| 店内の扉が開け閉めを繰り返している頃、アリサ達は静かな部屋で照れ臭そうに見つめ合っていた。
『あ、なんか飲む?』
「すいません、いただきます…。」
(緊張する…あ、背中開きすぎ…。背骨浮き出てる…細いなぁ。あ、あ、こっち向いた…)
振り返ったアリサから素早く目を逸らす。 にこにこと笑いながらアリサがグラスを二つ持ちながら近づいてくる。
『ね、ね♪今見てたでしょ?背中かな?♪』
エリナの目の前で身体を反転させ、背中を見せる。
「見てません、てか見せないで下さい。」
(近い近い近い!触りたくなるじゃん!バカ!早くこっち向いて!)
『えー?本当に見てなかった?』
アリサが身体をエリナの方に向け、両手をソファにつけて前かがみになる。
「見るわけ無いです。」
(ヤバい…胸見えそう…アリサさんブラ付けてなかったし…)
『エリナはいつもクールだよね〜♪可愛い時の方が多いけど♪』
そう言うとアリサも背もたれに背中をつけた。
(……なんて言おうかなぁ。好きです?好き?流されたら嫌だなぁ…。好きかも…ぢゃ、偉そうかな…。) 隣でグラスを口に付けながら考え事をしているエリナにありさが気付く。
〔ぷっ…子猫みたい♪エリナはいつも考え事の時、そんな可愛い顔してんだね…もぅ…独り占めしたいよ〕
ふいにエリナがアリサを見る。真剣な顔。しかし、とても優しい顔で。
「アリサさん…」 高鳴る心臓が耳のなかにドンドンと響き渡る。 味わったことの無い緊張感。上手く言える自信が薄らいでいく。
『なぁに?♪』
いつもの口調でありながら、アリサも緊張していた。エリナがあんなにも悩んで口に出した話を聞きたかった。
組んでいた脚を直し、身体をエリナに向ける。
(携帯)
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