ビアンエッセイ♪

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貴女の官能的なビアンエッセイやノベル
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■19453 / 親記事)  -とろけるフォンデュ-
□投稿者/ Puriko 一般♪(1回)-(2007/07/12(Thu) 19:08:59)
    2007/07/13(Fri) 00:36:32 編集(投稿者)

    始めまして!
    Puriko(プリコ)です


    服飾系専門学校を舞台に
    個性豊かな登場人物達の恋模様を綴って行きます

    服飾系ということで
    様々な実際のブランド名・ショップ名を乱用します。
    勝手な起用ですがそこは軽く目をつぶっていただいて……汗

    主人公由紀子達が住む世界をリアルに感じていただきたいです。



    ではどーぞ(*^^*)


引用返信/返信

▽[全レス19件(ResNo.15-19 表示)]
■19509 / ResNo.15)  13
□投稿者/ Puriko 一般♪(15回)-(2007/07/22(Sun) 00:47:15)
    もしやさ……
    恋してんのかな


    学校に着きカフェテリアでカフェオレを飲みながらジャンプを読んでいた


    恋かぁめんどくせ


    いつも自分の身に『恋』がふりかかるとアイツの顔が頭の中にふってきて

    いつもいつも邪魔をする


    恋なんてめんどくさい

    そうやって片付ける癖がもうついている


    『おはよ由紀子』

    『お!あいこ…おはよー』

    今日もあいかわらずフワフワしてんなぁ

    『ねぇーねぇー由紀子♪今日さぁ弥華ちゃんとカラオケとかどー?』

    思わず手にもったカフェオレをこぼしそうになった


    『あんた達もうすぐ1限目始まるよ?』

    『あ!友香!今日カラオケどおー?みーかーちゃんと♪♪♪』

    あいこは友香の白い腕に巻き付いて子供みたいにまとわりついた。

    『はいはい、本当あんたは遊ぶことばっかねー弥華ちゃんは行きたいっていってるの?あいこの事だから無理矢理誘ってるんじゃないでしょうね。』



    『ちょっ…あぁ!』

    友香は、なんでもないように由紀子が飲みかけのカフェオレを一口飲んだ


    『ちーがーうもぉんー友香のばかばかぁ』


    あいこはまだ友香にまとわりついてキャンキャン子犬みたいにさわいでいる



    弥華ちゃんが来る!
    緊張してきた……
    ってかアイツいつの間にあんなに弥華ちゃんと仲良くなってんだ!

    む……むかつく



    『あら、由紀子まだこんなの読んでるの?』

    そういいながら由紀子の持つジャンプを友香はつまみながらからかうように言った

    うるせーなぁ
    ジャンプくらい読んだって………

    て…いゃ!それどころじゃない

    うん……それどころじゃ

    いや!だからその弥華ちゃんと………



    『ちょっとー!由紀子遅い!!!』

    『おぉ!ゴメン!』

    気が付いたら二人は廊下のだいぶ先にいた。






    この日も有り得ないくらい暑かった…

    サラリーマンの中島さんはあまりの暑さに朝からビールが飲みたくなった

    主婦の高橋さんは子供をプールへ連れていく事にした


    恋が始まるには暑すぎた

    甘い甘いチョコレートケーキは限界で

    とろとろに
    どろどろに

    溶けそうだった





    廊下を走る

    走る

    夏なのにスキニーにエンジニアブーツを穿いている由紀子は
    ゴールデンレトリバーみたいな髪の色をした由紀子は

    走った

    廊下を


    おもいきり



    (携帯)
引用返信/返信
■19736 / ResNo.16)  14
□投稿者/ Puriko 一般♪(16回)-(2007/08/10(Fri) 05:43:13)
    『ねぇ聞いてる?』

    『………あぁっ!ごめん!何だっけ??』


    今日の学食のB定食は
    焼き肉丼だ

    由紀子はどんぶりをもって焼き肉丼を頬ばったまんまぼーっとしていた


    ちょうどさっき授業が終わって教室を出た所
    なんと弥華ちゃんに出くわしメルアドを交換した

    『あっ!由紀子ちゃん!メアド聞こうって思ってこの教室で授業やってるって聞いたから来てみたの』

    『ぇえ!あっっうん!あ………ありがと!な……なんかワザワザこさせちゃって…』

    噛みすぎである

    『ぅうん♪あいこに聞こうとも思ったんだけどねやっぱり直接聞く方がいいかなぁって♪♪』


    あいこも確か着ていたことがあるはずのNe-netのボトムにギャルソンのTシャツと言うカジュアルなコーデ

    以外にカジュアルな雰囲気も似合うんだなぁ

    なんて呑気な事を思っていた由紀子だった



    ……というわけで
    友香の話も上の空で先程の想定外な嬉しい出来事に頭がぼーっとしていたわけだ

    弥華ちゃんあいこってもう呼び捨てにしてた……いつのまに…くそっあいこめ!!!

