SMビアンエッセイ♪

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■6075 / 親記事)  赤い教会
□投稿者/ くぅ 一般人(1回)-(2009/07/24(Fri) 14:50:45)
    冷蔵庫から取り出してから少しだけ時間が経ち、水滴がついたペットボトルに口を付ける。
    冷たい水がペットボトルを掴む手につき、手が濡れる。喉を冷たくて美味しい水が通るこの感覚が昔から好きだった。






    お風呂あがりに水を飲むのは、詩織の幼い頃からの習慣のようなものだ。
    お風呂あがりと寝起きに毎日ペットボトルの水を飲む。母親と父親がしていた事で、自然と娘である詩織にも身に付いた。
    それは、大人になって一人暮らしをする今も変わらない。






    テーブルの上に置きっぱなしにしたままであった黒い携帯を開け、メールと電話を確認する。特に入っていない。
    1件だけメールボックスに入っていた新着メールがあったが、それは登録してある雑貨店からの広告だった。
    そういえば、最近はあまり雑貨店やカフェに行っていない。仕事が忙しく、行く暇がない。






    深く長い溜息をつくと、携帯を閉じた。
    その瞬間に、突然携帯が電話を知らせるメロディーを鳴らせた。
    ディスプレイを見ると、そこには『香織』と表示されて点滅している。




    「はい、もしもし、詩織です」



    『しーちゃん?久ぶりね、元気だった?』




    ちょっと低い詩織の声とは反対に、明るく甘い女性らしい声で電話越しにはしゃいでいるのは、友人の香織。
    高校生のときに知り合い、今も連絡を取り合っている。
    高校の入学式の時に、名前が似ているという理由で友人になった。名前は似ていても、性格や容姿は正反対なのだが。




    『あっ、あのね!そういえば、今度の月曜日空いてるかなあ?』



    「ああ、明後日?・・・・・仕事も休みだし、一応空いてるけど、何で?」



    『お姉ちゃんが結婚式を挙げるんだけどね・・・あ、招待状届いてるよね?』



    「うん。ピンクのやつでしょ?」



    『それそれ♪当日、一緒に行かないかなあって思って電話したんだ♪』




    確かに、香織のお姉さんとも親交があった詩織の下には、一昨日、既に招待状が来ていた。
    もう着る予定である自前のドレスもクリーニングに出して、明日取りに行く予定だ。
    準備は整えていた。




    「いいよ?じゃあ・・・8時半に迎えに行くから待ってるんだよ?」



    『うんっ!ありがと〜、しーちゃん大好きっ♪じゃあ、待ってるね?バイバイっ』



    「うん、待ってて。バイバイ」




    結婚式は午前10時から。しかし、結婚式を挙げる教会まで結構離れており、かなり前に出発しないと間に合わない。
    詩織だけならもうちょっとゆっくりでもいいが、香織も一緒に、となると話は別だ。





    はしゃぐ香織に別れを告げ、携帯を切って充電器と繋げて充電をする。
    香織とはもう半年ぶりぐらいに直接会う。電話やメールはしていたが、忙しくて会えなかったのだ。

引用返信/返信

▽[全レス11件(ResNo.7-11 表示)]
■6082 / ResNo.7)  赤い教会
□投稿者/ くぅ 一般人(8回)-(2009/07/24(Fri) 23:50:37)
    「じゃあ、営業回ってきますね」




    そういって会社を出て、車でお得意様のお客様のお宅を回る。




    最初は10分ほどかかるお得意様のお客様である女性のお宅へと向かう。
    その女性は30代の主婦の方で、しばらく世間話に興じていた。
    そして、新作であるリップグロスを見せると、それを買って下さった。



    次は50代の未亡人の女性。
    寂しいのよ、と言われ、案内されるがままにお茶とお菓子を頂いた。
    こちらでも化粧水とクリームとを買って頂いて家を後にした。



    そして20代の女性のマンション。
    そこの女性とは仲が良く、しばらく世間話や苦労話で盛り上がった。
    新作を勧めたが、いいものがなかったらしく、こちらは何も売り上げはなし。




    昼食の前にもう1件、お金持ちの10代の女性の豪邸を訪れる。
    そこでも割と長い話を彼女と豪邸の中の部屋でして、新作を勧めてみた。
    すると、気に入ったらしく全ての新作を買って頂いたのは、大きな成果である。




