ビアンエッセイ♪

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■13768 / 親記事)  りょうて りょうあし 白い花
□投稿者/ 平治 一般♪(2回)-(2006/02/28(Tue) 07:36:15)


     ふわふわ。

     色素の薄いこどものような髪の毛。

     華奢なからだ。

     ふわふわ。

     きれいな歌声。

     こぼれる息。

     ふわふわ。

     すらりと伸びた手足が

     まるで白い花のよう。


     −−−−。



引用返信/返信

▽[全レス13件(ResNo.9-13 表示)]
■13813 / ResNo.9)  りょうて りょうあし 白い花 (7)
□投稿者/ 平治 一般♪(10回)-(2006/03/04(Sat) 10:30:33)
     キスがこんなに気持ち良いことだなんて知らなかった。
     私は今まで一人しか経験ないけど、そのひとがしたキスとは全然違っていた。
     やわらかくてふわふわしているような、キス。

    「紗祈は、泣きそうな顔するね」
    「え?」
    「キスした後、泣きそうな顔になってる。ほら、真っ赤」

     そう言って西本さんは私の頬に触れた。

    「泣かないですよ」
    「泣かれたら困るよ」

     西本さんはくすくす笑った。
     私もつられて笑ってしまったけど、驚いて鼓動が早くなった。
     −−−紗祈、って呼んでくれた。

     テスト期間中の三日間、私達はずっとこの【秘密の部屋】でキスをしたり抱き締め合ったり、それから色んな話をした。
     好きな本やテレビのこと、近所の美味しいケーキ屋さんのこと、もうすぐ公開の映画のこと、昨日の晩御飯が好物だったこと、段段寒さが厳しくなってきたこと。
     でも名前を呼んでくれたのは初めてだった。
     彼女自身は何も気にしていないかのようだけど。

    「名前で呼んでくれたの初めてですよね」
    「うん、呼んでみました。・・・もしかして嫌?」
    「いやっそんなことはっ、何でも好きなように呼んでください」
    「好きなように、じゃなくて。どう呼んでほしい?」
    「・・・じゃあ、紗祈と」
    「うん。わかった」

     言わされたような感じだけど、西本さんは満足そうに微笑んだ。
     彼女はそういう風に、自然に、私を支配する。

     −−−−キーン・・・コーン・・・

    「あ、もう終わっちゃったね」
    「本当。あっという間でしたね」
    「早く出よっか」

     これまでの時限のテストで、今期のテストは終わりだ。
     この後のHRが終わったら、全生徒ががやがやと外にあふれ出る。
     それまでに私達は職員室に鍵を返しに行って帰宅する。
     【秘密の部屋】に鍵をかけて。明日からはまた保健室登校だ。

     まだ誰もいない校庭の隅を、廊下を、階段を、並んで歩く。
    「紗祈は手袋もマフラーもしないの?」
    「はい。ちくちくするの好きじゃなくって」
    「でも寒いでしょう」
    「はい」
    「今日時間あったらデパート寄ろうよ」
    「え、今日ですか?」
    「予定ある? まっすぐ帰らないと怒られるかな」
    「そんなこと、ないです」
    「じゃ、いいよね。あたしも欲しいから一緒に見よう。ちくちくしないやつ」
    「はい」
    「じゃ、鍵返してくるね」
     そう言って西本さんだけ職員室へ入ってしまったので、私はその扉のまえで、廊下の壁に背中を預けた。

    「あれ? 藤野さん?」
     嫌な声が聞こえた気がした。
     顔を上げると、目の前にショートカットの女の子がいた。
     もうずっと会うこともなかった私のクラスの委員長だった。
    「あ・・・」
    「藤野さん、久しぶりね。元気そうね」
    「ええ、まぁ」
    「心配だったのよ。あれ以来教室へ来ないし、学校もそのうち来なくなってしまうんじゃないかしらって・・・あることないことみんな言っているし」
    「みんな、なんて?」
    「田中先生の子供でもデキたんじゃないかって」
     わざとらしく心配そうにくす、と笑った。
     私は自分の背筋が強張って、動けなくなるのを感じた。
     こわい。
     こわい。
     どうしよう。
    「ねえ、教室へいらっしゃいよ。みんなを安心させてあげて。『出来てません』って。あ、『もう堕胎しました』かしら?」

     −−−−カラカラ。
     職員室の扉が開いた。
     西本さんが出てきた。
     私が誰かといるのを見て、不思議そうに立ち尽くした。

    「おともだち?」
    「初めまして。同じクラスの五島です」
    「あ、どうも」
    「先輩は藤野さんと仲良くしてくださってるんですか? 良かったわ、新しいところでお友達が出来たみたいで。それじゃ教室に無理して戻ることないわね」
     私は何も言えなくて俯いていた。
    「藤野さん? そんな態度じゃ先輩に失礼よ」
    「いいのよ。放って置いてあげて」
     西本さんが庇うように委員長と私の間に立ってくれた。
    「優しいんですね。もしかして、先輩はあのこと知らないんじゃないですか。こんな人、わざわざ庇う必要ないですよ」
    「なんなの」
    「このひとね、」
    「やめて」
    「どうして? 本当のことでしょう? 先生誘惑して、不倫してたなんて、まともな生徒には考えられないことだけど。あなたのような人にしたら、なんてことないんでしょう?」
    「ちょっと、やめてったら」
    「先生とのことくらいなんてことないでしょう? みんな言ってるよ、他にも援助交際したりしてるって」
    「なにそれ・・・」
     鼓動が早くなるのを感じる。
     委員長は面白がって、次々言葉をつむぐ。
     私は何も言えなくなる。
    「何か言いたいなら言い返せばいいわ」
     何も、言えなくなる。


引用返信/返信
■13814 / ResNo.10)  りょうて りょうあし 白い花 (8)
□投稿者/ 平治 一般♪(11回)-(2006/03/04(Sat) 10:50:40)
    「もうやめてちょうだい」
     ぴしゃ、っと綺麗な声が響いた。
     今まで聞いたことがないくらい、冷たい声だった。
    「それ以上無駄口を叩いて彼女を傷つけないで。行きましょう」
     ぐい、と私の手を引いて、西本さんは歩き出した。
     まるで、初めて【秘密の部屋】へ行った時のように。
     振り返ると委員長が唖然として突っ立っているのが見えた。
     西本さんは校門を出て、駅の方へ向かい、切符売り場にたどり着くまで全くうしろを振り返りもしなかったし、一言も喋らなかった。

    「あのっ」
    「え、なに?」
     西本さんはきょとんとした目で振り返った。
    「どこまで行くんですか?」
     我ながら間抜けな質問だった。
    「あ、えと、三駅だから、170円」
    「あ、私は定期券内です」
     私は西本さんが切符を買うのを待って、一緒に改札をくぐった。
     丁度ホームに着いた電車に乗り込む。
     見慣れた景色が動く車窓を見ながら、つり革に掴まった。
     西本さんはまっすぐ前だけを見て、私の方を見てくれない。

