ビアンエッセイ♪

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貴女の官能的なビアンエッセイやノベル
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■19558 / 親記事)  初体験1
□投稿者/ よー 一般♪(1回)-(2007/08/02(Thu) 22:50:05)
    私は生まれたときから多分女の人が好きだった。

    初恋が、確かクレヨンしんちゃんに出てくる「なな子お姉さん」だったと思う。


    いつも恋をするのは女性で、苦しい想いもずっと一人で抱えてきた。

    ときには人にこの想いを吐き出したくなった。

    でも、言ってはいけないことなんだとわかってた。

    だから誰にも言ったことはないし、私みたいな人は周りに誰もいない。
    きっと他にはいないんだろう。





    そんなことを思っていた高2の夏、ネットをカチカチいじっていると、女の子同士の出会い系サイトが出てきた。

    ビックリして、でも少し嬉しくて恐る恐るサイトをクリックしてみた。

    「ネコさん募集」「タチさん募集」
    ・・・??

    よくわかんないけど、適当にクリック。

    募集掲示板の欄にはたくさんの募集があった。

    友達〜恋人、セフレなんかもあった。

    え、意外にレズって多いじゃん!!って思ったのが一番最初。

    更に探索すると、「オフ会 in ○○(地域の名前)」という書き込みがあった。

    あれ、ここ自分の住んでる場所じゃん。

    しかも大人数でするの!?

    こ、、、これは、、、怖いけど、、、行きたい!!!!

    迷って迷って迷った挙句、書き込みをした幹事さんにメールを送った。


    件名:初めまして
    本文:○○に住む「よー」と申します。
       16歳で、レズビアンです。
       こういうのは初めてなんで緊張してます。
       オフ会に参加したいです。よろしくお願いしますm(__)m


    返事はすぐに来た。


    本文:オフ会参加申し込みありがとうございます(^^)
       16歳?若いね〜☆
       私はもう20だよ!
       確認のために、写メを送ってもらってもいい?


    ・・・・・。写メ!!!???

    自分で自分を撮るの?で、見ず知らずのアナタに送れってか!?

    冗談じゃない。

    写メを送るなんて怖くて私には出来なかった。

    それからしばらく返信しないでいるとまたメールが来て

    『電話確認でも良いよ』と言ってくれた。

    この一言がなかったら、私はきっとまだオフ会にも出かけたことがなかっただろう。



    それからかなり緊張しまくったけど、電話で確認を受けた。

    そして集合時間など細かい予定を教えてもらった。

    8月ごろに、私は近場のカラオケに「仲間」に会いに行く。
引用返信/返信

▽[全レス1件(ResNo.1-1 表示)]
■19559 / ResNo.1)  初体験2
□投稿者/ よー 一般♪(2回)-(2007/08/02(Thu) 23:05:25)
    オフ会までの日はあっという間に過ぎた。

    見知らぬ人達と話すことなんて出来るんだろうか・・・変な人達ばっかりだったらどうしよう・・・

    なによりオフ会なんて嘘で、実は相手は男で・・・なーんてことだったらどうしよう・・・

    楽しみより不安の方が圧倒的に大きかった。




    集合場所の駅のホーム。待ち合わせ時間の10分前。

    とりあえず立って待ってみる。

    他にも同じように立ってる人が何人かいたけど、怖くて話しかけられなかった。

    と、そんなとき幹事さんからメールが来た。

    本文:どこら辺にいる?私はもう着いたよ☆

    き、、来たー!!!

    ヤバイどうしよう、、やっぱり怖すぎる。。

    でも無視するわけにはいかないので、自分の特徴をかなりアバウトに書いて返信した。

    すると今度は携帯が鳴った。

    そこで、5mほど先にいる二人の女の人と目が合った。


    「初めまして☆」


    年上のお姉さんと、私と歳が近そうな女の子が笑顔で近づいてきた。


    「こ、こんにちは」


    しどろもどろに答えた。

    それからは「緊張するねー」とか「暑いねー」とかオフ会のメンバーの話とか当たり障りない会話をした。

    集合時間らへんで一気に4人くらい来た。


    「全員揃ったね☆」


    幹事さんらしき人がそう言った後、駅のホームで自己紹介が始まった。




    これが仲間との最初の出会い。

引用返信/返信

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■19438 / 親記事)  君と。
□投稿者/ 累 一般♪(1回)-(2007/07/10(Tue) 08:28:36)
    「維にはわかんねーよ!僕の気持ちなんか!!」

    バタンッ

    閉まるドア。
    またこのパターン。

    維は部屋の、閉まったドアを見つめた。

    …今晩も、帰って来ないんだろうな。

    浮かんだ言葉がまた維を追い詰める。
    カシュッ

    君を苦しめたかったんじゃない。
    責めたかったんじゃない。
    …ただ、君が

    (携帯)
引用返信/返信

▽[全レス8件(ResNo.4-8 表示)]
■19447 / ResNo.4)  君と。3
□投稿者/ 累 一般♪(5回)-(2007/07/11(Wed) 07:26:54)
    …今に至る。
    会社は軌道にのり、裄は仕事を辞めた。

    綺麗な維に憧れと羨望を抱いていた裄は、髪をオレンジ色に染めた。
    太陽のような存在でいたい。
    見た目から中身を奮い起たせたい。

    髪を染めることで気持ちも落ち着いた。



    (携帯)
引用返信/返信
■19459 / ResNo.5)  君と。4
□投稿者/ 累 一般♪(6回)-(2007/07/12(Thu) 20:14:15)
    カタン…

    そう、私が彼女と別れられずに体の関係が続いていたあの日も、君はそのドアから飛び出した。


    ーガチャ…
    『ゅ、維?』

    白いシーツ
    歪むしなやかな腰の線
    綺麗な長い髪の毛
    白いなめらかな肌

    「あ、裄。ごめんね、今…」
    バンッ!


