ビアンエッセイ♪

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■21487 / 2階層)  SolitudE
□投稿者/ mixx 一般♪(4回)-(2012/04/12(Thu) 09:47:53)

    〜1年前〜


    「マキー!!!早く早く!」


    私の前を元気に歩くあやかが、私の腕を引っ張る。
    あやかとは付き合って2年になる。
    今日は約束していたデートの日。


    「早くしないと、売り切れちゃうよ〜」


    あやかが、前から見たがっていた映画が今日公開だったのだ。
    純愛ものの映画で、いかにもあやかが好きそうな映画だった。


    「大丈夫だって!まだ10時だし、夜の6時の映画でしょ!」


    今日は早起きしてきた。
    朝はあまり得意ではなくて少しだけ機嫌が悪かった。


    「まだ機嫌なおらないの?たまには早起きもいいじゃん〜」


    私とは正反対の性格。

    あやかに告白されてから、付き合い出すようになった私とあやか。
    告白された時は、驚いた。


    まさか、両想いだとは思っていなかったから。


    ケンカもしたりするけど、幸せだと思う。
    きっとあやかとはこの先もずっと一緒だと思う。


    「大人2枚下さい!!」


    元気よくしゃべる。
    ふわふわしているのに、意外なくらい自分のことをはっきりしゃべったりもする。


    チケットをとれた事に大はしゃぎで、そんな姿を愛しいと感じる。
    まだ朝の10:30


    「じゃあ、これからどうする?」


    映画までにはまだまだ時間がある。
    答えは決まってる。


    「やっぱり、ショッピングでしょ!!」


    〜3時間後〜


    お腹のすいた私たちはいきつけのカフェでランチをとっていた。


    「お腹ぺこぺこ〜」


    朝から歩き回ったせいで二人のお腹はぺこぺこだった。


    いつもと変わらないあやか。
    そんなに珍しくない、映画デート。
    二人のお気に入りのカフェ。
    その日もいつもと変わらない一日になるはずだった。

    「ねえ!今日も映画の帰りにバーに行く?」

    バーかそれも悪くない。
    明日は日曜だし、バイトもないし、久しぶりにクタクタになるまで遊んでもバチは当たらないだろう。

    でも、これが間違いだったのかもしれない。
    ううん、結果を知ってても私はバーに行くと思う。絶対に。


    結局そのまま映画の時間になるまでそのカフェでのんびりくつろいでいた。


    〜2時間後〜

    「あ〜楽しかったね!!」

    満足そうなあやかの横であくびをする。

    「そだね」

    実際は半分以上も眠ってしまっていた。
    もともと、興味のない映画だしね。

    「さてと、じゃあこれからバーに行きますか!」


    どうやら気づかれていないらしい。
    相変わらず鈍感だな。
    そこも可愛いのだけれど。


    「あ!そっちじゃないよ!!今日はこっち!!」


    行きつけのバーとは違う道へと進んでいく。
    暗い道に差し掛かった時だった。


    いきなり誰かにフェンスに叩き付けられた。
    衝撃が体中に広がる。


    前をみるとあやかが車の中に引きずり込まれそうになっている。
    レイプだ!
    わかったところで男の力にはかなわない。


    助けを求めてもみんな見てぬふり。
    警察を呼ぶ人もいるが、着く頃にはここにはもういないだろう。
    私も立場が違えば、見てみぬふりをしていたかもしれない。
    誰だって自分がかわいい。


    車に無理やり連れ込まれながら、パニックと恐怖の間でも、不思議と頭のなかには、冷静な部分が残っているようだった。


    ドアが閉まる音。
    泣き叫ぶあやか。
    ショックで呆然とする自分。


    「走らせろ!」

    誰かが叫ぶ。



    車は、、、動かない。


    「おい!何してんだよ!」


    イライラした声がする。
    ショックから立ち直ってきた私がフロントガラスの方をむくと、ボンネットの上に人が乗っかって、こちらを覗き込んでいた。


    まだあどけなさの残る顔。
    それでもどこか洗練された感じがして、一言では表す事ができなかった。
    ただ、綺麗だと思った。
    なぜそんなことを思ったのか自分でもよくわからない。

    その人は、何か言葉を待っているかのようにボンネットの上にのったまま動かずにこちらを見ていた。

    「早くそいつをどかせろ!車に乗せても構わないから!」

    違う声が叫ぶ。
    この子を車の中に載せる?

    絶対に嫌。
    自分はいい。
    ただその子を載せるのは絶対に嫌。

    「早く逃げて!早く!!」


    あやかが叫んでいる。
    違う。叫んでいたのは自分だった。


    「きちゃダメ!!」


    力の限り叫んでいた。
    よく考えたら変なはなしだ。

    自分がどうなってもいいと思うことも、助けて、じゃなくて出た言葉が、逃げてと思ったことも、何より、レイプ犯を前にしても微動だにしないその子も。


    運転席のドアをあけて男が女の子に向かう。
    危ない。嫌だ、逃げて。


    「おいテメエ!早く離れろ!それとも俺に襲って欲しいのか?」


    男がニヤニヤしながら女の子の細い手首を掴む。
    危ない!!

    そう思ったが実際に危なかったのは、男のほうだったとあとから気づいた。


    「巻き込まれたから、仕方ない」


    女の子は確かにそうつぶやいていた。
    まるで自分に言い聞かせているようだ。


    つぶやいたと同時に男が消えた。
    正確には、男がものすごい勢いで吹っ飛んでいった。


    何が起きたのかよくわからない。
    ただ、運転手がいなくなった車を走らせる事は無理だ。
    男たちが車から降りて女の子を囲む。


    こんな状況で思うようなことではないが、あの時のナツは綺麗だった。
    捕まえようとする手をよけ、よけては一人ずつ確実に倒していく。
    いや、気絶させていくという言葉の方が正しいか。


    あっというまに全員気絶した。
    こちらに近づく女の子。


    あやかも私も男たちがいないのに、車に乗ったままだった。
    ショックのためか、二人とも動けずにいたんだ。



    「大丈夫ですか?」


    答えない私たちに困ったような顔をしながら話しかける。


    「そろそろ警察もくるし、とりあえず車おりません?」


    すっと二人に手を差し伸べる。
    それが、ナツとの出会いだった。

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