ビアンエッセイ♪

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■8590 / ResNo.20)  14
  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(18回)-(2005/04/08(Fri) 19:58:06)

    やばっ‥柚羅さん怒ったかな?


    お酒って恐い。


    調子にのりすぎちゃった。



    ちょっとムッとしたような顔で、柚羅さんが寝室に向かったから。


    そんな事を、考えてしまっていた。



    でも。


    乾いた髪を撫でながら、寝室へと足を踏み入れた。



    柚羅さんは、フカフカの布団に顔を埋めて。


    とっても可愛い笑顔を見せていた。



    ‥良かった。怒ってないみたい。


    「ゆーらさん♪」


    だからそう言って近づいたら、


    柚羅さんは怒ったような顔を見せて、

    スグに外方を向いてしまった。



    えぇー。




    「ちょっ、何怒ってるんですか?」


    あまりの豹変ぶりに驚き、

    布団を上げながら、私は聞いた。



    「知らないっ。寝るんでしょ?黙って入れば。」



    んつ?柚羅さん‥。




    ‥もしかしてイジけてる?





    照れたような横顔と、照れたような声。




    そうだと確信できたから。



    ものすごく柚羅さんを愛しく感じた。




    「柚羅さん‥。」




    外方を向いた柚羅さんの隣。





    そっと布団に入って。





    後ろからギュッと抱き締めた。



    「――!?」



    柚羅さんの体が強ばって。



    だけど私は自分の気持ちに逆らう事が出来なくて。



    「亜紀、まだ酔ってるの?」



    振り向きもせずに囁いた言葉。


    「酔ってません。」


    それを否定する。



    伝えるはずではない言葉。


    口に出してしまいそうで。




    「先輩をからかったらイケナイよ?」


    「からかってません。」


    恋しくて、愛しくて。


    「‥じゃあ‥何で―」


    「――好きなんです。」




    もう‥勢いだった。



    言うつもりなんかなかったのに。



    すぐに、後悔した。


    どうして言ってしまったんだろう、と。



    私の言葉に。


    柚羅さんからは何の反応もなくて。




    私は、言葉の代わりに。



    柚羅さんを、もっと強く抱き締めた。







    柚羅さん、お願いだから。



    笑い飛ばしてよ。





    黙ったままの柚羅さんの背中。




    もっともっと強く抱き締めた。





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■8618 / ResNo.21)  はじめまして♪
□投稿者/ ノア 一般♪(1回)-(2005/04/10(Sun) 14:29:23)
    奈々子さんの作品は大好きで、いつも楽しく読ませていただいてます☆
    SMエッセイの方も、内容や状況(?)が好きなのばかりデス(≧∀≦)
    楽しみにしているので、頑張って下さいね(*´∀`)ノ
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■8637 / ResNo.22)  NO TITLE
□投稿者/ マキ 一般♪(1回)-(2005/04/11(Mon) 12:36:48)
    菜々子さんの作品、どれも最高です(*^□^*)SMエッセイの作品も良かったです。これからも頑張ってくださいね。楽しみにしています。

    (携帯)
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■8649 / ResNo.23)  ノアさん
□投稿者/ 菜々子 一般♪(19回)-(2005/04/11(Mon) 22:33:34)
    読んでくれてありがとうございます(*^-^*)
    アチラのほうも読んで頂けたようで光栄です。

    大好き‥って言ってもらえるとすごくやる気がでるんです。ありがとうございます☆

    相変わらずの駄文+スローペースですが、最後までお付き合い頂けたら幸いです(*^◇^)ノ

    (携帯)
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■8650 / ResNo.24)  マキさん
□投稿者/ 菜々子 一般♪(20回)-(2005/04/11(Mon) 22:37:56)
    読んでくれてありがとうございます(*^-^*)

    最高だなんて‥菜々子にはもったいない言葉ですが、すごく嬉しいです。ありがとうございます(*〃∇〃)SMエッセイの方も読んで頂けたようで‥ありがとうございます☆

    スローペースで申し訳ありません。
    完結まで頑張りますので、最後までお付き合い頂けたら幸いです(*^-^*)

    (携帯)
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■8651 / ResNo.25)  15
□投稿者/ 菜々子 一般♪(21回)-(2005/04/11(Mon) 22:39:54)
    「んっ‥」


