| 「えっ?」
「事故だった。けれど柚羅は自分を責めた。」
戸惑う私に少しだけの笑顔を見せながら。
「柚羅のせいじゃないのに‥あの娘は去った。 柚羅を見ていて思った。まだ、綾香のことを忘れていないんだって。」
そこまで話すと彼女はそっと息をついた。 そのままコーヒーを一口だけ口にする。
「‥で、でも‥」
「柚羅の気持ちは分からない。けど、あなたが柚羅に必要だとは思えないの。」
私の言葉を遮り、彼女の冷たい声音。
"お待たせしました。"
丁度、先程のウェイトレスがいい匂いのハンバーグセットを運んできて、私の目の前にそれを並べる。
「あなたは子どもすぎる。本当に自分が柚羅にふさわしいと思うの?」
痛いところを突いてくるな‥。なんて他人事のように思おうとしたけど。 うつむいていたら、涙が込み上げてきた。
彼女に見られないように必死で我慢して。 けれどハンバーグの湯気が目の前を覆うから。
「もう柚羅に近づかないで。」
―トドメ―
気が付いたら、私は店を飛び出していた。
涙が、止まらない。
(携帯)
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