    さっきまで
    噛み噛みだったくせに
    もう既に強きなアホである

    『だからさぁー私が入ってるショーチームが今度ブラックキャンディーに出るからそのモデルやらない?って言ってんの』

    ブラックキャンディーとは服飾・デザイン・美容系の専門学生・大学生が中心となるファションイベントだ
    当日はファションショーや展示アート・ライブなど参加型コミュニティイベントである
    中々有名なイベントで某雑誌人気読者モデルなんかもショーにでたりする

    『も…モデル?…うちがあれに出んの?ま…まさか』

    『うん由紀子背はまぁ高いしいースタイルしてるから、当日は私もモデルするからさ!ね?…人手足んないんだ』
    友香が手を合わせて
    由紀子に頭を下げた


    またしても予想外な衝撃的な話に頭がショートした由紀子であった



    (携帯)
引用返信/返信
■19737 / ResNo.17)  15
□投稿者/ Puriko 一般♪(17回)-(2007/08/10(Fri) 05:44:33)
    『あ……うん』

    なんとも友香の巧妙な話術に気を少し良くした由紀子は要求を受け入れた

    『できるかなぁうち…』

    同じショーチームに所属している万由美はスタッフをするらしい

    『おお!友香の話術にのせられたか!!ふはは』

    後から話を聞いた万由美はニヤニヤしながらそういった………

    今回はメンズモードを基本としたにマニッシュだったりユニセックスだったりクールだったりといったメンズ服をテーマにしたショーを展開するらしい

    なので男性のモデルが多いが、少ない女性モデルの中に友香と由紀子も加わる事になった

    『うぁ♪由紀子モデルデビューじゃぁん!弥華ちゃんと応援しにいくねぇ』

    キラキラした笑顔であいこは由紀子にそう言った

    弥華ちゃんも来るとなると更に緊張する由紀子である


    【と…いうわけ何だよねぇォォォヌ本当今から緊張だよゥどうしよ(;´Д`)】

    【そっかぁマ窒ナも大丈夫だょ泓R紀子かっこぃぃし絶対上手くいくょ(ノ≧∀≦)ノあいこと観に行く約束したから 】

    さっきから弥華とメールしている由紀子はニヤニヤがとまらない。いつのまにかお互い呼び捨てで呼びあっている。

    うほーかっこいいとか言われてしまった!

    久しぶりに浮かれている由紀子がそこにいた
    恋?とまでいかないけど少しあの青春した高校生の頃にもどっている気がした。

    固い塊が少しずつ溶けていってる気がして

    捕われた心が少しほぐれて
    なんとなく忘れるきっかけを掴めそうだと思った

    嬉しかったり・ぼーっとしたりドキドキしたり
    単純に真っ直ぐに何も考えずに浮いてきたこの感覚は久しぶりだった。


    (携帯)
引用返信/返信
■19738 / ResNo.18)  16
□投稿者/ Puriko 一般♪(18回)-(2007/08/10(Fri) 05:45:35)



    『ストップ!そこで止まってターンしてきて!!!』

    リズム体だけが刻む曲が響く………
    何度も練習して衣装のフィッテングをしてとうとう本番は明日に迫った




    『そう…でスタッフは3時には控えてるから、フィッテングはリハの後すぐね』

    責任者の友香はしっかりした声で最終ミーティングをデザイナー達と進めている

    由紀子はコンビニおにぎりを頬張りながらオカズにポテチを食べていた

    『あんたいくらなんでも本番までその食欲おさえたら??』

    『……腹へってんの!緊張したって腹は減る!』

    2個目に差し掛かる鮭にぎりを手に持ちながら万由美を睨んで言った

    『しかもオカズがポテチって………』

    万由美が苦笑いで由紀子のポテチをパリッとかじりながら言う

    『以外に合うんだって!』


    本番は明日

    緊張しつつもお腹だけはすく由紀子は単細胞かもしれない


    (携帯)
引用返信/返信
■21004 / ResNo.19)  Purikoさんへ(^^)
□投稿者/ あい 一般♪(1回)-(2008/07/17(Thu) 05:36:29)
    はじめまして、Purikoさん、こんにちは。
    すごくお話しが面白くて、おもわず書き込みします(^^*)

    主人公の由紀子ちゃん、すごいタイプです。可愛くてかっこよくて…好きです(^^*)

    最新の更新が、もうだいぶ前なのですが…
    続きが、すごく読みたいです(^^*)

    由紀子と、弥華ちゃんの関係…明海ちゃんとの関係…気になります(><*)
    由紀子と弥華ちゃんの恋の話しが、すごく読みたいです(^^*)

    もう、見ていらっしゃらないかもしれないですが…
    続きを書いてくださったら…嬉しいです(^^*)
引用返信/返信

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■19438 / 親記事)  君と。
□投稿者/ 累 一般♪(1回)-(2007/07/10(Tue) 08:28:36)
    「維にはわかんねーよ!僕の気持ちなんか!!」

    バタンッ

    閉まるドア。
    またこのパターン。

    維は部屋の、閉まったドアを見つめた。

    …今晩も、帰って来ないんだろうな。

    浮かんだ言葉がまた維を追い詰める。
    カシュッ

    君を苦しめたかったんじゃない。
    責めたかったんじゃない。
    …ただ、君が

    (携帯)
引用返信/返信

▽[全レス8件(ResNo.4-8 表示)]
■19447 / ResNo.4)  君と。3
□投稿者/ 累 一般♪(5回)-(2007/07/11(Wed) 07:26:54)
    …今に至る。
    会社は軌道にのり、裄は仕事を辞めた。

    綺麗な維に憧れと羨望を抱いていた裄は、髪をオレンジ色に染めた。
    太陽のような存在でいたい。
    見た目から中身を奮い起たせたい。

    髪を染めることで気持ちも落ち着いた。



    (携帯)
引用返信/返信
■19459 / ResNo.5)  君と。4
□投稿者/ 累 一般♪(6回)-(2007/07/12(Thu) 20:14:15)
    カタン…

    そう、私が彼女と別れられずに体の関係が続いていたあの日も、君はそのドアから飛び出した。


    ーガチャ…
    『ゅ、維?』

    白いシーツ
    歪むしなやかな腰の線
    綺麗な長い髪の毛
    白いなめらかな肌

    「あ、裄。ごめんね、今…」
    バンッ!