    「軽蔑しますか」
    「本当のことなの?」
    「・・・ほとんどは」
    「先生って」
    「数学の先生の手術入院で、代理で来てた先生覚えてます?」
    「分からない。私の学年には来てなかったと思う」
    「そのひとと、はい」
    「そっか」
    「援助交際ってのは根も葉もない噂です。してません」
    「そっか」

     援助交際はしてないからってなんなんだろう。こんな言い訳をして。
     先生と不倫していたのは事実なのに。
     
     どうやら私と先生のことは他の学年にまで広く知れてはいないようだった。
     代理で二ヶ月だけだった先生だし、そのことで謹慎をくらっていたのも夏休み中だったし。
     それでもこうして、彼女には知られてしまったのだ。

     −−−−ガタンゴトン。
     気まずいよどんだ空気が流れる。

     私はこの空気が怖くて、すぐ傍にあった手を繋ごうと触れた。

     ぱしっ。

     その手は弾かれてしまった。


    「ごめん。今日やっぱりやめとこう」


     元々家とは反対方向の西本さんは次の停車駅で降りて行った。
     その背中をなにもできずに見送ると、私は発車した電車のなかで、人目も気にせず泣きそうになった。ぼろ、と涙がこぼれそうになったので、あくびのフリをしてごまかして目を擦った。
引用返信/返信
■13882 / ResNo.11)  りょうて りょうあし 白い花 (9)
□投稿者/ 平治 一般♪(12回)-(2006/03/14(Tue) 23:34:05)
     気が付くと、見慣れた天井が見えた。
     窓の外は明るくなっていて、時計もちゃんと時刻を読めた。10時50分。
     もう学校が始まっているなぁと思ったけど、私は気にせずベッドにもぐりこんだ。

     そうだ、昨日は我慢して我慢して、感情をおさえこんで歩いてやっと家に着いて、部屋に入るなりうんと泣いて、それで眠ってしまったのだ。
     ずいぶんと長い間眠っていたものだ。

     学校へ行かないなんて久しぶりだ。

     先生とのことがあって以来、私はあんまり学校へは行きたくなかったのだけど、それでも家にいて色々と考え込んでしまうよりは・・・と思って保健室登校していた。
     結構まじめに、毎日通っていたのだ。

     枕元にあった携帯電話を手に取る。
     着信履歴と、メール一通。全部母からだった。
    『学校行った?』
     母はもう仕事へ出ている時間だ。
    『何時でもいいから休む電話しといて』
     そうメールを打つ。

     久しぶりに学校を休んで家にいるのは、手持ち無沙汰で。
     何もすることがないからメールの受信ボックスをひたすら遡って読んだ。
     くだらない、友達とのメールも、顔も本名も知らないメル友とのメールも、夏頃のあの人からのメールもあった。

    『先生じゃなくなっちゃったけど、紗祈とまた会いたいよ』
    『俺のせいでしんどくなるけど、学校頑張って行けよ』

     うっかり開いてしまうんじゃなかった。
     私はまだこのメールを見て懐かしむ余裕なんて、ない。

    『先生元気? ひさしぶりに学校休んじゃった』

     気付けば何気ない風に、メールを送っていた。


引用返信/返信
■14234 / ResNo.12)  りょうて りょうあし 白い花(10)
□投稿者/ 平治 一般♪(1回)-(2006/04/18(Tue) 02:34:05)
     何もない部屋でただぼんやりと。
     携帯電話をチェックしたり、ネットを見たり。
     12時を過ぎた頃、ようやく電話が鳴った。

    『もしもし。俺だけど』
    「先生・・・」
    『どうしたの? 具合悪いの?』
    「違うの、なんか・・・」
    『紗祈は繊細だからなぁ』
    「なにそれ」

     久しぶりに聞いた先生の声。
     嬉しいはずなのに、会話に集中できなかった。
     今は別の仕事をしていて昼休みだったみたいだった。

    『あ、もう行く』
    「うん。いってらっしゃい。頑張ってね」
    『おう。また会おうな』
    「うん。またね」

     またね。なんて。
     先生はきっと、私のことなんか好きじゃなかったくせに。
     奥さんもこどももいて、ただ私の体で遊びたかっただけのくせに。

     少し前の私だったら、延々とループする思考でナーバスになっていただろうけど、今は他のことばかり気になっていた。

     もう離れてしまったひとになら簡単にメールを打てたのに、どうしてかあのひとに自分からメールや電話するのは怖かった。
     きっともう、今更私を受けて入れてくれないんじゃないかな。
     そう思うと、もう。


     rrrr....
     また電話が鳴った。
     保健室の先生だ。
    「ねえ、西本さんもお休みしてるんだけど、おうちにいないって言うのよ。あなた仲良かったでしょう? どこか行ったか知らない?」
    「知りません」
    「そう。連絡があれば教えてちょうだい、親御さんがとても心配していて」


     私はいてもたってもいられなくて、すぐに西本さんの携帯にかけた。

    『もしもし?』
    「ねえ、今何処にいるの?」
    『紗祈にね、会うのがなんとなく怖くて、学校行けなかったんだ』
    「そうですか・・・」
    『でもね、おかしいんだよ。紗祈の家の近くにいるの』
    「どこ? すぐ行きます」

引用返信/返信
■14235 / ResNo.13)  りょうて りょうあし 白い花 (11)
□投稿者/ 平治 一般♪(2回)-(2006/04/18(Tue) 02:43:18)
     西本さんは、私の家の最寄り駅のそばの喫茶店で、もうほとんど氷が解けて水みたいになってるカルピスを飲んでいた。寒いのか、ひとりで心細いのか少し背中を丸めて。
     私を見つけると困ったように笑った。

    「ごめんね。なんだか迷惑かけちゃって」
    「そんな・・・ことないです」

     私は紅茶を注文して席についた。

    「私ね、時々思ってたんだ。紗祈は時々私以外の誰かを見てるんじゃないかなって。こないだ話聞いて、もしかしてその先生のことまだ好きなんじゃないかなって。考えたんだ」
    「そんなことないのに」
    「ないかもしれないけど。私たちって、ほとんど私が押し切ったようなもんじゃない。本当は嫌だったんじゃないかな、とかさびしかっただけかな、とかいっぱい考えたんだよ」
    「私は・・・私は、嫌われたんじゃないかなって、汚いと思われたんじゃないかなって、考えて・・・怖くて・・・」
    「あはは。そんなわけないじゃない。紗祈に話してなかったね。私はもう紗祈のことしか考えられないもの」
    「西本さんは、でも、私のことなんて別に好きなわけじゃなかったんじゃないですか?」
    「え?」
    「私、先生に言われたんだけど。変な色気が出てるんですって。先生のこと好きな子何人かいたけど、手を出したのはお前だけやりたくなったからだよ、って。たぶん同じようなもんだったんでしょう」
    「なんでそんなこと言うの?」
    「だって、西本さん、私となんでキスとかするのとか、言ってくれなかったじゃないですか」

     私がうつむいてしまうと、西本さんは無言になった。
引用返信/返信

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■10314 / 親記事)  ∞∞ 逆行する、青。 ∞∞
□投稿者/ しいな 一般♪(5回)-(2005/06/20(Mon) 13:13:39)
    彼女の指は、とても的確だ。

