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■22093 / 6階層)  転校生A7
□投稿者/ いちこ ちょと常連(67回)-(2016/09/18(Sun) 23:00:23)

    亜里沙が近づいてくる。
    怖い‥‥やばい‥‥わたし、やられちゃうの?でも‥‥
    怖いけど、だめっ、圧倒的な力を前にして、
    何故かわたしの身体は、あきらかに感じていた。
    トラに襲われるウサギは、トラの牙が柔らかい喉に刺さる瞬間、
    無上の悦びを感じて死んでいくのではなかろうか?

    亜里沙が近づいてくる!
    やっぱり怖い!‥‥でも‥‥
    わたしは両手の力を抜き、だらりと垂らし観念した。
    しかし亜里沙は、わたしのブラウスを拾うと肩に掛けてくれた。

    ‥‥ど、どうして?

    そして優しく口づけをした。冷たいくちびるだった。
    自分でもどうしてそんなことをしたのか不思議だが、
    亜里沙の唇が離れる瞬間、わたしは亜里沙の後頭部に手を廻して
    その唇を追い、その口に舌を差し入れた。
    途端、亜里沙はわたしを突き飛ばした。

    「やめて!止まらなくなるから。わたしは吸血鬼だよっ!
    真衣の血は特別なんだ。真衣が5歳の時から知っている。」
    「やっぱりあのお姉さんは亜里沙だったの?」
    「そう、あの時わたしは真衣の血の美味しさに陶然となったわ。
    でもあなたは小さすぎた。そこで大きくなるまで待つことにしたの。
    わたしには時間はたっぷりとあったから。」
    「だったらどうしてっ?」
    「自分でも分からないの。人間なんて私達にとっては食料よ。でも‥‥
    あなたのことを見守り続けるうちに‥‥
    あなたのことが大切な存在になったの。だから、あなたの血は吸えない。」
    「わたしはいいの!これまであまりいいことはなかったもん。」
    「でも、真衣の人生はこれからよ。だから‥‥」

    そう言って亜里沙は背を向けた。
    わたしは必死だった。これを逃すと二度とわたしに手を出してこない。
    とっさにわたしはナイフを拾い、叫んだ。

    「亜里沙ーッ!!」

    続く




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