    ー恥ずかしく思った。君はかっこいいし綺麗だから、恋人がいて当然。なのに、僕は嫉妬した。君は僕をそんな風に見てないことくらい、わかっていたはずなのに。

    (携帯)
引用返信/返信
■19460 / ResNo.6)  君と。5
□投稿者/ 累 一般♪(7回)-(2007/07/12(Thu) 20:32:50)
    2007/07/12(Thu) 23:22:26 編集(投稿者)

    裄はそれからしばらく家にこなくなった。忙しいんだと、気にしないようにした。
    …でも、気になった。何で気になるのかは、わからなかった。不思議な気持ちだった。

    『会いたい』一言メールした。

    「維。」
    目の前に現れた君を抱き締めて、もうはなさないと思った。

    その夜私は、君を抱いた。

    (携帯)
引用返信/返信
■19474 / ResNo.7)  君と。6
□投稿者/ 累 一般♪(8回)-(2007/07/14(Sat) 07:08:02)
    焼けた肌
    映える綺麗なオレンジの短い髪
    意外に細い首すじ
    緊張した頬
    そらした瞳

    すべてが新鮮で。
    いつもの君とは違うその表情に夢中でキスをした。

    君の目には私がうつっていてほしくて。告白できないまま、彼女と別れられないまま…。

    君は、今どこにいる?

    篠のところ?亜美ちゃんの家?
    それとも、佐奈のところ?

    君が誰と何をしようが、私には束縛する権利も嫉妬する権利もない。

    君だけの特別に、なりたい。

    (携帯)
引用返信/返信
■19480 / ResNo.8)  君と。7
□投稿者/ 累 一般♪(9回)-(2007/07/15(Sun) 23:59:11)
    ー僕はまた逃げた。
    あなたには愛しい恋人がいる。
    突きつけられる事実に、僕は耐えられなくて。

    「佐奈」
    「裄、いらっしゃい」

    招き入れて優しく包んでくれる佐奈に甘えて眠りにつく…

    このままじゃいけない。なのに進めない。
    いつまで想えば、あなたは僕をみてくれますか?

    「…裄…」
    佐奈を抱いている僕を軽蔑しますか?
    あなたが彼女を抱いて帰ってきたのをみて、嫉妬せずにはいられない。
    僕はあなたを愛しています。

    (携帯)
引用返信/返信

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■19411 / 親記事)  叶わぬ恋
□投稿者/ 麻 一般♪(1回)-(2007/07/07(Sat) 09:42:01)
    2007/07/07(Sat) 09:44:37 編集(投稿者)

    『私たちホントに似てるね』

    そうあなたに言われて私は改めて実感した。

    不器用だから素直に本音を話せないところも、強がるところも、でもめちゃくちゃ弱くて甘えん坊なところも私たちは似ていた。



    ただ違うところはあなたがノンケで私がビアンだということ。。

    (携帯)
引用返信/返信

▽[全レス26件(ResNo.22-26 表示)]
■20766 / ResNo.22)  P
□投稿者/ 麻 一般♪(5回)-(2008/04/03(Thu) 19:35:45)
    人間なんて弱いものだ…

    そう痛感させられるのは彼女と喧嘩をするとついつい携帯を手にしてしまう自分がいる時。


    彼女とデートをしていてもサクラと同じ香水が匂うたびに振り返り目で追ってしまう。


    彼女には気ずかれていない自信はある。
    けど罪悪感もある。


    サクラが夢に出てきた夜は何時であろうと彼女を求めてしまう。


    人間なんて本当にちっぽけで弱いものだ。

    (携帯)
引用返信/返信
■20779 / ResNo.23)  Q
□投稿者/ 麻 一般♪(6回)-(2008/04/08(Tue) 09:27:19)
    『傘持ってないし、最悪…』


    「…みっけた♪これでなんとか…」


    今日みたいな雨の日は学生の頃を思い出す。あの日は今日みたいな雨で、私たちは傘を持っていなかった。

    あるのは隅に捨てられた壊れた傘一本。
    意味があるのかないのか分からないような傘。


    『それ壊れすぎじゃない?意味なさそう』
    とサクラはいつもの笑顔で笑う。

    「ちょっとはマシでしょ。ホラ、置いてくよ」

    『待って…』
    と慌てた顔をして私に腕をまわしてきた。

    2人でボロボロの傘をさし、ずぶ濡れになりながら次の授業の校舎へと走っていく。


    今、私が傘を差し延べたら入ってくれますか?

    (携帯)
引用返信/返信
■20780 / ResNo.24)  R
□投稿者/ 麻 一般♪(7回)-(2008/04/08(Tue) 09:42:55)
    私には現在彼女がいる。
    明るくて優しくてかわいくて。
    きっとタイプで言えばど真ん中。

    すごく愛しいし、愛してる。

    でもサクラじゃないといけない理由はなんなのだろうか。


    あの笑顔。
    今はとても悲しそうに微笑むあの笑顔ではなく、再び昔のくったくのない笑顔が見たい。

    強がりのサクラの拠り所でいたい。

    (携帯)
引用返信/返信
■21033 / ResNo.25)  S
□投稿者/ 麻 一般♪(1回)-(2008/08/01(Fri) 14:03:10)
    『海行きたいな…』
    会社帰りに2人で飲みに行った時にサクラが小さい声で言った。

    「いいね。行こう!」きっと独り言のつもりだったのかもしれない。私の返事に、
    『本当?約束だよ!』とサクラがはしゃいだ。
    すごくかわいくて、とても愛しくて私はビールを飲み干し立ちあがった。

    キョトンとしているサクラの手を取り、
    「まだ間に合う」
    と駅まで2人で駆け出した。
    あの時の¨まだ間に合う¨は電車のことか私の関係か自分でも分からない。