    欲しいところを、欲しいと思う前に弾いてくれる。

    「ねぇ。どうしてそんなに上手なの?」

    そう聞いてみたことがあるが、彼女はその涼しげな目を細めて唇に軽いキスを落としただけだった。



    気怠い真夏の午後。

    ベッドの上でいつまでも起きあがろうとしない私の髪を撫でると、

    ユラは窓を少しだけ開け、細い煙草に火をつけた。

    エアコンの効いた室内に一陣の生温い風が舞い込む。

    閉め切られたカーテンがはためく度、薄暗い室内に差し込んだ光が彼女を照らす。


    …綺麗だ。


    いつも、そう思う。

    煙草は自分では吸わないしどちらかというと苦手だが、

    彼女がふうっと煙を吐き出すのを見るのは好きだった。


    「サツキはいくつになったんだっけ?」

    突然の問いに、ぼうっと煙の行方を見ていた私は妙な間を作ってしまう。

    「……32、だよ。」

    そう、彼女と出会ってからもう3年も経つのだ。

    当時29歳だった私の年に、3つ下のユラはやっと追いついた。

    「今日も暑いね。」

    窓を閉めて立ち上がった彼女は、その美しい身体を隠すことなく私の前までやってくる。

    「…これからしばらく、来られないかも。」

    「え…。」

    どうして?と聞く前に、キスで言葉を封じられる。

    …そうでなくとも、理由は聞けないのだけれど。
引用返信/返信

▽[全レス13件(ResNo.9-13 表示)]
■10716 / ResNo.9)  
□投稿者/ しいな 一般♪(14回)-(2005/07/06(Wed) 07:22:37)
    2005/07/06(Wed) 07:23:45 編集(投稿者)

    ちゃんと、“普通の顔”ができていただろうか。



    家族が寝静まった後。

    私は自分の部屋の窓を開けた。

    冷たい指先が、更に冷たくなっていく。

    時間は、確実に過ぎているのだ。

    なのに肌に触れれば、あの暑い日の、それより熱いユラの残した痕跡が疼く。

    彼女が触れた、全てが。

    赤い跡は消えてしまったのに…


    重症…かな。


    無音の空間に、小さく息を吐いた。



    ふと、パソコンデスクの上の携帯電話が着信を知らせていることに気付く。

    夜は音もバイブも消してある為、小さな光の点滅だけが蛍の様に光っている。

    こんな時間に誰から?

    手にとって、開いてみる。


     【メール着信アリ】

      yura


    思わず息を呑む。


    …ユラ?



    どうして…
引用返信/返信
■11718 / ResNo.10)  
□投稿者/ しいな 一般♪(17回)-(2005/08/04(Thu) 21:26:45)
    パコッ



    携帯を折り畳む音。

    そこまで、ほぼ無意識だった。




    “ひさしぶり。元気?”




    昼間、あのデパートで見てしまったこと。

    気付いているのか、いないのか…





    “明日13時。”





    来るの?本当に?


    私に、会いに?


    私を…



    抱きに?





    相変わらずの簡潔な文章。


    私の指は、勝手に動いて。




    気がついたら、送信ボタンを押していた。





    “分かった。待ってる。”







    どうしてだろう。

    髪を切りに、行くはずだったのに。
引用返信/返信
■11966 / ResNo.11)  NO TITLE
□投稿者/ ゆぅ 一般♪(1回)-(2005/08/10(Wed) 05:41:22)
    続きが楽しみです!!(*^o^*)
    頑張ってくださいな♪

    (携帯)
引用返信/返信
■11981 / ResNo.12)  ゆぅさんへ。
□投稿者/ しいな 一般♪(18回)-(2005/08/10(Wed) 23:34:06)
    ありがとうございます♪
    更新ホント遅いですが…(^-^;
    ガンバリマス☆
引用返信/返信
■11982 / ResNo.13)  
□投稿者/ しいな 一般♪(19回)-(2005/08/10(Wed) 23:35:00)
    「…ん、あぁ」


    時計に背を向けた私は

    正確な時間を、もう計ることは出来ない。

    彼女を招き入れてから、まだ数分?

    けれどもう、この空間は普段とはまるで違うモノになってしまったかのようだった。


    「ひ…ぁんん…」


    彼女の指の的確さは衰えてはいなかった。

    むしろもっと深い感覚が、身体の芯を捕らえて放さない。

    慣れているはずのシーツの手触りまでもが

    いつもより滑らかに感じるのは、何故だろう。


    「あ…あぁ…」


    強く、弱く。

    優しく、激しく。


    高められていく波と共に。

    日常が消え去っていく。


    「んっ…ぁ、もう…」


    もう、何も考えさせないで。

    今だけでいいから…


    宙に伸ばした手が、強く包まれる。

    「名前、呼んで?」


    ゆら…


    ゆら。


    「ゆら。もう…あぁ…っ」


    ゆら。

    ゆら。

    ただ名前だけを呼び続ける声が。

    掠れて出なくなるまで。
引用返信/返信

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■22009 / 親記事)  レン・アイ1
□投稿者/ いちこ 一般♪(26回)-(2015/12/06(Sun) 10:56:42)

    あたし達はスクランブル交差点で、信号待ちをしていた。
    信号が変わり、そのひとはあたしの手を引き、歩き出す。
    交差点の真ん中で突然立ち止まり、振り向く。
    ドキッとするあたしの目を見詰め、顔を近づける。
    ‥えっ、こんな所で?‥‥恥ずかしい‥

    ジリリリ‥ジリリリ‥ジリリリ‥

    遠くで目覚ましが鳴っている。
    へっ、目覚まし!?えっ、ヤバイ。
    アイは慌てて飛び起きた。さっきの夢で、まだドキドキしている。
    「あれは誰だったんだろう?」
    まぁいいか。さぁ、今日も仕事だ、頑張ろう!
    アイは出版社に勤める25歳、独身。
    出版不況のためリストラ寸前。嫌がらせで左遷されたばかり。
    なんとエロ本出版部門。『月刊エロエロ』センスの欠片もない。
    負けるもんか!

    出社すると、いきなり編集長に呼ばれた。
    「おい、ユミ先生とこに行って原稿もらってこい。貰うまで帰って来るなよ。」
    ユミ先生とは、女流エロ漫画家。
    その過激さゆえ、髭が生えていると噂がある。
    ちょっと怖いな。

    おそるおそる呼び鈴を押すと
    「はーい!どちらさま?」
    「あ、あの『月刊エロエロ』のものですが。」 あ〜恥ずかしいー!
    「あー、どうぞー!」
    「失礼します。」
    「いらっしゃい、今度は女の子でよかったわ。」
    そこにはラベンダー色のコーディガンを羽織ったスレンダー美女がいた。
    年の頃は30代くらいだろうか?
    きれい!誰だ?髭が生えてると言ったやつは?アイは思わず見惚れた。
    「ぼーとしてないで入ったら?」
    「あっ、あっ、はい。」
    慌てて靴を脱いで、上がろうとしたら框に足が引っかかってよろけた。
    やばい!コケる!なっ、なにか掴まるものは?とっさに手を伸ばした。
    ビリビリッ!バターン!えっ、ビリビリッて?
    手にはラベンダー色の切れ端が!




