ビアンエッセイ♪

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貴女の官能的なビアンエッセイやノベル
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■11365 / 親記事)  CLUB ANGEL's T
□投稿者/ A 一般♪(1回)-(2005/07/27(Wed) 03:29:05)
    2005/07/29(Fri) 01:05:05 編集(投稿者)
    2005/07/27(Wed) 03:31:51 編集(投稿者)

    [じゃあ、今日の夕方から向こうに顔出しにいってね★よろしく、エリナ♪]

    『わかったよ、理沙も会社頑張ってね、うん、ばいばーい』

    エリナの友人、理沙の就職が決まったのでエリナは理沙のバイトを引き継ぐ事になった。
    『めんどくさいなぁ。』
    パタンと携帯を閉じ、理沙に渡された地図と名刺を眺める
    『キャバなんて忙しそうだし。酔った人の相手しなきゃなんないしなぁ。』
                燃えるような夕日が西に傾くころ、エリナは家を出た

    名刺に書かれている店の名前を探すためエリナの視線はきょろきょろしていた。
    「お姉さん♪俺らと遊びに行こうや」

    「何してるの?暇なの?」
    「おごりだから♪友達も呼べばいいから♪」

    歩くたびに男が群がるのも無理はない。
    綺麗な長い茶髪に白く透き通った肌。切れ長の目がどこか艶やかな印象を与える。

    全てのナンパをシカトして、エリナは目的の店をようやく見つけた。

    店の周りには男が誰一人いなかった。

    『…潰れるんじゃない?』
    多少不安を抱えつつ、エリナは扉を静かに開いて、地下に続く階段を降りていった。

    (携帯)
引用返信/返信

▽[全レス101件(ResNo.97-101 表示)]
■12969 / ResNo.97)  ワクワクしますね♪
□投稿者/ 雅 ちょと常連(65回)-(2005/09/19(Mon) 13:09:39)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    あ〜、いいですねぇ。どうなっちゃうんだろう・・と
    一人妄想に入っちゃってます♪(笑)
    それにしても、緊迫感ってなんか、いいんですよねぇ。
    やっぱSM趣向のせいかしら。ウフフ(照)
    ボチボチ、お互い頑張りましょうね♪応援してますよ♪(私も、ここのそっち系で頑張ってます。)

引用返信/返信
■12981 / ResNo.98)  CLUB ANGEL's L[
□投稿者/ A ちょと常連(82回)-(2005/09/20(Tue) 01:14:12)
    「はっ…ぁ…はっ…」

    『…可愛い顔…』

    四つんばいで後ろから突き上げられているエリナの呼吸はすでに乱れていた。

    大きく広げられた秘部は綺麗に剃られ、ピンク色のエリナの肉が見え隠れしていた。

    荒々しく軋むベッドで、必死に耐えるエリナを楽しむように恭子は攻め立てる。

    『ふふ…本当はあなたが苦しむ顔をもっと見たいのだけど、快感に浸る顔は…まだ見たことが無いわ…』

    そう言うと、恭子はメイドから預かった箱から何かを取り出した。

    突き上げられる感覚からの、束の間の休息にエリナは虚ろな瞳で恭子の動きを追った。

    『ほら…。少し冷たいだろうけど、じきに慣れるわ』

    長い指がエリナの綺麗な秘部に当てられる。

    「ゃ…あ……冷たい…あっ…何…したの?」

    エリナの声を無視して、恭子はうっすらと笑みを浮かべて丹念に液体を塗り込んでいく。

    『あと、これ。ちゃんと飲み込むのよ』

    半ば強引に口を広げられ、エリナは小さな錠剤を飲まされた。

    「っ…ケホ…ケホ…」

    乾いた口内に無理矢理入れられた薬を飲み込まされた為に、思わず咳き込んだ。

    『あら、仕方ないわね。ここまでするつもりは無かったんだけど…』

    そう言うと恭子は箱からジュースのようなビンを取り出して蓋を開けた。

    『飲みなさい』

    恭子の差し出した物を一瞬受け取るかためらったが、喉の渇きと異物感を無くすために渋々手を伸ばした。

    「…はぁ…っ…コレは…何なの?」

    濡れた口元を手で拭き取り、ビンのラベルを探す仕草する。


    『余裕そうね…。それが何なのか、知る必要は無いでしょ?あなた自身が答えを教えてくれるわ…』


    ギッと恭子がベッドに乗り、ゆっくりとエリナに近づいてゆく。

    やがて互いの頬が触れ合う程になり、恭子は優しくエリナの頬に手を添えた。


    ドクン


    エリナの身体が大きく脈を打った。

    「…何…身体が……」

    血が全身を駆け巡っていく感覚。

    『思ったより効き目が早いわね…』


    頬にあった手を、鎖骨に滑らせていく。

    「あ…っ」

    普通なら何とも無いような軽い刺激にすら反応するエリナ。



    その様子を満足気に見届けると、恭子はエリナを押し倒した。

    (携帯)
引用返信/返信
■13086 / ResNo.99)  けー
□投稿者/ けー 一般♪(1回)-(2005/09/27(Tue) 00:56:39)
    続き早くみたぁいデスっ(o^o^o)楽しみにしてます♪

    (携帯)
引用返信/返信
■13152 / ResNo.100)  新しく立てます
□投稿者/ A ちょと常連(83回)-(2005/10/02(Sun) 23:07:36)
    100になったので、そこにみなさんからいただいた感想の返事、続きを書かせてもらいます★たくさんの感想ありがとうございます♪

    (携帯)
引用返信/返信
■21526 / ResNo.101)  女性募集
□投稿者/ 千里子 一般♪(1回)-(2012/05/17(Thu) 12:46:00)
http://fgn.asia/
完結!
引用返信/返信

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■8275 / 親記事)  Everytime
□投稿者/ 菜々子 一般♪(1回)-(2005/03/26(Sat) 12:29:23)


    忘れかけていた歌や言葉たちは

    春の優しい風にのって舞い戻る。



    愛しい人の香りや表情が

    鮮明に蘇るのは何故だろう


    since

    いつからだろう

    こんなにこんなに"愛"というものを知ったのは。


    いつからだろう

    "愛しい"だなんて思うようになったは。




    (携帯)
引用返信/返信

▽[全レス100件(ResNo.96-100 表示)]
■11273 / ResNo.96)  57【(回想)柚羅17歳】
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(85回)-(2005/07/24(Sun) 21:37:17)

    "女"を覚えたのは。


    いつ頃だっけ。



    とりあえず、一度その深みにハマってしまった私は。


    もうどうしようもないくらいのダメ人間に。


    黙っていても誘われるし。
    いらないと思っても寄ってくる。



    だから女に不自由なんて、したことがなかった。



    「あー。」


    やっぱ屋上でサボるには、まだ時期が早い。


    吐く息が白くて。
    手も、冷たい。



    私が綾香に出会ったのは。
    去年の9月、だったかな。



    季節外れの転校生は。
    親しくしていた先輩の妹で。
    カナダ帰りの帰国子女。



    愛らしい瞳とポッテリとした唇、その白い肌。
    何よりも"帰国子女"と言う言葉と、その可愛らしさとのギャップに、女子も男子も騒ぎ立てた。


    そう、綾香はとても魅力的な女性で。




    どうして、か。



    机と机の間、好奇の視線に包まれた中。
    綾香は私を一途に見つめていた。




    絡み合った視線が、私の席の前でぶつかって。




    「初めまして。綾香デス。」




    それまで一言も口を聞かず、真っすぐ私の目を見つめていた綾香が。
    その可愛らしい透き通る声と仕草で声をかけたのが。




    始まり、だった。







    (携帯)
引用返信/返信
■11313 / ResNo.97)  58【(回想)柚羅17歳】
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(86回)-(2005/07/25(Mon) 21:00:32)