    ただ酔った勢いで映画のワンシーンみたいにサクラの手を握ってしまった。
    お酒の力は怖すぎる…

    海に着く頃には終電なんてなくてただ海を見つめながらぼーっとしていた。


    このままでいたい気持ちと現実との狭間で私はサクラを見る事は出来なかった。


    海で一晩過ごしたスーツはとても潮臭いこと。
    帰ってから同棲している彼女に連絡しなかったことで怒られたこと。
    これこそ今の私にとっての現実なのだ。

    (携帯)
引用返信/返信
■21790 / ResNo.26)  21
□投稿者/ 麻 一般♪(1回)-(2014/03/19(Wed) 12:00:45)
    あれから数年が過ぎた。

    私の想いは相変わらずで、

    サクラの愛しさも相変わらず。

    メールがくる度、会いたいと言われる度、私の心をかき乱す。

    会いたい。

    愛してる。

    そばにいたい。

    (携帯)
引用返信/返信

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■19247 / 親記事)  思い出
□投稿者/ 舞 一般♪(1回)-(2007/06/10(Sun) 13:09:49)
    彼女と過ごした4年間。思い出は沢山ありすぎて…別れてそろそろ1年。まだ、次の恋愛もできなくて…。もう少し思い出と生きようと思います。今、貴方は幸せに笑って新しい彼女と過ごしていますか?

    (携帯)
引用返信/返信

▽[全レス6件(ResNo.2-6 表示)]
■19254 / ResNo.2)  思い出―電話―
□投稿者/ 舞 一般♪(3回)-(2007/06/11(Mon) 19:09:25)
    いつもみたいにメールしてたらある日「電話しない?」って。人見知りするって聞いていたけど、


    『もしもし舞さんですか?ナツです…こんばんわ…今大丈夫でしたか?…………』


    あ、もう話す事ない?;電話でも人見知りするんだね…。この時私頑張って話繋げたなぁ(笑)初めての電話はすごく疲れた。そんな思いがあって、二回目に掛かって来た電話は疲れた思い出があってわざと出なかった(笑)ごめんね。メールでは「ちょっと手を離してて〜」なんて言ったけど。でもうっすら気付いてみたいだね、私がわざと出なかったの。

    (携帯)
引用返信/返信
■19257 / ResNo.3)  思い出―初対面―
□投稿者/ 舞 一般♪(4回)-(2007/06/12(Tue) 12:28:49)
    それからなんとかながらも、また電話をして少しずつ話すようになって、会おうかって事になった。始めて会ったのは12月。私が彼女のところに行った。彼女は隣県の人で、久しぶりに長時間電車に揺られた。当時カメラ付きの携帯電話なんて出始めたばかりで持っている人はあまりいなくて、私も彼女も該当者。なのでお互いの顔が分からないまま。夕方の時間帯的に電車の利用者が多くて簡単に見つけられなかった。最初から着いたら連絡をするように決めていたから電話をして彼女を探した。

    いた。彼女は3つ年上だったけど、なんとなく可愛い感じがする。彼女もこちらに気付いたみたいだけど…寄って来てくれなかった(笑)
    (まだ慣れないか…)
    「ナツさんですか?はじめましてー。舞です♪」
    「あ、はい…」


    (大丈夫なんだろうか…;)仲良くやっていける自信が少し減った。

    (携帯)
引用返信/返信
■19287 / ResNo.4)  思い出―告白―
□投稿者/ 舞 一般♪(5回)-(2007/06/17(Sun) 20:35:18)
    「付き合おう♪」

    そう言われたのは会って2回目の時、ベッドの中でかなり軽ーく。


    (軽い…;)


    確かに付き合う前からする事しちゃったけど、そんな軽いノリでいいの!?って思った。なんかとても適当な感じがしてしまった…だから断った。関係が切れても仕方ないと思ったけど不思議と切れなかったね。寧ろ仲良くなったよね(笑)電話でもよく話すようになったし、会ってもよく話すようになったね。というか会う度相変わらず軽いノリで告られてた気がする(笑)


    ある日別の友達に誘われてビアンのオフ会というものに初めて参加した。ナツも誘ったけど仕事で来れなくて、すごく心配してくれたよね、私が誰かについていかないかって(笑)心配性だなーって思ったし、なんだか嬉しかったよ。オフ会は人数こそ多くなかったけれど色んな人がいて、カップルもいた。眺めていたらすごく幸せそうで、私もナツとああいう風になれるかなぁ…って、自然とナツが思い浮かんだんだ。



    …おやや?


    その内一次会が終わって私は帰る事にした。


    ―カチャカチャ…
    プルルルル…プルルルル…プルッ…
    『もしもし!?』
    「ナツー?何してたー?」
    『テレビ…舞オフ会は?大丈夫?』
    「一次会が終わって帰る事にしたのー。大丈夫って何ー?(笑)大丈夫大丈夫!でさ…」
    『…何?』
    「…付き合おうっか?」


    電話の向こう側では狂喜乱舞と言っても過言でない位喜んでいるナツがいた。

    「よ、よろしくね…」
    『よろしくねー♪♪』
    顔が見えなくても笑顔でいるナツが浮かんで私も嬉しくなった。

    (携帯)
引用返信/返信
■19315 / ResNo.5)  思い出
□投稿者/ 舞 一般♪(6回)-(2007/06/23(Sat) 22:24:39)
    恋人になってから初めて会ったのは告白してから二日後。具合が悪くて寝ているって言うから看病をしに行った。徹夜で頑張るつもりでいたからブラック缶コーヒーを買って行った。ナツのお母さんにはちょっと怪しげに見られたんだよ、あまり見た事ない子が娘の看病しに来たって。でさ、ブラック缶コーヒー飲んで意気込んだのに、普段飲まないのにしかもブラックだったのがいけなかったのか私まで具合悪くしちゃったんだよね。看病しに行ったのに一緒にベッドで寝てナツに布団掛けてもらった事まだ覚えているんだ。初めて見に行った映画は模倣犯。近所で公開していないのに私が見てみたいって言ったからわざわざ遠くまで連れて行ってくれたよね。見たのはいいけど私には難しかったって言ったらナツにも難しかったって二人で笑ったね。初めてもらったプレゼントはキャラクターのヌイグルミ。すごく可愛くて未だに大切にしているよ。初めての喧嘩はいつだった…?いつから私の事好きじゃなくなった…?

