SMビアンエッセイ♪

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可愛いあの娘をベッドに縛り付けて・・・
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■623 / 親記事)  ネコと子犬と一人の飼い主T
□投稿者/ みな 一般人(1回)-(2004/08/18(Wed) 03:10:06)
    困ったことに私は捨て猫や捨て犬を見ると、すぐに拾ってしまう性格だった。
    幼い頃から雨の日の度にダンボールで鳴いている動物を見つけ家に連れて帰っていた。
    自分の親も似たような性格だったので、エサを与え回復するまで飼わせてくれた。
    それからいつも近所のペットショップに張り紙をし、里親探しをする。
    里親が見つかった猫や犬と別れるのが辛くて別れの度に泣く。
    それがとても辛いことだとわかっているのに、それでも捨てられていると拾わずにはいられない。
    だから今でもこうやってニ匹も飼うハメになっている。
    いづれ来る別れに怯えながら・・・。


    「ご飯だよ、キキ・・・ララ・・・」
    子犬のキキと子猫のララは勢い良く、私の足元に駆けよってくる。
    この子達、実際には人間だ。
    だけど拾って首輪をつけて飼ってるうちに、犬と猫にしか見えなくなった。
    二人の性格は両極端で、まさに犬と猫。
    「ご飯ご飯〜vv今日も僕のために働いてくれてありがと、ご主人様vv」
    子犬のキキはよく懐く。
    私の足をペロペロ舐めながら喜ぶ姿が、完全に子犬。
    キキの一人称は「僕」だが、キキは女である。
    尻尾を(正確には尻尾付きこけし)を嬉しそうに振り、エサを食べる姿がいい。
    四つん這いになって食べる後ろ姿から除く、秘部からは甘いジュースが溢れている。
    「キキ、お留守番できた?」
    「はいっ、ご主人様の帰りをじっと待ってました」
    「えらいね・・・キキ・・・」
    「んっ、はぁっ・・・ご主人さまぁ・・・」
    甘いジュースを舐めてやると、キキは甘い声を出す。
    これが私の晩御飯なのだ。
    「今日も美味しいよ、キキ・・・」
    「ふっ・・・ありがとうございます・・・んんっ・・・あぅ・・・」
    「・・・ご主人さまぁ」
    いつもこうやって食事をしていると、遠慮がちにすりよってくるのがララだ。
    自分の食事を終えたララは、私の目の前で仰向けになる。
    服従のポーズ・・・普通の猫はこんなポーズとらない。
    でも私の前では特別、そう躾たのだから。
    「キキ、ちょっと待ってね?」
    キキの秘部から口を離すと、キキはララを恨めしそうに見る。
    そんなキキが可愛くて、私は更に虐めたくなる。
    細めのバイブを入れてやり、私はララの方に興味を向ける。
    「ララもお留守番できたかな?」
    弱々しく首を縦に振り、顔を真っ赤にして私の愛撫に反応する。
    猫の気持ちのいいところは全て知ってる。
    首、背中、お腹、手・・・ララの性感帯を執拗に責める。
    その度に掠れたような声を出す。
    溢れ出す愛液は甘美な味がする。
    この食事時間は、自分の一日の中で一番好き。
    キキもララも私を愛してくれるから。
    拾って来たこの子達しか愛せない。
    「キキ、ララ、愛してるよ」
    二人を同じくらい愛していて、大切に思ってる。
    そのうち別れがくるのは分かってるのに、どんどん深く愛してしまう。
    少しの時間だけでも、二人を出来る限り愛してあげよう。
    同じくらいの愛で、同じくらいの愛撫を・・・。

    だけど、二人がこの「平等な愛」に納得いかないことくらい、ちゃんと分かっていたんだ・・・。


引用返信/返信

▽[全レス29件(ResNo.25-29 表示)]
■2174 / ResNo.25)  復活おめでとぉ↑↑ございます(((ο≧∇≦)
□投稿者/ 杏奈 一般人(1回)-(2005/08/02(Tue) 02:20:03)
    めっちゃ楽しみにしてました(>▽▽<)o