    「柚羅。ココにいたの。」



    そんな事を考えながら、吐く息を見つめていたら。


    いつのまにか私の前に立っていた深雪が声をかける。


    「あ?何でココにいんの?」


    ココは私だけの場所。
    ダレにも邪魔されたくない時間を作りたいのに。



    「何よ、冷たいのね。」



    深雪は少しため息混じりでそう言うと、私の横に腰をおろした。


    いいって言ってないんだけど‥。



    深雪は綾香の姉さんで。
    私の‥セックスフレンド?まぁ普通の人より親しいワケで。


    「何か用?」


    隣に腰をおろした深雪に言った。
    気分が悪くなったから、冷たいコンクリートに手をついたまま深雪を睨む。



    「綾香と付き合ってから、
    冷たくなったね。」


    ポツリとそう言う優等生の深雪。


    少し長めのスカートと、綺麗にまとめられた髪の毛。

    影を持ったその瞳。


    やはり血の繋がりは大きくて、
    その横顔は綾香にそっくりだった。


    「いけない?」


    「本気なの?」


    いつもの深雪の優等生っぷりは、私の前では綺麗に消えていく。


    キリリとした瞳も堂々たる態度も、私の前では子犬のように。


    彼女の言葉一つ一つに"独りにしないで"、と含まれている気がした。



    「‥本気じゃダメ?何が言いたいの?」



    冷たい風になびく深雪の髪を、いつもの癖でそっと撫でる。
    すると、綾香によく似たはかなげ瞳がゆっくりと私を見つめた。






    (携帯)
引用返信/返信
■11347 / ResNo.98)  59【(回想)柚羅17歳】
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(87回)-(2005/07/26(Tue) 20:25:09)

    きっと‥一目惚れだった。


    綾香を見た瞬間、天使が舞い降りてきたと。
    本気で思った。



    それから二人が結ばれるまでに、一ヵ月もかからなかった。



    互いに、結ばれることが当たり前のように。
    二人の出会いは偶然ではなく、必然だと感じた。



    「柚羅‥」


    深雪がそっと目を閉じる。
    頬に触れた私の手に自分の手を重ねながら。



    「‥。」


    ハッとして、無言のまま目の前の女の手を除けた。


    綾香の笑顔を思い出すと、他の女なんてどうでもよくなる。あの笑顔を傷つけたくない、と。
    それ程に力を持った天使なんだ。



    「深雪は好きだよ。でも綾香とは違う。
    あたしには綾香だけなの。だからもう、深雪を抱く気はない。」


    だから、はっきりとそう告げた。



    目の前の顔が、今にも泣きだしてしまいそうに歪んでいく。
    それを見ているのは、辛いものがあった。だから視線を外した。


    「いいわ‥わかった。」


    消え入りそうな彼女の震える声が、風と一緒に耳に流れた。







    (携帯)
引用返信/返信
■11360 / ResNo.99)  感想☆
□投稿者/ つき 一般♪(1回)-(2005/07/27(Wed) 02:12:06)
    菜々子さんの作品とても好きです(^-^)うまく言えないんですけど、一つ一つの言葉やフレーズが心の中に優しく入ってくるような感じで、いつも話の中に引き込まれてしまってます。これからも楽しみにしています♪

    (携帯)
引用返信/返信
■11366 / ResNo.100)  つきさん
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(88回)-(2005/07/27(Wed) 04:09:36)
    初めまして(^^)
    素敵な感想、ありがとうございます。‥柄にもなく照れてしまいました(苦笑)

    菜々子なんて本当にまだまだひよっこで(笑)‥だからそんな風に言って頂けるとすごく嬉しいです。

    でも、書いていてたまに。

    自分でも何を書いているのか分からなくなっちゃう時、あるんです。


    ‥菜々子グダグダ(T_T)


    Everytimeを書いていて、やっぱり言葉は難しいと改めて思いました。


    でも感想をくれる皆様のおかげで、マイペースながらも頑張らせて頂いています♪



    まだまだ続きます、はい(笑)
    おかげ様で明日はEverytime【2】を新設予定です♪あ、もう今日か。
    お引っ越し準備中☆


    宜しければ最後までお付き合いくださいね☆
    感想、ありがとうございました(^O^)



    ではでは‥【2】にて、皆様とまたお会いできますように☆



    (携帯)
完結!
引用返信/返信

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■19228 / 親記事)  色恋沙汰
□投稿者/ 琉 一般♪(1回)-(2007/06/07(Thu) 16:03:39)
    もしも人生をやり直せるとしたら、私は高校生に戻りたい。

    二度として出会えない、あなたに逢えたから…
引用返信/返信

▽[全レス100件(ResNo.96-100 表示)]
■20186 / ResNo.96)  第一章 さくらいろ (82)
□投稿者/ 琉 ちょと常連(90回)-(2007/10/16(Tue) 08:01:17)
    「送っていくわ」
    校舎から出たところに横付けされてある車の前で、真澄が言った。
    他の役員や希実までもが、家の送迎専用車やタクシーで帰るというので、
    駅まで一人暗い夜道を歩いて下校しようとしていた和沙には朗報だった。
    「…あ、ありがとうございます」
    お辞儀をしながら、ふとその送ってもらえるという車を眺めた。

    こ、これは…

    世間でいうところのリムジンじゃないですか!
    縦長の豪華な車体に、隅々まで手入れが行き届いていることが伺える外観は、
    誰もが認める高級車だった。
    こんな車、和沙は実際に見たこともなければ乗ったこともない代物である。
    せいぜいテレビ番組で紹介されているのを覚えているくらいだ。
    須川家の送迎車もすごいと感心したが、この車はさらにそれの上をいく…
    いや、それどころか比較にもならないくらいの存在感を放っている。

    「早く乗りなさい」
    茫然と立ち尽くす和沙に呆れながら、真澄は車の中にさっさと押しこんだ。
    外はもうすっかり寒くなっていて、おまけに今の和沙は
    制服のジャケットを着ていないものだから、
    適切な行動といえば…まあそうかもしれない。
    乗りこんでみると、想像以上に内装も絢爛豪華だった。
    広い座席はフカフカの乗り心地で、足だって悠々と伸ばせる。
    テレビがついている乗用車も最近では珍しくなくなったけれど、
    この車の場合、さらにミニ冷蔵庫やパソコンまで完備されていて、
    望めばドリンクバーも自由だし、車内に居てインターネットまでも楽しめる。
    庶民にとっては、まさに動くどこでもドア状態のこの車も、
    真澄は慣れきっているのか全然興味がなさそうだ。