    (携帯)
引用返信/返信
■19322 / ResNo.6)  思い出
□投稿者/ 舞 一般♪(7回)-(2007/06/24(Sun) 22:11:05)
    いっぱい出掛けたよね。映画観るとトラブル多かったね。ナツはハリーポッターが大好きなんだよね。水族館には人がいっぱいいすぎて疲れたね。いちご刈り、さくらんぼ刈り、いっぱい食べてしばらくいらないーって言いながら次の日には食べてたよね。愛地球博のマンモスすごかったね。どこぞの国の人にやたら好かれたよね。花火大会毎年雨に見舞われたよね。ナツのお母さんと3人で見にも行ったよね。その時に買ってくれたキャラクターの提灯まだあるよ。ゲーセンでよくコインゲームしたよね。大当りした時はびっくりしたよ。季節外れの海に行って二人で話したね。なんで行ったのか未だに不思議。サーカスにも行ったね。すごく暑い日で大変だったよね。象さんと一緒に写真撮ったね。

    (携帯)
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■19228 / 親記事)  色恋沙汰
□投稿者/ 琉 一般♪(1回)-(2007/06/07(Thu) 16:03:39)
    もしも人生をやり直せるとしたら、私は高校生に戻りたい。

    二度として出会えない、あなたに逢えたから…
引用返信/返信

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■20186 / ResNo.96)  第一章 さくらいろ (82)
□投稿者/ 琉 ちょと常連(90回)-(2007/10/16(Tue) 08:01:17)
    「送っていくわ」
    校舎から出たところに横付けされてある車の前で、真澄が言った。
    他の役員や希実までもが、家の送迎専用車やタクシーで帰るというので、
    駅まで一人暗い夜道を歩いて下校しようとしていた和沙には朗報だった。
    「…あ、ありがとうございます」
    お辞儀をしながら、ふとその送ってもらえるという車を眺めた。

    こ、これは…

    世間でいうところのリムジンじゃないですか!
    縦長の豪華な車体に、隅々まで手入れが行き届いていることが伺える外観は、
    誰もが認める高級車だった。
    こんな車、和沙は実際に見たこともなければ乗ったこともない代物である。
    せいぜいテレビ番組で紹介されているのを覚えているくらいだ。
    須川家の送迎車もすごいと感心したが、この車はさらにそれの上をいく…
    いや、それどころか比較にもならないくらいの存在感を放っている。

    「早く乗りなさい」
    茫然と立ち尽くす和沙に呆れながら、真澄は車の中にさっさと押しこんだ。
    外はもうすっかり寒くなっていて、おまけに今の和沙は
    制服のジャケットを着ていないものだから、
    適切な行動といえば…まあそうかもしれない。
    乗りこんでみると、想像以上に内装も絢爛豪華だった。
    広い座席はフカフカの乗り心地で、足だって悠々と伸ばせる。
    テレビがついている乗用車も最近では珍しくなくなったけれど、
    この車の場合、さらにミニ冷蔵庫やパソコンまで完備されていて、
    望めばドリンクバーも自由だし、車内に居てインターネットまでも楽しめる。
    庶民にとっては、まさに動くどこでもドア状態のこの車も、
    真澄は慣れきっているのか全然興味がなさそうだ。

    「父がね…」
    急に話題を振るから、何のことかと和沙は一瞬身構えた。
    「ビジネスでこの車を使っているから、常にネット回線を張り巡らせたり、
    最新技術の導入に余念がないのよ」
    何か飲む、と冷蔵庫を開けながら、真澄は尋ねてきた。
    「そういえば、会長のお父様って…」
    自分で言いながら、和沙は自らの頭をフル回転させて
    彼女にまつわる情報をかき集める。
    えっと、確か…そうお父上がお医者様で、大企業の社長さんでしたっけ…
    何となくだが、クラスメイトの西嶋さんからそう教わった気がする。
    しかし、父親が医師ということは…彼女の家は医系一家なのだろう。
    将来のために、また単に興味を刺激されるということも相まって、
    和沙はそれとなく探ってみた。
    「いや、でも先ほどは見事に薬品を言い当ててすごいですよね」
    露骨になりすぎないように、かといって、全然的を得ない回答が
    返ってくることがないように、細心の注意を払った。
    それなのに。
    肝心の真澄の方はというと…煮え詰まらないといった
    何ともはっきりしない顔をしてみせた。

    また、失敗したか…

    早くも次の手段を考えている和沙に、
    真澄は例の破けて使用済になった錠剤入れを裏返して寄こした。
    手渡されたとはいえ、至って普通のプラスチックゴミのように
    思えたそれには、アルファベットで何かが印字されていた。

    なに?TG…?