    ー恥ずかしく思った。君はかっこいいし綺麗だから、恋人がいて当然。なのに、僕は嫉妬した。君は僕をそんな風に見てないことくらい、わかっていたはずなのに。

    (携帯)
引用返信/返信
■19460 / ResNo.6)  君と。5
□投稿者/ 累 一般♪(7回)-(2007/07/12(Thu) 20:32:50)
    2007/07/12(Thu) 23:22:26 編集(投稿者)

    裄はそれからしばらく家にこなくなった。忙しいんだと、気にしないようにした。
    …でも、気になった。何で気になるのかは、わからなかった。不思議な気持ちだった。

    『会いたい』一言メールした。

    「維。」
    目の前に現れた君を抱き締めて、もうはなさないと思った。

    その夜私は、君を抱いた。

    (携帯)
引用返信/返信
■19474 / ResNo.7)  君と。6
□投稿者/ 累 一般♪(8回)-(2007/07/14(Sat) 07:08:02)
    焼けた肌
    映える綺麗なオレンジの短い髪
    意外に細い首すじ
    緊張した頬
    そらした瞳

    すべてが新鮮で。
    いつもの君とは違うその表情に夢中でキスをした。

    君の目には私がうつっていてほしくて。告白できないまま、彼女と別れられないまま…。

    君は、今どこにいる?

    篠のところ?亜美ちゃんの家?
    それとも、佐奈のところ?

    君が誰と何をしようが、私には束縛する権利も嫉妬する権利もない。

    君だけの特別に、なりたい。

    (携帯)
引用返信/返信
■19480 / ResNo.8)  君と。7
□投稿者/ 累 一般♪(9回)-(2007/07/15(Sun) 23:59:11)
    ー僕はまた逃げた。
    あなたには愛しい恋人がいる。
    突きつけられる事実に、僕は耐えられなくて。

    「佐奈」
    「裄、いらっしゃい」

    招き入れて優しく包んでくれる佐奈に甘えて眠りにつく…

    このままじゃいけない。なのに進めない。
    いつまで想えば、あなたは僕をみてくれますか?

    「…裄…」
    佐奈を抱いている僕を軽蔑しますか?
    あなたが彼女を抱いて帰ってきたのをみて、嫉妬せずにはいられない。
    僕はあなたを愛しています。

    (携帯)
引用返信/返信

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■18740 / 親記事)  チェリー1
□投稿者/ 恵麻 一般♪(1回)-(2007/04/19(Thu) 23:04:42)
    寒さが一段と厳しくなっている1月半ば。
    外は北風が窓を打ち付けるかのように吹く中、一人の少女が問題集とにらめっこしている。 が、北向きの部屋のため、エアコンでもつけなければやってられない。
    問い1の途中で公式はとまったまま、彼女、桜 美咲の思考もストップ中である。

    手のひらを こすりあわせて 息を吐く やってられない やめてやる

    (おっ? あたしって天才)

    先程までうんうん唸りながら考えていた数式はどこへやら、くだらない歌を心の中で詠んで一人自画自賛していた美咲だがー



    「ぶっ・・・! なんだよ そのセンスねー歌は!」
    「げっ・・・! なっちゃん 聞いてたのっ?」
    「いや、聞いてたも何も、人の隣でつぶやいてたら聞くデショ」

    そういい、なっちゃんー 高田夏季はカラカラと笑う。

    (やだ、てっきり心の中でつぶやいてたつもりだったのに〜・・・)

    「今は数学の時間なんですけど、美咲さん? うちのガッコ受かりたいならもっと力いれてやんな〜 美咲が落ちたら私の顔がたたんでしょ」
    「・・わかってるよ・・あ、今日は部活いいの?」
    「早引けしてきましたよ〜 かわいい美咲のために」
    「かっ・・・・!」
    美咲のほっぺたに手を添えながら答える夏季に、思わず真っ赤になる。

    (バカ、女たらし、ヘンタイ・・・)
    決して本人を前にしてはいえないので、心の中だけでつぶやく。

    もうどのくらいこの人の放つ言葉、一挙一動にドキドキさせられてきただろうか。
    それはもう両手では数え切れないくらい。こうして週に2回、家庭教師をひきうけてくれるようになってからというもの、心臓がわしづかみにされるような想いを何度も味わっている。

    現生徒会長、スポーツ万能、秀才、眉目秀麗、人望が厚い
    高田夏季を一言で語るとこんな感じだ。
    まるで映画から抜け出たヒーローみたいだが、一つ違うところがある。
    ヒーローではなく、ヒロインなのだ。

    そう、高田夏季はれっきとした女。
    中世的な容貌で背も高いせいか、制服を着ていないと今でもたまに男に間違われることがある。
    小さな頃から夏季の後にくっついていた美咲。 夏季は彼女にとって憧れの存在だったのだ。

    しかし、そんな美咲を快く思わない女子連中からの嫉妬ゆえの罵詈雑言が、次第に二人の間に距離を作ることになる。 もちろん、それは美咲からの一方的なものだったのだが。

    「あんた、高田夏季のナニ?」
    耳が腐るほど尋ねられた質問に答えるのも決まってるー 

    「・・・従兄弟です」

    そう、高田夏季と桜美咲は従兄弟同士。
    その言葉を聞いた彼女らの反応もいつも同じだった。
    口にこそ出さないが、視線でわかるというもの。釣り合わないのは百も承知なのだ。


    悪意の篭った視線に耐え切れず、置いた距離。
    しかしそれがかえって夏季への想いを美咲に気づかせるきっかけへとなり、
    よりいっそう彼女を苦しめる結果となった。

    一緒にいることで感じた夏季への劣等感
    離れることで感じた狂おしいほどの恋慕

    どちらも苦しいのは同じだった。
    だけど、どうせ苦しいのならば・・・そばにいる苦しみを選ぼう。





    「あらっ?夏季ちゃん来てたの〜? いらっしゃいっ!」
    ノックもせずに美咲の部屋のドアを開けた母は嬉しそうに声を上げた。
    「ちょっとお母さん〜 ノックしてから入ってよ〜」そう抗議の声を上げた彼女を無視してずかずかと部屋へ上がりこむ。

    「こんばんは、おばさん。おじゃましてます〜」
    「いいえぇ〜 夏季ちゃんなら大歓迎っ! 悪いわねえ、この子の勉強見てもらって・・・あ、でも今日は家庭教師の日だったかしら?」
    「いえ、違うんですけど、そろそろ受験も近いし心配になって勝手に押しかけてるんです」
    「まぁあああ・・・! 何ていい子なのっ!!夏季ちゃんってば!」

    (・・・・ココにも夏季信者が一人)
    ずずず〜・・・っとお茶を啜りながら母の蕩けそうな顔を横目でちらりと見やる。

    夏季ちゃんはすごいわね〜 優等生であんなにかっこいいなんてっ!
    これも母の常套句だった。若かりし頃、姉(夏季の母)と足繁く宝塚に通っていたことのある彼女からすれば、夏季はもろヒット・・・らしい。