    朝のほのかな光で目が覚める。


    あっ亜紀の家に泊まったんだっけ。


    いつもの目覚めとは違う風景に、一瞬戸惑い、記憶を辿った。



    眠い目をこすりながら、ゆっくりとベッドから起き上がる。


    「あっ柚羅さん。おはようございます。」


    寝室のドアを開け、

    まだボーッとしている私に、亜紀が言った。



    可愛らしい水色のエプロン。

    キッチンに立つ姿は、とても女性らしい。


    眠い目をこすりながら、そんな事を思った。


    「おはよう。」


    そう言いながら、私は時計に目をやる。


    ―7:25―


    今日は二人とも早番。


    お遊戯会の準備があるから。
    8:30までに行かなきゃ、だな。



    「顔洗っててください。もうすぐ、朝ご飯できますから。」



    そう言って笑ってみせる亜紀。
    フライパンの中からはジューっておいしそうな音。



    亜紀‥。



    洗面所で、顔を洗いながら。


    亜紀に対する気持ちばかりが、私を締め付けた。




    ねえ、亜紀。



    昨日、私の背中にしがみついて。



    泣いてたよね?




    泣き腫らした目で。



    無理に笑顔作って。






    亜紀にそんな顔、似合わない。




    だけど。





    そうさせているのは私で。






    勢い良く、お湯を顔にかける。


    バシャバシャと、何度も何度も。



    近場にあったタオルを手に取り、顔を拭いて。


    よしっ。と気を引き締めながら、洗面所を後にした。




    (携帯)
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■8652 / ResNo.26)  16
□投稿者/ 菜々子 一般♪(22回)-(2005/04/11(Mon) 22:41:31)

    「そこに座ってください。」


    キッチンのすぐ横にあるテーブル。


    言われたまま、その椅子に腰をかける。



    「はい、どうぞー。」


    差し出された目玉焼きやら、みそ汁やら。


    うーん、いい匂い。




    朝食を全てテーブルに並べ、亜紀も椅子へと腰をおろす。



    亜紀が座ったのを確認してから、


    「いただきます!」


    おいしそうな料理を前に、少しはしゃぎながら私が言うと、



    亜紀は笑いながら


    「おあがりください。」


    だって。


    なんだか仕事場みたいで。


    二人で目を合わせて笑った。


    亜紀が先生で私が子供。だな。



    どれから食べよっかな、と迷いながら、



    やっぱりみそ汁から手をつけた。

    ズーっとすすって。



    「んーっ。うまい!」


    初めて食べる、亜紀の手料理。



    うん、本当にうまい。



    朝は食べない派の私だけれど。


    こりゃあ、箸が進む。




    「良かった。ありがとうございます。」



    亜紀が嬉しそうに笑ったから。

    私も、それにつられて笑っていた。




    いつも通りにしようとする亜紀。



    だから、私もそうする。




    ごめんね。




    それしか出来ないんだ。




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■8653 / ResNo.27)  17
□投稿者/ 菜々子 一般♪(23回)-(2005/04/11(Mon) 22:43:04)