    「父がね…」
    急に話題を振るから、何のことかと和沙は一瞬身構えた。
    「ビジネスでこの車を使っているから、常にネット回線を張り巡らせたり、
    最新技術の導入に余念がないのよ」
    何か飲む、と冷蔵庫を開けながら、真澄は尋ねてきた。
    「そういえば、会長のお父様って…」
    自分で言いながら、和沙は自らの頭をフル回転させて
    彼女にまつわる情報をかき集める。
    えっと、確か…そうお父上がお医者様で、大企業の社長さんでしたっけ…
    何となくだが、クラスメイトの西嶋さんからそう教わった気がする。
    しかし、父親が医師ということは…彼女の家は医系一家なのだろう。
    将来のために、また単に興味を刺激されるということも相まって、
    和沙はそれとなく探ってみた。
    「いや、でも先ほどは見事に薬品を言い当ててすごいですよね」
    露骨になりすぎないように、かといって、全然的を得ない回答が
    返ってくることがないように、細心の注意を払った。
    それなのに。
    肝心の真澄の方はというと…煮え詰まらないといった
    何ともはっきりしない顔をしてみせた。

    また、失敗したか…

    早くも次の手段を考えている和沙に、
    真澄は例の破けて使用済になった錠剤入れを裏返して寄こした。
    手渡されたとはいえ、至って普通のプラスチックゴミのように
    思えたそれには、アルファベットで何かが印字されていた。

    なに?TG…?

    メーカーの名前だろうか。
    このご時世、横文字の会社名なんていくらでもある。
    というか、最近目にする話題の企業なんてほとんどが英語か
    ローマ字かカタカナ表記だ。
    だから和沙は、この二文字を見ても、真澄の意図していることが
    ちっとも解読できないでいた。

    「高柳グループよ」
    「え?」
    突如、真澄が口を開いたと思ったらこれである。
    和沙が目を白黒しているうちに、真澄は再び補足した。
    「この薬、うちの会社が作ったの」
    分かりやすいが故に、和沙には衝撃だった。
    けれど、驚いている暇などないというかのように、真澄は話を続ける。
    「最近、強硬派が最新薬の開発を推し進めているとは聞いていたけど…
    全く迷惑なことをしてくれたわ。
    うちが製造した薬品で、本校の生徒に危害が及んだりしたら…
    後味が悪いっていったらないもの」
    吐き捨てるように話す彼女は、うんざりした様子だった。
    「会長はもしや、あの場で苦情に対処していたんですか?」
    それがどうした、といった表情でふんぞり返る真澄に、和沙は項垂れた。

    さよか…やっぱりこの人…

    現実主義だ。
    将来、間違いなく大企業のトップに立つ器なんだろうな、と納得し、
    和沙は妙な哀愁感に浸った。
    棲む世界が違う人間と話す機会というのは、そう滅多にあるものではない。
    それならば、今日この時間に同席できた幸運に感謝するのが
    最もとるべき行動にふさわしい気がした。
    そうこうしているうちに、車は和沙の自宅前に到着してしまった。
    送ってもらったお礼を言ってから、和沙が車から降りようとすると、
    真澄は何かを思い出したように腕を掴んで呼びとめる。
    一体どうしたというのか。
    「良い?月曜日は授業に遅刻しそうになっても気にしないで。
    あらかじめ先生には説明してあるから。
    だから、絶対に体育館裏から離れちゃだめよ?」
    真澄が珍しく真剣な表情で念押しをする。
    「は、はい…」
    和沙の返事を確認すると、専用のドアマンがバタンと扉を閉め、
    脱帽してから一礼する。
    どこまでも行き届いた従業員ばかりのようだ。

    にしても…

    真澄の最後の話は何だったのか。
    教師に事前の許可をもらっているなら、
    こちらだって別に逃げたりしないというのに…
    和沙はひとしきり首をかしげながら、
    去っていく一台の高級車を見送った。
引用返信/返信
■20188 / ResNo.97)  第一章 さくらいろ (83)
□投稿者/ 琉 ちょと常連(91回)-(2007/10/16(Tue) 16:53:35)
    翌日も、そのまた翌日も、何も手につかない現状が続いて、
    今日はもう運命の月曜だ。
    そして、ここは指定された第一体育館の裏手にある草むら。
    隣には…もう一人の相棒、希実が居る。
    役者は揃った。
    後は…そうあとは目的の人物が来るのを今かいまかと
    待っているというのに…

    「来ないじゃん!」
    我慢していた堪忍袋もとうとう切れかかり、和沙は叫んだ。
    まあまあ…とそれをとりなすのは、何故か希実。
    いつもと立場が逆転しているのは、たぶん時間に厳しい生徒会に
    腹が立ってのことだ。
    時計はもうすぐ九時を回ろうかという頃。
    いつもなら、この時間にはホームルームはおろか、
    一限目ですら始まっている。
    真澄たちは、担任だけでなく、科目教諭の許可も
    忘れずに取ったのだろうか…
    『待っているようには伝えましたが、
    まさか授業開始のチャイムにまで気づかないなんて』
    悲愴な顔をして口元にハンカチを押しあてる真澄。

    ああ、嫌だ…

    だんだん、想像できてしまうから恐ろしい。
    立場上からくる保障もあるだろうが、それ以上に
    彼女は学内に絶大な信頼をよせている。
    (外面だけは)真面目な現役生徒会長と、入ったばかりの新一年生。
    教師が言い分を信じるのは、どちらか。
    そんなの、考えてみなくとも分かる。

    教室に戻ろうかな…

    そんな不安がよぎった直後、突如体育館の非常用扉が開いて
    そこから見知った顔の生徒が顔を出した。
    「お〜い!ここ、ここ」
    長い手と顔だけで器用に手招きしているのは、斎だった。
    何せよ、とりあえず知り合いの先輩が現れてくれたことで、
    和沙と希実は心なしか安心する。

    呼ばれた先に向かってみると、そこはどうやら舞台裏に
    通じる出入り口になっているようだ。
    中に入ると、大きな画板細工や抗菌マットと
    おびただしい数の小道具に囲まれたそこは、
    一種物々しい雰囲気を放っていた。
    「あの、先輩…?」
    静かにしているように言われたので黙ってはいたが、
    小声で尋ねるくらいはそろそろ構わないだろう…と
    和沙が口を開きかけたが、シッと斎に遮られてしまった。

    でも、一体ここで何をしようというのか…

    うるさいと憚れられても、多少なりと奇妙なこの状況に
    疑問を持たない方が変だと思う。
    そうこうしているうちに、斎は二人の誘導を次の杏奈に
    受け渡してからどこかに消えていった。
    一方で、バトンタッチした杏奈は、和沙たちをさらに奥へと案内する。
    この階段を上がれば、もうステージ…という場所まで来て、
    杏奈は何やら壁にかけてあった物を取り出した。

    「はい、コレ」
    見ると、それは先週末にクリーニングを頼んだあの制服の上着だった。
    ご丁寧にも、透明なポリ袋に入れハンガーにかけて、
    とにかく皺にならないよう配慮した状態でそれは置かれてあった。
    「ありがとうございます」
    もうすぐしたら、じきに衣更えの季節とはいえ、
    ワイシャツだけで過ごすには、春先はまだ肌寒い。
    事前に、今日にも返してくれると聞いていたので、
    和沙と希実は嬉々としてそれを羽織った。
    それ以前に、和沙の場合…学校から支給されたその一着しか持っていないのだが。