    だからこうやって勉強の合間にひょこっと顔を出しては、夏季を褒め称えるのが母の日課となっている。

    (私より、絶対かわいがってるよなあ・・・夏季のこと)
    夏季と距離を置いたのも、少なからず関係あることは二人には内緒だ。


    「ねえ夏季ちゃん。この子急に貴方と同じ学校目指すって言い始めて嬉しかったのは事実なんだけど、大丈夫なのかしら? ちゃんとできてる? あそこは偏差値も高いし・・心配なのよねえ」

    前から気になっていたことなのか、珍しく真面目な顔で夏季に問いかけた。決して悪い成績ではないが、飛びぬけていいわけでもない。中の上くらいの美咲の成績では正直星蘭女子は厳しい。それは担任の教師、そして美咲の母親二人の見解だった。
    この辺一体でも進学校として知られる星蘭女子へはかなり狭き門なのだ。

    「大分成績もあがってますし、大丈夫ですよ。私が合格させますから。」
    そのために家庭教師じゃない日にもこうやって勉強をみてくれている。嬉しい反面、なんだかせつなくもあった。 しょせん、従兄弟だからしてくれてることなのだろうと。

    夏季にそう言われて安心したのか、母は満面の笑顔で立ち上がり、よろしくねと微笑んだ。
    (やっといってくれるか・・・)
    母のしゃべりだすと長いのだ。だけど、それも気が済んだのだろう。
    そろそろ問題に集中しないと・・・・そう思い直した美咲を一瞥した母の一言。

    「私ねえ嬉しいのよ。またこうやって美咲と夏季ちゃんの仲いい姿みられるの。ほら、一時期貴方たち距離を置いてた時あったでしょ? 私さびしくてさびしくて・・・この子のことだから変な劣等感感じたんでしょうけど・・・」

    (な、なぜそれを・・・)
    背中に嫌な汗をかき始めた娘に母は気づかない。

    「だからね?美咲が星蘭女子受けたいって言った時ほんとーに嬉しかったのよ? だから頑張ってちょうだいよっ?」
    言いたい事は言ったとばかりに母は背を向けて部屋を去っていく。


    (う・・・なんか気まずい・・・)
    母が去った後のこの静けさ。彼女が余計な爆弾を残していくものだからなんと言っていいかわからず美咲は混乱する。必死にこの場を取り繕う言葉を探そうとするがあせればあせるほど頭の中は真っ白だ。

    「・・・・美咲」
    「・・えっ・・!」

    下を向いていた顔を驚いてあげれば、目前に迫る夏季の端正な顔。
    身体中の血が一気に駆け巡り顔に集まる。身体に力が入って一ミリも自由意志で動かせない。


    「・・・私は嬉しいよ。美咲がそばにいてくれて」

    数秒の沈黙の後、じゃあ今日はコレでお開きな。 そう言って頭をぽんぽんと叩き、あっという間に部屋から出て行ってしまった。


    「ずるいよ・・・・そんなこと言わないで・・」そんな呟きが思わず漏れた。
    だから、私は貴方の事をあきらめられないんだ・・・
    いつだって私の前を走ってて。いつだって輝いてて。
    夏季の一挙一動に振り回される私は何て滑稽なんだろう。
    彼女にとっては何気ない一言でも、美咲にとってはそうではない。

    狂おしいほどのこの想いを恋と呼ぶならば
    私は同性の夏季に恋をしている。

    もう逃げない。正々堂々とこの気持ちに向かい合ってやるんだ。
    改めて認めざるを得ない状況に一人決意を新たにする美咲だった。











引用返信/返信

▽[全レス8件(ResNo.4-8 表示)]
■18753 / ResNo.4)  Re[2]: こんばんは
□投稿者/ 恵麻 一般♪(4回)-(2007/04/21(Sat) 00:52:54)
    優貴さん、こんばんは〜
    おもしろいといっていただけるなんて、作者冥利につきます
    これから更新するのでよかったら見てください^^
引用返信/返信
■18755 / ResNo.5)  チェリー2
□投稿者/ 恵麻 一般♪(6回)-(2007/04/21(Sat) 00:59:26)
    pipipipipi・・・・

    すっぽり被った布団の中から、腕だけをもぞもぞと出して眠りを妨げる音をストップした。
    いつもならここで2度寝という名の脳内旅行へとトリップするのだが、今日だけはそうもいかない。
    上半身を起こし、思いっきり伸びをする。

    (今日は入学式か・・・)
    そう、夏季のスパルタ&美咲の努力が実を結び、見事星蘭女子への切符を手に入れたのだ。
    クローゼットの扉に真新しい制服がかけてある・・・・はずなのだが。


    「あ、あれ・・?ない」
    代わりにあるのは地元の公立高校の制服だ。滑り止めとして受けてはいたが、制服を購入した覚えはない。
    この状況を飲み込めずぽかんとしていると、ドアの向こうの階段の音に気づいた。

    「あら、起きてたのね」
    「おっ、おかあさん!ちょうどよかった! 私の制服はどこ?」
    母が部屋へと入り込むなり、美咲は彼女にしがみつきながらそう問うた。
    「・・・どこ?目の前にかかってるじゃないの」
    顎でついと示した先には、先程の制服がかかってある。
    そうじゃなくて私が聞きたいのはと、くってかかったのだがー

    「あんなに夏季ちゃんに迷惑かけた結果がコレだなんて・・・お母さんがっかりだわ」
    手のひらを片頬にあてて溜息混じりにそう呟いた母の顔は・・・・どう形容したらいいのだろうか。
    まるで般若のようだった。このような顔は娘としてこの世に生を受けてから今までみたことがない。

    「え・・・どういうこと・・?」
    「どういうことも、こういうことも貴方は星蘭女子に落ちたのよ!」
    「残念だよ、美咲。絶対私の期待に応えてくれるって思ってたんだけどな・・・」
    その声にびっくりして振り返るとそこにはいつのまにか夏季が立っていた。いつもは周りが振り返るほどの容姿の持ち主がきつく眉を寄せる様は、恐怖を感じるのと同時に魅力的でもあった。

    (どうしよう・・・あんなに熱心に面倒見てくれたのに私ったら・・)
    やっぱり夏季のそばにいたいなんて私には分不相応だったんだ。


    泣きじゃくる美咲を見限ったのか、二人はつれなくその場をあとにしようとした。
    「まっ・待って!! 行かないで!!」
    もう口も聞いてもらえないかもしれない。そのことに恐怖を感じて必死で夏季の背中に腕を伸ばした。





