SMビアンエッセイ♪

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■5972 / 親記事)  愛琳の家
□投稿者/ 葉 軍団(144回)-(2009/06/10(Wed) 21:48:01)
    2009/06/13(Sat) 22:53:55 編集(投稿者)

    『愛琳(アイリン)

    お前の髪は夜の森
    お前の瞳は黒い水晶
    お前の唇は深海の紅珊瑚
    お前の肌は蜜を溶かしたつめたい白磁

    お前の足は、金の蓮…』


    街を離れて更に一時間ほど車を走らせ、いくつかの峠を過ぎた場所、道の行き止まりにその洋館がある。
    季節にもよるだろうが、今訪れれば確実に目を惹くのは、おびただしい薔薇の花。大輪のもの、小粒なもの、艶やかな花弁を重ねたものや可憐な一重咲きのもの……色彩も絵の具箱をひっくり返したように夥しく、梅雨入りしたばかりの細かい雨を浴びて鮮やかに咲き乱れている。

    国道からは既に遠く離れており、近くに民家はない。勤務先から渡された地図を頼りに初めて訪れた時には、いつの間にかタイムスリップでもしてしまったのかと本気で思った―――彫刻を施された背の高いアーチ状の鉄の門といくつかの尖塔を持つ石造りの洋館は、古いゴシック・ホラーを連想させた。ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」、シャーリイ・ジャクスンの「山荘綺談」、リチャード・マシスンの「地獄の家」……その系統を。


    だが、多くの怪奇小説の狂言回しの例に漏れず、私もまた最初からこの屋敷にさしたる恐れも畏怖もなく、ただ自分の役割を果たす事だけを考え、踏み入れた。


    ……いとも無造作に。
引用返信/返信

▽[全レス53件(ResNo.49-53 表示)]
■6041 / ResNo.49)  愛琳の家・44
□投稿者/ 葉 ファミリー(190回)-(2009/07/03(Fri) 00:45:40)
    「私は、自分だけ逃げた」
    抑揚のない声で夫人は言った。
    「両親さえどうなったか分からない……それだけ慌ただしい出発だった。友達や同僚、お世話になった人、後に消息が分かった人など皆無に近いわ。大陸で多くの日本人が逃げ惑う中、私は軍艦に護衛された客船に乗っていたのよ」



    ―――日本鬼子輸了
    ―――満州也完蚤了
    (日本軍はもう敗けた。満州国もなくなった)

    在留邦人、特に満州に入植していた日本人は敗戦後、言語を絶する苦難を強いられた。
    駐留していた関東軍は民間人を残して四散し、突然のソ連軍侵攻や日本人に恨みを持つ暴徒の襲撃、強制収容所への連行を防ぐものもなく、その混乱は数多の虐殺や暴行の犠牲者や自決を選ぶ者、残留孤児を生み出した……


    「大陸での同胞の悲劇を知るたびに、愛されていたのかもと思うのよ」
    とても罪深い事だけれど、と夫人は言った。
    「燕華は決して私とは寝なかった。情人は男女問わない人だったけど―――それを思うと、やはり憎まれていたようにも感じるの。愛琳を託した事だって―――」
    そこまで言って、夫人はソファに身体を投げ出した。


    「……いて下さるわね、ここに」
    覆い被さるような口調で、夫人は言った。
    「お分かりでしょうけど、私にはもうあまり先がないの。私がいなくなってから、あの子と暮らしてくれる人が必要なのよ」
    私はその場に立ちつくした。
    熱に浮かされたような声、隠しようのない落ち窪んだ眼、青白い顔―――夫人はほぼ間違いなく薬物に冒されている。凛然とした姿を保てたのは、私が訪れる限られた時間だけだったのかもしれない……


    「あの子も、それを望んでいるわ」
    私はぴくりと身体を震わせ、反射的に箪笥の上の写真を振り返った。
    (ちがう………)
    大きな瞳を見開いて、今にも叫び出しそうな表情でこちらを見つめる、小動物めいた非力な少女。
    夫人と一緒に日本に来たのなら、既に少女である筈がない。
    いや、そればかりか―――



    (携帯)
引用返信/返信
■6042 / ResNo.50)  愛琳の家・45
□投稿者/ 葉 ファミリー(191回)-(2009/07/03(Fri) 01:14:57)
    2009/07/03(Fri) 01:18:03 編集(投稿者)