    近くにあった喫茶店でサンドイッチとカプチーノを昼食として食べると、残る3件のお宅へと伺った。






    結局その日は6件中4件のお客様に新作を買って頂き、会社に戻った。
    会社に戻って報告書を作成し、書類整理を済ませて夕方の5時半に会社を出た。普段よりも少し早い帰りだ。




    帰る途中でドレスをクリーニングに出し、買い物を近所のスーパーで済ませると、ようやく自宅のマンションへと戻れた。

引用返信/返信
■6083 / ResNo.8)  赤い教会
□投稿者/ くぅ 一般人(9回)-(2009/07/25(Sat) 00:20:23)
    マンションに帰ってポストを確認すると、1通の不思議な白い封筒が入っていた。
    宛名は詩織になっており、パソコンで文字が打ってある。送り主は分からず、3日前に出された物のようだ。



    不審に思いつつもスーツから着替えた後、手紙の封を切る。
    宛先と同じくパソコンで打ってある白い無地の便箋が、折りたたんで2枚ほど入っていた。


    文章は次のようなものだった。





    『拝啓  詩織様
     

     
     突然の御手紙、申し訳ございません。さぞ驚かれた事でしょう。
     私の名前は御影千秋、と申します。以後お見知りおきを。


     さて、このような突然の御手紙を、面識のない詩織様に送らせて頂いたのは理由が御座います。
     貴方は先日、ご友人である香織様の実の姉、香里菜様の結婚式へご参加しましたね。
     何故知っているのか、そんな疑問はさておき。その後の夕食の場で、由貴と明香と名乗る女性に出会われませんでしたか?
     

     出会われたはずです。その方達には実は彼女様がいらっしゃるのです。
     おそらく、そのような事は一言も申し上げなかったでしょう。
     そして彼女達4人は、詩織様と香織様、香里菜様までもを狙っているのです。
     

     何故狙っているかと言いますと、貴方達3人を奴隷とするためです。
     調教を施し、お客である女性に高額で売ったり、ショーに出演させたり、自分達が楽しむためなのです。
     

     これをお読みになったら、香織様と香里菜様にご連絡くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。              敬具』
引用返信/返信
■6084 / ResNo.9)  赤い教会
□投稿者/ くぅ 一般人(10回)-(2009/07/28(Tue) 14:40:53)
    詩織は読み終わると、手紙を何度も何度も、細かくなるまで破って捨てた。
    自分のみならずーーー香織やお姉さん、由貴や明香まで使ってある気味の悪い悪戯な手紙を、送り主を許せなかった。
    消印は北海道、となっており、北海道から送られたらしいことは分かったが、それ以外は何も分からなかった。

















    苛々したまま何とか眠り、次の日の朝。



    いつものようにニュースを確認し、今日が晴れであることを調べ、朝食を済ませる。
    今日は黒いスーツパンツと青いシャツに着替え、ショルダーバッグと黒い紙袋を持った。



    詩織が働く会社では、度々ホテルでパーティーを行っている。
    会社内の結束を固める事が主な目的だが、他の会社の方も招待する事もある。
    内容は至って普通で、夕食やダンス、ゲームなどをして終わるのが大抵だ。
    社員の中には、そこのホテルに泊まる者も少なくなく、実は詩織もその1人だ。



    そして、紙袋の中には明日の着替えやら何やらと一緒に、ドレスも入っている。
    結婚式で着たものに似ている赤いドレスだ。腰と裾の部分に赤いドレスが付いているドレスだ。













    車で会社に向かい、今日は会社内の自分の机で仕事を済ませた。
    今日は会社全体が早めに仕事を片付けて、各自ホテルに向かう事になっている。




    詩織も早めに仕事を済ませて、夕方5時にホテルに向かった。
    今回のホテルは、車で約30分。ベージュ色の洋風ホテルだった。














引用返信/返信
■6085 / ResNo.10)  赤い教会
□投稿者/ くぅ 一般人(11回)-(2009/07/28(Tue) 15:31:10)
    早めにホテルに着くと、隣の駐車場に車を止めて鍵を抜いた。
    そして、入り口へと向かう。




    汚れや曇り1つないガラスで出来た自動ドアを入ると、白い石で出来た床を進む。
    突き当たりの廊下にロビーがあり、用件を手早く説明して鍵を受け取り、中へと入る。