    続き頑張って書いて下さいね(◎'з<)
    楽しみに待ってます☆彡

    (携帯)
引用返信/返信
■2175 / ResNo.26)  ネコと子犬と一人の飼い主 最終話
□投稿者/ みな 一般人(3回)-(2005/08/02(Tue) 04:00:51)
    どんなにひどい嵐でも、いつかは太陽の光が差しこむということ。
    それを教えてくれたのは君だった・・・。


    一晩中暗い街を歩いてしまい、家に帰る頃にはすっかり体が冷え切っていた。
    結局キキは見つからず、一人で倒れ込むようになんとか玄関に入ることができた。
    足は棒のようになり、ベッドまで歩く気力はない。
    夜通し歩いたので疲れてしまった。
    玄関のフローリングが冷たくて気持ちいい。
    それとは逆に悪寒のようなものが背筋を走り気持ちが悪い。
    風邪を引いてしまったのだろうか。
    いや、確実に引いている。
    冷え切った体を暖めるには熱いシャワーを浴びればいいのだが、バスルームに行く体力は残っていない。
    キキがいれば、きっと私をベッドに運んでくれた。
    いつも飲んで帰ってきた時には、そうやって運んでくれたから。
    小柄な体格に似合わず意外と力があって、私をベッドに寝かせてくれた。
    水を持ってきて口移しで飲ませてくれた。
    私が眠るまで横にいてくれた。
    朝食の準備を私に代わってしてくれた。
    だけどその時はいつもトーストと目玉焼き。
    ワンパターンでしかもちょっと焦げてて、笑いながら食べるとキキはいつも拗ねた。

    それが日常だった。

    悔しいけれど、その日常を消し去ったのは自分だ。
    キキはいつも側にいた。
    私はキキのことを何も知らないし、知ろうともしなかった。
    側にいればそれでよかった。
    嵐が運んできた出会いは、嵐が奪い去っていくのだろうか。
    側にいることも許されないのだろうか。
    「キキ・・・」
    一晩中流れたので涙は枯れてしまったと思っていた。
    しかし、冷たいフローリングを熱く濡らしているのは明らかに涙だ。
    フローリングを熱く濡らすくらい、キキと愛し合ったのに。
    そのフローリングは今、冷たく、熱く、涙で濡れている。
    「キキ・・・!!」
    バイブもローターも鞭もロープも何も必要ない。
    そんなものなくても愛せる。
    キキを縛るものは何もないけど、ずっと側にいさせる自信だってある。
    なのに・・・目の前にキキはいない。
    愛すべき人がいないということがどれだけつらいことなのか。
    溢れ出す涙が物語っている。
    「キキ!!」