    私より早く、絨毯に寝そべっていた瑞雪と雪亮が気配を察した。
    居間の扉に二頭が飛びつき、嬉しそうに尻尾を振る……音もなく扉が開き、私は息を飲み込んだ。


    「待ちきれなかったのね、愛琳」
    ソファに身を沈めた夫人が呟いた。
    「少しだけ待ってちょうだい―――今、支度するから……」
    夫人がもの憂げに身を起こし、のろのろとソファから起き上がるのを私は見てはいなかった。
    愛琳―――小柄な身体に豪奢で重たげな衣をまとい、歩き始めたばかりの幼児のようなぎごちない足取りでこちらに近付いて来る少女を、私は見つめた。


    「そんな――――」
    口の中で舌が凍りつく。血染めの瑞雪と雪亮を従えた少女は、私にちらりと目を向けて微笑んだ。
    私はぞっとした……その笑顔はとろけそうに美しかったが、古風な濃い化粧でも隠しきれないほどの高慢さに満ちていた。


    「……日本に来てから、この子は泣いてばかりだったの」
    居間の片隅で背中を丸め、煙膏や煙槍を盆に整えながら夫人が言った。
    「あまりにも従順に、妓楼の生活に慣れさせられたのね。この子は燕華の命令しか聞かず……それなしには生きていけない子だったの」
    夫人は急に貧相に、十や二十も老け込んだように見えた。
    「……二年目に、この子は一度死んだのよ。どんなに手を尽くしても食べなくて、みるみるうちに衰弱して……止めさせていた阿片を与えるしかなくなって」


    誰に聞かせるためなのか、夫人は早口に喋り続けた。

引用返信/返信
■6043 / ResNo.51)  愛琳の家・46
□投稿者/ 葉 ファミリー(192回)-(2009/07/03(Fri) 01:50:38)
    「―――この子が死ぬ度にね」
    震える指先で掴んだ物を何度も取り落としながら、夫人は続けた。
    「先刻話したでしょう、この家と生活費をお世話してくれた方のお身内にお願いすると、元気なこの子を連れて来てくれるの―――まだ幼い、纏足も始めていない、汚れなく健やかな愛琳を」
    ―――私は無意識に後ずさり、みすぼらしい風情で作業に手間取る夫人とそれを眺める少女を見比べた。
    夫人は完全に、びくびくと少女の顔色を窺う下僕になり果てていた。


    不意に、少女が動いた。
    見覚えのある髪飾りが私の目の下を通り過ぎた―――小さな珊瑚玉がしゃらしゃらと音をたて、宙を泳ぐ。
    思いもかけぬ素早さだった。少女は夫人に歩み寄り、小さな足を振り上げると、吸煙道具の支度にまごつく夫人の腰を蹴り上げた。玉や青銅、精緻な造りの吸煙道具が音をたてて辺りに散らばった。


    夫人は絨毯の上に倒れ込み、私はようやく悲鳴をあげる。
    「やめて――――」
    声こそ出たが、身体が動かない……少女は倒れた夫人の腰に纏足靴の先を食い込ませ、私を振り返って微笑んだ。
    (この婆さん、いつもこうなのよ)
    そう言いたげに少女は笑顔で首を振り、足先で靴を脱ぎ捨てた―――少女は、足布を巻いていなかった。
    「ああ……愛琳」
    剥き出しの足先を突きつけられて夫人は呻き、震える両手で包み込む。


    開ききり、枯れ始めたクチナシの香りがにわかに強くなる。
    甘く濃密な、生きながら腐敗するものの香りだった。


    (携帯)
完結!
引用返信/返信
■6063 / ResNo.52)  NO TITLE
□投稿者/ パト 一般人(1回)-(2009/07/13(Mon) 16:40:41)
    一気に読んでしまいました。

    ここで完結なのですか?最後が残念な感じです。
    すごい引き付けられたので余計。

    その後はないのかなぁと

    (携帯)
引用返信/返信
■6064 / ResNo.53)  NO TITLE
□投稿者/ 葉 ファミリー(196回)-(2009/07/14(Tue) 02:47:24)
    読んで下さってありがとうございます。
    ここまでしか考えていませんでした。