    見上げると何故かニッコリ笑った先生がいた。
    「ご、ごめんなさい。弁償します。もちろん。」
    「弁償ねェ?お気に入りだったのよね。」
    「すみません!!」と頭を下げた。
    先生は値踏みするかのように、ジロジロ見ると、いきなりアイの胸を鷲掴みにした。
    「な、何するんですか?」
    「まぁ、こんなものか?あなた、脱いでくれる?」
    「えぇ〜〜!」

    続く






















引用返信/返信

▽[全レス12件(ResNo.8-12 表示)]
■22033 / ResNo.8)   レン・アイ7
□投稿者/ いちこ 一般♪(37回)-(2015/12/31(Thu) 17:17:22)

    でもレンの悪ふざけはそこまてで、あとは素直に解いてくれた。

    着替えて応接間で待っていると、レンがラベンダーのハーブティーを淹れてくれた。
    「興奮を鎮める作用があるんだ。」
    「興奮なんてしてませんから。でもありがとう!」
    その時アイの携帯にメールが届いた。
    何気なく確認したアイは、
    「えっ‥‥そんな!?」
    口を押さえたと思ったら、見る見る涙が溢れた。
    「どした?何かあった?」
    「チャコが、チャコが死んじゃったの。うぅ‥‥」
    「えっ、友だち?」
    「ううん、小さい時から飼っているトイプードル‥‥ぐすっ」
    ほっと安堵の息をはいたレンだったが、あまりに泣くので、
    すっと近づいたと思ったら、屈みながら彼女の唇を奪った。
    「‥‥なっ、何すんのよっ!」
    「涙を止めるおまじない。ほらっ、止ま ったでしょ。」
    「信じらんない!なによ、それ。」
    「ははっ、怒ってる方がアイらしいよ。ほらっ。」
    と手を差し出す。
    「‥‥なに?」
    「今すぐ、実家に行こう!」
    「えっ、ここから一時間はかかるよ。」
    「大丈夫!原稿が出来るまで、まだ三時間はかかるから。」

    レンの運転は相変わらずで、アイは実家の近くで降りた時、やはり膝が震えた。
    「じゃあ、ここで待ってるから。」
    「うん、ありがとう!」
    しばらくして泣き腫らした目でアイが帰ってきた。
    「ぷっ、ひどい顔だね!」
    「もう、ひどいのはどっちよ。傷心なのに。」
    「ごめん、ごめん。」
    レンがアイの頭を、ポンポン叩く。
    「そうやってすぐバカにするんだから!」
    本当にどっちが年上だかわかりゃしないとアイがつぶやく。
    帰りは安全運転でゆっくりと走ってくれた。
    なんだ、やればできるじゃない。そのレンの背中にありがとうとつぶやく。
    「えっ、なんか言った?」
    「なんでもない!」
    「後でガソリン代、請求するからね!」
    「わかったわよ!払えばいいでしょ!」
    一瞬でも感謝したのがバカみたい!

    それから何日か経ったある日、アイはいつものようにユミ先生の原稿を待っていた。
    そこへ荒々しくドアを開けてレンが入ってきた。見ると顔に殴られたような跡が付いている。

    続く





引用返信/返信
■22034 / ResNo.9)  レン・アイ8
□投稿者/ いちこ 一般♪(38回)-(2016/01/09(Sat) 20:58:40)

    「ど、どうしたの?その顔!」
    「‥‥なんでもない。」
    と階段を駆け上がっていった。アイは救急箱を持って追いかけた。
    レンの部屋の前で遠慮がちに声を掛けた。
    「レン君、入るよ。」
    返事がなかったが、部屋に入るとベッドに腰掛けて顔を背けていた。
    隣に腰掛けて肩に手を置くと、ビクッとする。
    「どうしたの?」
    「女のくせにって言われて、カッとなって喧嘩になった。」
    「なぜ、そんな無茶するの?‥‥見せて‥‥、ひどいね。瞼の上も切れているよ。」
    脱脂綿に消毒液をつけて、目の上の傷を拭く。
    「‥‥つっ!いたっ!」
    「あっ、ごめんね。」
    そう言ってまた拭こうとしたら、手首を強く掴まれた。
    「‥‥痛いよ、レン君。」
    レンは怖い顔をして、アイを後ろに押し倒した。そのまま覆い被さってくる。
    「キャッ‥‥えっ、ち、ちょっと」
    手で押しのけようとしたら、レンの胸を押してしまい、
    その柔らかさに思わず手を引いたら、くちびるが重なってきた。
    「んん〜!」
    強引に舌が侵入してくる。レンの右手が荒々しくアイのおっぱいを弄る。
    レンの右足はアイの足の間に差し込まれ、股間を押してくる。
    レンの舌で蕩けそうになる自分を励まし、強引に口を外した。
    「いやっ、やめ‥‥んっんん〜」
    またも口づけされ、舌が差し込まれる。
    いやだ、こんなのいやだ。と思う心とは裏腹にだんだん感じてくる。
    いまやレンはアイのセーターをたくし上げ、
    ブラも上へ外して直接 おっぱいを揉んでいる。
    レンの手が乳首に触れるたびにビクビクしてしまう。
    やがてレンの手が徐々に下がり、パンティーの中に潜ろうとした時、
    アイはレンの手首を掴み、押しとどめた。
    「いやっ、やめて、お願い!」
    レンはアイの乳首を口に含み、舌で転がす。
    「あっ、あぁ!やめてー!」
    手首を掴む力が緩んだので、レンの手がするりと潜り込む。
    「いやっ、いやー!こんなのいやだって!うぅ。」
    アイは、泣き出してしまった。

    続く




引用返信/返信
■22035 / ResNo.10)  レン・アイ9
□投稿者/ いちこ 一般♪(39回)-(2016/01/11(Mon) 13:39:31)

    レンはアイの涙を見て、はっと我に返って、手を止めた。レンは

    「‥‥ごめん‥‥なさい。」

    とうなだれて、アイから離れた。
    アイはグスングスンと鼻をすすりながら、急いで服装を直すと部屋を飛び出した。

    それから何回かユミ先生の家に行ったが、避けているのかレンとは会わなかった。
    アイとしても、どういう顔で会えばいいのかわからなかった。

    ある日、会社の終わり際に編集長から誘われた。
    仕事以外では会いたくなかったので、断ったが、会社の出口で待ち伏せされた。
    「おい、ほら行くぞ!たまには付き合え。」
    「いや、私、あの、約束があって‥‥」
    「たかが、エロ雑誌の編集が気取るんじゃねえよ。」
    と腕を掴まれる。その時、その手を払った人がいた。
    「おっ、なんだよ!」
    レーシングスーツにフルフェイスのヘルメットを被っているため、顔は見えないがレンだ。
    レンは黙ってアイの手を引き、歩き出した。
    「ちっ、なんだよ!彼氏と待ち合わせかよっ!」
    レンはバイクの所まで来ると、黙ってヘルメットを渡した。
    振り返ると、編集長がまだ未練がましく見ているので素直にバイクに乗った。
    バイクはすぐに高速に入り、郊外へと向かう。
    「ねぇ、どこにいくの?」
    大声で叫んでも返事がなかった。やがて高速を降り、山の方へ向かう。
    アイは不安になってきた。峠道に入り、ラブホテルの看板が目に入る。
    ‥‥まさか?!