    前もって予約しておいた6階の部屋に行き、そこでドレスに着替える。
    髪を緩く巻いてウエーブを作り、赤いルビーと青いサファイアのピアスを2つずつつけた。



    靴を赤いハイヒールに履き替えて、3階の会場、大広間へと向かった。
















    パーティーは立派なあごひげを生やした社長の言葉で始まり、今はみんなで楽しく話しながら食べたり飲んだりしている。




    詩織も知り合いと話したり、今回招かれたらしい会社の人に挨拶を済ませたりしていた。
    そして、ふとカクテルが飲みたくなり、話していた太った初老の男性と別れて部屋の端へと向かう。




    そこでは今日のために招いたという、とあるバーの人が直接作ってくれるらしい。
    そのバーは美味しい酒と、美味しいつまみで評判の最近出来たバーらしい。
    詩織も気になってはいたため、並べられた脚が長い椅子に座って注文した。



    「あれ・・・・・?詩織ちゃん?!」



    そう名前を呼ばれ、驚きつつも相手を見ると、何と由貴がいた。
    確かに、結婚式のあの夜にバーを経営していると言っていたが・・・・・。



引用返信/返信
■6109 / ResNo.11)  Re[1]: 赤い教会
□投稿者/ ゆゆ 一般人(1回)-(2009/08/17(Mon) 12:02:27)
    続き、たのしみにしています♪
引用返信/返信

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■6065 / 親記事)  刹那の記憶
□投稿者/ 林檎 一般人(1回)-(2009/07/15(Wed) 23:54:27)
    パァン・・・・・・・





    遠くまで響き渡る鋭い音と共に、白く細い硝煙が立ち上る。
    それと同時か、それともそれよりも早いのかは定かではないが、目の前の巨体が血飛沫をあげて前のめりに倒れこんだ。



    あっという間に広がる赤い水溜りを冷たい目で見つめ、踵を返す。
    もうこんな穢れた場所に用事も興味も無い、とでもいう風なそぶりだ。
    白いシャツに赤い水玉模様を付けたまま、『彼女』は歩き出す。


















    そこの持ち主だった人が長身だったからなのか、そういう趣向なのかは別として、大きなドアを開けて蒸し暑い廊下に出る。
    先刻繰り広げた戦闘のお陰で、廊下一帯の窓ガラスはほとんど残らず割れ、壁には小さな穴が無数に残っていた。
    所々、白い壁に赤い模様がつき、人が数人倒れているが、既に息は途絶えている。




    廊下のまだ汚れていない壁に寄りかかると、酷く疲れた様子でズボンのポケットから携帯を取り出した。
    何度かピッ、ピッ、という電子音を響かせながら、電話をどこかへと掛ける。
    プルルル・・・・という音が4回ほど鳴った時に、相手がようやく電話に出た。




    『もしもし?』




    電話越しには、だるそうな女性の声がする。暑くてばてているのか、何かを中断させられて苛立っているのか。
    バサバサと音がするあたり、多分書類整理か何かをしているところに掛けた様だ。




    「もしもし。ボスですか?たった今、任務を終わらせて帰ります」




    『ご苦労。早く戻って来い』




    「はい、ボス。仰せのままに・・・・・・・」




    電話を右手に持ったまま、本人がいるわけではないのにお辞儀をする。
    相手が電話を切るのを待つと、再び携帯をしまって歩き出す。




    廊下には、『彼女』が履いている黒のパンプスの音しかしなかった。


引用返信/返信

▽[全レス2件(ResNo.1-2 表示)]
■6070 / ResNo.1)  刹那の記憶
□投稿者/ ひヵる 一般人(2回)-(2009/07/19(Sun) 14:50:26)
    彼女ーーーーー近衛四季は、確か3歳くらいの頃に両親に施設に預けられた。
    まあ、簡単に言ってしまえば見捨てられて、捨てられてしまったも同然だ。




    そんな四季が16歳になり、施設でもお姉さん的存在になっていたとある夏の日。
    施設に多額の寄付を毎年贈ってくれていた女性が、四季を引き取って育てたい、と申請した。
    それが電話口で言っていた『ボス』・・・・・日暮梓、四季の5歳年上の美しい妖艶な人。
    その人が四季を引き取り、面倒を見てくれる事になった。