    大抵、最後の場面を先に決めて、そこに行きつくように書きます。

    最近はそれがちょっと長くなりすぎるので、いかんなあと思っています。

    エロくないのも。


    (携帯)
引用返信/返信

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■5962 / 親記事)  NO TITLE
□投稿者/ ゆり 一般人(1回)-(2009/06/03(Wed) 16:41:44)
    なぜこうなったのだろう。

    がんになって余命宣告されてわたしは彼女とずっと一緒にいた。最後までそうだと信じてた。でも医者に覚悟してくれて言われた今。彼女は新しい若い子を連れてきて言う。貴女が病気になったこと芯で行くことに耐えられないからこの子に支えて愛してもらうことにしたの。あなたとは距離を持って彼女ではなく家族として支えるよ。わたしは幸せになりたいの。

    ずっと愛されていると思っていた。こんなに満たされて幸せでこのまま逝くのだろう、彼女の幸せを祈りたいと穏やかな気持ちになれていたのが遠い昔のよう。いまでは口へのキスもさせてもらえず、新しい彼女へ楽しげに電話やメールする様子を見せられる日々。不機嫌になると彼女じゃないのにそんな様子はおかしい。自分のしあわせを願えないのかと不機嫌になる始末。二人だけの時間が欲しいとひとり部屋に残されて別々の時間が増えていく。こんなに寂しいなんて。こんなにつらいなんて。幸せだった時間を繰り返し繰りかr誌思い出してもその幸せを伝える相手もなくすべもなく。いきたい、とはおもうけど、何のために?とも自問する。
    いや、わたしのために生きたい。
    彼女からはなれ、私自身の人生、私自身の愛に生きるために。
    彼女の弱さは彼女のもの。
    わたしのものではないのだ。
    わあしは生きる。
    わたしのために
引用返信/返信



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■5951 / 親記事)  調教日記
□投稿者/ 冷野 一般人(1回)-(2009/06/02(Tue) 21:55:59)
    こんばんは・・・・いや。こんにちは、あるいは、おはようかな?



    僕の名前は遠藤琥珀【エンドウ コハク】。
    とある組織の幹部で、調教師をやっているんだ。


    え?何の調教師かって?
    馬や羊や家畜にされるような動物じゃないんだ。


    いや・・・・場合によっては家畜にもなり得るかもね。



    僕の専門は人間・・・それも女性専用の調教師さ。
    組織のボスに頼まれて、僕の他にも数名の女性が調教師をしているんだ。



    ああ、僕の言っている組織っていうのはね?
    裏組織になるのかな、ならないのかな。
    まあ、SMクラブとかを何店も経営してたり、裏では金持ちに女性を売ってる。
    その『商品』となる女性を調教してあげるのが僕らの役目。



    まあ、初対面のそこの君に調教師を一応紹介してあげる。


    1人目。まずは僕ね。遠藤琥珀。
    ボーイッシュ・・・・ていうか中性的?Sタチね。
    赤髪と茶髪が混ざってる感じで、ショートだけど立たせてる。
    ごついピアスや指輪をいつもじゃらじゃら付けてるよ。
    一人称は『僕』。キレると『俺』になっちゃう、結構厳しい方。
    基本的に快楽で攻めてるかな。



    2人目。僕の先輩にあたる日向棗【ヒュウガ ナツメ】。
    こっちはフェム系だね。
    金髪(ハーフだから地毛)のセミロングで、毛先を巻いてる優しい雰囲気。
    アクセサリーは好きじゃないんだって。
    一人称は『私』。まあ、基本ニコニコで優しいけど、怒ると怖いよな。
    攻め方は僕と同じく快楽。



    3人目。やっぱり僕の先輩で尊敬してる藤道馨【トウドウ カオル】。
    この人は中性的。
    茶髪のロン毛なんだけど、赤い紐でポニーテールにしてる。
    大体僕と同じ趣味で、ごついアクセサリーをじゃらじゃら付けてるなあ。
    一人称は『私』。超紳士的で、レディーファーストがモットーらしい。
    攻め方は苦痛系。はい、性格と合いませーん。



    最後の4人目。久方桔梗【ヒサカタ キキョウ】。唯一の同僚だ。
    この人もボーイッシュ。
    オレンジの髪に黒いメッシュを右側に入れている美形さん。
    アクセサリーはしてないけど、ただピアスはすごい数の穴開けてるんだよね。
    たまにピアスはやってる。一人称は『俺』。俺様な性格。
    攻め方は馨さんと同じく苦痛系ね?