    「おっ?ラブラブ出勤?」


    園について、敷地に入った途端。


    清水さんのからかう声が飛んできた。



    「うるさいですって。」


    明るい茶色の髪を、風になびかせ。


    煙草を口にくわえながら、

    長く引っ張ったホースで、花に水やり中の清水さん。




    いやいや‥。



    「あぁ?朝の挨拶もなしか?
    全く、何様なんだか。」


    ブツブツとそう言う清水さんに向かって、


    「おはようございます。」


    と亜紀が笑顔で言う。


    すると清水さんは満足気な顔で。


    「よしよし。亜紀はいい子だね。それに比べて‥」


    言いながら私に冷たい視線。


    「何ですか‥」


    呆れたように私が言うと。



    「はい、柚羅さんコッチに来なさい。」



    おー呼び出しだ。



    「先行ってていいよ。」


    私はそう言い、
    クスクスと笑う亜紀の肩をポンッと叩いて、

    先に園内へと向かわせた。



    亜紀の後ろ姿を見送りながら、


    「ふーん。」


    とニヤニヤ笑っている。



    「だから何ですか‥」


    「いやぁ、くっついちゃったのかなぁーと思って。」



    真っ白い煙を吐き出しながら、
    楽しそうに笑っている。


    「んなわけないでしょ。」



    あきらかに、からかうような視線。

    私は少しムッとして、わざと冷たく言い放った。



    「だって昨日と服、同じじゃん?」


    あーやっぱり鋭い。


    でも教えてあげない。



    「清水さんの期待しているような事は、何もありませんでしたよ?」



    私はフッと笑ってみせた。



    「へぇー。まぁいいけどね。」


    あきらかに何か企んでいるような顔をしながら。


    愛用の携帯灰皿で

    煙草をもみ消している。



    「ねぇ柚羅。」


    と、清水さんはイキナリ真剣な顔をつきで。


    「何ですか?」


    聞き返した私の顔を覗き込む。




    「一人で抱え込むんじゃないよ。」



    そう言って私の頭を。


    ポンポンと撫でた。




    「何ですか‥。」



    俯く私の頭。



    あぁ‥まったく。



    清水さんの鋭い目には。



    何でも見抜かれてしまう。




    まいったな。






    今にも崩れてしまいそうな、自分がいた。





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■8817 / ResNo.28)  18
□投稿者/ 菜々子 一般♪(24回)-(2005/04/17(Sun) 23:31:44)
    「はぁーい。みんなココに集まってー。」


    亜紀の声に反応し、

    バラけていた子供たちがテクテクと歩き出す。



    と、まだ8ヵ月の美有まで亜紀の元へと行こうとする。


    「こらこら、あんたはココに居ていいんだよ。」


    楽しそうにハイハイする美有の体を抱き上げて。


    笑いながら言ってやると。


    わかっているのか、いないのか。


    美有もキャッキャッと笑いだす。



    「今日はお遊戯会です。
    人がいっぱい来るからね。みんないい子にしてくださいね。」


    集まってきた子供たちに亜紀がそう言うと、


    「「はぁーい」」


    と元気な返事。




    「よしっ。じゃあ体育館に行くよー!」


    亜紀は立ち上がり、子供たちを2列に並ばせる。



    「ほら、優太君は一番前だよ。」


    年令順に並ばせるため、


    優太が一番前になる。



    けれど優太は。


    「いやだっ!」


    と、一際大きな声で叫び。

    黙り込むかのように、身を固くした。



    その声に驚く亜紀。

    けれどすぐに冷静さを取り戻す。


    「どうしたの?わがまま言わないで。ほら、ちゃんと並びなさい。」


    そう言って優太の背中を押す。


    「いやだっ!」


    優太は亜紀の手を払い除け。


    「こらっ優太君!」


    「いやだいやだっ!!」


    そのまま

    しゃがみ込んでいた亜紀の顔を

    力いっぱい叩いた。



    「優太っ!」


    たまらず私が声をあげると。

    優太はビクッと体を揺らす。




    優太が普通じゃないのは。


    見ればすぐに分かったはずなのに。




    異常なまでに怯える優太を、




    何故か私は許せなかった。




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■8818 / ResNo.29)  19
□投稿者/ 菜々子 一般♪(25回)-(2005/04/17(Sun) 23:33:13)

    「柚羅さん!私、大丈夫ですから。」


    柚羅さんの目。


    止めなきゃいけないと思った。



    「私、大丈夫ですから。」


    だからもう一度。


    ゆっくり、強く。



    「あっ‥」


    「優太君は、私が見ておきますから。」



    ねっ。と笑ってあげる。


    「分かった‥あたしが子供たち連れていくね。」


    俯きながら柚羅さんは言う。
    そのまま立ち上がり、


    「亜紀‥ごめんね。」


    教室を出る時、小さく私に謝った。



    何だか。


    その言葉には、たくさんの意味が含まれているようで。



    少しだけ、困ってしまった。





    優太君と二人だけの。


    静かな教室。



    「どうしたの?」


    その隣にそっと座って、


    震える肩を抱き締める。



    「おうちで何かあった?」




    静かに。静かに。


    優太君は涙を流していて。





    「みん‥っな‥」


    震える声を。


    必死に絞りだす。




    「みんな、どうしたの?」



    私は出来るだけ、優しく。

    優太君の信号を受けとめる。



    「おれっのこ‥と‥きらいなんだ‥っ」



    溢れだす涙を。



    そっと拭ってあげて。





    深く深く傷ついている心。




    ソレを痛い程、感じとることが出来た。




    「誰も。優太君の事嫌いじゃないよ。」



    きっと。鋭いトゲが彼の心には刺さっている。






    自分の子供すら愛せない親を。





    私は知っているから。





    「先生も、優太君、大好きだよ。」




    自分の出来る事をしてあげたい。






    "愛されること"を。






    教えてあげたい。





    「‥っ――」



    泣きじゃくる優太君を、




    ギュっと抱き締めて。







    ただ、一緒に泣いた。






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