    「・・・さき・・・・・美咲っ!」
    「・・・・え・・・? なっちゃ・・・?」
    美咲の見開いた瞳には、ベッドに腰掛けて心配そうに見詰める夏季の姿があった。
    「何か怖い夢見たか・・? 大丈夫?」そう言い、美咲の後頭部に手のひらをあててそっと胸に引き寄せる。片方の手は美咲の手をぎゅっと握ったまま。

    (夢・・?・・・あんなリアルな夢があるの?)
    思わず夏季の肩越しに目線を上げれば、元通り麗しき星蘭女子の制服が掲げられていた。

    よかった・・・と美咲はほっと息をついた。もしさっきの夢が事実だったらとてもじゃないけど夏季にあわせる顔がなかっただろう。よく考えたらお気楽母があのような態度を取る時点でおかしいのだが、自分でももともと受かるなんて自信がなかったため、気づかなかったのだ。
    そう、今だって安心させようと頭を撫で、手を握ってくれている・・・って あ、れ・?
    なぜ、こんな時間に夏季が・・・


    「・・ちょっ・・・何でココにいるの〜?! どっ・・・どうやってっ!!」
    美咲の母親はああ見えて雑誌の編集長を務めるいわゆる“バリキャリ”だ。 
    故に帰宅は大抵遅く、朝のこの時間は当然夢の中。少々のことでは滅多に眼を覚ましなどしない。
    当然うちの鍵など持ってるはずもなく、だからなぜ彼女がここにいるのかわからない。

    「あ?どっからって・・・あそこから」
    そう指し示す先には開け放たれた窓。カーテンがパタパタとはためいている。
    小さい頃はよくここから出入りしたじゃん? そう暢気に言うが今何歳だと思っているのだ。
    「あのねえ・・・こんな所から出入りするなんて、危ないでしょ? そっ・・それにっ・・・」
    そう言い二の句を告げないで赤くなる美咲を見て、夏季が訝しがる。

    美咲が赤くなるのも無理はない。 なにせ、今の格好は当然パジャマ。
    そして今の体勢といったら、まるで飼い主に甘える子猫のよう。
    女同士なら何も赤くなることはないと思うのだが、美咲にとって夏季は恋焦がれる相手。
    異性にされているのとなんら変わりはないのだ。




    顔を赤らめながら夏季の胸に抱かれる美咲。
    こんな面白い状況をほっといていられようか、否、である。
    「・・・まるでロミオとジュリエットみたいじゃない・・?」美咲の耳元でわざと吐息混じりに囁く。
    (まるで茹蛸みたいだな・・・)くっくっと忍び笑いを漏らす。
    ほんと、この子はからかい甲斐がある。だから何かに付けてかまってしまうのだ。
    美咲にはいつも笑っていて欲しい。そのためにはなんでもするつもりでいる。
    もう二度とあんな辛い思いはさせない。あの時にそう誓ったのだ。

    こんな事をしたら君は笑うだろうか。 それとも真っ赤になって怒る?
    反応が見たくてそっと握り締めていた手を引き寄せて、その甲にキスを落とす。
    ジュリエット? どんな悪夢を見てたの?と。









引用返信/返信
■18756 / ResNo.6)  チェリー3
□投稿者/ 恵麻 一般♪(7回)-(2007/04/21(Sat) 01:00:35)
    「ジュリエットかぁ・・・相変わらず飛ばすねえ 夏季サンも☆」
    「あのねえ・・笑い事じゃないわよっ なんであの人はあんななのっ? ふつーあーいうこと言う? 恥ずかしいったらありゃしないっ」

    初登校中の道すがら、ぷりぷりしながら口を尖らす親友の横で各務舞はにかっと笑う。
    二人して晴れて星蘭へ通える喜びを分かち合ったのもつかの間、先程の出来事を真っ赤になりながら語る美咲。ぶつぶつ「ヘンタイなんだから」と呟いている。
    「あたしも久しぶりだし会いたいな〜 夏季さんに。で、どんな夢見てたわけ?」
    「・・・・・・星蘭に落ちる夢・・・」
    「はぁ?」
    クールビューティが台無しだ、と美咲は思った。 何しろ鳩が豆鉄砲をくらったかのように口をぽかんと開けて自分を見つめているのだから。

    「・・なんでそんな夢みるかなあ」
    「だっ だってしょうがないじゃない! そりゃ舞は帰国子女だから英語もペラペラだしっ?頭もいいから星蘭の試験なんて簡単だったんでしょーけどっ 私はやっとの思いで入ったのよ?」

    やれやれ、すぐむきになるのも悪い癖だ。これも長い間あの夏季さんと比べられてきた結果なのだろうか。彼女には少々僻みっぽく、自分を過小評価しすぎるところがある。

    親友の自分が言うのもなんだが、美咲は普通に可愛い。
    ただ相手があの夏季さんだから。彼女と比べることなんてない。美咲には美咲の良さがあるのだから。
    芸能人相手に私なんて・・・と言ってるのと同じようなものだと舞は考えていた。


    「あのねえ・・私はそんなこと言いたいんじゃなくて。まだ発表前だったら分かるけどお分かり?
    今日は入学式だってこと。何でこんな日にそんな夢見るんだって言ってんの」
    「言わないで。なっちゃんにもそれは言われたから」
    それ以上はつっこむな、ということらしい。そっぽを向いた美咲に舞は溜息をつく。

    「それからさあ・・あんま自分を卑下する物の言い方って止めたほうがいいよ。気持悪いし。そんなだと夏季さんにも愛想つかされちゃうよ?」

    容赦ない言葉が美咲の胸に突き刺さる。好きでこんな風になったわけじゃないのだ。
    夏季のそばにいれば誰だって・・・・


    涙ぐんだ美咲を横目に舞は(いいすぎたか・・・)と罪悪感を感じていた。
    「ごめん。言い過ぎたかもだけど、でもね」
    「舞って前からだったけどオーストラリア行ってから毒舌に磨きがかかったよね」

    言い終わらないうちに美咲が切り出した。その顔に涙はもうない。
    彼女もこのままじゃいけないと思っているのだろう。その瞳にはっきりとした意思を感じる。
    「そりゃあたしも色々あったし? うじうじしてたら向こうではやってけないしね〜」
    そう言ってにかっと笑う。
    元々二人は幼馴染だったのだが、小学校へ上がる寸前に父親の都合でオーストラリアへと引っ越してしまった。以来メール等で連絡は欠かさず取り合ってきた仲だが、よくお互いに悩みを打ち明けていたりもした。特に異国で暮らす舞にとっては美咲との些細な繋がりはとても大事なものだった。