    ボス?ボスは秘密。まあ、後々出てくると思うけどね。
    あまり人前に出るのが好きじゃないもんで、秘密が多いんだ。
    噂ではすごい権力者らしいよ?
















    これはそんな僕らのお話・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






引用返信/返信

▽[全レス9件(ResNo.5-9 表示)]
■5961 / ResNo.5)   調教日記C
□投稿者/ 冷野 一般人(5回)-(2009/06/03(Wed) 16:32:51)
    トゥルルルルル・・・・・・・・トゥルルルルル・・・・・・・・








    ちょうど部屋に入って鍵を閉め終わったときに、部屋の壁にある白い電話が鳴り響いた。



    この電話はボスからか、後の3人の幹部からの電話でしか鳴らない電話だ。





    正直面倒臭いとも思いつつ、壁に寄りかかって電話を取った。






    「はい、こちら琥珀ですが?」








    明香は床に正座して、僕を不安そうに見上げている。
    何かそのまま放置でも面白いかなって思ったけど、適当に靴を履いたままの足で身体をなぞってやる。
    すると、慣らしてあるソイツの身体は、すぐに反応を示す。
    切なそうに吐息を漏らし、乳首は少しずつ立ち始める。変態だからね。








    『・・・・・琥珀?私なんだけど』









    電話の声は、何とボスの凛とした声だった。
    確か長期にわたって留守にしているのに・・・・・帰ってきたのか?







    「ボス?もうお帰りに?どうしたんですか」







    『今帰ってきたとこ。実はね、そこに春日井明香いるかな。その子を買い取りにいらした方がいてね』







    ・・・・・・今日、春日井明香はどこぞの金持ちに売られるわけだ。







    『お相手は大企業の女社長さんである錦真鈴【ニシキ マリン】様。前から春日井明香が欲しがってらした方ね』








    ああ、1度見たことがある。
    黒いパンツスーツに身を包んだ、モデル体型の美人社長。
    染めたと思われる金髪のショートへアの人で、笑顔が素敵な方だったね。


    僕は人の顔と名前を覚えるのは得意だから、すぐに顔が浮かぶ。









    「分かりましたよ、ボス。今から連れて行きます」






    『頼んだよ』







    受話器を置くと、顔を紅潮させて俯いているソイツに冷たく言い放つ。







    「今日、お前を買い取りにお客様が来られてる。行くぞ」







    ソイツは、酷く傷付いた泣きそうな顔をして、小さくはい、と呟いた。



    あー、よくいるんだわ。
    うっかり僕らに調教されているうちに、僕らに堕ちちゃう人間。










    ソイツも例外ではないらしいな。うざいったらないけど。
    僕は女を調教して楽しんで、飽きたりしたら捨てるだけだから。
    まあ、棗さん辺りはそんなこと無さそうだけどね。
引用返信/返信
■5967 / ResNo.6)  調教日記D
□投稿者/ 冷野 一般人(6回)-(2009/06/06(Sat) 15:38:23)
    ガチャリ、と受話器を置くと、ふぅ、と溜息をついた。














    黒い皮製の大きなふかふかの椅子、茶色の綺麗に光る整頓された大きな机。
    机の上には、書類やファイルが立てられたのと、電話しか置いていない。



    赤髪の肩までの髪をし、黒いシャツと白いパンツに身を包んで椅子に腰掛ける女性が、机の上にあったコーヒーをすする。








    「お疲れですね?東城さん」








    そう言って微笑んでいるのは、同じく黒い皮製のソファーに腰掛け、紅茶を優雅に飲む女性。高めの甘い声だ。




    その女性の髪は美しい黒髪の背中までのロングヘアーで、同じく漆黒の目、すらりとした身体に白いパンツスーツを纏っている。


    キツメに巻かれている毛先が、カップを置く彼女の動きに合わせて揺れた。








    そう、黒髪の彼女こそが今日の客人であり、赤髪の女性の友人でもある錦真鈴。
    化粧関係の会社を経営しており、名も知れた会社の女社長である。
    その美しさと26歳という若さに、最近いろんな雑誌に載っている。