    梓はとある巨大な裏組織のボスの愛娘で、その組織は殺し屋をして生計を立てていた。
    そんな梓には3歳年上の姉、日暮杏菜がいた。可愛らしい感じで、やはり美しい人だった。
    2人とも裏社会では有能な殺し屋だと有名で、何故かいつも孤独だった四季には、そんな2人は憧れとなった。
    2人に認めてもらいたくて、剣や銃の腕前を一生懸命磨いて、いつの間にか有名な殺し屋として並んでいたのである。







    今現在、当時ボスであった2人の父親は引退して、山の中で静かに夫婦で暮らしている。
    今のボスは梓、秘書が姉の杏菜。四季はそんな2人のお気に入りの1人で、2人の有能で信頼ある部下の1人。
    しかし・・・・・・・・梓、杏菜、四季の3人は、それ以外の秘密の関係ももっていた。

引用返信/返信
■6071 / ResNo.2)  ※刹那の記憶
□投稿者/ 林檎 一般人(2回)-(2009/07/20(Mon) 11:55:53)
    言い忘れましたが、ひヵるさんとこのたび、2人でリレー方式で小説を書き進める事となりました。


    突然名前が林檎からひヵるになって驚いた方、疑いを抱いた方々、大変申し訳ありませんでした。
引用返信/返信

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■6069 / 親記事)  毒薬
□投稿者/ ひヵる 一般人(1回)-(2009/07/19(Sun) 01:05:34)
    貴方はまるで毒薬




















    それとも麻薬?覚せい剤?




















    どちらにしろ、私にとっては最高に甘美な毒なの




















    貴方の事になると止まらない   止められない


















引用返信/返信



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■5951 / 親記事)  調教日記
□投稿者/ 冷野 一般人(1回)-(2009/06/02(Tue) 21:55:59)
    こんばんは・・・・いや。こんにちは、あるいは、おはようかな?



    僕の名前は遠藤琥珀【エンドウ コハク】。
    とある組織の幹部で、調教師をやっているんだ。


    え?何の調教師かって?
    馬や羊や家畜にされるような動物じゃないんだ。


    いや・・・・場合によっては家畜にもなり得るかもね。



    僕の専門は人間・・・それも女性専用の調教師さ。
    組織のボスに頼まれて、僕の他にも数名の女性が調教師をしているんだ。



    ああ、僕の言っている組織っていうのはね?
    裏組織になるのかな、ならないのかな。
    まあ、SMクラブとかを何店も経営してたり、裏では金持ちに女性を売ってる。
    その『商品』となる女性を調教してあげるのが僕らの役目。



    まあ、初対面のそこの君に調教師を一応紹介してあげる。


    1人目。まずは僕ね。遠藤琥珀。
    ボーイッシュ・・・・ていうか中性的?Sタチね。
    赤髪と茶髪が混ざってる感じで、ショートだけど立たせてる。
    ごついピアスや指輪をいつもじゃらじゃら付けてるよ。
    一人称は『僕』。キレると『俺』になっちゃう、結構厳しい方。
    基本的に快楽で攻めてるかな。



    2人目。僕の先輩にあたる日向棗【ヒュウガ ナツメ】。
    こっちはフェム系だね。
    金髪(ハーフだから地毛)のセミロングで、毛先を巻いてる優しい雰囲気。
    アクセサリーは好きじゃないんだって。
    一人称は『私』。まあ、基本ニコニコで優しいけど、怒ると怖いよな。
    攻め方は僕と同じく快楽。



    3人目。やっぱり僕の先輩で尊敬してる藤道馨【トウドウ カオル】。
    この人は中性的。
    茶髪のロン毛なんだけど、赤い紐でポニーテールにしてる。
    大体僕と同じ趣味で、ごついアクセサリーをじゃらじゃら付けてるなあ。
    一人称は『私』。超紳士的で、レディーファーストがモットーらしい。
    攻め方は苦痛系。はい、性格と合いませーん。



    最後の4人目。久方桔梗【ヒサカタ キキョウ】。唯一の同僚だ。
    この人もボーイッシュ。
    オレンジの髪に黒いメッシュを右側に入れている美形さん。
    アクセサリーはしてないけど、ただピアスはすごい数の穴開けてるんだよね。
    たまにピアスはやってる。一人称は『俺』。俺様な性格。
    攻め方は馨さんと同じく苦痛系ね?



    ボス?ボスは秘密。まあ、後々出てくると思うけどね。
    あまり人前に出るのが好きじゃないもんで、秘密が多いんだ。
    噂ではすごい権力者らしいよ?
