    続く





引用返信/返信
■22036 / ResNo.11)  :レン・アイ10
□投稿者/ いちこ 一般♪(40回)-(2016/01/16(Sat) 17:50:27)

    アイの心配をよそに、どんどんホテルが近づいてくる。
    しかしレンのバイクはホテルの前を通り過ぎて、
    山の中腹のパーキングに止まった。

    バイクを降りたアイは、そこから見える素晴らしい夜景に見とれた。
    「‥‥きれい!!」
    「でしょ。アイに見せたかったんだ。」
    「ありがとう。へぇ〜。」
    「‥‥‥‥あ、あの、この間はごめん。なんか気が昂ぶっていて。」
    「えっ‥‥‥‥うん。」
    「な、なんかさ、僕、アイのことがさ、好きになっちゃったんだ。」
    「えっ‥‥」
    アイは今、夜で良かったと思った。
    なぜならきっと真っ赤になっているからだ。
    「あ、あのさ、つ、付き合って欲しいんだけど。」

    「‥‥‥‥うん。いいよ。」
    「へっ‥‥うそっ、嬉しいー!ほんとうに?」
    コクリとアイはうなづいた。
    「やったー!信じられないよ!」
    アイは少し上を向き、目を閉じた。
    その唇の上に雪がひとひら舞い降りた。
    「あっ、初雪だ。帰ろうか?」
    「うん。」

    二人で峠道を下っている時、アイがレンの背中を叩いた。レンはバイクを止めて
    「なに?」
    「あのね、寒いから‥‥入ろ。」
    と前方を指差す。そこにはホテルの入口があった。
    レンに異存はなかった。

    続く


引用返信/返信
■22037 / ResNo.12)  レン・アイ11
□投稿者/ いちこ 一般♪(41回)-(2016/01/24(Sun) 06:12:35)

    部屋に入ると、レンがはしゃいだ。
    「実は僕、初めて入るんだ。ヘェ〜。ベッド広いね。」
    とベッドで跳ねたり、引き出しを開けたり、中から避妊具を出したりしている。
    「先にシャワー浴びるね。」
    とアイは浴室に入り、シャワーを浴びていると、急にレンが入ってきた。
    「きゃっ!」
    と思わず胸と股間を隠したアイだった。
    レンの肌は浅黒く筋肉質で、Aカップの乳房と濃い陰毛を持っている。
    アイは対照的に色白で、豊かな乳房で薄い体毛だ。
    アイは、レンの方を向くとゆっくりと両手を広げ、全てを晒した。
    「きれいだよ!」
    レンが近づき、アイを抱き締めキスをした。
    今度はアイも応えて舌を絡めた。長いキスだった。

    ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ

    「洗ってあげるよ。」
    レンが上気したかすれた声で言った。
    そのあと、お互いの身体を洗いあった。
    でもレンは肝心の場所には触れさせなかった。
    逆にレンはアイの身体の全てを知りたがった。感じる所 全てを。
    例えば、膝の裏とか鎖骨とか、もちろん乳首とアソコも。
    その感じる所を特に念入りに洗う。
    アイも反撃を試みるが、その度に更に強く愛撫され断念してしまう。
    今もアイはバスルームの床に寝かされ、お尻を正座したレンの膝に乗せている。
    足を開かされ、シャワーの水流をアソコに当てられている。
    「あっ、あぁ‥‥もう流れたから、止めて!」
    「でも流しても流しても、ヌルヌルが取れないよ。」
    「そ、それは、あぁ〜、すごい。」
    アイの下腹部がビクビクと痙攣し出す。と、突然水流を外される。
    「えっ‥‥」
    「やっぱりアイは可愛いよ。」
    とまだヒクつくクリに、むしゃぶりついた。
    「あぁ〜、ダメ、イッ‥‥イッ‥‥イッちゃう、イッちゃう‥‥イヒ〜〜!」

    ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ

    まだ時折 痙攣を繰り返しているアイに、優しく口づけして、
    「さぁ、ベッドに行こうよ!」と誘う。
    お互いの身体を拭いて、二人でベッドに倒れこんだ。
    「ねぇ、今度はレンの声が聞きたいの。」
    とアイがレンの乳首に舌を這わせた。
    「‥‥んっ」
    レンは目を閉じて眉根を寄せる。それを見てアイは更に熱心に舌を使う。
    そして片手を下腹部に伸ばし、濃い叢で遊んだ後、更に奥へ進む。
    そこは既に充分に潤い、やすやすとアイの指を受け入れた。
    クチュッという音とともにレンの身体が跳ねる。
    レンがアイの首の後ろに手を廻して、引き寄せてキスをする。
    「‥‥んっ、あはぁっ」
    アイがくちびるを外して喘いだ。
    いつの間にかレンの指がアイのクリを捉えていた。
    アイも負けじと指を動かしたが、レンにまたキスをされる。
    お互いに舌を絡めて、貪り合う。
    クチュクチュと卑猥な音が響くなか、ふたりの声が大きくなり、重なっていく。
    「あぁ、あ〜、あっ、ああぁぁぁ」
    レンの身体が大きく跳ね、ほぼふたり同時に達した。
    胸をおおきく上下させながら、ふたりの手は固く結ばれていた。
    アイはこの幸せがずっと続くと思っていた‥‥

    完結

完結!
引用返信/返信

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■21876 / 親記事)  再開
□投稿者/ カラス 一般♪(32回)-(2015/02/05(Thu) 05:34:11)

    冬の季節…

    周りはカップルだらけ
    街中はラブラブ状態
    でも、そんなもの見ても羨ましいとまではいかない

    恋愛とかは特に
    僕には無関係だと思っていたから。

    そもそも、出会いなんていうものは信じないタイプだ

    ネットで探せば
    可愛くてとか
    スタイル良くてとかカッコ良くてとか
    美人でとか
    デカ乳じゃなきゃ嫌だとかいう欲張りさんがとても多い

    それを見た瞬間
    あ、僕はダメなんだと何かが起きた

    それきり出会いというものに一切、興味を無くした。

    僕の見た目は
    完全に男性的で
    女性らしさは無い
    体型は太めだし可愛げ0

    プラスなものは無し
    ダイエットしても
    長続きしないし
    なにやっても無駄

    こうして、17回目の冬が到来…

    今日もかったるい
    アルバイト先まで
    歩いて行く

    あ、ちなみに名前は黒崎 悠(17)
    フリーター

    ふと、空を見上げた冬の空は何故か
    寂しげだ
    寒いし…息を吐けば白い煙が空高く舞い上がる

    星空なんて見えない
    こうやっていつものように時を過ぎていくんだろうなと思うと
    なんだか切なくなった。


    『はぁ…早くバイト行こう』

    ため息つきながら
    トボトボと歩き
    アルバイト先に到着
    僕が勤めている
    アルバイトは

    『男装カフェ』

    水商売ではないけど接客業だ…

    仕事内容は
    お客様とお喋りしながらおつまみなりジュースなり飲み食いして楽しい時間を提供する…17歳から30歳までの従業員が揃ってる
    もちろん店長とマネージャー以外は皆、男装女子