    とそこに、階段の上から姿を見せたのが、今朝の約束していた相手…
    もとい和沙がいま一番逢いたかった人物だった。
    「あ、会長」
    しかし、和沙の呼び声も虚しく、一瞬顔を出した真澄は、
    またもステージの方へと向かったのか、すぐに見えなくなった。
    「待ってください、会長」
    和沙は慌てて階段を駆け上がる。
    もうこれ以上、返事を先延ばしするのはごめんだ…
    それが和沙の本音だった。
    もたつく足を懸命に踏みしめながら、やっと階段をあがると…
    そこには真澄の姿はなく、どこに行っていたのか斎が再び現れた。
    「あ、あの…会長は」
    逸る気持ちを抑えきれずに、和沙は乱れた息と格闘しながら真澄の行方を尋ねた。
    しかし、斎の方はというと、いたって涼しげな顔をして、
    ちょっと落ち着いて…と和沙を気遣いながら身だしなみのチャックを始める。
    ほどけかかっているリボンを直して、ブレザーのボタンを閉めて、
    それから胸元のポケットにはハンカチを添えて、
    最後に髪の毛を手櫛で一・二回整えてくれた。
    「もう、気持ちは決まった?」
    耳元でそっと囁く斎に、和沙は静かにはい、とだけ答えた。
    再び身体を離して、それは良かった…と呟きながら斎は笑みをこぼす。
    そして、中央ステージに向かって今まさに歩いている真澄を指差して、
    行っておいでと背中を押してくれた。

    「待ってください!」
引用返信/返信
■20189 / ResNo.98)  第一章 さくらいろ (84)
□投稿者/ 琉 ちょと常連(92回)-(2007/10/16(Tue) 18:09:43)
    一度目の呼び声では聞こえなかったのか、真澄は振り向かない。
    「ちょっ、ちょっと待ってください!
    私は…私は生徒会候補生になります!
    いえ、ぜひさせてください。お願いします!」

    …言った。

    和沙は心の中で、そう覚悟した。
    思っていたことを、ようやく彼女に伝えられたのだ。
    少々声が大きかったかなとか、生徒会役員に冷やかされるかもとか、
    後になってから恥ずかしくなりそうな心配事はいくつもあったけど、
    そんな微々たること、構うものか。
    やり遂げた充実感で、和沙は満たされていた。

    少し間を置いて振り返った真澄は、予想外の反応を示した。
    いや、予想外だったのは、彼女ではない。
    真澄が何か喋ろうとするよりも先に、怒涛のごとく大騒ぎしている人たちが居た。
    「…え?」
    ふと横を見ると、誰も居ないはずの体育館は生徒で埋め尽くされていた。
    それだけではない。
    ステージの上にぶら下がっているのは、おそらく本日の日程を記した垂れ幕だろうか。
    そこには、はっきりとこう書かれていた。
    『生徒会候補生発表会、対面式、一学期生徒総会』

    タラリ…
    和沙の背中を冷や汗がつたう。
    そして、そんな主役をよそに、一層盛り上がる観客たち。
    拍手やら喝采やら悲鳴やらで、この混乱した場を丸く治めるには
    どうしたら良いものか。
    「ちょっと、先輩!これどういうことですか?
    聞いてませんよ、全校集会だなんて…」
    和沙は真澄の腕を掴んで、客席に背を向けるようにヒソヒソと話した。
    「あら、先週金曜日のホームルームでちゃんと通達したはずよ」
    先週金曜…歓迎会があった日だ。
    あの日は確か、希実と二人で昼休みから駆りだされていたから、
    ホームルーム自体に出席していない…
    すると和沙は、徐々に不機嫌になるのを隠せずに抗議した。
    「待ってください!やっぱり私、前言撤回させていただ…」
    だがしかし、そんなことはさせまいと和沙の声を真澄が遮る。
    「何寝ぼけたこと言ってるの?
    たった今、自ら宣言していたじゃない。
    それにホラ…胸元のポケットをご覧なさい」
    「へっ?」
    和沙は、焦って真澄が指差す方向…つまり自分の胸ポケットへと視線を移した。
    すると、何故だか妙な違和感を受ける。
    いや、別に制服自体は何も変わりない自分の制服なのだ。
    サイズも袖の長さも着丈も。
    むしろ生徒会にクリーニングを頼んだからだろうか、
    制服の光沢が数割増しになっているのは気のせいではないはずだ。

    ん…?白…?

    金曜日に自分が預けた制服のブレザージャケットの学年カラーは、
    確かに一学年の指定カラーである臙脂色だったはず…
    それが、あら不思議!
    いま着用している制服には、真っ白な下地に
    うっすらと百合の刻印がされてある。
    白はすなわち生徒会カラーに他ならない。
    和沙は倒れたくなる衝動を必死で耐えていた。
    「それでは、情熱的な所信表明を誓ってくれた澤崎さんに、
    今後の意気込みを伺ってみたいと思います」
    放送室から流れてくるアナウンスは、誰かと思いきや斎の声だった。
    では、張りきってどうぞ…とマイクを手渡され、
    和沙はスポットライトが当たる中央へと促された。





    …それから後は目まぐるしく過ぎていった。
    覚えていることといえば、宣誓の挨拶と称される宣言文を読まされたり、
    所定の席についてからは対面式が始まってたくさんの上級生に励まされたり、
    生徒総会ではアシスタントとして舞台裏を走り回ったり…という程度である。
    ただ、揺るぎない事実としていえるのは、和沙と希実が
    今年度の生徒会候補生として推薦された事件は、
    間違いなく全校生徒に広く認知されたということだった。
引用返信/返信
■20191 / ResNo.99)  第一章 さくらいろ (終)
□投稿者/ 琉 ちょと常連(94回)-(2007/10/17(Wed) 02:15:10)
    「…騙したんですね?」
    放課後、和沙は例の生徒会専用地に真澄を呼び出した。
    呼び出した本人より、呼び出された彼女の方が早く
    到着するのはいかがなものか。
    しかし、二学年も年上であり、候補生ができた今…
    全校集会の後片づけは後輩に全て任せることも可能な立場からすると、
    必然のうちに許容される範囲なのかもしれない。
    それよりも、たった今和沙が到着して開口一番そう言い放ったというのに、
    真澄は無頓着な態度をちっとも崩そうとしない。
    「あ、あの…」
    和沙の姿に気づいているのか、いないのか、それだけのことならまだしも、
    真澄は呼吸するのも忘れてしまったかのように微動だにしないので、
    和沙は次第に不安になりつい口を噤んでしまったというわけだ。

    何を見ているの…?