    「ご主人様・・・」



    「えっ・・・?」
    「ただいま」
    そこにはキキが立っていた。
    Tシャツとジーンズというさっぱりした格好で、ドアを開けて立っていた。
    まだ時計の針は朝6時を差している。
    幻覚じゃないのかと思った。
    手を伸ばすと、キキは握り返してくれて、それは確かに人の温もり。
    「また、こんなところで寝てるのですか?僕、驚いちゃいましたよ・・・ベッドに行きましょう」
    ゆっくり支えられて立ち上がると、頭に溜まった熱が下へ降りていく感じがした。
    「あらら、熱がありますね。風邪薬はどこにありますか?」
    「どこに・・・行ってたの・・・?」
    まぎれもなくキキの体だ。
    いつもと変わらないキキの声だ。
    熱で幻覚を見ているのではなく、すぐ側にいるのだ。
    「僕は・・・怖くて逃げていました。もう帰らないつもりでした・・・合わせる顔がないから」
    ベッドに寝かせてくれて、キキはベッドサイドに立ったまま語る。
    「だけど・・・すごく、すごくご主人様が好きだから・・・会いたくなったんです」
    「うん・・・」
    「僕は、ご主人様が好きです・・・大好きなんです」
    涙目で私に語りかけるキキは今までにないくらい可愛い。
    だけどそれは子犬の瞳じゃない、少女の瞳だ。
    飼い主に対する愛情ではなくて、一人の人間に対する愛情。
    それが私に伝わってくるくらいに、真剣で切実な眼差し。
    こんな感情は味わったことがない。
    何とも言えないくらいに喜びがこみ上げてくるのだ。
    「ねぇ、キキの本当の名前を・・・教えて?」
    耳元で囁くように、キキは本名を告げた。
    本当に可愛らしい名前で、その名前を脳内で何度も反芻した。
    「私も・・・・・・が大好きよ」
    「ご主人さまぁ・・・!!」
    嬉しそうに抱き付きながら、私にキスをしてくれた。
    私は本当に嬉しくて、何度も髪の毛を撫でながら愛してると囁いた。
    女同士だからと、他人から避難されてもかまわない。
    ただ一緒にいて、お互い愛し合うことができるのならそれでいい。
    「『御主人』って呼ばれるのはフェアじゃないわね」
    対等な関係で、対等に愛し合いたいから。
    「ご主人様の・・・名前は何ですか?」
    私はニッコリと笑って、その茶色の髪の毛をかきあげる。
    まだ赤い瞳に語りかけるように、私は私の名前を彼女だけに教える。



    「私の名前は・・・・・・」






















    嵐が止んで、太陽が見えた時に、側にいるのは君だということ。
    それは当然のようで特別なことだから。
    たとえ今まで与えていた愛が一方通行だったとしても、必ず想いは伝わっているはず。
    これからはお互い愛し合えるのだから、想いはもっと伝わるから。


    嵐の中でも、君となら歩くことができるから・・・・・・


                       〜END〜


引用返信/返信
■2176 / ResNo.27)  NO TITLE
□投稿者/ まみ 一般人(2回)-(2005/08/02(Tue) 07:57:10)
    お疲れ様でした★
    最後スゴィ感動して朝から泣いてしまいましたι笑
    気になるんですがララはどうなったんですか?

    (携帯)
引用返信/返信
■2178 / ResNo.28)  お疲れさまでしたvv
□投稿者/ キョウ 一般人(1回)-(2005/08/03(Wed) 10:06:48)
    みなサン、お帰りなさい!帰ってきて下さってとても嬉しいデス(*^O^*)
    最終話…読みました。ご主人様とキキとララがそれぞれ幸せになってくれて本当に嬉しかった。思わず最後は目頭が熱くなりました…(/o\*)感涙
    お忙しい中、最後まで書き上げて下さって本当にありがとうございました!!これからも、みなサンを応援しておりますvv

    P.S.サイトが出来ましたら是非教えて下さいvvもぉ〜スッ飛んで行きますvv(*^^*)笑

    (携帯)
引用返信/返信
■2186 / ResNo.29)  あっ続きが
□投稿者/ のの 一般人(2回)-(2005/08/06(Sat) 01:28:47)
    と思ったら最終話…ハッピーエンドで安心しまいた。
    お疲れ様でした。

    (携帯)
引用返信/返信

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■2360 / 親記事)  逢瀬の痕
□投稿者/ 雅 一般人(1回)-(2005/09/11(Sun) 15:32:18)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    2005/10/06(Thu) 08:36:59 編集(投稿者)

    真里菜は泣いた。

    外は、木の葉が激しく揺れる摩擦音と 風と雨が全てを叩きつける音。

    私は、

    帰る当てもなく、ずぶ濡れで彷徨い歩く

    寂しい迷い犬。


    全身を振るわせながら、フラフラと彷徨う

    野良犬なんだ・・。


    「お姉様ー」


    全身の力を振り絞って真里菜は叫んだ。


    飼い主を探す、迷い犬の遠吠えのように。


    真里菜は手首を見た。


    そこには、残された痕だけ・・もう何もない。


    首輪を外された、捨て犬なんだ・・。


    ------------------------------------


    あの日も、台風で雨も風も強くて

    おまけに傘はいつもの愛用のコンビニ傘。


    「きゃっ」

     ボキっ

    「あらあら・・。大丈夫?」


    振り返るとそこには、確かマンションの隣の人。

    真里菜に傘を差しかけてくれている。


    名前は何だったっけ?