    いつもいろんなお客様がくるから
    意外と楽しい仕事だそして…
    僕はそのまま
    着替え室へ向かった

    『失礼しまーす』

    入る前に先輩たちが居るか居ないかを確かめるために、ノックは必ずする
    まぁ、これはどこも一緒で常識だけど

    ???
    『いいょ〜』

    この声は
    やっぱり先輩だった

    『こんばんは…お疲れ様です 晴香先輩』
    井上晴香(22歳)
    性格はおだやかで
    男装をしなければ
    男性からも女性からも憧れられる癒し系女子

    晴香
    『お疲れ様〜…悠に会いたかったょ〜』
    いつも、そうだけど僕だけ抱きしめられて僕がやめてと言うまでやめないというたまに謎の行動をとるちょっと変わった先輩
    でも、嫌じゃないから成り行きに任せてる


    『ぬわっ!!いきなりやめてくださいよ…まったく』

    晴香
    『えへへ、ごめんなさい…』

    舌を出して謝る姿を見た僕は思った
    『悪魔だ…』と

    (携帯)
引用返信/返信

▽[全レス12件(ResNo.8-12 表示)]
■21886 / ResNo.8)  沙子さんへ
□投稿者/ カラス 一般♪(38回)-(2015/03/02(Mon) 22:11:18)


    こんばんは!

    読んでくれて
    ありがとうございます

    もちろんです
    メールしてください
    件名に『カラス』と書いてメールください

    待ってます

    そして、また読んでくださいね小説

    (携帯)
引用返信/返信
■21887 / ResNo.9)  始まり…後編
□投稿者/ カラス 一般♪(39回)-(2015/03/07(Sat) 02:51:29)


    『キミがなんで僕のとこにいるの?僕はキミを本当に知らない…なのにキミは僕を知っている…』

    少女
    『そうね…、まぁ確かに…でもね?いずれは分かると思うよ私のこと』

    白いワンピースを着ていて黒髪ロングで可愛らしいし見覚えもある…なのに思い出せない…


    『キミを知りたい』
    少女
    『……そのうちね』
    そう言い、謎の少女は僕の目の前から消えた…

    そのあとからなにか声が聞こえてきた


    『んぅ?』

    ???
    『ネェネェッ!!悠にぃ起きなさいよっ…』この声は実の
    僕の妹のような存在の
    白井零梛(15歳)
    甘えん坊でツインテールが特徴のアイドル的存在で一応、リアルでアイドル活動をしている


    『んあ!!』

    零梛
    『ひゃんっ!!』

    一気に起きあがると零梛は思いっきり転がり込んだ

    零梛
    『悠にぃっ…びっくりしたじゃん』


    『はぁはぁはぁ…あれ?なんで零梛が僕の家に?ていうか!!いつ入った!?』

    零梛
    『うにゃ!!声おっきいよ悠にぃったら…マネージャーさんに開けてもらったの』
    僕は呆れてしまった実の妹的で確かに可愛いが、ここまでくると…女ってやっぱ怖いと感じてしまう自分も女だが(^_^;)

    『だからって、ったく…バカ』

    零梛
    『テヘッ…だってだって…悠にぃに会いたかったから我慢出来なかったんだもん』

    零梛との出会いは
    僕が小学生のときだった、零梛は当時、施設に入っていた
    その頃、僕も施設に入っていたからそれがきっかけで仲良くなったんだ

    (携帯)
引用返信/返信
■21888 / ResNo.10)  大切な…
□投稿者/ カラス 一般♪(40回)-(2015/03/07(Sat) 07:23:59)


    『んで、マネージャーさんはどこ?』

    零梛
    『居るよ〜マネージャーさん悠にぃが呼んでるからきて』

    零梛がそう言うと
    クール?っぽい女性が入ってきた
    見た目は、普通にモデルっぽくて大人って感じの雰囲気

    ???
    『はじめまして、零梛のマネージャー兼SPをしています
    赤城 エリ(34歳)と言います、勝手に入ってしまい申し訳ないです…』

    茶髪で髪は縛ってあり長さは分からないが
    それより、SPって!?僕は零梛に問いつめた


    『な、なぁ、零梛…SPって…零梛専属のって感じっすか?』

    零梛
    『もっちろん、最近仕事忙しいし…強烈的なファンとか居るから、社長さんが心配してエリさんを選んで専属になったって感じかなぁ』

    僕的には、気が遠くなりそうなセカイだなんと言っても
    人気絶頂期のアイドルなんて知らなかったし…頭ん中ヤバ

    エリ
    『悠さん…ごめんなさい…零梛がどうしても悠さんに会いたいと言うので寝ていたのに…』


    『あ、いや、大丈夫っすよ…気にしてないし、あの今更ですけど零梛をよろしくです』

    僕は正座をしてそのままお辞儀する姿勢で言った
    何故か この人なら大丈夫と安心感があったからだ

    零梛
    『むぅ〜!!あたしを子供扱いしてっ、悠にぃはいっつもそう』


    『バーカ、まだ子供だろ?エリさんを困らせるようなことは絶対にすんなよ?』

    っと言ったのはいいが気に障ったのか
    顔を真っ赤にさせ逆ギレされてしまった
    零梛
    『っ!!なによ!!子供子供って、あたしだって!!今はアイドルなんだからっ、仕事しまくりで休む暇すらないスケジュールが全部、埋まってるし!!悠にぃみたいにフリーター生活じゃないんだから、そんなこと言われる筋合いなんてないのっ』
    僕は、正直
    この言葉にグサッと何かが心を突き刺してきた
    確かに僕は中卒で
    フリーターだ
    零梛みたいに忙しくはないが…この言われようは…さすがに傷ついてしまい硬直してしまった
    すると、エリさんが僕をかばうように
    零梛を叱った

    エリ
    『零梛!!今の言い方は無いでしょ?悠さんだって毎日、頑張ってるの…貴女なら分かるでしょ?謝りなさい』

    僕は焦りながらも
    エリさんを落ち着かせた


    『エリさん、良いんです本当のことなので気にしないでください』

    エリ
    『でも…』


    『良いんですよ、そのお気持ちだけでもありがたいので』
    エリさんは複雑な表情を浮かべて黙り込んでしまった。


    (携帯)
引用返信/返信
■21889 / ResNo.11)  大切な…後編
□投稿者/ カラス 一般♪(41回)-(2015/03/08(Sun) 03:14:28)


    『エリさん、僕は大丈夫です。零梛は小さいときから施設に居たから、甘えたくても甘えられなかったから、だから今になって甘えたくて誰かの傍に居たいんだと思うんです。零梛を怒らないでください』