    おおらかな国だが、虐めがないこともない。 アジア人だと蔑まれたこともある。
    時に子供は大人よりも残酷な一面を持っている。
    幼少期に差別を受けた舞には、美咲の受けた傷が痛いほどわかる。
    だけど、そこで負けてはいけない。何も悪いことはしていないのだから。 もっと強くなってほしい。その思いがあるからこそ、きつく諭しもするのだ。

    (でも、もう必要ないみたいね)
    美咲の瞳は今までとは違う。これなら前みたいなことにはもうならないだろう。
    自分ももう日本にいるんだし、あの時とは違う。そばで守ってやれるんだから。何より夏季さんがそばにいる。

    手をかざしながら空を仰げば、春らしい陽気を感じることができる。
    (これからの学校生活が私たちにとっていいものでありますように・・・)
    隣にいる親友と微笑みあいながら、校門への道を急いだのだった。







    その頃、美咲の母 沙羅は姉である響子の元を訪れていた。といっても、隣なのだが。
    「いつも昼頃まで寝てるあんたがこんな時間に起きてるなんてめずらしーじゃない。なんかあったの?」
    「ん、これ夏季ちゃんにね〜」
    そう言って響子の目の前にマダムご用達のケーキ屋の箱が掲げられた。ココのは朝から並ばないとすぐに売切れてしまうほど大人気だ。どれだけ沙羅が朝早くに起きたかが想像できる。

    「ほんとに夏季ちゃんにはお世話になって・・・今日、星蘭の入学式なのよ。 在校生は確か休みよね?夏季ちゃん起きてる?」
    「ああ、あの子アレでも一応生徒会長らしいから、もうとっくに出てるわよ。 出る前に私の可愛い美咲ちゃんに窓から夜這い・・じゃないわね、朝這い?かけてたわよ? ったくあのバカ娘は。ちょっとは美咲ちゃんみたいに可愛らしくできないのかしらねえ」

    沙羅が夏季をベタ可愛がりしてるように、響子の美咲に対するソレも負けず劣らずのところがある。
    こうやってお互い実の娘より、姪を可愛がる光景は何とも滑稽だ。

    「でも美咲が星蘭に合格してくれてほっとしてるわ〜 姉さん覚えてる? 各務舞ちゃんって子」
    「確か、美咲ちゃんの幼馴染よね? オーストラリア行っちゃったんだったっけ?」
    「そう。高校からまたこっちで暮らすらしくてー それが同じ星蘭なのよ!」

    リビングのイスに腰掛けて紅茶を啜りながら、懐かしい話に花を咲かせた二人はふと昔のことを思い出していた。

    「これで夏季ちゃんも同じ学校だし・・・少しは安心だわ」
    「そうね・・・私も美咲ちゃんに二度とあんな辛い思いはさせたくないもの。 だから、最初は私は反対だったのよ?美咲ちゃんがあの子と同じ学校に入るのは」
    「姉さん・・・」

    美咲が夏季を避けるようになってからというもの、彼女を可愛がる叔母としては寂しかったがそのほうがいいのだとも思っていた。
    夏季のそばにいれば美咲は傷付くだけだ。彼女が悲しむ姿を見るよりはマシだった。

    「確かに私も心配だけれど、いつまでも逃げていては何にもならないわ。あの子達は従兄弟同士だもの。一生避けているわけにはいかないでしょう? それに・・・これは美咲が望んだことだわ。」

    そう、いつも逃げていた美咲が「星蘭に行きたい」と沙羅に頼み込んできたのだ。
    その瞳を見たとき、もう大丈夫だと確信した。あの子の決意が見えたからだ。

    本人がその気なら、私は親として応援するわ、そういった沙羅に響子もまた(私にできることなら何でもしよう)と決意を新たにするのであった。

























引用返信/返信
■18783 / ResNo.7)  NO TITLE
□投稿者/ 希 一般♪(1回)-(2007/04/23(Mon) 09:06:34)
    おもしろいです。続き楽しみにしています

    (携帯)
引用返信/返信
■19336 / ResNo.8)  チェリー4
□投稿者/ 恵麻 一般♪(1回)-(2007/06/25(Mon) 23:36:54)
    私立星蘭女子学院ー


    近所でも評判の美しい桜並木を上がった小高い丘の上にそれはある。
    星蘭の教育方針ー即ち『古き良きものを大切にし、尚且つ新しいものを取り入れていく柔軟な女性を育成する』を裏付けるかのように、明治時代からの古めかしき校舎と、最新設備を取り入れた近代的でモダンな校舎が違和感なく立ち並んでいる。

    生徒の自主性を重んじる学校は多々あれど、星蘭を代表する生徒会の持つ特異性は他にはないと言えるだろう。
    全学年から選ばれた生徒会のメンバーは星蘭の『顔』として常に良識ある態度と行動が求められる反面、ある権利が彼女らに与えられている。



    「へ〜 詳しいねえ。舞」
    「って、それはコレに書いてあるから」
    そういって舞は、学院案内のパンフレットを丸めてぽんぽん叩いた。

    「いや、でもその生徒会のこととか、校則を自分たちで云々は載ってないけど」
    そう、確かに教育方針はあれど、先程舞が言ったことなんてどこにも書かれていない。
    「当たり前よー コレは裏情報だもん。パンフにはそんなこと載せないでしょ」
    「・・・って情報源は?」
    「ん、うちの姉。」

    舞の姉、各務幸は今年度3年生で、生徒会長である夏季と同級生だ。
    夏季とはタイプが違うが、凛とした眼差しと腰まで伸ばした艶のある黒髪が妖しい魅力を醸しだして、今では夏季を人気を二分するほどまでになっている。
    彼女には美咲もまるで自分の妹のように可愛がってもらった。
    「そっか、幸さんだけ日本に残ったんだっけ・・・ ねえ、ところでそのある権利ってなんなの?」
    「それは・・・たぶんもうすぐわかるんじゃない?」
    舞の言うとおりその答えはすぐに解明されることとなるのだが、美咲はまだ知る由もない。




    適度な緊張感を伴う体育館の中。 入学式はまだ始まっていない。
    順序良く並ぶイスに座らされた新入生の顔立ちは皆初々しく、はつらつとしている。
    そんな中、壇上の影から美咲と舞を見つめる夏季と幸の姿があった。