    挨拶くらいしか交わした事ないけど・・。

    清楚な綺麗な人・・・。


    OL1年生の真里菜は、一人暮らしを初めてまだ半年。

    今年大学を出て、某OA関連企業に就職したばかり。

    実家は同じ関西だが、通勤2時間。朝8時30分の朝礼に間に合うには

    大変で、反対する親を説得して、家賃は折半ということでマンションを

    借りてもらった。


    大学時代に彼氏に買ってもらった、ヴィトンの傘を通勤途中で無くしてしまって

    無くすくらいならとコンビニ傘が愛用となっていたけど

    こんな台風の日には、やっぱりモロい。


    「これ、良かったら使って。」


    お隣さんは、鞄から折りたたみ傘を取り出して真里菜に手渡した。


    「あっ。ありがとうございます。」


    「もう5分もすればマンションだし、折りたたみだけど何とかなるかしらね。」


    慌てて真里菜は、借りた折りたたみ傘を開いた。


    「さ、早く帰りましょう。」


    お隣さんは、にっこり微笑むと、小走りにマンションに向かって行った。


    (はぁ。助かった。後で乾かして返しにいかなきゃ。)


    マンションに着いた真里菜は、キーケースを探していた。


    いくら探しても見当たらない。改札でる時あったのに・・。


    ガサゴソ  ない・・・。


    どっかで落としたのかな・・。


    ガサゴソガサゴソ  え・・困ったな・・。



    ガチャ


    着替え終わった、隣の住人さんが、不思議そうに覗いていた。


    「どうかした?何かゴソゴソと音がするから出てきたんだけど。」


    「鍵。どっか落としたみたいなんです。」


    真里菜は、困ったようにバックを探りながら答えた。


    「びしょ濡れだし、風邪ひいちゃうわ。取りあえず部屋にあがって。」


    その綺麗な隣の住人は、にっこり微笑んで真里菜に言った。


    真里菜は少し躊躇した。でも、その笑顔に吸い込まれるように

    真里菜は、隣の玄関へと歩いていった。


    玄関には、Sasakiと書かれてあった。


    (つづく)
引用返信/返信

▽[全レス99件(ResNo.95-99 表示)]
■2604 / ResNo.95)  ありがとうございます♪
□投稿者/ 雅 付き人(68回)-(2005/10/12(Wed) 01:37:20)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    由兎魔さん♪

    感想ありがとうございます♪とっても嬉しいです。
    長くなっちゃいましたけど、ようやく完結しました♪
    今回は、どうしてもSMの中にある純愛を描きたかったので、ようやく完結できて
    私自身も嬉しく思っています(^o^)
    是非、HPの方にも遊びにいらしてください。お待ちしています♪




引用返信/返信
■2616 / ResNo.96)  お姉様は
□投稿者/ ブルー 一般人(1回)-(2005/10/17(Mon) 02:07:25)
    死んでしまったのですか?なんかいい話でした

    (携帯)
完結!
引用返信/返信
■2617 / ResNo.97)  初めまして。
□投稿者/ 雅 付き人(69回)-(2005/10/17(Mon) 03:21:18)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    ブルーさん、初めまして。

    「逢瀬の痕」長いお話読んでいただきありがとうございます♪
    お姉さまは、遠くへ行かれたようです・・。(何か言い方変ですね^^;)
    読み物は、それぞれの方の読み方があるかと思いますので。。
    余り詳しくは書かないことにしますね。笑





