| 自動ドアが開いて。
見るからに高級。
私が初めて見た機械の前に亜紀は立って、
何かボタン押してる。
慣れた足取りですたすたと歩いて行く亜紀に
私は戸惑いながらついていく。
「なんか柚羅さんがそんな顔しているのめずらしいですね。」
エレベーターの中で、
亜紀はクスクスと笑いながら言った。
そんなこと言われたって。
以外やら何やら。
普段はクールに決めている私だって、
驚きを隠せない。
いや、クールではないんだけど。
「どうぞ。」
部屋の前につき、亜紀は鍵を開け、私を中へと通す。
いやいや‥。
「‥何だコレ?」
部屋をちょっと進んだら
高級感のある部屋だな、って感じがしたのに。
その壁には、折り紙の鎖の輪。
あのカラフルなやつ。
いやいや‥。
「えっ?だってパーティーだって言ったじゃないですか。」
そう言うと、また亜紀は可愛い笑顔を見せた。
綺麗なガラスのテーブルの上には、
お菓子やお酒が入った袋が
そりゃあもう。どっさりと置いてあった。
「今日は少し早く上がったんで、準備に気合い入れてみました。」
笑いながらながらクッションに手を伸ばし
「ココ、どうぞ。 ちょっと、着替えてきますね。」
そう言って隣の部屋に消えて行く。
私は言われたまま、クリーム色のクッションの上に座った。
すげェー。
私のおんぼろアパートとは全然違うな。
あっ管理人さんごめんなさいね。
不審者のように、キョロキョロとしていたら
「そんなに見ないでくださいよ。掃除していないんですからー。」
隣の部屋から戻ってきた亜紀が言った。
亜紀の方を振り向いたら、
またプゥーっと頬を膨らませていた。
けれど、昼間見るのとは違う。
いつもは二つ結びの髪が
サラサラと流れていた。
ただそれだけなのに。
私はまた亜紀を見つめてしまっていた。
(携帯)
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