    「全く、貴方は昔から無理をし過ぎなんですわ」






    「あら、そんな事ないと思うけど。貴方に比べればね」








    そして、苦笑いしつつコーヒーを飲み終えた女性こそ、この組織のボスである東城菖蒲【トウジョウ アヤメ】である。










    コンコン











    大きな頑丈そうな木製のドアがノックされ、ドア越しに失礼致します、という低めの声がした。





    琥珀だ。
引用返信/返信
■5968 / ResNo.7)  調教日記E
□投稿者/ 冷野 一般人(7回)-(2009/06/06(Sat) 15:51:51)
    僕は連れて来た『商品』を四つん這いでついて来させると、ドアをノックして失礼致します、と言った。




    うちのボスは礼儀に五月蝿いから、こういうところはきちんとしなければならない。




    「入って」





    ボスの高くも低くもない、落ち着いて澄んだ声が聞こえ、ドアを開けた。








    そこには、お客様である錦真鈴様、そして奥にはボスである東城さんがいる。
    2人ともわざわざ立ってのお出迎え。






    僕が入ると、ちょこまかとした動きで『商品』も入る。
    顔は不安そうだ。多分、錦真鈴様が怖いんだろう。
    そして、初めて見るであろうボスも。






    「遅れましてすみません。錦様、こちらがご希望のものです」







    軽くだが、一応敬意を払ってお辞儀をし、『商品』を見せる。
    僕はボスのご友人か幹部の3人くらいにしか、お辞儀はしない主義だ。
    プライドが高いんだよ。







    「まあ、やっぱり綺麗。やっと買えて嬉しい」









    錦真鈴様が自ら近寄り、両手で『商品』の頬を挟んで自分の視線と合わせる。
    『商品』はされるがまま、何も言わずにせずに、ただじっと見つめ返す。








    「どう?この子の感度は平均の約1.5倍、礼儀正しいし眉目秀麗、学生の時の成績もいいし、それなりの家の生まれなの」







    ボスが書類を見ながら紹介をして微笑んだ。やっぱりボスは美しい。






    強気で勝気、男勝りで優しくて賢く、美しいボスは僕らの自慢のボス。







    「うん、やっぱり私の好みの顔だし、申し分ない子・・・・じゃあ、連れて帰るから、お金は後日振り込ませて頂きますわ」






    「ありがとうございます」









    そして、錦真鈴様は、貴方の育てる子は結構好きよ、また見させて頂戴、と言い残して、『商品』を持ち帰って行かれた。
引用返信/返信
■5969 / ResNo.8)  調教日記F
□投稿者/ 冷野 一般人(8回)-(2009/06/06(Sat) 16:11:30)
    ーーーさっき、琥珀が出て行ったからきっと売れたのねーーー



















    私、棗はそう思った。









    ボスがいらっしゃるお部屋は最上階に位置するため、どうしても私の部屋がある場所を通るの。





    どうせ琥珀の事ですから、階段で行ったのでしょうし・・・・・。
    運動不足解消のためと、女の子を苦しませるためにね。












    そんな私は今、自分が調教している女の子・・・峰坂望【ミネサカ ノゾミ】を放置していた。





    この子は4ヶ月前くらいにボスが拾って来られた女の子で、まだ18歳。
    雨の中、びしょ濡れで路頭に迷っていたところをたまたまボスが見つけられたの。





    その時はシャツ1枚に裸足という格好で、今にも壊れそうな印象があった。
    けれど、今は普通に服を着ていて、栄養失調も治ったから大丈夫ね。








    「んあっ、棗様・・・・・・・・ぁっ!」









    可愛い顔で喘ぐ望は、結構私の好みだったりする訳なのだけれど。





    今は手錠で手足をベッドに拘束して、バイブを入れて放置しながら本を読んでいるの。何の本かですって?








    アドルフ・ヒトラー著の『わが闘争』。別にナチズムでもファシズムでも何でも無いけど、たまたまあったの。
    ここには、大きな図書館もあるから、そこでちょっと借りてきたものよ。





    だから、可愛い望の喘ぎ声をBGMに読書しているというわけ。
    もう、本当に自分の物にしたいくらいよ?可愛いもの。素直だし。







    今度、ボスに頼んでみるつもり。











    「んっく・・・・・・・棗様っ・・・・・・あぅっ、やあああっ・・・・・!」










    もう1時間位放置してるから、もういいかな・・・・・・・。













    そう思いつつ、最後に果てて気を失った望のバイブのスイッチを切り、乱れた髪をかき上げてやった。




    黒と茶色が混ざったようなストレートのロングヘアーが、さらっと揺れる。
    そして、アメリカ人とのハーフであるための大きな碧眼も閉じられている。






























































    「望、起きなさいね」




























    ・・・・・・私がそうそう寝させたままかとお思いかしら?