引用返信/返信
■6188 / ResNo.98)   ありがとうございます♪
□投稿者/ 小百合 一般人(1回)-(2010/01/17(Sun) 22:26:57)
    こんな素敵なお話、みんなもう一度あじわってね。
引用返信/返信
■6225 / ResNo.99)  尊敬しています
□投稿者/ りな 一般人(1回)-(2010/03/29(Mon) 05:55:59)
    文章を見てると情景が浮かんできます。
    リアルで仲良くして頂けませんか?
    作品もちゃんとお金を出して買いたいって思います。
    本当に素敵です。
    私は大阪に住んでるフェムねこです。

    (携帯)
完結!
引用返信/返信

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■5972 / 親記事)  愛琳の家
□投稿者/ 葉 軍団(144回)-(2009/06/10(Wed) 21:48:01)
    2009/06/13(Sat) 22:53:55 編集(投稿者)

    『愛琳(アイリン)

    お前の髪は夜の森
    お前の瞳は黒い水晶
    お前の唇は深海の紅珊瑚
    お前の肌は蜜を溶かしたつめたい白磁

    お前の足は、金の蓮…』


    街を離れて更に一時間ほど車を走らせ、いくつかの峠を過ぎた場所、道の行き止まりにその洋館がある。
    季節にもよるだろうが、今訪れれば確実に目を惹くのは、おびただしい薔薇の花。大輪のもの、小粒なもの、艶やかな花弁を重ねたものや可憐な一重咲きのもの……色彩も絵の具箱をひっくり返したように夥しく、梅雨入りしたばかりの細かい雨を浴びて鮮やかに咲き乱れている。

    国道からは既に遠く離れており、近くに民家はない。勤務先から渡された地図を頼りに初めて訪れた時には、いつの間にかタイムスリップでもしてしまったのかと本気で思った―――彫刻を施された背の高いアーチ状の鉄の門といくつかの尖塔を持つ石造りの洋館は、古いゴシック・ホラーを連想させた。ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」、シャーリイ・ジャクスンの「山荘綺談」、リチャード・マシスンの「地獄の家」……その系統を。


    だが、多くの怪奇小説の狂言回しの例に漏れず、私もまた最初からこの屋敷にさしたる恐れも畏怖もなく、ただ自分の役割を果たす事だけを考え、踏み入れた。


    ……いとも無造作に。
引用返信/返信

▽[全レス53件(ResNo.49-53 表示)]
■6041 / ResNo.49)  愛琳の家・44
□投稿者/ 葉 ファミリー(190回)-(2009/07/03(Fri) 00:45:40)
    「私は、自分だけ逃げた」
    抑揚のない声で夫人は言った。
    「両親さえどうなったか分からない……それだけ慌ただしい出発だった。友達や同僚、お世話になった人、後に消息が分かった人など皆無に近いわ。大陸で多くの日本人が逃げ惑う中、私は軍艦に護衛された客船に乗っていたのよ」



    ―――日本鬼子輸了
    ―――満州也完蚤了
    (日本軍はもう敗けた。満州国もなくなった)

    在留邦人、特に満州に入植していた日本人は敗戦後、言語を絶する苦難を強いられた。
    駐留していた関東軍は民間人を残して四散し、突然のソ連軍侵攻や日本人に恨みを持つ暴徒の襲撃、強制収容所への連行を防ぐものもなく、その混乱は数多の虐殺や暴行の犠牲者や自決を選ぶ者、残留孤児を生み出した……


    「大陸での同胞の悲劇を知るたびに、愛されていたのかもと思うのよ」
    とても罪深い事だけれど、と夫人は言った。
    「燕華は決して私とは寝なかった。情人は男女問わない人だったけど―――それを思うと、やはり憎まれていたようにも感じるの。愛琳を託した事だって―――」
    そこまで言って、夫人はソファに身体を投げ出した。