    真澄は桜の大木のある一点だけを見つめていた。
    単純に気になるのもあるが、とりあえず彼女に近寄らないと話はできない。
    「先輩?」
    一歩また一歩と、徐々に歩くスピードは加速していく。
    あとほんの少しで、彼女に手が届く…という距離になってから、
    またしても入学式と食事会の時同様、二人の間を強風が突き抜けていった。

    「痛っ」
    立ち位置の関係で、モロに風がもたらす災難を一挙に被った和沙は、
    瞼を力いっぱい擦った。
    「そんなに擦らないで」
    早くこの不快な状況をどうにかしたくて堪らない和沙を、
    ふいに真澄が制止する。
    擦らないで、と言われても、痒いものは仕方ない。
    ならば、そういう真澄がどうにかしてくれ…と和沙が訴えようとすると、
    瞼の上から冷たい布みたいな物を押しつけられる感触があった。

    気持ち良い…

    あくまで丁寧に拭い去ろうとする真澄に、
    和沙の先ほどまでの怒りはどこかに飛んでしまう。
    まあ、もともと引き受けるつもりでいたから、結果オーライではあるのだが、
    それでもあのような騙し討ちが堂々と行なわれると、今後が不安になってくるのだ。
    もしかすると、これからもあのように強引な手法で
    重い仕事を後輩に押しつけるのではないか…ってね。

    「はい、もう良いわよ。眼を開けても大丈夫」
    真澄のそんな一言で、和沙はそっと瞼を開く。
    すると、視界いっぱいに拡がるのは、真澄の美しいお顔…なのだけど、
    彼女の瞳からはどうしてか次々に涙がこぼれている。
    「えっ?」
    仰天する和沙は、勢いで仰け反ろうとするが、
    それに追随するように真澄は目の前の少女を抱きしめた。
    「見ないで…」
    見ないでと言われても、いま映った光景はなかなか忘れられるものではない。
    けれど、真澄の声があまりにか細く、いつもの自信に満ち溢れている
    生徒会長の面影はどこにも見当たらなかったため、
    和沙はこれ以上追求することができなかった。

    どのくらいそうしていたのか、後から考えると概算するのが難しいが、
    たぶん結構な時間になっていたはずだ。
    沈黙が破られたのは、和沙のこの一言。
    「桜、もうだいぶ散っていますね…」
    それは、天気の話でもするように、さりげなく。
    というか、目についたのが正面の桜木だったこともあり、
    純粋に散らばる花吹雪に心奪われたのだ。
    今の真澄には、何が刺激になるのか、禁句なのか、
    さっぱり検討もつかなかったけど、間違いを起こしたら
    その時点で謝って話題を変えればよい。
    そのくらいの気持ちに留めて、和沙は真澄の反応を待った。
    「ええ、見頃は今週までね…」
    果たしてどうかと思われたこの話題に、真澄は臆することなく乗ってきた。
    だから、きっともう身体を離しても大丈夫。
    そう思って和沙は密着していた身体をもとに戻して、
    真澄を手前のベンチに誘った。

    ザワザワ…
    風が強くなってきた。
    もともと半分くらいは散ってしまっている桜だ。
    このままだと、おそらく明日までにはほとんど散り終わってしまうだろう。
    「今日、妹の命日なの…」
    突然、真澄が話を再開した。
    それも、簡単に語れるようなお気楽な話題ではない。
    「桜が好きな女の子でね、亡くなったのも窓から
    満開の桜が見える穏やかな日だったのよ」
    もうどうして良いか分からずにいる和沙に構うことなく、真澄は続ける。
    「一年に一回、開花時期が巡ってくる
    国民的な花だったことが、ツいてないわね…」
    そう言ってカラカラ笑う彼女からは、自虐的な意味合いは感じられない。
    けれど、それでも和沙は確かめておきたいことが一つだけあった。
    「こんな大切な話、私なんかに話してしまって良いんですか?」
    そう。
    和沙の胸の奥で痞える憤りはそれなのだ。
    真澄はそれを否定するかのように、首を横に振る。
    「あなたには聞いてほしくなったのよ」
    そう打ち明けられた和沙は、そういえば最近誰かにも
    似たようなことを言ったような気がした。

    「和沙」
    名前を呼ばれる。
    それだけのことなのに、胸の奥がくすぐったいような
    もどかしいような、そんな感覚に襲われる。
    「あなたが候補生になってくれて、本当に嬉しいわ」
    そんな顔をして言われると、もう何も言い返せなくなってしまうわけで。
    だから和沙は、無言で席を立つ真澄の後を黙って追いかけた。
    戻りましょう、なんて言いたいだろう、きっと。

    ヒラリ…ヒラリ…
    花びらは二人が歩く一本道に一枚、また一枚、と
    とめどなく舞い落ちる。
    幻想的な景色は、やがて二人を覆い隠した。


                            第一章 さくらいろ おわり
引用返信/返信
■21603 / ResNo.100)  Re[2]: 第一章 さくらいろ (2)
□投稿者/ アジア 一般♪(1回)-(2012/08/26(Sun) 15:14:44)
引用返信/返信

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■17466 / 親記事)  Runa&Emi PARTU
□投稿者/ 映美 常連♪(109回)-(2006/12/14(Thu) 06:41:56)
    2006/12/15(Fri) 03:50:19 編集(投稿者)

    Runa&Emiの筆者 映美です^^

    秋のはじめに、書き始めたこの物語
    皆様の温かいお言葉もたくさん含めて
    とうとう100スレッドまできてしまいました

    管理人さま
    またひとつ新規で場所をお借りいたしますm(__)m

    完結目指してもうすこし、書かせてください^^
    新たに、スレッドをPARTUで作成させて頂きました

    読者の皆様・・・
    Runa&Emiと映美ともう少しお付き合い下さいませ
    宜しくお願い致しますm(__)m

                   映美

引用返信/返信

▽[全レス100件(ResNo.96-100 表示)]
■18757 / ResNo.96)  お久しぶりで すいません<(_ _)>
□投稿者/ 昴 大御所(369回)-(2007/04/21(Sat) 01:27:04)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    あの勘違いで出会った日に・・・
    勘違いでHNを変えて頂いた日に応援しますよと書いて
    自分の更新の度にお邪魔していたのですが

    前回の昴の感想から五つもお話が更新されてて
    昴が書いていないことを映美さんに立証されていますね(爆)

    しかしトオルはめげないヤツですねぇ〜
    振られてるのがわからないのかな?
    判ってるけど認めたくないのかな?

    エミ頑張れ!もちろん映美さんも
    マイペースでゆっくりと更新して行きましょうね、お互いに
引用返信/返信
■18898 / ResNo.97)  【〜それぞれの愛〜Blue Moonの瞳〜弾く微笑〜】
□投稿者/ 映美 ファミリー(187回)-(2007/05/03(Thu) 03:51:58)
    2007/05/03(Thu) 03:56:24 編集(投稿者)




    …あの人はたしかリツコさん


    リツコの後にスーツ姿の男性が続いて入ってきた
    ふたりは言葉を交わしながら 奥のBOX席に向かった


    薄暗い照明と隣に座るトオルの影になっていたせいであろう
    私には気付いていない様子だった


    (仕事の関係の人かな?…それとも恋人かな?)