    エリ
    『優しいんですね、悠さんって…わかりました』

    なんというか、零梛の気持ちは分からなくもない物心をつく前から両親は居なかったから。僕もそう話によると、産んだ母親は当時、14歳のときに僕を産み、その当時の父親は行方不明で分からないらしい、当然…14歳じゃまだまだ子供だし育てることさえ出来ない。だから産んで間もない僕を公園のベンチに置いて去っていった…

    親の愛情なんて
    分からない

    零梛もきっとそうだきっと零梛はすごく愛されたくて寂しい思いをしたくないんだと心の中で思った

    『いえ、そんなことはないです』

    零梛
    『…エリさん、そろそろ時間…先行ってる…悠にぃ…やっぱりいい…またね』

    そう言って、零梛は僕の部屋から出て行った

    エリ
    『それじゃあ、私も行きますね、それでは…また』

    丁寧にお辞儀をしてエリさんも部屋から出て行った

    また一人になった


    『はぁ…独り身は大変だなぁ…ま、こういう運命だし仕方ないか』

    すると店長
    松本 菜穂実(36)から電話がきた

    ブーブーブーブー


    『はい?もしもし、店長…どうしたんすか』

    店長
    『あ、ごめんね。あのさ、今日、人数少ないから申し訳ないんだけど来てくれないかな?従業員が足りなくてさぁ』

    急なバイトの連絡だった
    まぁ、暇だし予定もないからすぐOKした
    店長
    『マジ!?チョー助かるわぁ…ありがとねんじゃ、今からでも大丈夫かな?大丈夫ならお願いね、ごめん急用出来たからまた後でね!!』

    プツッ…ツゥーツゥーツゥーツゥー
    僕は急いで
    着替えをして、バイト先へと向かった


    いつものように
    着替え室に向かってノックをする

    コンコンコンコン

    すると返事が返ってきた

    ???
    『ん…どうぞ』

    この声は、まさかと思いながらもドアを開けると
    やっぱり予想していた人物だった

    ???
    『あぁ…悠くんだぁ…お疲れ様』

    この店のマネージャー
    佐薙 瑶子(秘密)
    性格はおっとりで
    胸デカ色っぽい容姿を持つ、美人?なのかな多分(^_^;)
    特に同性(ビアン)から好かれることが多いモテ女



    (携帯)
引用返信/返信
■21890 / ResNo.12)  終わり
□投稿者/ カラス 一般♪(42回)-(2015/03/12(Thu) 16:25:20)



    題名通り

    (携帯)
完結!
引用返信/返信

■記事リスト / レス記事表示 → [親記事-9] [10-12]



■記事リスト / ▲上のスレッド
■21759 / 親記事)  純白の花嫁
□投稿者/ シロ 一般♪(2回)-(2013/09/23(Mon) 06:45:11)



    ―――――ああ、これで一体何度目かしら。
    そんな風な思いが頭をもたげずにはいられない。




    『ただいまご紹介に預かりました、佐々木と申します。
     私は新婦である里奈さんとは小学生の頃からの友人で・・・』




    折角の友人代表のスピーチも右から左へと流れ、内容が頭に入ってこない。
    白とピンクを基調に飾られた室内も、テーブルの上の生花も、全てが夢のよう。




    高砂で、微笑みを浮かべながら友人のスピーチを聞く新郎新婦の方へ目をやる。
    2人とも性格がよく、人望が厚いようで、結構な人数が集まっている。
    招待客も皆いい人そうで、2人はきっと幸せな夫婦生活が送れるだろうと思った。




    (里奈・・・・・・。)




    眩しいほどの純白のウエディングドレスで身を包んでいる、美しい新婦。
    いつもよりも少しだけ濃いメイクをして、幸せそうな表情を浮かべている。
    隣の白いタキシードを身にまとった新郎も、幸せそうに座っている。




    友人代表のスピーチが終わり、会場が拍手の音でいっぱいになった時。
    私は今日の主役である里奈との出会いを、思い出していた―――――



引用返信/返信

▽[全レス12件(ResNo.8-12 表示)]
■21768 / ResNo.8)  返信
□投稿者/ シロ 一般♪(10回)-(2013/09/24(Tue) 04:18:25)



    まる様


    一気に読んで頂いたとのことで、感想ありがとうございます。
    思いつきで一気に7話分を更新した作品ですが、お褒め頂き恐縮です。
    最後までこの作品の行方を見守って頂けたら嬉しいです。



    作者・シロ



引用返信/返信
■21769 / ResNo.9)  
□投稿者/ シロ 一般♪(11回)-(2013/09/24(Tue) 04:55:25)



    20分ぐらいでシャワールームから出てきた明美は、スキンケアを始めた。
    私も明美ももう若くはなく、既に20代後半の世代だ、ケアには気を遣う。




    化粧水や乳液を肌に叩き込む明美を横目に、私もシャワールームへ入った。
    ツインルームだからなのか、シャワールームも心なしか広く感じる広さだった。
    久しぶりに着たドレスを脱ぎ、軽く畳んで棚にしまうと、カーテンを閉める。
    そして指先で確認しながら少し熱めのお湯になるように調節し、体を濡らした。
    緊張とフォーマルな衣装で固まっていた体が、芯からほぐれていくようだ。




    俯いて髪の毛も濡らすと、アメニティのシャンプーで頭を泡で包み込む。
    シャンプーは普段自分が使っているメーカーのものではないが、いい匂いがする。
    リンスインシャンプーらしいので、泡を流すと軽く水を切り、今度は体を洗う。
    ボディーソープもアメニティとして置いてあったものだが、いい匂いだった。
    シャンプー同様泡立ちがよく、何だか幸せな気分になっていくのを感じた。
    最後に持ってきた洗顔剤でメイクを落として、ようやく全身がさっぱりした。




    明美と同じぐらいの時間をかけてシャワールームを出ると、明美はベッドにいた。
    最近流行りの番組を見ながら、時々楽しげな笑い声を1人であげている。
    時々聞こえる明美の笑い声を聞きながら、ドライヤーで髪を乾かしていく。
    そして明美と同じく化粧水と乳液を肌に叩き込み、ようやくベッドに腰掛けた。




    「今何の番組をしてるの?」



    「え、玲奈、この番組知らないの!?」



    「最近全然テレビ見ないから分かんない」




    明美が説明してくれたものの、私からすれば興味をそそられない内容だった。
    再び番組に夢中になる明美に多少呆れながらも、私はデジカメの電源を入れる。
    そこには、今日撮ったばかりの、新婦姿の里奈の写真が何枚も並んでいた。
    満面の笑みを浮かべる姿や、新郎と一緒にケーキに入刀しようとしているところ。
    勿論、新郎の写真も撮ったし、久しぶりに会った友人や知人達も写っている。
    しかし気付かない間に、カメラのレンズは、里奈の姿ばかりを収めていた。




    (これじゃあまるで、未練たらたらの女のよう―――――)




    里奈とは、里奈が大学を卒業してから、たまに連絡を取り合うぐらいだった。
    私は6年間は大学に通わなければならなかったし、医学部とだけあって忙しい。
    里奈も実習や課題に追われていたらしく、自然消滅のようになっていた。
    ふと思い出した時に、近状を尋ねたり、報告したりする程度の関係になった。