    「……いて下さるわね、ここに」
    覆い被さるような口調で、夫人は言った。
    「お分かりでしょうけど、私にはもうあまり先がないの。私がいなくなってから、あの子と暮らしてくれる人が必要なのよ」
    私はその場に立ちつくした。
    熱に浮かされたような声、隠しようのない落ち窪んだ眼、青白い顔―――夫人はほぼ間違いなく薬物に冒されている。凛然とした姿を保てたのは、私が訪れる限られた時間だけだったのかもしれない……


    「あの子も、それを望んでいるわ」
    私はぴくりと身体を震わせ、反射的に箪笥の上の写真を振り返った。
    (ちがう………)
    大きな瞳を見開いて、今にも叫び出しそうな表情でこちらを見つめる、小動物めいた非力な少女。
    夫人と一緒に日本に来たのなら、既に少女である筈がない。
    いや、そればかりか―――



    (携帯)
引用返信/返信
■6042 / ResNo.50)  愛琳の家・45
□投稿者/ 葉 ファミリー(191回)-(2009/07/03(Fri) 01:14:57)
    2009/07/03(Fri) 01:18:03 編集(投稿者)

    私より早く、絨毯に寝そべっていた瑞雪と雪亮が気配を察した。
    居間の扉に二頭が飛びつき、嬉しそうに尻尾を振る……音もなく扉が開き、私は息を飲み込んだ。


    「待ちきれなかったのね、愛琳」
    ソファに身を沈めた夫人が呟いた。
    「少しだけ待ってちょうだい―――今、支度するから……」
    夫人がもの憂げに身を起こし、のろのろとソファから起き上がるのを私は見てはいなかった。
    愛琳―――小柄な身体に豪奢で重たげな衣をまとい、歩き始めたばかりの幼児のようなぎごちない足取りでこちらに近付いて来る少女を、私は見つめた。


    「そんな――――」
    口の中で舌が凍りつく。血染めの瑞雪と雪亮を従えた少女は、私にちらりと目を向けて微笑んだ。
    私はぞっとした……その笑顔はとろけそうに美しかったが、古風な濃い化粧でも隠しきれないほどの高慢さに満ちていた。


    「……日本に来てから、この子は泣いてばかりだったの」
    居間の片隅で背中を丸め、煙膏や煙槍を盆に整えながら夫人が言った。
    「あまりにも従順に、妓楼の生活に慣れさせられたのね。この子は燕華の命令しか聞かず……それなしには生きていけない子だったの」
    夫人は急に貧相に、十や二十も老け込んだように見えた。
    「……二年目に、この子は一度死んだのよ。どんなに手を尽くしても食べなくて、みるみるうちに衰弱して……止めさせていた阿片を与えるしかなくなって」


    誰に聞かせるためなのか、夫人は早口に喋り続けた。

引用返信/返信
■6043 / ResNo.51)  愛琳の家・46
□投稿者/ 葉 ファミリー(192回)-(2009/07/03(Fri) 01:50:38)
    「―――この子が死ぬ度にね」
    震える指先で掴んだ物を何度も取り落としながら、夫人は続けた。
    「先刻話したでしょう、この家と生活費をお世話してくれた方のお身内にお願いすると、元気なこの子を連れて来てくれるの―――まだ幼い、纏足も始めていない、汚れなく健やかな愛琳を」
    ―――私は無意識に後ずさり、みすぼらしい風情で作業に手間取る夫人とそれを眺める少女を見比べた。
    夫人は完全に、びくびくと少女の顔色を窺う下僕になり果てていた。


    不意に、少女が動いた。
    見覚えのある髪飾りが私の目の下を通り過ぎた―――小さな珊瑚玉がしゃらしゃらと音をたて、宙を泳ぐ。
    思いもかけぬ素早さだった。少女は夫人に歩み寄り、小さな足を振り上げると、吸煙道具の支度にまごつく夫人の腰を蹴り上げた。玉や青銅、精緻な造りの吸煙道具が音をたてて辺りに散らばった。


