| 「いらっしゃ〜い」
生徒会の面々は、和沙が来ることをまるで当然のことのように 嬉々として出迎えた。 ただ一人、真澄を除いては。 今日の真澄は何故か不機嫌だった。 「お茶のおかわり!これ、もう一枚コピーして!」 イライラした口調でお茶やコピー印刷を要求する様は、 ほとんどオジさんのようだ。 理由は分からないが、どうやら昼休みに和沙と杏奈が二人で 昼食をとったことに関係あるらしい。 斎がこっそりと耳打ちして教えてくれた。
役員は必ず生徒会室で食べないといけない決まりでもあるの…?
和沙が不思議そうに首をかしげていると、 斎はまだまだだね、とため息をついた。
二度目の訪問ということで、生徒会役員は和沙を まだ客人のように扱って何もさせなかったが、 真澄はそんなことお構いなしのようだった。 「和沙!肩揉んで!」
パシリかよ…
和沙は白い目で見ながら、口ごたえせず この美女の姿をした中年オヤジの肩揉みをした。 認めたくはないが、一応外見だけは文句つけようがないため、 姿勢の良い後姿は惚れぼれするものがある。 今日の真澄は髪をアップにしているため、首もとがすっきりしている。 当然、立ち位置の関係で和沙には真澄のうなじが見えるわけで…
肌、白いなぁ…
って、そうじゃない! こんなに凝視したら、どっちがオヤジ臭いのか分からなくなる。 彼女のファンにこんな場面を見られたら、 たぶん袋叩きにされるだろう。 いや、その前に豹変した真澄に幻滅するか。 しかし、無償で奉仕しているというのに、 やれもっと上だの、もっと強くだのと注文が多いこと。 本来ならやってられるかと腹を立てるところだが、 何故か彼女が相手だとそれができない。
ああ、こんな自分が一番嫌だ…
和沙は、沸き起こる興奮と苛立ちに 折り合いをつけられないまま憤りを感じていた。
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