    これはそんな僕らのお話・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






引用返信/返信

▽[全レス9件(ResNo.5-9 表示)]
■5961 / ResNo.5)   調教日記C
□投稿者/ 冷野 一般人(5回)-(2009/06/03(Wed) 16:32:51)
    トゥルルルルル・・・・・・・・トゥルルルルル・・・・・・・・








    ちょうど部屋に入って鍵を閉め終わったときに、部屋の壁にある白い電話が鳴り響いた。



    この電話はボスからか、後の3人の幹部からの電話でしか鳴らない電話だ。





    正直面倒臭いとも思いつつ、壁に寄りかかって電話を取った。






    「はい、こちら琥珀ですが?」








    明香は床に正座して、僕を不安そうに見上げている。
    何かそのまま放置でも面白いかなって思ったけど、適当に靴を履いたままの足で身体をなぞってやる。
    すると、慣らしてあるソイツの身体は、すぐに反応を示す。
    切なそうに吐息を漏らし、乳首は少しずつ立ち始める。変態だからね。








    『・・・・・琥珀?私なんだけど』









    電話の声は、何とボスの凛とした声だった。
    確か長期にわたって留守にしているのに・・・・・帰ってきたのか?







    「ボス?もうお帰りに?どうしたんですか」







    『今帰ってきたとこ。実はね、そこに春日井明香いるかな。その子を買い取りにいらした方がいてね』







    ・・・・・・今日、春日井明香はどこぞの金持ちに売られるわけだ。







    『お相手は大企業の女社長さんである錦真鈴【ニシキ マリン】様。前から春日井明香が欲しがってらした方ね』








    ああ、1度見たことがある。
    黒いパンツスーツに身を包んだ、モデル体型の美人社長。
    染めたと思われる金髪のショートへアの人で、笑顔が素敵な方だったね。


    僕は人の顔と名前を覚えるのは得意だから、すぐに顔が浮かぶ。









    「分かりましたよ、ボス。今から連れて行きます」






    『頼んだよ』







    受話器を置くと、顔を紅潮させて俯いているソイツに冷たく言い放つ。







    「今日、お前を買い取りにお客様が来られてる。行くぞ」







    ソイツは、酷く傷付いた泣きそうな顔をして、小さくはい、と呟いた。



    あー、よくいるんだわ。
    うっかり僕らに調教されているうちに、僕らに堕ちちゃう人間。










    ソイツも例外ではないらしいな。うざいったらないけど。
    僕は女を調教して楽しんで、飽きたりしたら捨てるだけだから。
    まあ、棗さん辺りはそんなこと無さそうだけどね。
引用返信/返信
■5967 / ResNo.6)  調教日記D
□投稿者/ 冷野 一般人(6回)-(2009/06/06(Sat) 15:38:23)
    ガチャリ、と受話器を置くと、ふぅ、と溜息をついた。














    黒い皮製の大きなふかふかの椅子、茶色の綺麗に光る整頓された大きな机。
    机の上には、書類やファイルが立てられたのと、電話しか置いていない。



    赤髪の肩までの髪をし、黒いシャツと白いパンツに身を包んで椅子に腰掛ける女性が、机の上にあったコーヒーをすする。








    「お疲れですね?東城さん」








    そう言って微笑んでいるのは、同じく黒い皮製のソファーに腰掛け、紅茶を優雅に飲む女性。高めの甘い声だ。




    その女性の髪は美しい黒髪の背中までのロングヘアーで、同じく漆黒の目、すらりとした身体に白いパンツスーツを纏っている。


    キツメに巻かれている毛先が、カップを置く彼女の動きに合わせて揺れた。








    そう、黒髪の彼女こそが今日の客人であり、赤髪の女性の友人でもある錦真鈴。
    化粧関係の会社を経営しており、名も知れた会社の女社長である。
    その美しさと26歳という若さに、最近いろんな雑誌に載っている。







    「全く、貴方は昔から無理をし過ぎなんですわ」






    「あら、そんな事ないと思うけど。貴方に比べればね」








    そして、苦笑いしつつコーヒーを飲み終えた女性こそ、この組織のボスである東城菖蒲【トウジョウ アヤメ】である。










    コンコン











    大きな頑丈そうな木製のドアがノックされ、ドア越しに失礼致します、という低めの声がした。





    琥珀だ。
引用返信/返信
■5968 / ResNo.7)  調教日記E
□投稿者/ 冷野 一般人(7回)-(2009/06/06(Sat) 15:51:51)
    僕は連れて来た『商品』を四つん這いでついて来させると、ドアをノックして失礼致します、と言った。