    望を起こすと、悲しそうな望を檻に入れて、一息つくために食堂に向かった。







    私、意外だって驚かれるけど、大食いなの。
    もうお腹が減ったし飽きたから、望とのお遊びはここまでよ?
引用返信/返信
■5971 / ResNo.9)  調教日記G
□投稿者/ 冷野 一般人(9回)-(2009/06/07(Sun) 15:15:06)
    食堂は、ボスも勿論お使いになるし、ほとんどの人が使っている場所のひとつ。
    外で食べてもいいのだけれど、ここの食堂の料理は絶品なのよ。
    中華もイタリアンも、フレンチも和食も何でもあるもの。


    お金も組織の人間は無料だし、外で食べるよりもずっといいわ。













    今現在は、ちょうど12時過ぎ。やっぱりお昼だし、混んでるわね。
    でも、馨さんや桔梗、琥珀もいないみたい。
    みんなまだ調教しているのかしら?私が早いのかしらね。








    「紺野さん、今日は紅茶ケーキとベーグル、野菜サラダとカボチャのスープに、カフェオレをお願い」




    「あ、棗さん。分かりました、いつものですね!」





    「うん。よろしくね」













    カウンターで、紺野さんという人に自分の食べたいメニューを注文する。
    紺野さんは私と同じで金髪のツインテール。ちょっと童顔ね。同期なのよ。
    私と性格も似ているから気が合うの。たまに一緒に出かけたりするわね。










    注文して適当に窓際の白いテーブルクロスがかかったテーブルを選んで、そこに座った。



    そして、さっきまで読んでいた本を読み始める。

















    しばらく待っていると、誰かが無言で私の左側に腰掛けてきた・・・・・・誰?







    そう思って、ちらりと横を見ると、調教を終えた馨さんが今更、隣ええか?なんて言ってる・・・まあ、いいけれどね。







    「なんや、棗。何読んどるん?相変わらず読書家やねえ」






    ひょいっと顔を覗き込んでそう言われて、ちょっと胸がときめく。
    だって、馨さんはこの組織でも1、2を争う美形なんですもの。
    モデル経験もあるらしいし、ときめくのも無理ないわ。




    ・・・・・本人の自覚がないのが悩みの種、ですけれどね。









    「ヒトラーの『わが闘争』ですわ。馨さんもお読みになる?」





    「いやー、ええわ。堅苦しいのは苦手やねん」





    あはは、と苦笑いする馨さんと一緒に笑っているところに、2人の料理が運ばれて来た。








    馨さんは大好物のオムライスとチーズケーキ。あとミネラルウォーターですって。
    何か後味がしつこそうだけど、美味しいって食べてるわ・・・・・。













    私と馨さんは一緒に談笑しつつ食べ終え、各自の持ち場に帰った。



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■5897 / 親記事)  Danse Macabre
□投稿者/ 葉 軍団(108回)-(2009/05/22(Fri) 22:43:01)
    「―――県の発症者は二百人を超え、政府は隣接する県境に医療検問所を設置し、さらなる感染拡大を防ぐため……」

    もう珍しくもなくなったが、番組の最中に画面が臨時ニュースに切り替わり、私と来客の視線をそちらに向けた。
    「……異常を感じた方は、まず地域の保健所の相談センターにお電話して下さい。みだりに治療機関や人が集まる場所へ行かず、冷静な行動を……」
    私はリモコンに手を伸ばし、テレビを切った。
    「怖くないんですか」
    私の動作を目で追っていた来客が呟く。名刺は貰ったが名前は覚えていない。週刊誌の記者とだけは覚えているが。
    「……実感がないだけです」
    思ったままの事を私は呟く。怖いと言うなら、東京からはるばる爆心地にやってきた記者の方が怖いのではないだろうか。
    「早く帰られた方がいいですよ」
    まだ噂に過ぎないが、県境が封鎖されると聞いている。この県は東京からは離れているが、ここで発生したウィルスは異常に伝播が早い。国土のほぼ真ん中にありながら隔離されるのは当然であり、脅威だった。
    「飛んで帰りますよ、この取材が終わったら」
    記者は笑顔で答えるが、少し無理のある笑顔だった。
    「もう終わっているでしょう? 私、知ってる事は全部お話しましたよ」
    私は少々うんざりして言い募る―――食糧や日用品の買い出しも済ませている。会社にも行く必要はない。望まぬ来客を前にして、外出する口実がないのは不便な事だった。
    「……本当に、ですか」
    私と同じくらいの年齢だろう。垢抜けた身なりの女性記者は、声に少し力を込めた。
    「本当に、全部話して下さったんですか……?」
    私は無言で彼女を見つめる。