    夫人は絨毯の上に倒れ込み、私はようやく悲鳴をあげる。
    「やめて――――」
    声こそ出たが、身体が動かない……少女は倒れた夫人の腰に纏足靴の先を食い込ませ、私を振り返って微笑んだ。
    (この婆さん、いつもこうなのよ)
    そう言いたげに少女は笑顔で首を振り、足先で靴を脱ぎ捨てた―――少女は、足布を巻いていなかった。
    「ああ……愛琳」
    剥き出しの足先を突きつけられて夫人は呻き、震える両手で包み込む。


    開ききり、枯れ始めたクチナシの香りがにわかに強くなる。
    甘く濃密な、生きながら腐敗するものの香りだった。


    (携帯)
完結!
引用返信/返信
■6063 / ResNo.52)  NO TITLE
□投稿者/ パト 一般人(1回)-(2009/07/13(Mon) 16:40:41)
    一気に読んでしまいました。

    ここで完結なのですか?最後が残念な感じです。
    すごい引き付けられたので余計。

    その後はないのかなぁと

    (携帯)
引用返信/返信
■6064 / ResNo.53)  NO TITLE
□投稿者/ 葉 ファミリー(196回)-(2009/07/14(Tue) 02:47:24)
    読んで下さってありがとうございます。
    ここまでしか考えていませんでした。

    大抵、最後の場面を先に決めて、そこに行きつくように書きます。

    最近はそれがちょっと長くなりすぎるので、いかんなあと思っています。

    エロくないのも。


    (携帯)
引用返信/返信

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■1706 / 親記事)  上下関係
□投稿者/ 黒猫 一般人(1回)-(2005/02/26(Sat) 11:21:22)
    「・・・ご主人様・・虐めてください」

    そう涙目で訴えるのは恵

    クスクスと恵を見て笑ってるのは雪

    「虐めて欲しいんだぁ〜・・?この変態!」
    そう言って恵の胸を掴む

    「ひいっ・・・!!」
    強く胸を掴まれ痛さで悲鳴をあげる
    けれど痛みより快感の方が大きかった


    「何?痛いのに感じちゃってるの?」

    「・・・違っ・・!」

    「感じてるんでしょ?言ってごらんよ」

    「・・・かんじ・・てます・・」


    「ん?何?聞こえないなぁ・・?」

    意地悪くクスクスと笑う

    「っ・・・!感じてます・・!」


    「よく言えました。変態ちゃんにはこれを着けてあげましょう」

    手から黒い紐を取り出し恵に近づく

    「ひあっ・・・!」

    恵は手馴れた手つきで雪を縛り、目隠しもした

    「セーラー服の上から縛るのっていやらしいよね〜?」

    恵みは満足そうに笑った
引用返信/返信

▽[全レス2件(ResNo.1-2 表示)]
■1707 / ResNo.1)  Re[1]: 上下関係
□投稿者/ 黒猫 一般人(2回)-(2005/02/26(Sat) 11:24:12)
    訂正します(汗)
    「恵は手馴れた手つきで雪を縛り、目隠しもした」
    「恵みは満足そうに笑った」

    二人の名前を間違えました<(_ _)>
    「雪は手馴れた手つきで恵を縛り、目隠しもした」
    「雪は満足そうに笑った」

    ↑が正しいです
引用返信/返信
■1708 / ResNo.2)  Re[2]: 上下関係
□投稿者/ 黒猫 一般人(3回)-(2005/02/26(Sat) 11:27:33)
    「さてさて、変態ちゃんに問題です
    私が今持っているものは何でしょう?」

    そういって雪は長い何かを取り出し
    それを恵の胸に押し当てた

    「はう・・・んっ・・!分かりません・・」

    「じゃあヒントです。私が部活で使うものです」


    「・・・?竹刀・・?」

    「ピンポーン!大正解」

    そう言って胸をまた竹刀で突付く

    「はう・・!」


    「今日は竹刀を使って虐めてあ・げ・る」

引用返信/返信

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■6786 / 親記事)  解放 1
□投稿者/ AI 一般人(1回)-(2012/02/29(Wed) 19:11:17)