    うちのボスは礼儀に五月蝿いから、こういうところはきちんとしなければならない。




    「入って」





    ボスの高くも低くもない、落ち着いて澄んだ声が聞こえ、ドアを開けた。








    そこには、お客様である錦真鈴様、そして奥にはボスである東城さんがいる。
    2人ともわざわざ立ってのお出迎え。






    僕が入ると、ちょこまかとした動きで『商品』も入る。
    顔は不安そうだ。多分、錦真鈴様が怖いんだろう。
    そして、初めて見るであろうボスも。






    「遅れましてすみません。錦様、こちらがご希望のものです」







    軽くだが、一応敬意を払ってお辞儀をし、『商品』を見せる。
    僕はボスのご友人か幹部の3人くらいにしか、お辞儀はしない主義だ。
    プライドが高いんだよ。







    「まあ、やっぱり綺麗。やっと買えて嬉しい」









    錦真鈴様が自ら近寄り、両手で『商品』の頬を挟んで自分の視線と合わせる。
    『商品』はされるがまま、何も言わずにせずに、ただじっと見つめ返す。








    「どう?この子の感度は平均の約1.5倍、礼儀正しいし眉目秀麗、学生の時の成績もいいし、それなりの家の生まれなの」







    ボスが書類を見ながら紹介をして微笑んだ。やっぱりボスは美しい。






    強気で勝気、男勝りで優しくて賢く、美しいボスは僕らの自慢のボス。







    「うん、やっぱり私の好みの顔だし、申し分ない子・・・・じゃあ、連れて帰るから、お金は後日振り込ませて頂きますわ」






    「ありがとうございます」









    そして、錦真鈴様は、貴方の育てる子は結構好きよ、また見させて頂戴、と言い残して、『商品』を持ち帰って行かれた。
引用返信/返信
■5969 / ResNo.8)  調教日記F
□投稿者/ 冷野 一般人(8回)-(2009/06/06(Sat) 16:11:30)
    ーーーさっき、琥珀が出て行ったからきっと売れたのねーーー



















    私、棗はそう思った。









    ボスがいらっしゃるお部屋は最上階に位置するため、どうしても私の部屋がある場所を通るの。





    どうせ琥珀の事ですから、階段で行ったのでしょうし・・・・・。
    運動不足解消のためと、女の子を苦しませるためにね。












    そんな私は今、自分が調教している女の子・・・峰坂望【ミネサカ ノゾミ】を放置していた。





    この子は4ヶ月前くらいにボスが拾って来られた女の子で、まだ18歳。
    雨の中、びしょ濡れで路頭に迷っていたところをたまたまボスが見つけられたの。





    その時はシャツ1枚に裸足という格好で、今にも壊れそうな印象があった。
    けれど、今は普通に服を着ていて、栄養失調も治ったから大丈夫ね。








    「んあっ、棗様・・・・・・・・ぁっ!」









    可愛い顔で喘ぐ望は、結構私の好みだったりする訳なのだけれど。





    今は手錠で手足をベッドに拘束して、バイブを入れて放置しながら本を読んでいるの。何の本かですって?








    アドルフ・ヒトラー著の『わが闘争』。別にナチズムでもファシズムでも何でも無いけど、たまたまあったの。
    ここには、大きな図書館もあるから、そこでちょっと借りてきたものよ。





    だから、可愛い望の喘ぎ声をBGMに読書しているというわけ。
    もう、本当に自分の物にしたいくらいよ?可愛いもの。素直だし。







    今度、ボスに頼んでみるつもり。











    「んっく・・・・・・・棗様っ・・・・・・あぅっ、やあああっ・・・・・!」










    もう1時間位放置してるから、もういいかな・・・・・・・。













    そう思いつつ、最後に果てて気を失った望のバイブのスイッチを切り、乱れた髪をかき上げてやった。




    黒と茶色が混ざったようなストレートのロングヘアーが、さらっと揺れる。
    そして、アメリカ人とのハーフであるための大きな碧眼も閉じられている。






























































    「望、起きなさいね」




























    ・・・・・・私がそうそう寝させたままかとお思いかしら?