    メーカーの名前だろうか。
    このご時世、横文字の会社名なんていくらでもある。
    というか、最近目にする話題の企業なんてほとんどが英語か
    ローマ字かカタカナ表記だ。
    だから和沙は、この二文字を見ても、真澄の意図していることが
    ちっとも解読できないでいた。

    「高柳グループよ」
    「え?」
    突如、真澄が口を開いたと思ったらこれである。
    和沙が目を白黒しているうちに、真澄は再び補足した。
    「この薬、うちの会社が作ったの」
    分かりやすいが故に、和沙には衝撃だった。
    けれど、驚いている暇などないというかのように、真澄は話を続ける。
    「最近、強硬派が最新薬の開発を推し進めているとは聞いていたけど…
    全く迷惑なことをしてくれたわ。
    うちが製造した薬品で、本校の生徒に危害が及んだりしたら…
    後味が悪いっていったらないもの」
    吐き捨てるように話す彼女は、うんざりした様子だった。
    「会長はもしや、あの場で苦情に対処していたんですか?」
    それがどうした、といった表情でふんぞり返る真澄に、和沙は項垂れた。

    さよか…やっぱりこの人…

    現実主義だ。
    将来、間違いなく大企業のトップに立つ器なんだろうな、と納得し、
    和沙は妙な哀愁感に浸った。
    棲む世界が違う人間と話す機会というのは、そう滅多にあるものではない。
    それならば、今日この時間に同席できた幸運に感謝するのが
    最もとるべき行動にふさわしい気がした。
    そうこうしているうちに、車は和沙の自宅前に到着してしまった。
    送ってもらったお礼を言ってから、和沙が車から降りようとすると、
    真澄は何かを思い出したように腕を掴んで呼びとめる。
    一体どうしたというのか。
    「良い?月曜日は授業に遅刻しそうになっても気にしないで。
    あらかじめ先生には説明してあるから。
    だから、絶対に体育館裏から離れちゃだめよ?」
    真澄が珍しく真剣な表情で念押しをする。
    「は、はい…」
    和沙の返事を確認すると、専用のドアマンがバタンと扉を閉め、
    脱帽してから一礼する。
    どこまでも行き届いた従業員ばかりのようだ。

    にしても…

    真澄の最後の話は何だったのか。
    教師に事前の許可をもらっているなら、
    こちらだって別に逃げたりしないというのに…
    和沙はひとしきり首をかしげながら、
    去っていく一台の高級車を見送った。
引用返信/返信
■20188 / ResNo.97)  第一章 さくらいろ (83)
□投稿者/ 琉 ちょと常連(91回)-(2007/10/16(Tue) 16:53:35)
    翌日も、そのまた翌日も、何も手につかない現状が続いて、
    今日はもう運命の月曜だ。
    そして、ここは指定された第一体育館の裏手にある草むら。
    隣には…もう一人の相棒、希実が居る。
    役者は揃った。
    後は…そうあとは目的の人物が来るのを今かいまかと
    待っているというのに…

    「来ないじゃん!」
    我慢していた堪忍袋もとうとう切れかかり、和沙は叫んだ。
    まあまあ…とそれをとりなすのは、何故か希実。
    いつもと立場が逆転しているのは、たぶん時間に厳しい生徒会に
    腹が立ってのことだ。
    時計はもうすぐ九時を回ろうかという頃。
    いつもなら、この時間にはホームルームはおろか、
    一限目ですら始まっている。
    真澄たちは、担任だけでなく、科目教諭の許可も
    忘れずに取ったのだろうか…
    『待っているようには伝えましたが、
    まさか授業開始のチャイムにまで気づかないなんて』
    悲愴な顔をして口元にハンカチを押しあてる真澄。

    ああ、嫌だ…

    だんだん、想像できてしまうから恐ろしい。
    立場上からくる保障もあるだろうが、それ以上に
    彼女は学内に絶大な信頼をよせている。
    (外面だけは)真面目な現役生徒会長と、入ったばかりの新一年生。
    教師が言い分を信じるのは、どちらか。
    そんなの、考えてみなくとも分かる。

    教室に戻ろうかな…

    そんな不安がよぎった直後、突如体育館の非常用扉が開いて
    そこから見知った顔の生徒が顔を出した。
    「お〜い!ここ、ここ」
    長い手と顔だけで器用に手招きしているのは、斎だった。
    何せよ、とりあえず知り合いの先輩が現れてくれたことで、
    和沙と希実は心なしか安心する。

    呼ばれた先に向かってみると、そこはどうやら舞台裏に
    通じる出入り口になっているようだ。
    中に入ると、大きな画板細工や抗菌マットと
    おびただしい数の小道具に囲まれたそこは、
    一種物々しい雰囲気を放っていた。
    「あの、先輩…?」
    静かにしているように言われたので黙ってはいたが、
    小声で尋ねるくらいはそろそろ構わないだろう…と
    和沙が口を開きかけたが、シッと斎に遮られてしまった。

    でも、一体ここで何をしようというのか…

    うるさいと憚れられても、多少なりと奇妙なこの状況に
    疑問を持たない方が変だと思う。
    そうこうしているうちに、斎は二人の誘導を次の杏奈に
    受け渡してからどこかに消えていった。
    一方で、バトンタッチした杏奈は、和沙たちをさらに奥へと案内する。
    この階段を上がれば、もうステージ…という場所まで来て、
    杏奈は何やら壁にかけてあった物を取り出した。

    「はい、コレ」
    見ると、それは先週末にクリーニングを頼んだあの制服の上着だった。
    ご丁寧にも、透明なポリ袋に入れハンガーにかけて、
    とにかく皺にならないよう配慮した状態でそれは置かれてあった。
    「ありがとうございます」
    もうすぐしたら、じきに衣更えの季節とはいえ、
    ワイシャツだけで過ごすには、春先はまだ肌寒い。
    事前に、今日にも返してくれると聞いていたので、
    和沙と希実は嬉々としてそれを羽織った。
    それ以前に、和沙の場合…学校から支給されたその一着しか持っていないのだが。