    BOX席に座るリツコとその男性にぼんやり視線が泳いでいた



    『…ん?』


    トオルが私の泳ぐ視線の先を追い・・・振り向いた


    『エミさんの知りあい?』


    『あっ…ええ…ごめんなさい お話中によそ見しちゃって…』


    『挨拶とかしなくていいの?』


    『いえ…気付いていないみたい あとで声かけます』





    ♪〜♪


    何処からか聞える携帯の着信音


    『あ そうだ…』


    トオルは電話をかける用件を思い出したのか
    携帯を手に席を立った


    『エミさん ちょっと外でかけてくるね』


    扉の外に出るトオルを見送りながら
    再びBOX席に座るリツコに視線を移した


    リツコは、カウンターに背を向けて座っていた
    だから私には気付いてはいない…


    なんだか落ち着かなかった…
    もしこんな場面見られたら誤解されるだろう

    ルナの顔が浮かんで はっとした


    (そうだ…気付かれる前に先にリツコさんに挨拶しておこう…)



    席を立ちBOX席に向かった
    リツコの背後に立つと向かいに座る男性と先に目が合った


    気配で振り向いたリツコは驚いて大きな瞳を見開いた


    『あら〜!! エミさん』


    『こんばんは…』



    リツコは私の後ろを窺った


    『あれっ…ルナと一緒?』


    『いえ…今夜は友人達4人で来ていて そろそろ…帰るところなんです…』


    今はトオルとふたり…だがあえて4人で来たと強調して言った


    『リツコさん 先日はご馳走様でした』


    『どういたしまして〜♪ ルナにもご馳走してくれてありがとうって言われたわ
    たかがコーヒー一杯でそんなにお礼言わないでくださいな〜(苦笑)』


    リツコの笑顔に…ふと ルナのあの夜の告白を思い出した


    (ルナは本当にリツコさんに親友だけの感情しかないのだろうか…)


    『エミさん 今度 ルナと3人で食事でも行きましょう〜』


    リツコの弾くように微笑む瞳に
    私はぎこちない笑みで頷きその場を離れた





    席に戻るとトオルが空になったカクテルグラスを持ち
    おかわりする?と目で問う 

    首を振る私の落ち着かない様子を察したのか…
    取りだした煙草をケースに戻し トオルは店を出ようと言った





引用返信/返信
■18952 / ResNo.98)  ヤスさんへ^^
□投稿者/ 映美 ファミリー(188回)-(2007/05/06(Sun) 22:16:30)
    ヤスさん ほんとにお久しぶりです^^ 

    そして お返事遅くなりすみませんm(__)m

    なんとか残りのツリーを埋めようと・・・あと1話UPと
    そして同時にお返事をと思いつつ
    ままならぬ事情が重なりまして・・・
    気付けばこんなに日が過ぎてしまいました^^;

    トオルを応援したくなる気持 ハイ わかります(苦笑)
    叶うことのない恋なのに・・・わかっていて
    エミを想う強い気持ちいじらしいですよね 
    彼は…最初の登場からそして・・・最後まで
    STORY展開に欠かせい存在ですので・・・
    今後もまたハラハラさせられることでしょう

    ヤスさんは 昨年秋 私が低迷してた頃に
    はじめてコメントを頂きましたね・・・
    涙が出るほど嬉しかったこと思い出されます 

    あれから もう7ヶ月^^;
    まだ続いてるこの【ルナエミ】に
    コメントをくれる度 ずっと見てくれていてるんだって
    毎回 とても・・・励みになっています^^

    あらためて いつもありがとうございます

    ヤスさん完結に至るまで…あと少し見守っていてくださいね^^


                      映美
引用返信/返信
■18954 / ResNo.99)  【〜それぞれの愛〜Blue Moonの瞳〜悲しいメロディー〜】
□投稿者/ 映美 ファミリー(189回)-(2007/05/06(Sun) 23:41:07)


    BARの出口でBOX席を見ると
    リツコはなにやら深刻な面持ちで男性と話しこんでいた


    その様子に…あえて声を掛けずにBARを出た


    (さっき…挨拶したし もう帰るところだと言ったからいいかな…)





    ――BARの近くの深夜までオープンしてるCafe



    週末の夜で混む店内 
    空いたカウンター席にふたり並んで座った


    トオルはカフェオレにシュガーをたっぷりいれると あの夜と一緒だねと笑った


    『あのトオルさん…マユさんのことって?』


    『あぁ さっきなんだか話しそびれちゃったね』


    『私のせいです…ごめんなさい』


    トオルは苦笑しながら煙草に火を点けた


    『マユがライブのあと楽屋にきたっていったよね…』


    『あっ・・・はい…』



    トオルがLOVESONGを贈りたい女性ってエミさんだったんですねと言った
    マユの睨むような目を思い出した



    『エミさんには好きな人がいるから だからLOVESONGいくら歌ってもダメよってね(苦笑)』



    視線が動かぬよう・・・強くトオルは私を見つめた



    『…その好きな人が誰かってマユが教えてくれた・・』



    『・・・・』


    私は無言で頷き  そうだったんだ…心の中で納得した


    『マユから聞いたとき…やっぱりそうだったんだって思った…なんだか不思議な4角関係だね(苦笑)』


    『あの…やっぱりって?』


    『最初に逢った夜 BARに戻ったエミさんを迎えにいった時、あの女性(ルナ)と話してるエミさんを見て驚いたんだ…。
    あの女性(ルナ)を知ってるの?って聞く エミさんの様子になんとなく感じたんだ マユと同じなのかなってね・・・』





    煙草の煙を吐き出す…トオルの横顔をただ私は見つめた



    『マユとはね 最初 恋の相談相手だったんだよ

    “彼女がいる人を好きになったの” 
    “彼女がいるならダメじゃん あきらめろよ”…って

    よくマユの自棄酒の相手をしたよ…(苦笑)
    その時は好きな人が…女性だってこと知らなかった

    そのうちに…もう 好きな人のことあきらめたの 
    だから付き合ってほしい…っていわれて あとは成り行きでね』




    『ある日のライブに あの女性(ルナ)がきてたんだ 楽屋でマユに友人だと紹介された
    あの女性(ルナ)が帰ってから “実は好きだったのはあの女性(ルナ)なの”とカムアウトされたんだ
    おまけに“寂しいからトオルに癒して欲しかっただけ…”って 言われてね ダブルパンチ食らったよ(苦笑)』


    『マユはイイ子だよ 好きだったよ…けどね…お互いの求めるものがね 違ったんだ』


    『ねえ トオルさん マユさんが同時に付き合ってた人がいたって?』


    『あぁ…でも 相手が誰だか知らない(苦笑)』


    『そうなんですか…』


    視線を落とす私にトオルは続けた


    『エミさん 心配しなくても…あの女性(ルナ)ではないことはたしかだよ…』


    『…えっ…』


    『あの女性(ルナ)に聞いてみたらいいよ…』


    そういうとトオルはカフェオレを口にした




    『僕は理解できるよ…愛する気持は同じさ…』


    『エミさんの恋愛対象から外れてるってこと・・・百も承知だよ 何度も言うけど 好きな気持は変わらないんだ 』


    『僕に泳がない かたくななその瞳 
    わかってるよ 僕を見ていないこと

    …って歌詞
     
    君は心に想う人がいるかもしれない 
    だけど 今夜だけでいい 僕を見てほしいんだ そのままの気持ちで書いたんだ…』



    煙草を消し…トオルは胸ポケットからとり出したギターピックを私に笑って差し出した



    『ねっ エミさん 勝手に思うくらいは許してくれるよね…』



    それぞれの想いが交差する…そんな夜


    後に手のひらにのせたこのギターピックが
    悲しいメロディーを奏でることも知らずに…




引用返信/返信
■18955 / ResNo.100)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 ファミリー(190回)-(2007/05/06(Sun) 23:52:29)
    お久しぶりです 昴さん^^

    お返事遅くなりまして申し訳ありませんm(__)m

    お詫びにこのツリーの100投稿目をプレゼントします^^


    昴さんは【ルナエミ】の一番の読者様ですね
    毎回の温かいお言葉と励ましで執筆してこれました
    最初からずっと私を支えていただき本当に感謝しています^^