    目を開けると、そこは知らない場所でした―――――
    なぁんてことは、AVやマンガ、小説の中でだけだと思ってた。
    実際、そういう話って非日常的だから興奮するし。
    1人で歩いていると、突然知らない人に布で鼻と口を覆われて、さらわれて。
    意識を取り戻すと、どこか知らない場所にいて、混乱する主人公。
    そんな主人公の前に現れた容姿が整った男なり女なりが、こう告げる。



    『あなたはこれから、犯される』



    ペットとか奴隷にしてやる、とかって言われる場合もあるけど。
    まあ基本的には、突然さらわれた主人公は、強姦されちゃう。
    最初は嫌がって抵抗するくせに、徐々に抵抗できなくなる主人公。
    強制的に与えられる快楽に溺れて、理性が失われていく。
    最終的には自分から快楽を求めたりもして、最後は完全に堕ちる。
    そして主人公は、もとの生活には戻れないと思うのでした、みたいな。



    大抵こういう話に出てくる人ってテクニシャンで、経験も豊富。
    ありとあらゆるテクニックや道具を使って、主人公を攻め立てる。
    そんなのを相手にした純情な主人公は、最後まで抗える術を知らない。
    何度も何度も無理矢理にでもイかされて、快楽を叩きこまれる。
    そうかと思えば、しばらくイかせずに焦らされたりもして。
    気がおかしくなってしまいそうなほどの快楽を、一方的に享受する。



    まあ、話によっては苦痛を伴う攻めとかも出てくるけど。
    でも快楽を伴う攻めが1番基本的というか、なんというか。



    ありふれた話、ありふれた設定、ありふれた話の流れ、ありふれた結末。
    そんな“ありふれた”非日常的な話に興奮し、オカズにする人は少なくないはず。
    そう、自分だってそういう話を読んで、ドキドキして、興奮したりもした。
    だけど、他の大半の人たちとは違って、自分を慰めるようなことはしたことない。
    人に触られれば敏感な反応を示す部位も、自分で触れば大したことない。
    耳も、首も、横腹も、友達が冗談で触ってくるとビクッ、となってしまうのに。
    いざ自分で触ってみると、横腹以外はどこも大した反応を示さない。




    胸も、勿論下の方も、興味本位で触ってみたりしたことはある。
    しかし、他の人が示すであろう反応を、自分の身体は示さなかった。
    声も出なければ、濡れもしない、特に気持ちがいいというわけでもない。
    それゆえ、男女ともに経験がない自分は、“イく”という感覚を知らなかった。
    自分で自分をイかせようとしても、そもそもそんなに気持ちよくない。
    だから、きっと自分は病気ー――――不感症なんだな、って、思っていた。
    それが理由でなければ、いったい何が理由で感じられないというの、みたいな。



    いわゆる“いかがわしい”ものを見たり読んだりすると、ある程度は濡れる。
    だからといってナカに指を入れて出し入れを繰り返しても、感じない。
    指は2本までなら飲み込むのだが、声も出てこない、気持ちよくもない。
    で、結局イく、という感覚を経験できず、ということの繰り返しだ。
    調べてみると、不感症は、濡れるけどイけない場合も不感症に入るらしい。
    まさに自分がそのタイプだったので、ますます自分は不感症だと思った。



    そういう行為について、自分は否定的な思いを抱えている。
    男性嫌いで、男性に触られるのも嫌なので、男性との行為なんてもってのほか。
    気持ち悪いとか、嫌だとか、したくないとか、そんなことしか思ってなくて。
    恋人ができても、性欲なんてものは、全然出てこなかった。
    ヤりたいとか、ヤられたいなんて、これっぽっちも思わなかった。
    不感症には心理的原因もあるみたいだから、これも原因かと思っていた。










    そう、『あの日』まではー―ー――





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