    「美咲ちゃんいるわよ。久しぶりだわね〜 何年ぶりかしら」
    「こら あんま覗くなっつーのに」
    幸の首根っこを掴んでひっぱると、口を膨らませて抗議した。
    「ちょっとぐらいいでしょ。夏季だって気になるくせに。 ・・・でもよかったわよね」
    幸は眼を細めて美咲を見つめていた。
    「これで夏季が星蘭に入った意味があるっていうものよね」
    そう言ってにやりと妖しげな笑みを浮かべる幸にはきっと勝てない そう思った夏季だった。



    『これより第○回入学式をとりおこないます』
    マイクアナウンスの後、何事もなく式は進んでいるのだが。
    夢見が悪いせいで、次第に睡魔が美咲を襲おうとしていた。こういう堅苦しい雰囲気は苦手だ。
    眠っちゃいけないと思えば思うほど、眠気が倍増するのはどうしてなのだろう。
    軽く頭が船を漕ぎそうになって舞に注意された時・・・

    「新入生の皆さん。御入学おめでとうございます」
    澄んだ声がマイクを通して響き渡ると同時に美咲は、今までの眠気が嘘のようにぱちっと目を開けた。
    あっという間にこの場の空気が変わり、他の生徒たちも、明らかに先程と目の輝きが違う。
    同時に聞こえるのは「あの人かっこいい〜」という、お決まりのセリフ。

    「うわ〜 夏季さん相変わらずすごいね・・」
    「う、うん・・・」
    隣でそう呟く舞にも上の空の返事しかできない。 美咲の胸中は複雑だった。
    もう夏季は生徒たちの心を掴んでしまった。
    それも仕方のないことなのだろう。 だって何年も夏季のそばにいた自分でさえ、未だにドキドキさせられるのだから。 そんな夏季を誇らしいと思う。
    でもそれ以上にそんな夏季のそばにいることに引け目を感じてしまう。
    そして誰も夏季を見ないで欲しい 私だけの夏季でいてくれたらいいのにー
    そう思うのを止められなかった。
    ドキドキしながら壇上を眺める美咲と、夏季の視線が一瞬絡まり、そして・・・
    (・・え・・・・?)

    気のせいだろうか、いや、でも今確かに・・・
    夏季の形のよい唇が弧を描いた。微笑ったのだ。
    (何か、やな予感がするんですけど)
    夏季があのような表情をする時は、彼女が何かを企んでいる時。
    夏季と離れてからしばらく目にすることはなかった。
    (・・・・やっぱ入学やめとけばよかったかも・・?)
    夏季の微笑に軽く寒気を感じ、これからの学校生活に波乱があることを早くも察知する者が一人。
    何をカン違いしたのか、自分に笑いかけてると頬を染める者、大多数。
    そして・・
    (ふふっ 面白くなりそ〜)
    日本に戻ってきてよかったと、大いに学校生活を楽しみにしている者がこれまた一人。

    それぞれの思いが交錯する中、
    「改めて星蘭学院へようこそ。皆さんの学院生活が悩みのない楽しいものとなることを私達生徒会がお約束いたします。」
    生徒会長、高田夏季の声が体育館に響き渡った。











引用返信/返信

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■14913 / 親記事)  こんな恋のおはなし
□投稿者/ saya 一般♪(1回)-(2006/06/09(Fri) 17:29:26)
    2006/06/09(Fri) 18:54:18 編集(投稿者)

    「雨降る夜に 頼子の決心01」


    だめだった。
    ずっと言わない
    つもりでいたけれど
    もうだめだった。

    あたしはあたしを
    止められなかった。

    嫌われてもかまうもんか。
    もう、限界なんだもん。

    六月の雨降る夜に
    さしていたビニール傘は

    何の意味を持たず
    あたしの全身を濡らす。

    行き着いた先は
    圭子先輩の家。

    もともと来る気は
    なかっただけに

    すごく
    "ちょっとそこまで"的な格好。

    思い付きにもほどがある。

    ジーンズにTシャツ
    &スリッパ。。。

    ふん。シンプルでいいじゃない。

    いつだって
    行き当たりばったりの自分を

    今は悔やむ余裕もなかった。

    高ぶる想いを
    押さえ切れなくて。

    4年−
    初めて圭子先輩と会ってから
    4年のあいだずっと。

    気付かないフリしてた。

    でも、もう限界。

    切なすぎて死ぬ前に
    嫌われたっていいから

    あの人の記憶に
    残りたかった。


    (携帯)
引用返信/返信

▽[全レス13件(ResNo.9-13 表示)]
■15130 / ResNo.9)  sayaさん
□投稿者/ エビ 一般♪(46回)-(2006/06/24(Sat) 23:47:22)
    sayaさん、初めまして。
    て?(笑)

    小説、当初から拝見しています。
    主人公。
    空回りっぷりがとても良いです。
    可愛いです♪

    続き楽しみにしてるんで、
    頑張ってください。



    (携帯)
引用返信/返信
■15147 / ResNo.10)  エビさんへ
□投稿者/ saya 一般♪(7回)-(2006/06/25(Sun) 16:40:34)
    初めまして。

    じゃないです(笑)
    バスを乗り違え終点まで行く女
    沙耶です(笑)
    小説はsayaで挑戦中です。感想ありがとうございます(*^_^*)
    嬉しすぎて、携帯を持つ手が震えたりなんかしていません(笑)

    主人公。どうしようもなさすぎて大変なことになっていますが、今夜の更新でもうちょっと頑張ります!

    よかったらまた読んでください(*^_^*)


    (携帯)
引用返信/返信
■15155 / ResNo.11)  こんな恋のおはなし 6
□投稿者/ saya 一般♪(8回)-(2006/06/25(Sun) 23:27:57)
    「雨降る夜に 圭子のこれから03」


    雨はまだ降り続ける

    テレビでは相変わらず
    ハリーポッターと
    ロンは仲違い中で。

    真っ暗な部屋の中
    私の目は完全に
    暗闇に慣れてしまって。

    頼も同じなんだろう。
    恥ずかしいのか
    私の顔を見ようとしない。

    おとなしく
    髪を拭かれている。

    何故か体育座り(笑)

    本当なら
    気まずいはずの
    沈黙が

    自分でも
    不思議なくらい
    心地よくて

    多分、頼自信が持つ
    柔らかな空気が
    そうさせるんだろうけど。

    "触れてみたい"