    とそこに、階段の上から姿を見せたのが、今朝の約束していた相手…
    もとい和沙がいま一番逢いたかった人物だった。
    「あ、会長」
    しかし、和沙の呼び声も虚しく、一瞬顔を出した真澄は、
    またもステージの方へと向かったのか、すぐに見えなくなった。
    「待ってください、会長」
    和沙は慌てて階段を駆け上がる。
    もうこれ以上、返事を先延ばしするのはごめんだ…
    それが和沙の本音だった。
    もたつく足を懸命に踏みしめながら、やっと階段をあがると…
    そこには真澄の姿はなく、どこに行っていたのか斎が再び現れた。
    「あ、あの…会長は」
    逸る気持ちを抑えきれずに、和沙は乱れた息と格闘しながら真澄の行方を尋ねた。
    しかし、斎の方はというと、いたって涼しげな顔をして、
    ちょっと落ち着いて…と和沙を気遣いながら身だしなみのチャックを始める。
    ほどけかかっているリボンを直して、ブレザーのボタンを閉めて、
    それから胸元のポケットにはハンカチを添えて、
    最後に髪の毛を手櫛で一・二回整えてくれた。
    「もう、気持ちは決まった?」
    耳元でそっと囁く斎に、和沙は静かにはい、とだけ答えた。
    再び身体を離して、それは良かった…と呟きながら斎は笑みをこぼす。
    そして、中央ステージに向かって今まさに歩いている真澄を指差して、
    行っておいでと背中を押してくれた。

    「待ってください!」
引用返信/返信
■20189 / ResNo.98)  第一章 さくらいろ (84)
□投稿者/ 琉 ちょと常連(92回)-(2007/10/16(Tue) 18:09:43)
    一度目の呼び声では聞こえなかったのか、真澄は振り向かない。
    「ちょっ、ちょっと待ってください!
    私は…私は生徒会候補生になります!
    いえ、ぜひさせてください。お願いします!」

    …言った。

    和沙は心の中で、そう覚悟した。
    思っていたことを、ようやく彼女に伝えられたのだ。
    少々声が大きかったかなとか、生徒会役員に冷やかされるかもとか、
    後になってから恥ずかしくなりそうな心配事はいくつもあったけど、
    そんな微々たること、構うものか。
    やり遂げた充実感で、和沙は満たされていた。

    少し間を置いて振り返った真澄は、予想外の反応を示した。
    いや、予想外だったのは、彼女ではない。
    真澄が何か喋ろうとするよりも先に、怒涛のごとく大騒ぎしている人たちが居た。
    「…え?」
    ふと横を見ると、誰も居ないはずの体育館は生徒で埋め尽くされていた。
    それだけではない。
    ステージの上にぶら下がっているのは、おそらく本日の日程を記した垂れ幕だろうか。
    そこには、はっきりとこう書かれていた。
    『生徒会候補生発表会、対面式、一学期生徒総会』

    タラリ…
    和沙の背中を冷や汗がつたう。
    そして、そんな主役をよそに、一層盛り上がる観客たち。
    拍手やら喝采やら悲鳴やらで、この混乱した場を丸く治めるには
    どうしたら良いものか。
    「ちょっと、先輩!これどういうことですか?
    聞いてませんよ、全校集会だなんて…」
    和沙は真澄の腕を掴んで、客席に背を向けるようにヒソヒソと話した。
    「あら、先週金曜日のホームルームでちゃんと通達したはずよ」
    先週金曜…歓迎会があった日だ。
    あの日は確か、希実と二人で昼休みから駆りだされていたから、
    ホームルーム自体に出席していない…
    すると和沙は、徐々に不機嫌になるのを隠せずに抗議した。
    「待ってください!やっぱり私、前言撤回させていただ…」
    だがしかし、そんなことはさせまいと和沙の声を真澄が遮る。
    「何寝ぼけたこと言ってるの?
    たった今、自ら宣言していたじゃない。
    それにホラ…胸元のポケットをご覧なさい」
    「へっ?」
    和沙は、焦って真澄が指差す方向…つまり自分の胸ポケットへと視線を移した。
    すると、何故だか妙な違和感を受ける。
    いや、別に制服自体は何も変わりない自分の制服なのだ。
    サイズも袖の長さも着丈も。
    むしろ生徒会にクリーニングを頼んだからだろうか、
    制服の光沢が数割増しになっているのは気のせいではないはずだ。

    ん…?白…?

    金曜日に自分が預けた制服のブレザージャケットの学年カラーは、
    確かに一学年の指定カラーである臙脂色だったはず…
    それが、あら不思議!
    いま着用している制服には、真っ白な下地に
    うっすらと百合の刻印がされてある。
    白はすなわち生徒会カラーに他ならない。
    和沙は倒れたくなる衝動を必死で耐えていた。
    「それでは、情熱的な所信表明を誓ってくれた澤崎さんに、
    今後の意気込みを伺ってみたいと思います」
    放送室から流れてくるアナウンスは、誰かと思いきや斎の声だった。
    では、張りきってどうぞ…とマイクを手渡され、
    和沙はスポットライトが当たる中央へと促された。





    …それから後は目まぐるしく過ぎていった。
    覚えていることといえば、宣誓の挨拶と称される宣言文を読まされたり、
    所定の席についてからは対面式が始まってたくさんの上級生に励まされたり、
    生徒総会ではアシスタントとして舞台裏を走り回ったり…という程度である。
    ただ、揺るぎない事実としていえるのは、和沙と希実が
    今年度の生徒会候補生として推薦された事件は、
    間違いなく全校生徒に広く認知されたということだった。
引用返信/返信
■20191 / ResNo.99)  第一章 さくらいろ (終)
□投稿者/ 琉 ちょと常連(94回)-(2007/10/17(Wed) 02:15:10)
    「…騙したんですね?」
    放課後、和沙は例の生徒会専用地に真澄を呼び出した。
    呼び出した本人より、呼び出された彼女の方が早く
    到着するのはいかがなものか。
    しかし、二学年も年上であり、候補生ができた今…
    全校集会の後片づけは後輩に全て任せることも可能な立場からすると、
    必然のうちに許容される範囲なのかもしれない。
    それよりも、たった今和沙が到着して開口一番そう言い放ったというのに、
    真澄は無頓着な態度をちっとも崩そうとしない。
    「あ、あの…」
    和沙の姿に気づいているのか、いないのか、それだけのことならまだしも、
    真澄は呼吸するのも忘れてしまったかのように微動だにしないので、
    和沙は次第に不安になりつい口を噤んでしまったというわけだ。

    何を見ているの…?

