| [なら、やめてしまいなさい]
頭が回らない
やっと出てきた言葉をやっとの思いで打つ
[店を?考えるのを?
メールもやっとだよ]
優奈が心配そうな目をしていた
スタンが鳴る
[ぜーんぶ。 そこまでして立ってる必要ある?]
叫びたくなった
[目標を失いたくない]そう打って携帯を閉じた
悟られまいと息を深く吐いて優奈を見ると
未だに泣きそうな顔をしていた
ポツリポツリと優奈が話し始めた
「あのね。友達に「優奈は仕事に逃げすぎだよ」って言われたの。」
「うん」
「実際に辛いことがあると仕事に行くことが多くて、逃げ場なんだと思う。現実逃避なんだよ。」
「それも必要だと思うけどね。」
「友達はもっと頼りなよって言ってくれたけど、迷惑なんじゃないかって思ってできない。」
「高校の時のトラウマじゃない?また裏切られるんじゃないかって心の底にあってできないんじゃね?」
「そうかもね…。でも友達は今会いたいって言っても来れないのが当たり前だけど、お客さんなら必ず来てくれるから…」
「トラウマで甘えることが出来ないんだよ。同い年だからっていうのもあるかもしれないけど、相手に果たして自分を受け入れる余裕があるのか解んないんじゃない?余裕が無ければ拒否されるんじゃないかって思ってんじゃね?」
「うん…」
「もしかしたら実際にそのキャパはないかもしれないよ。でも友達がいくら手を差し伸べても、その手を拒否してたら何も変わらないよ。踏み出さなきゃその人の器さえ見えないままだよ。」
「…うん…」
あ、優奈が泣く
その時スタンが鳴り響いた
(携帯)
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