    そう思ったことに
    何の嫌悪感も無かった。

    もう一度

    頼の唇に
    視線を落とす

    その視線に
    気付いた頼と
    目が合う。

    思わずドキっとする

    4年前より大人びた瞳

    頼の目はキレイ。

    瞳に吸い込まれるって
    今の私だ。

    「圭子先輩。」

    「。。。え!?」

    返事をするよりも
    早く。

    気付いた時には
    私は頼の腕の中にいた。

    突然のことに
    身動きの取れない私。

    頼の抱きしめる
    腕の力が少しだけ
    増して−

    胸のドキドキが
    痛いくらいに
    伝わって−

    「。。。先輩」

    「。。。。。。ん?」

    突然のことに
    言葉を発するのが
    遅くなってしまう。

    「圭子先輩、全然変わってない。」

    「。。。??」

    「ふつう、告白しにきたやつの鼻水なんて拭きませんよ。」

    「。。。そう?」

    「そうですよ!優しすぎます。。。そういうとこも好きなんですけど。。。」

    「。。。」

    頼の声がまた
    涙まじりになる。

    何も言えない自分が
    すごくもどかしい。

    それでも頼は続けて

    「圭子先輩。あたし今まで同じ女の人を好きになったり、自分がおかしいって思ってたけど、今日は言って良かった。先輩には迷惑をかけちゃったけど、あたし今すごく嬉しいんです。この気持ちは嘘じゃないって分かる。同じ女の人でも関係ないです。あたしは圭子先輩が好きなんです。」

    頼の雨に濡れた
    冷たい体から

    温くて凛とした
    優しい言葉が

    肌をとおして
    私の中に降り注いで

    「あたし、先輩の中に残れたかな」


    最後にぽつりと
    頼が言った。


    (携帯)
引用返信/返信
■15210 / ResNo.12)  こんな恋のおはなし 7
□投稿者/ saya 一般♪(9回)-(2006/07/01(Sat) 18:35:05)
    「雨降る夜に 頼子の決心04」


    雨はまだ降り続ける。

    ずぶ濡れの体
    涙でうわずった声
    予想外の鼻水。

    あぁほんと格好悪い。

    でも。
    言えた。

    やっと言うことが
    出来た。

    ずっと言えなくて4年。

    会いたいけど
    会えない。
    言いたいけど
    言えない。

    切なすぎて
    切なさで死ぬかと思った。いやこれマジで。

    先輩があたしの腕の中に!
    あたし、今すごい幸せ
    ビバ頼子!

    だけど。
    圭子先輩を抱き締めてる内に
    いや、その前から分かってた。

    "嫌われても構うもんか"
    そう思ってたけど

    それは嘘だ。

    思った以上に
    華奢なからだ
    4年前と変わらない
    柔らかな声
    優しい笑顔。

    あたしはどんどん
    この人を好きになる。

    この人の中に
    残りたくて仕方ない。

    あたし先輩の中に
    残れたのかな

    「残ったよ。」

    「え!?。。。あぁ」

    圭子先輩のその言葉で
    自分の心の声が
    かたちとなって出て
    いたんだと気付く。

    あぁ。もうやばい。
    そんなことにも
    気付かないなんて、
    あたし末期だ。

    圭子先輩は続けて

    「残ったよ。忘れられるわけがないよ。
    こんな雨の日に突然来て
    ずぶ濡れだし。泣いてるし。なにかあったかと思って
    本気で心配したんだから。」

    圭子先輩の言葉は
    温くて、
    冷たいあたしの体に
    優しく降り注いぐ。

    突然来て、ずぶ濡れな上に告白までしたのに
    心配をしてもらえていたなんて
    それだけでも、
    あたしはすごく幸せだ。

    「それに私、映画を見ようと思って
    部屋を暗くしてて、頼が来た時、結構怖かっ。。。あ!ハリーポッター!」

    そうそう。
    あたしはすごくハリーポッターだ。

    。。。!?

    「はりぃぽったぁ!?」

    何、急に言い出してんの圭子先輩!?と
    聞こうとした時には
    すでに遅くて。

    あたしは抱き締めていた腕をほどかれ

    勢いよく動いた圭子先輩は暗闇の中
    チカチカと光る
    テレビの前へ。

    転がるあたし。

    「あぁもう仲直りしちゃってるじゃない!」

    そう言いながら
    リモコンを探す
    圭子先輩。

    倒れこむあたし。

    。。。。
    何これ。
    あたし結構頑張ってたよね?
    仲直りって何!?
    映画に負けてんじゃ
    ないわよ自分!
    えーん!

    しくしく。と
    床でうずくまるあたしを
    発見した圭子先輩は

    「あ!?頼、ごめん!!」

    おろおろと
    "違うの違うの"と
    "ハリーとロンがいけないの"と
    フォローをしだした。

    何が"違う"のだろうか。
    何が"いけないの"だろうか。

    一世一代の
    告白だったのに。
    結構頑張ったのに。
    ハリーポッターに
    負けたあたし。
    先輩がハーマイオニーファンなら
    勝てないよあたし。
    あぁどこ行ったの
    ビバ頼子。

    けれど。

    本気でしまったという
    表情をして
    慌ててフォローをする先輩を見ていたら

    なんだか、もう
    どうでもよくなってしまって
    愛しい気持ちに
    負けてしまった。

    あぁやっぱりあたしは
    圭子先輩のことが
    好きで仕方ないんだ。

    これが、惚れた弱みってやつなのか。と

    「もういいですよぉ。お楽しみのとこ邪魔してすみませんでしたぁ。」と

    わざとすねたように言うと

    圭子先輩もそれが分かったのか

    「あはは。良かった」と笑った。

    ギュム(ハートをわしづかみにされた音)

    この笑顔が
    とてつもなく好きなのだ。

    4年間想い続けて
    良かった。
    あたし間違ってなかった。

    圭子先輩のこれからにも
    残っていけるように

    あたし、まだ頑張れる。

    雨はいつの間にか
    止んでいて
    空の色は朝の始まりを告げていた。

    うん。素敵な朝じゃないの♪

    「頼、ハリーポッター見ていかない?」

    ビバ頼子!(心の声)

    「はい!喜んで!
    圭子先輩、ハリーポッター好きなんですね♪」

    「え?ううん、ハーマイオニーが見たくって。」

    「えぇ!!?」




    「雨降る夜に」 おしまい。


    (携帯)
引用返信/返信
■19324 / ResNo.13)  Re[2]: こんな恋のおはなし 7
□投稿者/ れい 一般♪(1回)-(2007/06/25(Mon) 01:03:50)
    かなりいまさら感溢れますが…。。。
    すごい面白かったです。
    かなり主人公がかわいいですね。

    また読みたいなと思いました。
引用返信/返信

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■19247 / 親記事)  思い出
□投稿者/ 舞 一般♪(1回)-(2007/06/10(Sun) 13:09:49)
    彼女と過ごした4年間。思い出は沢山ありすぎて…別れてそろそろ1年。まだ、次の恋愛もできなくて…。もう少し思い出と生きようと思います。今、貴方は幸せに笑って新しい彼女と過ごしていますか?