    真澄は桜の大木のある一点だけを見つめていた。
    単純に気になるのもあるが、とりあえず彼女に近寄らないと話はできない。
    「先輩?」
    一歩また一歩と、徐々に歩くスピードは加速していく。
    あとほんの少しで、彼女に手が届く…という距離になってから、
    またしても入学式と食事会の時同様、二人の間を強風が突き抜けていった。

    「痛っ」
    立ち位置の関係で、モロに風がもたらす災難を一挙に被った和沙は、
    瞼を力いっぱい擦った。
    「そんなに擦らないで」
    早くこの不快な状況をどうにかしたくて堪らない和沙を、
    ふいに真澄が制止する。
    擦らないで、と言われても、痒いものは仕方ない。
    ならば、そういう真澄がどうにかしてくれ…と和沙が訴えようとすると、
    瞼の上から冷たい布みたいな物を押しつけられる感触があった。

    気持ち良い…

    あくまで丁寧に拭い去ろうとする真澄に、
    和沙の先ほどまでの怒りはどこかに飛んでしまう。
    まあ、もともと引き受けるつもりでいたから、結果オーライではあるのだが、
    それでもあのような騙し討ちが堂々と行なわれると、今後が不安になってくるのだ。
    もしかすると、これからもあのように強引な手法で
    重い仕事を後輩に押しつけるのではないか…ってね。

    「はい、もう良いわよ。眼を開けても大丈夫」
    真澄のそんな一言で、和沙はそっと瞼を開く。
    すると、視界いっぱいに拡がるのは、真澄の美しいお顔…なのだけど、
    彼女の瞳からはどうしてか次々に涙がこぼれている。
    「えっ?」
    仰天する和沙は、勢いで仰け反ろうとするが、
    それに追随するように真澄は目の前の少女を抱きしめた。
    「見ないで…」
    見ないでと言われても、いま映った光景はなかなか忘れられるものではない。
    けれど、真澄の声があまりにか細く、いつもの自信に満ち溢れている
    生徒会長の面影はどこにも見当たらなかったため、
    和沙はこれ以上追求することができなかった。

    どのくらいそうしていたのか、後から考えると概算するのが難しいが、
    たぶん結構な時間になっていたはずだ。
    沈黙が破られたのは、和沙のこの一言。
    「桜、もうだいぶ散っていますね…」
    それは、天気の話でもするように、さりげなく。
    というか、目についたのが正面の桜木だったこともあり、
    純粋に散らばる花吹雪に心奪われたのだ。
    今の真澄には、何が刺激になるのか、禁句なのか、
    さっぱり検討もつかなかったけど、間違いを起こしたら
    その時点で謝って話題を変えればよい。
    そのくらいの気持ちに留めて、和沙は真澄の反応を待った。
    「ええ、見頃は今週までね…」
    果たしてどうかと思われたこの話題に、真澄は臆することなく乗ってきた。
    だから、きっともう身体を離しても大丈夫。
    そう思って和沙は密着していた身体をもとに戻して、
    真澄を手前のベンチに誘った。

    ザワザワ…
    風が強くなってきた。
    もともと半分くらいは散ってしまっている桜だ。
    このままだと、おそらく明日までにはほとんど散り終わってしまうだろう。
    「今日、妹の命日なの…」
    突然、真澄が話を再開した。
    それも、簡単に語れるようなお気楽な話題ではない。
    「桜が好きな女の子でね、亡くなったのも窓から
    満開の桜が見える穏やかな日だったのよ」
    もうどうして良いか分からずにいる和沙に構うことなく、真澄は続ける。
    「一年に一回、開花時期が巡ってくる
    国民的な花だったことが、ツいてないわね…」
    そう言ってカラカラ笑う彼女からは、自虐的な意味合いは感じられない。
    けれど、それでも和沙は確かめておきたいことが一つだけあった。
    「こんな大切な話、私なんかに話してしまって良いんですか?」
    そう。
    和沙の胸の奥で痞える憤りはそれなのだ。
    真澄はそれを否定するかのように、首を横に振る。
    「あなたには聞いてほしくなったのよ」
    そう打ち明けられた和沙は、そういえば最近誰かにも
    似たようなことを言ったような気がした。

    「和沙」
    名前を呼ばれる。
    それだけのことなのに、胸の奥がくすぐったいような
    もどかしいような、そんな感覚に襲われる。
    「あなたが候補生になってくれて、本当に嬉しいわ」
    そんな顔をして言われると、もう何も言い返せなくなってしまうわけで。
    だから和沙は、無言で席を立つ真澄の後を黙って追いかけた。
    戻りましょう、なんて言いたいだろう、きっと。

    ヒラリ…ヒラリ…
    花びらは二人が歩く一本道に一枚、また一枚、と
    とめどなく舞い落ちる。
    幻想的な景色は、やがて二人を覆い隠した。


                            第一章 さくらいろ おわり
引用返信/返信
■21603 / ResNo.100)  Re[2]: 第一章 さくらいろ (2)
□投稿者/ アジア 一般♪(1回)-(2012/08/26(Sun) 15:14:44)
引用返信/返信

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