[]-22412/親
ペット 《プロローグ》
いちこ

今日は珍しく高級デパートに来ている。夫の実家に持っていくお土産を買いに来たのだ。
「あらっ!もしかしてマイ?」
振り返ると、リサが妖艶にほほえんでいた。
「10年ぶりかしらね。。」
そう、10年。高校卒業以来だ。リサは全身をブランド物で包み、髪を緩やかにウェーブさせている。高校の時から整った顔立ちだったが、化粧をした彼女は女優みたいに綺麗だ。
彼女は私を頭の先からつま先まで舐めるように見たあと
「相変わらずマイは可愛いね。」
「そんな…こと…ないよ。」
ドキドキしながら答える。と、彼女はいきなり私の左手を取り、
「結婚したんだね。」
「うん…。」
と言って私は手を引いた。その時彼女は、私の手の平をそのきれいな指でスッと撫でた。私は真っ赤になって俯いた。
「私、今 会社を経営してるのよ。」
と言って彼女は名刺をくれた。透明なマニキュアを塗った爪は短く切りそろえられている。
知っている。この間、雑誌に紹介されていた。確かランジェリーの会社だ。
彼女は私に近づくと耳元で囁いた。
「連絡頂戴ね。待ってるわ。」
彼女は意味深に微笑み去っていった。
私はしばらく動けずにいた。

09/25 21:51
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