    (携帯)
引用返信/返信

▽[全レス6件(ResNo.2-6 表示)]
■19254 / ResNo.2)  思い出―電話―
□投稿者/ 舞 一般♪(3回)-(2007/06/11(Mon) 19:09:25)
    いつもみたいにメールしてたらある日「電話しない?」って。人見知りするって聞いていたけど、


    『もしもし舞さんですか?ナツです…こんばんわ…今大丈夫でしたか?…………』


    あ、もう話す事ない?;電話でも人見知りするんだね…。この時私頑張って話繋げたなぁ(笑)初めての電話はすごく疲れた。そんな思いがあって、二回目に掛かって来た電話は疲れた思い出があってわざと出なかった(笑)ごめんね。メールでは「ちょっと手を離してて〜」なんて言ったけど。でもうっすら気付いてみたいだね、私がわざと出なかったの。

    (携帯)
引用返信/返信
■19257 / ResNo.3)  思い出―初対面―
□投稿者/ 舞 一般♪(4回)-(2007/06/12(Tue) 12:28:49)
    それからなんとかながらも、また電話をして少しずつ話すようになって、会おうかって事になった。始めて会ったのは12月。私が彼女のところに行った。彼女は隣県の人で、久しぶりに長時間電車に揺られた。当時カメラ付きの携帯電話なんて出始めたばかりで持っている人はあまりいなくて、私も彼女も該当者。なのでお互いの顔が分からないまま。夕方の時間帯的に電車の利用者が多くて簡単に見つけられなかった。最初から着いたら連絡をするように決めていたから電話をして彼女を探した。

    いた。彼女は3つ年上だったけど、なんとなく可愛い感じがする。彼女もこちらに気付いたみたいだけど…寄って来てくれなかった(笑)
    (まだ慣れないか…)
    「ナツさんですか?はじめましてー。舞です♪」
    「あ、はい…」


    (大丈夫なんだろうか…;)仲良くやっていける自信が少し減った。

    (携帯)
引用返信/返信
■19287 / ResNo.4)  思い出―告白―
□投稿者/ 舞 一般♪(5回)-(2007/06/17(Sun) 20:35:18)
    「付き合おう♪」

    そう言われたのは会って2回目の時、ベッドの中でかなり軽ーく。


    (軽い…;)


    確かに付き合う前からする事しちゃったけど、そんな軽いノリでいいの!?って思った。なんかとても適当な感じがしてしまった…だから断った。関係が切れても仕方ないと思ったけど不思議と切れなかったね。寧ろ仲良くなったよね(笑)電話でもよく話すようになったし、会ってもよく話すようになったね。というか会う度相変わらず軽いノリで告られてた気がする(笑)


    ある日別の友達に誘われてビアンのオフ会というものに初めて参加した。ナツも誘ったけど仕事で来れなくて、すごく心配してくれたよね、私が誰かについていかないかって(笑)心配性だなーって思ったし、なんだか嬉しかったよ。オフ会は人数こそ多くなかったけれど色んな人がいて、カップルもいた。眺めていたらすごく幸せそうで、私もナツとああいう風になれるかなぁ…って、自然とナツが思い浮かんだんだ。



    …おやや?


    その内一次会が終わって私は帰る事にした。


    ―カチャカチャ…
    プルルルル…プルルルル…プルッ…
    『もしもし!?』
    「ナツー?何してたー?」
    『テレビ…舞オフ会は?大丈夫?』
    「一次会が終わって帰る事にしたのー。大丈夫って何ー?(笑)大丈夫大丈夫!でさ…」
    『…何?』
    「…付き合おうっか?」


    電話の向こう側では狂喜乱舞と言っても過言でない位喜んでいるナツがいた。

    「よ、よろしくね…」
    『よろしくねー♪♪』
    顔が見えなくても笑顔でいるナツが浮かんで私も嬉しくなった。

    (携帯)
引用返信/返信
■19315 / ResNo.5)  思い出
□投稿者/ 舞 一般♪(6回)-(2007/06/23(Sat) 22:24:39)
    恋人になってから初めて会ったのは告白してから二日後。具合が悪くて寝ているって言うから看病をしに行った。徹夜で頑張るつもりでいたからブラック缶コーヒーを買って行った。ナツのお母さんにはちょっと怪しげに見られたんだよ、あまり見た事ない子が娘の看病しに来たって。でさ、ブラック缶コーヒー飲んで意気込んだのに、普段飲まないのにしかもブラックだったのがいけなかったのか私まで具合悪くしちゃったんだよね。看病しに行ったのに一緒にベッドで寝てナツに布団掛けてもらった事まだ覚えているんだ。初めて見に行った映画は模倣犯。近所で公開していないのに私が見てみたいって言ったからわざわざ遠くまで連れて行ってくれたよね。見たのはいいけど私には難しかったって言ったらナツにも難しかったって二人で笑ったね。初めてもらったプレゼントはキャラクターのヌイグルミ。すごく可愛くて未だに大切にしているよ。初めての喧嘩はいつだった…?いつから私の事好きじゃなくなった…?

    (携帯)
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■19322 / ResNo.6)  思い出
□投稿者/ 舞 一般♪(7回)-(2007/06/24(Sun) 22:11:05)
    いっぱい出掛けたよね。映画観るとトラブル多かったね。ナツはハリーポッターが大好きなんだよね。水族館には人がいっぱいいすぎて疲れたね。いちご刈り、さくらんぼ刈り、いっぱい食べてしばらくいらないーって言いながら次の日には食べてたよね。愛地球博のマンモスすごかったね。どこぞの国の人にやたら好かれたよね。花火大会毎年雨に見舞われたよね。ナツのお母さんと3人で見にも行ったよね。その時に買ってくれたキャラクターの提灯まだあるよ。ゲーセンでよくコインゲームしたよね。大当りした時はびっくりしたよ。季節外れの海に行って二人で話したね。なんで行ったのか未だに不思議。サーカスにも行ったね。すごく暑い日で大変だったよね。象さんと一緒に写真撮ったね。

    (携帯)
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