    ところでこの【ルナエミ】も昨年9月に書き始めてもう7ヶ月過ぎてしまいました^^;
    100のツリーも2つ使ってもまだ完結できなくて(苦笑)
    3つ目をお借りすることになってしまっています
    次のツリーで完結いたしますね^^
    これ以上長くなると大変・・・って既に長すぎていますが^^;

    私の中で次に書きたい物語があるので…
    なにはともあれ【ルナエミ】完結を頑張ります

    昴さん^^ もうすこし見守っていてくださいね 


                   映美
引用返信/返信

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■17281 / 親記事)  あおい志乃からご挨拶
□投稿者/ あおい志乃 ちょと常連(89回)-(2006/11/20(Mon) 11:58:47)
    “ALICE”のTreeが上限を超えましたので、
    改めて新規作成致しました。
    初めてこの作品にお目に掛かった方は、
    よろしかったら過去のページに戻って、
    是非第一話から“ALICE”をご覧になって下さい。

    こんにちは。あおい志乃です。
    ご愛読ありがとうございます。

    なかなか更新がスムーズにいかず、(コレ何回言ってるんでしょうか)
    情けない限りでございます。。
    完結までに時間が掛かります事はもちろんの事、
    話もまだ半分にも達していませんので、
    にも関わらずこれからどんどん内容が複雑になっていく予定ですので、
    こんな途切れ途切れの更新では、
    だんだん理解し難くなっていくと思われます。。

    もしかしたら、
    少しずつ更新していても、とことん無視して、
    完結した時に初めて一気に読んで下さった方がイイかもしれません。

    どんな方法でも結構ですので、
    最後までおつき合い頂けましたら、
    幸いです。


    芯から冷える寒い寒い季節がやって参りましたが、
    お体に十分お気を付けて、
    健やかにお過ごし下さいませ。



      あおい 志乃
引用返信/返信

▽[全レス100件(ResNo.96-100 表示)]
■19973 / ResNo.96)  ◆六華さんへ
□投稿者/ あおい志乃 一般♪(39回)-(2007/09/08(Sat) 02:17:53)
    十分なお言葉です。
    ああそんな風に感じて読んで下さる方もいらっしゃるんだなと、
    じんわりきます。
    嬉しいですね、心からの感想を述べて頂けるのって。
引用返信/返信
■19974 / ResNo.97)  ALICE 【64】
□投稿者/ あおい志乃 一般♪(40回)-(2007/09/08(Sat) 02:25:36)
    「クレノ」



    ダイナは、確かにそう言った。

    疑いようもなく、鮮明な、よく通る声で。





    それでも私は、聞き返さずにはいられなかった。






    「・・・クレノ??」



    「そう、KURENO。知ってた?」




    私はかぶりを振る。




    「やっぱり何処ででも【アリス】で通してるのね。
     何となくパスポートを見た時にそう書いてあったの。ローマ字でね。
     ソノマイ クレノが本名。アリスじゃ、ない」



    ・・まさか、こんな事になろうとは。



    「その事、本人には言ったの?」

    「言ったわよ。“何コレ、ここに書いてあるの。アンタ、ホントはクレノっていうの?”ってね。
     そしたら何て答えたと思う?私からパスポートをふんだくって、“それが何?”だって。えっらそうに」


    その時感じた腹立ちを思い出したのか、

    ダイナはやたら感情のこもった、とげとげしい声で言った。



    「ま、苗字を誤魔化してるなら、何か大きな理由でもあるのかとも思うけど。犯罪とかね。
     下の名前だしね、ただの気まぐれか何かだと思うわよ。
     でもルイ子も、仕事でアリスにムカつく事があったら、言ってやれば?
     “本当はクレノって言うんだって?”ってね。ちょっとムキになるアイツが見られるかもよ」


    そう言ってダイナは面白そうにククッと笑った。







    私の頭の中を、


    あの夜、アリスが夢にうなされた夜に聞いた数々の単語や言葉が散乱する。





    魔女。


    魔女の名前。


    自分でアリスと名付けた。


    男。


    真白が魔女に殺された。


    居なくなった母親。


    帰って来ない父親。







    冷静に考えれば、

    この不可解なピースで、巨大なパズルの四隅だけでも埋められる・・・!!






    そう思った私は、


    「そっか、偽名か。いつか使う時が来たら、その手でからかってみるわね」


    と笑って、

    一気にワインを飲み干した。





    「ごちそうさまでした。そろそろ、帰るわね」

    「帰るですって!?なんで?まだ早いでしょ?」


    ダイナにしても、シャンプーとの夜遊びを待ちわびているハズなのに、

    彼女は私の帰宅宣言に過剰に反応して眉をひそめた。



    「いや、仕事もあるしね。もう眠らないと」

    「泊まっていけばいいじゃない。前みたいに」



    今度は私が眉をひそめる番だった。


    「ダイナ・・私は複数でsexする趣味はないのよ。彼女と二人で楽しんで」

    「・・・何言ってるの?彼女って?」


    この後に及んで誤魔化す目的は何だろうか。
    好みの女を相手にしている時は、
    とりあえず他の女への興味を隠すというポリシーだろうか。



    「バーテンダーの彼女よ」

    そう言って私はグラスに付いた口紅をバッグから取り出したハンカチで拭った。


    「バーテンダーの彼女?ここのバーの?何で?あんなの呼ぶ訳ないじゃない!」

    「あんなのって・・。さっきの濃厚なキスの続きをここでするんでしょう?」

    「しっっないわよ!さっきのキスは・・ルイ子の反応が見たくてしただけ」



    それこそ何の為に。

    何でもいいが、とにかく早く帰りたい。

    私は巨大なジグソーパズルを抱えているのだ。



    「そうなの?まぁ、よく分からないけど。とにかく仕事もあるし、帰るわね。
     今日はありがとう。最後には笑ってくれて良かったわ」


    立ち上がって踵を返すと、
    後ろから腕を掴まれた。


    「どうして帰るの?態度が悪かった事は謝るから!」



    バーを出て以来初めてその話題に触れたダイナを振り返って見ると、
    泣きそうな顔をしていた。


    「ううん、誤解してたんだから、怒って当然だったのよ。気にしてないわ」

    「違うのよ」


    ・・・何が?


    「私の悪い癖なの」


    ・・・だから何が?


    「惚れてる相手と喧嘩すると、高飛車で、凄く嫌な感じになるの」



    なるほど。

    アリスを拉致した時も、見事な高飛車ぶりだった。



    ・・・え・・


    それじゃまるで、

    ダイナが私に惚れてるような言い方ではないか。
    冗談でしょ。


    「なんとか言ってよ」

    黙ったままでいる私の腕を、
    ダイナが揺さぶる。


    「う、ん」


    「ルイ子があの女のところで働いてるって知った時、腹が立った。
     けどそれよりも、ショックだった。
     ルイ子が何か目的があって私に近付いたんだって思うと、悲しかったわ凄く」



    それが、

    今日私が見た寂しげな背中の理由だと?



