□投稿者/ ざぶ 一般♪(3回)-(2007/10/10(Wed) 10:45:42)
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春には桜を見に
近所の公園に行ったね。
君は楽しそうに
『キレイだね。』
って何処か遠くを見るように桜の木を見上げて言った。
『また来年も来よう。』
僕も迷わず答えたっけ。
繋いだ手の温かさに
少しだけ心が暖かくなった春の日だった。
夏になると海へ行ったね。
照り付ける陽射しに
君は目を細くして
僕に言ったね
『私は、夏が一番好き』
嬉しそうにはしゃいで
波と戯れる君は
肌がこんがり焼けて小麦色した僕の天使だった。
オレンジ色に空が模様を変えてくると
いつだって決まってこう言うんだ。
『帰りたくないね。』
寂しそうな顔をして
子供みたいに泣きそうになって
人がまばらになった砂浜をジーッと見つめていた。
だから僕も決まってこう言う。
『また来ようね。』
振り向く君にキスをして、僕達は、ようやく重い腰を上げるんだ。
秋になるとお祭りに行ったね。
君は子供みたいに
キャーキャー言って
あっちへ行ったり
こっちへ行ったり。
手を繋いでないと
何処かへ行ってしまいそうだった。
冬にはイルミネーションを見に色々な所に行ったね。
七色に着飾る冬の東京に目をキラキラさせて
『ずっと一緒。』
なんて愛を誓った。
楽しい事が好きで
外に出たがる君に
僕は一つだけ申し訳ないと思った事があったんだ。
それはね、
僕が男じゃないって事。
いくら夢を見たって
いくら神に願ったって
それは変わりようのない
事実だった。
知ってたよ。
君がソレを気にしていた事くらい。
分かってたけど
僕にはどーする事も出来なかったんだ。
(携帯)
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