| 2006/08/08(Tue) 05:19:44 編集(投稿者)
私のものにしたい。その髪に体に触れたい。どうしたら君は私のものになる? 私は長い髪が風になびかれている君に、少し遠く見とれながら思った。 スッと目が合い、ドキンと心臓が脈を打った。
「ツカサちゃん!!」
君は笑顔で手を挙げながら私の元に走ってくる。その笑顔を私だけのものにしてしまいたい。
『よっ、ヒトミ』
私がこうゆう風に言うと君はいつも…
「ヒトミじゃないでしょ!ヒトミ先輩っ!!」
ほらね今日も言った。 人差し指を立てて、口を尖らせている。 そんな君を見ているとつい笑顔が零れてしまう。
『ハハッ、まぁいいじゃない』
今日一日の私の気分が決まる。 私は1年の時から君だけを見ている。
あれはいつだったかな?確かまだ入学して間もない日だったから春かな。 授業がダルくて、保健室で寝ようと思って保健室に行った。 保健室の先生がいなくてラッキーだった。 1番窓側のベッドに横になりたくてカーテンを開けたら、君が眠ってたんだ。 少し窓が開いてて、ホワホワと前髪が揺れていて、睫毛が長かった。 とても綺麗な寝顔だった。思わず見とれてしまった。 私がそのまま立ち尽くして見つめていると、君はうっすらと瞳を開いた。 私はマズイと思ったが、君は体を起こしいきなり……
「ビックリした〜先生かと思って寝たふりしちゃったよ〜」
君は安堵の笑みを浮かべた。
『ごめんなさい……』
そう告げてその場を立ち去ろうとしたんだ。そしたら君は、
「君も昼寝組み?なら隣のベッド空いてるよ♪」
そう言って隣のベッドのカーテンを開いて見せた。 私はそのベッドに腰掛けネクタイをゆるめた。 その様子をみて君は、
「(クスクス)やっぱそぉなんだ。一緒だね」
『ぁ……はい…』
私は君の可愛い笑顔に目を合わせられず顔が赤くなりそうで、それを隠すためにすこし俯いた。
「何年生?」
『1年です』
「じゃあ私の1コ下だね。私は2年。名前は?」
『ツカサです……石野ツカサです』
「ツカサちゃんね。私はヒトミ、井内ヒトミ。どう?この学校は慣れた?」
『はい。校舎が広くてまだよくわからないけど…』
「そうね。授業サボって保健室に来ちゃうぐらいだから、慣れたも同然だね(クスクス)」
見とれてしまいそうな可愛い笑顔だった。 君は気付いていないだろうけどあの時、ドキドキして、何だか恥かしくて、2人の間にあるカーテンを閉めてしまいたい気持ちだったが、君と話したかった。この矛盾している想いはなんだろう?って自分に問いかけてたっけ。
あの時から私は君しか見れなくなった。 君を見かけると目で追ってしまう。 君から特別視されたくてわざと「先輩」をつけなくなった。 君に釣り合う人になりたかった。
そんな私達の出会いを思い出した。
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