    「他の誰でもダメだったの。イイ男も、イイ女も。一般人も、業界人も。
     誰と居てもアリスを忘れる事が出来なかった。
     でも、ルイ子には何かを感じたの。
     あんな風に、アリスとの過去を誰かに打ち明けるなんて、今まで無かった事なのよ」



    止めどなく自分の気持ちを吐き出すダイナを前に、
    私はただ驚いて、相槌も打てずにいた。

    容姿がタイプであった故に私と肉体関係を持ったのだろうし、

    それなりに自分がダイナに気に入られていることは、感じていた。


    が、それは“遊び”の一環なのだと信じて疑わなかった。


    ダイナが私を気に入っているという雪花の見解を聞いた時も、

    きっとダイナは私を自分の数あるコレクションの中に加えようとしているのだとしか、
    思わなかった。


    だって、


    アリスに惚れた人間が、

    何をどう間違えればその穴埋めに私を選出するというのだろう。

引用返信/返信
■19978 / ResNo.98)  ALICE 【65】
□投稿者/ あおい志乃 一般♪(44回)-(2007/09/08(Sat) 02:36:52)
    「だから、何か言ってよ」

    少し怒ったようにダイナが私を急かす。



    「ダイナ、分からないわ。どうして私なの?」



    ―――“どうして私なの”


    今まで、どんな男に愛を語られても、言った事のない台詞を私は口にしていた。

    “どうして私?” だなんて、

    そんな卑屈で自意識過剰な言葉、
    頭の中に上った事さえなかった。


    だが今は、

    “どうして私なのか”と、疑問に思わずにはいられない。


    それはダイナが、女の中でも極上の部類だからだろうか。




    「どうしてって・・・」 ダイナが困ったように笑う。


    それは私が初めて見る彼女の表情だった。



    そんな事を感じている場合ではないが、

    とても魅力的だと思った。




    「そんなの、言葉にできるものじゃないわ。
     ただ、ルイ子はこの間の夜、私の舌や指先には夢中になったけど、私自身にはちっともなびかなかった。
     朝、部屋を出て行く時の、ルイ子の顔の未練の無さときたらもう」



    私の腕を放し、お手上げという風にダイナが両手を上げる。


    私は彼女の言葉の色んな部分に自分の顔が赤くなるのを感じた。


    「さっきのキスにも、全然妬いてくれないしね。
     どうせ、電話掛けてこなかったのだって、ただ忘れてただけなんでしょう?」




    バーでの駆け引きで知力を使い果たしたのか、
    上手いフォローの言葉が出てこない。

    あろうことかこのタイミングで私は目を反らしてしまった。




    「ルイ子の心を掴んでいる男が憎いわ。
     その人のところへ向かうのかと思うと、余計に帰したくなくなる」


    ダイナはそう言うと、

    長い指で私の顎を持ち上げた。


    「それって、ただ無いものねだりなだけにも聞こえるわ。手に入りにくいから、欲しがるだけじゃない」

    「でもそれだけじゃないわよ。手に入れ難ければ誰でもいい訳じゃない。
     手に入れたいと思える相手じゃないとダメなんだから」




    顎に添えられたダイナの手を、
    優しく握って引き離す。


    「手に入った途端、捨てるつもりなんでしょう」




    私の手を強く握り返してダイナが不敵な笑みを浮かべる。


    「そんなのやってみなければ分からないじゃない?
     それとも何、ルイ子は死ぬまで自分を大切にしてくれる保証が無いと、始められない訳?
     恋愛なんて、先が分からなくて当然でしょう?」


    確かに、そうだ。
    だいいち私は一生モノの愛を求めて恋愛をするタイプでは元からない。

    ダイナの方も、そんな私の価値観を見抜いているのだと思う。



    「ねぇ、ルイ子。
     私の言ってる事って、イケナイ事?
     私のやってる事って、イケナイ事?」



    ダイナはそう言うと空いている方の手を私の腰に回し、

    自分の体にぐいと引き寄せた。



    ダイナの色香漂う瞳を私が真っ直ぐに見つめ返すやいなや、


    彼女は私の首筋を下から上へ舐め上げた。




    彼女の絡みつく腕や舌を、

    私は振り払えずに居た。


    沢山の嘘でアリスの情報を聞き出した私は、
    それなりの報酬を与えなければならない気がしたのだ。


    そして、

    ダイナ程の女に、
    私への恋心を赤裸々に告白させたことに、
    言い様のない躊躇いと、罪悪感さえ感じていた。


    私も同じように心の内をさらけ出すことが出来ない代わりに、

    体を開く事が、


    せめてもの償いになるのならと、



    そんな低俗で卑しい考えに私は支配されつつあった。








    私が抵抗せずにいると、

    ダイナはその滑らかな舌を首筋から唇へ移動させ、
    私の口を塞いだ。


    そうしてあっという間に私のブラウスのボタンを外し、

    下着を投げ捨てて、


    露わになった私の乳房にかぶりついた。





    「ねぇ、イケナイ事?こんなに素敵な事が、間違いなの?」



    笑いながらそう繰り返し、

    ダイナは手品師のように瞬く間に私を産まれたままの姿に変えた。







    ―――いけなくは、ない。



    ただ、

    ダイナ、


    貴女の間違いは、



    私の心を掴んで放さないその人は、


    部屋に住み着く黒猫のような男ではなくて―――。














    快楽に遠のく意識の中で、




    私はアリスの名を呼んだ。
引用返信/返信
■19993 / ResNo.99)  拝見させて頂きました。
□投稿者/ れい 一般♪(9回)-(2007/09/09(Sun) 04:01:09)
    一気に作品に引き込まれてしまいました。

    面白いです。心から。

    あおい志乃さんの作品は、
    前のタイトルに金魚が付いている
    小説を読ませて頂いておりまして、
    その頃から「頭のいい人の書く文章だな〜」と
    思いながら拝見させて頂いておりました。

    こちらの作品、本当に書き出しの頃に
    一度拝見させて頂いておりましたが、
    ゆっくり更新ということだったのでずっと
    チェックせず、寝かしておきました(笑)

    そろそろ、と思い、読んだのですが、
    引き込まれて、最初からこんな時間まで
    一気に読んでしまいました。

    いや、本当めっちゃ面白かったです。
    寝かしといて、良かった。


    更新、心より楽しみにしております。
    ゆっくり、頑張ってください。

    完結されるのを楽しみにしております。

引用返信/返信
■20005 / ResNo.100)  ◆れいさんへ
□投稿者/ あおい志乃 一般♪(45回)-(2007/09/11(Tue) 03:12:44)
    こんばんは。メッセージありがとうございます。

    4時ですよ!
    夜更かしです!
    そんなに遅くまで、時間を割いて作品に目を通して頂けて、
    とっても嬉しいです。

    寝かせて下さってたんですね。
    でも、この話、まだ折り返し地点にも到達していないようなんです。
    もう少し寝かせておけばよかった!と後悔なさるかも・・
    ごめんなさいねーー。ダラで。。

    すぐ下のツリーにれいさんのお名前がありました。
    【うさぎ病】の作者様ですね?
    拝読致しました。
    れいさんは、ワーカホリックな方かな?と思いました。
    それと、オシャレなライフスタイルを確立していらっしゃいそう。
    そんな雰囲気を文節の間から感じました。

    勝手な印象です。
    全然違ったらご免なさい!


    秋ですねーー。
    今年こそ紅葉満喫!
引用返信/返信

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