    望を起こすと、悲しそうな望を檻に入れて、一息つくために食堂に向かった。







    私、意外だって驚かれるけど、大食いなの。
    もうお腹が減ったし飽きたから、望とのお遊びはここまでよ?
引用返信/返信
■5971 / ResNo.9)  調教日記G
□投稿者/ 冷野 一般人(9回)-(2009/06/07(Sun) 15:15:06)
    食堂は、ボスも勿論お使いになるし、ほとんどの人が使っている場所のひとつ。
    外で食べてもいいのだけれど、ここの食堂の料理は絶品なのよ。
    中華もイタリアンも、フレンチも和食も何でもあるもの。


    お金も組織の人間は無料だし、外で食べるよりもずっといいわ。













    今現在は、ちょうど12時過ぎ。やっぱりお昼だし、混んでるわね。
    でも、馨さんや桔梗、琥珀もいないみたい。
    みんなまだ調教しているのかしら?私が早いのかしらね。








    「紺野さん、今日は紅茶ケーキとベーグル、野菜サラダとカボチャのスープに、カフェオレをお願い」




    「あ、棗さん。分かりました、いつものですね!」





    「うん。よろしくね」













    カウンターで、紺野さんという人に自分の食べたいメニューを注文する。
    紺野さんは私と同じで金髪のツインテール。ちょっと童顔ね。同期なのよ。
    私と性格も似ているから気が合うの。たまに一緒に出かけたりするわね。










    注文して適当に窓際の白いテーブルクロスがかかったテーブルを選んで、そこに座った。



    そして、さっきまで読んでいた本を読み始める。

















    しばらく待っていると、誰かが無言で私の左側に腰掛けてきた・・・・・・誰?







    そう思って、ちらりと横を見ると、調教を終えた馨さんが今更、隣ええか?なんて言ってる・・・まあ、いいけれどね。







    「なんや、棗。何読んどるん?相変わらず読書家やねえ」






    ひょいっと顔を覗き込んでそう言われて、ちょっと胸がときめく。
    だって、馨さんはこの組織でも1、2を争う美形なんですもの。
    モデル経験もあるらしいし、ときめくのも無理ないわ。




    ・・・・・本人の自覚がないのが悩みの種、ですけれどね。









    「ヒトラーの『わが闘争』ですわ。馨さんもお読みになる?」





    「いやー、ええわ。堅苦しいのは苦手やねん」





    あはは、と苦笑いする馨さんと一緒に笑っているところに、2人の料理が運ばれて来た。








    馨さんは大好物のオムライスとチーズケーキ。あとミネラルウォーターですって。
    何か後味がしつこそうだけど、美味しいって食べてるわ・・・・・。













    私と馨さんは一緒に談笑しつつ食べ終え、各自の持ち場に帰った。



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□投稿者/ ゆり 一般人(1回)-(2009/06/03(Wed) 16:41:44)
    なぜこうなったのだろう。

    がんになって余命宣告されてわたしは彼女とずっと一緒にいた。最後までそうだと信じてた。でも医者に覚悟してくれて言われた今。彼女は新しい若い子を連れてきて言う。貴女が病気になったこと芯で行くことに耐えられないからこの子に支えて愛してもらうことにしたの。あなたとは距離を持って彼女ではなく家族として支えるよ。わたしは幸せになりたいの。

    ずっと愛されていると思っていた。こんなに満たされて幸せでこのまま逝くのだろう、彼女の幸せを祈りたいと穏やかな気持ちになれていたのが遠い昔のよう。いまでは口へのキスもさせてもらえず、新しい彼女へ楽しげに電話やメールする様子を見せられる日々。不機嫌になると彼女じゃないのにそんな様子はおかしい。自分のしあわせを願えないのかと不機嫌になる始末。二人だけの時間が欲しいとひとり部屋に残されて別々の時間が増えていく。こんなに寂しいなんて。こんなにつらいなんて。幸せだった時間を繰り返し繰りかr誌思い出してもその幸せを伝える相手もなくすべもなく。いきたい、とはおもうけど、何のために?とも自問する。
    いや、わたしのために生きたい。
    彼女からはなれ、私自身の人生、私自身の愛に生きるために。
    彼女の弱さは彼女のもの。
    わたしのものではないのだ。
    わあしは生きる。
    わたしのために
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