ビアンエッセイ♪

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

■21587 / 4階層)  続・ご褒美5
□投稿者/ 桜子 一般♪(26回)-(2012/08/10(Fri) 10:30:52)
    2012/08/14(Tue) 06:15:20 編集(投稿者)
    2012/08/13(Mon) 07:54:19 編集(投稿者)
    2012/08/10(Fri) 18:56:53 編集(投稿者)

     大慌てで閉院作業をし、医院のあるビルの玄関エレベーター前に凉美が出てくるまで5分ほどかかった。
    「お待たせ・・・・・!?」
    クリニックから出てきた先生の美しさに、桜子の胸が高鳴った。
    白衣を脱いだ凉美のボディーラインの美しさに魅了されていた。
    スレンダーな身体に豊かに迫り上がった胸、細くしまり縊れたウエストからヒップに広がる優美なカーブの造形は、表参道で行き交うモデルたちにも引けを取らなかった。
    エレベーターから出た瞬間、桜子を認め優しく抱き寄せると、涼美はキスした。
    エレベーターホールは通りからは影になっているので通行人から見られることはない。
    週末午後の同ビルの企業はほとんどが休みで、滅多に人に出くわすことはなかった。
    唯一営業していたのが歯科クリニックだった。
    桜子の口内に凉美のルージュの甘い香りと、ルージュ特有のぬめりの感触が妖しく広がった。
    貧血の予兆のような目眩を感じるほどの長いディープキスとなった。
    「・・・ふぁーうっ・・・ちゅっ・・・」と二人の唇間に吐息音が洩れて、細長い唾液の糸が吊り橋の綱のように唇を繋げていた。
    途切れた唾液の糸が、桜子の下唇からか細い顎先に垂れて鈍く光った。
    凉美のバージンルージュ色の舌が顎の先に伸びて、垂れて濡れ光る唾液の糸を、下から上へ唇へと舐め上がる。
    唇に辿り着いた舌は、ディープキスの余韻を楽しむかのように上下唇を丹念に舐めると、唇が離れるのが惜しいのか、心残りの小さなキスをもう一度チュッとした。
    桜子は、夢現つの妄想の未練が少し癒された想いだった。

     凉美は桜子の左手指と自分の手指を繋ぎ絡ませると、
    「さあ、行こうか・・・・」と微笑みウインクした。
    今桜子の胸を熱くしているのは、凉美の白くて柔らかくて長い指、美しい放物線を作る長楕円の美麗な爪と指を絡ませ歩いているという幸福感だった。
    初診の時、凉美の指が下唇を下げるように触れた瞬間に、桜子の魂は凉美病に感染していた。
    そんな妖術に似た魔力を帯びた指の感触だった。
    それ以来、この美貌の歯科医のことばかり考え思い出し夢見てきたのだ。
     
     クリニックから表参道に出て、10分ほどでサンドイッチハウスに着いた。
    店に着くまで二人の愉しい会話は続き、学校のこと、家族のこと、有名ブティックのウインドウ前で立ち止まってファッションの好みなどの話をした。

