| 2007/09/25(Tue) 05:21:24 編集(投稿者)
「やべぇ〜。大事な商売道具、落としたー!」
かなり焦った様子で公衆電話BOXに僕は飛び込み
電話の上にそなえ付けてある鏡でこんな時でも自分の髪を直しながら
090−ピッ・ポッ・パッ・ポッ・ピッ・ピッ・ピッ・ピッ・と
電話をかけた。トゥルルー・トゥルルー・・音はするが誰も出ない。
(頼むー。無事に戻って来てくれー。)僕は心の中でそう願っていた。
「カチャ・・あのぉ・・」(おっ!女の子の声だ!ラッキー♪)
「あっ、それ僕の携帯だから!拾ってくれてサンキュ〜♪
悪いけど持って来てくれる〜今すぐに。場所は○○駅の○○カフェで♪
んじゃっ、よろしく〜♪」
相手に有無も何も言わさずに僕は切ってしまった。
そして足早に電話BOXを出て待ち合わせのカフェへと向かった。
カフェの自動ドアがゆっくりと開く。「お1人様ですか?」
「いや、お2人様です(笑)」どうでもいいようなジョークを言って
店員に不信がられながらも外がよく見える場所へと勝手に座った。
(ふぅー助かった。あれがないと仕事にならないからなぁ〜。
絵梨奈にも電話をしなきゃいけないし・・。)
僕はタバコをふかしながら、ふと思った。
そういえば、どんな「女の子」がここに来るんだろう・・。
そしてはっ、とした。
(やべぇー僕も彼女も相手の顔を知らないのに待ち合わせってー(笑))
速攻、僕は又お店に置いてある電話で自分の携帯にTELをかけた。
お店の隅の奥の方で僕の着信音が鳴り響いている。あそこだ。
僕は電話を切り一目散に音のした方へと走り寄った。
「君が拾い主?」「は、はい・・。」
「座っていい?」「あっ、はい・・。」
僕は椅子にどかっ、と座った。
「お困りかと思いまして・・これ・・。」
そっとテーブルに差し出すように置かれた僕の携帯電話がそこにはあった。
「ありがとう。お礼に何かおごるよ?コーヒーでいい?」
「いえ、あのぉ・・」「すいませ〜ん。コーヒー二つね。」
僕はニコニコ顔で彼女の顔をゆっくりと見た。
(ん?どっかで見たような・・見てないような・・。)
そんな不思議な懐かしいような感じのする女の子がそこには座っていた。
「ねぇ、僕の事、知ってる?僕に会った事、ある?」
僕は妙に気になったので単刀直入にたずねてみた。
彼女は少し恥じらって微笑みそっとうなづいた。
(なんだ、お店に来てた子かぁ・・でも覚えてないなぁ・・まっ、ぶっちゃけ
接客したお客様を全員覚えているとは言い切れる訳でもないしなぁ・・。)
僕は心の中で、ああでもない、こうでもないと、つぶやいていた。
「あのぉ・・」彼女が僕に優しく話しかけてきた。
「お砂糖一つにミルク多めでいいんですよね?」「うん。そう。」
そう答えると彼女は僕のコーヒーに砂糖とミルクを入れた。
僕はそれを受け取り、コーヒーを喉に注ぎ込んだ。
(んっ?なんで僕の好みを知っているんだぁー?店でコーヒーなんて飲まないのに?)
気になる気持ちを抑えて僕はもう1つ知りたかった質問をした。
「ところでどこに置いてあったの?僕の携帯・・」
彼女はくすっと笑って「ここの真向かいのパスタ屋さんの化粧室の鏡の前です。」
と答えた。「ええええええええーーーーーーー?そこ?!」
僕は驚いた。だってそこはさっき探したばかりの場所だったから。
確かに僕は鏡の前で髪の毛を直していたりしたのだけれど・・。
彼女がくすっと又笑った。そしてこう言った。
「センパイ変わってないですね。ドジな所もあわてんぼうな所も。
よく忘れ物をする癖(くせ)も。あの頃と同じで懐かしいです。」
(ええええええええええええええええええ?!センパイ?誰?君ー?!」
僕は、はてなマークのオンパレードの嵐に飲み込まれそうになっていた。
「ちび、です。センパイによく守ってもらっていた病弱な女の子だった。」
「ちびー?!」
「さっきパスタ屋の化粧室ですれ違ったんです私達。
黒髪ロングヘヤーの「ごきげんよう」が口癖(くちぐせ)な
微笑みの生徒会長のセンパイとはうって変わって、今はボーイッシュだったから
最初は気が付きませんでした。でも電話の声ですぐ分かりましたセンパイだと。」
彼女が僕を甘く見つめて優しく微笑んだ。
僕の女子高時代が鮮やかに蘇り今、目の前にいる女の子の笑顔が昔見た笑顔と重なった。
「太ったね(笑)」「センパイ!ひどい(笑)」僕はちびを昔のようにからかった。
懐かしいのは当たり前、初恋の人だったんだもの僕の。
あまりの淡い初恋だったからちょっと記憶の外に忘れて来ちゃったけど(笑)
お互いの姿、形が変わっても あの頃の気持ちがとめどなく鮮明にあふれ出してくる。
まさしくこれが時を越えたサプライズ。
そして僕らはこれをきっかけに付き合いだした。初恋を実らせたサプライズとして。
「センパイ、健康美ですってばぁ〜。」「トンちゃん♪」「も〜!(笑)」
END
又又長文すいませんm(_ _)m今回は僕目線で創作してみました。
次のお題は「栗ご飯」でお願いします。
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