    とは言っても同じ大学の同じサークルで活動をした先輩と後輩の仲だ。
    疎遠になっていたわけでも何でもない私を結婚式に招くのは、至って通常。
    見送りの時に、すぐそこの喉まで出てきていた質問を、もう1度自分に問う。




    (里奈は私のことを、どう思っていたんだろうか・・・)




    恋人だろうか、友人だろうか、それともただの先輩だろうか、知人だろうか。
    それは里奈に聞かなければ永遠に分からないが、私は聞く勇気を持っていない。
    聞いて気まずい関係になるよりも、今までのような関係を保っていたいのだ。
    私は明美に勘付かれない程度に深く深呼吸をし、ベッドの上に寝転んだ。
    明美は依然番組に夢中のようで、1人でテレビを見ながら楽しそうにしている。




    壁にかけられている時計を遠目に見ると、とっくに22時を過ぎていた。
    明美は明日は1日休みらしいが、医者である私は午後からは仕事の予定だ。
    そこまでデリケートでもないし疲れているので、今日はこのまま眠れるだろう。




    きちんとベッドに潜り込み、携帯のアラームをセットすると、そっと目を閉じた。



引用返信/返信
■21770 / ResNo.10)  
□投稿者/ シロ 一般♪(12回)-(2013/09/24(Tue) 05:16:40)



    明美が番組を見終わり、テレビを消すと、玲奈はもう眠りに就いた後だった。
    確か明日は午後から勤務予定だと言っていたから、早めに寝たのだろう。
    長い付き合いの明美にでさえ気を遣うところは、玲奈の長所であり短所だ。




    大学1年生の時、共通の知人を介して知り合った2人は、友人歴が2桁になる。
    明美が卒業して幼稚園教諭として働き始めた後も、玲奈とは頻繁に会っていた。
    というより、玲奈は無理しがちなところがあり、明美が世話を焼いていた。
    レポートや論文に追われて録に食事も摂らず、目の下にクマをつくって過ごす。
    そんな玲奈に軽食を差し入れ、少しは休憩するように促すのが明美の役目だ。




    幸い、勤務している幼稚園は土日が休みのため、週末には玲奈の家へと行った。
    そして彼女から預かった合鍵で入り、玲奈の安否を確認して世話を焼く。
    玲奈も無事卒業して医師として病院に勤務しているが、性格は変わっていない。




    (本当は、辛いんでしょ?)




    本当は、玲奈は里奈のことを本人が思っている以上に想っていたのだと思う。
    パッと見は普段の玲奈だが、玲奈の友達として長い付き合いのある明美は分かる。
    里奈を見る時の、切なそうで辛そうで悲しそうで寂しそうな、玲奈の目―――――
    スピーチの時も上の空でいたような気がして、少しだけ玲奈が心配だ。




    (だけど・・・)




    だけど、もう玲奈も立派な大人の女性だ、自分で自分のことはできるだろう。
    ただでさえ、他人に自分の領域に土足で踏み込まれることを嫌う玲奈のことだ。
    明美という人間が聞いても、きっと何も答えてはくれないのは分かりきっている。
    玲奈に明美がしてやれることは、ただ玲奈のことを見守ることだけだ。




    明美は玲奈のことを大切に思い、最高の友人だと思っているし、愛しいと思う。
    しかしそれは人間として、友人としてであり、決して恋人としてではない。
    それは明美1人だけのことではなく、玲奈にも当てはまることである。




    だから、明美が眠る玲奈の頬に唇で軽く触れたのは、何の意味もないことだ。
    明美は昔から眠る玲奈の頬にキスをする、すると玲奈は軽く身じろぐのだ。
    しかし次の日には必ず、よく眠れた、そうやって玲奈は満足げに微笑む。
    これは玲奈には知られていない、玲奈だけのための明美のおまじないだった。




    (玲奈・・・玲奈・・・好き・・・大好きだよ・・・)




    今日も玲奈は明美からのキスで左側に寝返りを打ってしまい、明美に背を向ける。
    すやすやと眠る玲奈に安堵の溜め息をついた明美は、枕元のランプをつけた。
    そしてリモコンで部屋の電気を消し、自分もアラームをセットして目を閉じる。
    脳裏には、綺麗に着飾ったフォーマルな玲奈と、綺麗な純白の花嫁姿の里奈。
    明美にとっては2人とも大切な人だが、大切の度合いが大きく違う人でもある。




    (玲奈・・・好き・・・)



引用返信/返信
■21771 / ResNo.11)  10
□投稿者/ シロ 一般♪(13回)-(2013/09/24(Tue) 19:15:00)



    次の日の早朝、同時に鳴ったアラームの音楽が、騒がしい朝を演出する。
    私は自分の分のアラームを止め、ついでに明美の分のアラームも止めた。
    明美もいかにも眠たそうな顔で目を擦って起き上がり、ぼうっとしている。




    「・・・おはよう」



    「ん〜・・・玲奈ぁ?おはよ〜・・・」



    「早く顔洗って着替えて。朝ご飯に遅れる」



    「ふぁ〜い・・・」




    おぼつかない足取りで洗面所に消える明美を見送って、ベッドから降りる。
    そして両方のベッドのシーツを綺麗に整えると、荷物の再確認をする。
    部屋を軽く見渡したが、私も明美も特に忘れ物をしているわけではなさそうだ。
    旅行カバンのファスナーを閉め終わった時、明美が洗面所から出てきた。
    先程よりもすっきりした顔をして、今度は着替えに取り掛かっている。




    私も洗面所に行って冷たい水で顔を洗うと、さっぱりした気分になった。
    柔らかい真っ白なタオルで顔を拭いて出ると、明美は着替え終わりそうだった。
    黒いシンプルなワンピース姿の明美は、ジーンズのシャツを羽織っている。
    シャツの裾を結ぶと、髪の毛をくしでとき、軽くまとめて身なりの確認をする。
    私も黒いシンプルなレディースのパンツスーツに着替え、髪の毛をとく。




    「玲奈、早くご飯食べに行こ!」




    時計を見ると、針は朝ご飯のバイキングが始まる6時の5分前を指していた。
    ここは7階だし、そろそろ1階の食堂に降りてもいいぐらいの時間だった。
    玲奈は身なりの確認をしてから、薄い部屋のカードキーを手に取った。




    「じゃあ、行こうか」



    「新幹線の時間、何時だっけ?」



    「えーっと・・・8時過ぎ」



    「じゃあそこまで急いで食べなくても大丈夫だね!」




    朝から機嫌がいい明美を先に部屋から出し、明美に続くように私は部屋を出た。



引用返信/返信
■21772 / ResNo.12)  Re[10]: 10
□投稿者/ まる 一般♪(3回)-(2013/09/24(Tue) 23:27:18)
    返信ありがとうございました。 ^^

    日常、どこにでもありそうな場面の中で進んでいくお話だから
    親しみながら読ませていただいています。

    洋服や表情なども細かく描写されているのでイメージもしやすいですね。。

    これからの展開が楽しみです。^^

    応援しています。

引用返信/返信

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