言ってた?』


    「ルナの部屋に昨夜泊まったって…」


    『そうなんだ…。それきいたから帰ろうとしたの エミィ(苦笑)』


    「……」


    ルナは煙を吐きながら窓に視線を移した


    『ねっ エミィ 今度はちゃんと最後まで話を聞いてね 
    聞きたくないっていわないでほしい…』


    「うん…」


    まず昨夜のマユの訪問の経緯をルナは話し始めた


    時折 私の表情を窺うのは 言葉を選んでるのだろう
    クールなルナの優しさが伝わる


    マユの話から過去の恋人の話になったとき
    ルナの瞳のなかにひろがる雲が見えた気がした
    過去の恋 過去になったひとなのに…


    まだルナの中でその彼女の残り香…が消えずにいるのかもしれない
    そう思うと胸が締め付けられた…


    「ルナはその人を深く愛していたんだね…」


    タバコを灰皿でもみ消すルナの指先を見詰めながら
    今はエミのことその人以上に愛してるってそんな台詞を聞けると思っていた


    …なのにルナの口から出たのはまったく予想外の台詞だった


    『…実はね この前 サオリに会ったんだ…』




引用返信/返信 削除キー/
■20888 / ResNo.69)  【〜Her Lingering scent〜D】
□投稿者/ 映美 大御所(254回)-(2008/06/06(Fri) 01:38:49)


    カップを持つ手が思わず揺れた


    「…会ったって…どうして?」


    彼女との出逢いは仕事を通じてだった・・・とルナが話し始めた
    いまは同じ企画には携わっていないが彼女の勤める会社とは
    たまに取引があるからすれ違う事だってあるという


    それなら会ったじゃなく…すれ違ったでいいのに
    よけいな気を揉ませないで…と心の中でルナを責めた


    おまけに彼女の名前(サオリ)まで さらりと口に出すから
    頭ン中にインプットされてしまったじゃない…



    『エミィが言うように 彼女(サオリ)の事 深く愛していたよ…』


    深く愛してた…


    たとえ過去形でもルナの言葉に胸が締め付けられた


    「そんなに愛してたのに…なぜ別れたの?…」


    『……』


    ひと呼吸おいてルナは長い煙を吐いた…


    『彼女はね 既婚者だったんだ…。それが別れた理由のすべてじゃないけどね』


    『私はひとりだから…寂しい…逢いたいと毎日 彼女に無理を言い…。 
    彼女は今の状況を分かってくれないと私を責め…そんな繰り返しばかりで
    いつしか 心がね かみ合わなくなってしまったんだ…』


    遠い目をするルナの脳裏のスクリーンには
    いま彼女(サオリ)を映し出しているのだろう…



    ルナの表情を見るのが辛くて私は目を伏せた


    「…」



    部屋に響くミディアムスローなメロディーが切なく
    ふたりの沈黙の合間を流れる


    二本目の煙草に火をつけるルナの横顔を見詰めた


    「ねぇ ルナ…。サオリさんとは話したの?」


    『話したよ…』


    「どんなこと?」


    『主に仕事の話・・・。 あと…プライベートは充実してるの?って聞かれて…』


    「うん…」


    『いまとても充実してる とても愛する人がいるから…。って答えたよ』


    まっすぐ私を見詰めるルナの瞳に愛を強く感じた


    『エミィ あとはなにが聞きたい?』


    髪を撫でるルナの胸に顔を埋めた


    「ルナのハートの音…」




引用返信/返信 削除キー/

<前のレス10件 | 次のレス10件>

スレッド内ページ移動 / << 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 >>

このスレッドに書きこむ

Mode/  Pass/

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

- Child Tree -