    「私はいつものスモークサーモンサンドを。・・・桜子さんは何がいい・・・・?」
    「・・・うーん?、・・・同じもので・・・」
    桜子は悩んで同じものを選んだ。凉美と同じもの食べるという幸福感を選んだ。
    涼美はアペリティフのスパークリンングワインが運ばれると、桜子が頼んだペリエのグラスとチンと鳴らせ乾杯した。
    これは二人にとっての初乾杯で、次に繋がるしあわせに満ちた儀式となった。
    「美味しい・・・。今日のワインはいつものよりとっても美味しい・・・。・・・貴女といるからだわ・・・。」
    涼美は、テーブルを挟んで向かい合った桜子を潤んだ瞳で見ていた。
    その熱い眼差しを受けて、桜子の瞳も身体の奥の花園も潤んで濡れていくのを感じていた。
    「・嬉しい・・、先生本当ですか・・?」
    「勿論よ。・・・初めて会ったときから貴女に惹かれてる・・・私を感じたの。変ね、女の子に・・・」
    女の子に・・・と言った涼美は少しはにかんで見えた。恥じらう美人歯科医の白い頬が少し紅潮していた。
    それは、スパーリングワインのアルコールも作用していた。
    注文のサンドイッチがテーブルに置かれた。
    涼美の飲み干したシャンパングラスを見て、店員の女性が2杯目を注いで個室を出て行った。
    2つある小さな個室の1部屋がたまたま空いたところに来たらしく、部屋には先客の女性の付けていた香水の残り香が漂っていた。
    週末午後のこの時間、小さな個室は予約でいっぱいで入れないことが多い。
    若いカップルや女性同士でのランチで人気なのだ。
    四角い部屋の一面が大きなガラスの一枚窓で、芝生の庭にピンクの花を今盛りと咲き揃う蔓バラの垣根が見えた。
    注文の品が全て出されると、呼びベルのスイッチを押さない限り店員は顔を出さない。
    その間は密室で、そのことがカップルには人気だった。
    以前、この部屋から出てきた3人の女性客の表情が、少し上気していることに気が付いたことがあった。近くのブティックの女性達のように見えたが、うちの一人の女性は私の患者だった。
    定期的に歯の美白ブラッシングに通っている彼女は、私と目が合うと気まずそうに会釈し俯いて出て行った。
    その彼女の項に着いたリップの色が目に焼き付いて離れなかった。
    その綺麗な彼女は、今でも月2のペースで通っている。
    彼女のリップ跡が、何を表すものか凉美には大凡察しがついたが、当然涼美は何も触れることはなかった。
    そんなことが頭の隅にあったのか、無意識の内に桜子をこの店に誘ったのかもしれないとハタと気が付いた。
    美味しいね、と言い合いながら二人はスモークサーモンサンドを食べた。
    大きな白いプレート上には、パセリや付け合わせのピクルスの残りや飾りのスティックなどが残った。
    「お腹いっぱい。・・・何か飲む・・?」
    涼美はメニューを桜子に手渡すと呼びブサーのスイッチを押した。
    しばらくして、二人が注文したコーヒーをテーブルに置くと店員は会釈をして出て行った。
    涼美は、椅子を桜子の隣に並べ二人して庭の風景を眺めながらコーヒーを啜った。
    「ねえ、木曜午後はどう・・・? 時間ある・・・?」
    「授業は3時半過ぎには終わるから、5時前には行けると思います・・・。」
    「じゃ、5時頃いらっしゃい。木曜午後は休診だから私一人・・・。今日入れたクラウンをチェックして何もなければ、・・・その後デートしない・・・?」
    「はい、・・・・嬉しい・・・待ちどうしいです・・・・・」
    「わたしもよ、・・・・」
    と言うと、桜子の小さな顔を向かせ唇を合わせた。


記事引用 削除キー/

前の記事(元になった記事) 次の記事(この記事の返信)
← 続・ご褒美4 /桜子 →mio さん /桜子
→続・ご褒美6 /桜子
 
上記関連ツリー

Nomal 続・ご褒美 / 桜子 (12/07/22(Sun) 10:17) #21576
Nomal 続・ご褒美2 / 桜子 (12/07/24(Tue) 09:43) #21579
│└Nomal 続・ご褒美3 / 桜子 (12/08/06(Mon) 14:53) #21583
│  └Nomal 続・ご褒美4 / 桜子 (12/08/06(Mon) 17:15) #21584
│    └Nomal 続・ご褒美5 / 桜子 (12/08/10(Fri) 10:30) #21587 ←Now
│      ├Nomal mio さん / 桜子 (12/10/13(Sat) 05:14) #21663
│      └Nomal 続・ご褒美6 / 桜子 (12/10/13(Sat) 10:48) #21664
│        └Nomal 続・ご褒美7 / 桜子 (12/10/15(Mon) 13:57) #21668
│          └Nomal 続・ご褒美8 / sakurako (14/02/17(Mon) 23:41) #21786
│            ├Nomal Re[8]: 続・ご褒美8 / sakurako (14/02/20(Thu) 08:14) #21787
│            ├Nomal Re[8]: 続・ご褒美8 / sakurako (14/02/20(Thu) 08:16) #21788
│            └Nomal 続・ご褒美9 / 桜子 (14/02/20(Thu) 19:28) #21789
Nomal Re[1]: 続・ご褒美 / mio (12/10/02(Tue) 13:58) #21654

All 上記ツリーを一括表示 / 上記ツリーをトピック表示
 
上記の記事へ返信

Mode/  Pass/

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

- Child Tree -