    互いを隔てるテーブルには、一枚の絵葉書が載っていた。

    (携帯)
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▽[全レス40件(ResNo.36-40 表示)]
■5957 / ResNo.36)  Danse Macabre 31
□投稿者/ 葉 軍団(141回)-(2009/06/03(Wed) 02:37:13)
    ……冷酷と言ってもいいほどの無表情。それまで知っていた留津とは全く違う、冷たく冴えた顔が脳裏に蘇る。
    先刻の記者にもそれはあった―――人は一体何を見たら、あんな顔をするようになるのだろうか。あれだけ穏やかに、世界を善きもののように見る顔とは裏腹に。


    (……罰したの?)
    踊り狂う骸骨の群れを見下ろして、私は留津に問いかける。
    この骸骨は、何の比喩なのか……あの女性たちへの罰なのか、それとももっと広い意味なのか。断罪なのか、慟哭なのか。
    (どうして、私を残したの?)
    私はそれほど単純ではない。留津もまたあの女性たちに私と同じ経験をさせられたかどうかは分からないが、それに耽溺するのを自分に許せるような人ではない。あの時私を抱いたのも、ただあれ以上奥へ行かせたくなかったためだと理解している……悲しいけれど。
    (復讐したと伝えたかったの? あんな事は馬鹿らしいと言いたかったの? これで忘れられると言いたかったの?……どうして、連れて行ってくれなかったの?……)
    問いかけは後から後から溢れ出るが、答えてくれる留津はいない。他国の話や映画や音楽、いろんな事を教えてくれたのに。
    (………疲れたの?)
    (ちょっとね)
    耳の奥に、苦笑い混じりの声を聞いたような気がした。
    はにかむような、繊細な響きの声だった。


    (行かなきゃ……)
    もうずっと以前から、急き立てられる感じがしている。
    もし私がこのウィルスに感染し、留津から受け取った抗体によって発症していないなら、ここで世界が滅ぶのをじっと待っているわけにはいかないのだ。私の身体に、死病の感染を食い止める手だてがあるのなら。
    (でも………)
    私はテーブルに肘をつき、ゆっくりと顔を覆ってうなだれた。


    ……でも、もう少しだけ時間が欲しい。
    無くしたものを悼む時間を。

    (携帯)
完結!
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■5958 / ResNo.37)  Re[1]: Danse Macabre
□投稿者/ 真理 一般人(7回)-(2009/06/03(Wed) 02:51:17)
    一気に読んでしまいました。
    わくわく、ドキドキでとても面白かったです^^
    ぜひ次も素敵な作品お願いしますm(_ _)m
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■5963 / ResNo.38)  NO TITLE
□投稿者/ 葉 軍団(142回)-(2009/06/03(Wed) 19:19:37)
    読んで下さってありがとうございました。もう少し短くまとめたかったのですが…

    これを書いている最中に、昔よく読んだ栗本薫(中島梓)氏の訃報に触れました。

    氏の昔のSFの短編に、黴による疫病の作品があったのを思い出しました。

    好きな語り手がいなくなるのは、寂しい事ですね。

    (携帯)
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■5966 / ResNo.39)  感想
□投稿者/ あき 一般人(1回)-(2009/06/06(Sat) 02:01:22)
    この小説の話に引き込まれました(・ω・*)更新ファイトです!

    (携帯)
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■5970 / ResNo.40)  NO TITLE
□投稿者/ 葉 軍団(143回)-(2009/06/06(Sat) 21:26:21)
    ありがとうございます。

    精進します…

    (*u_u)

    (携帯)
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■5883 / 親記事)  可愛いペット
□投稿者/ 黒 一般人(1回)-(2009/05/19(Tue) 14:51:45)

    『おいで』
    優しくささやくと椅子に座った私の元へ首輪をチリンとならしてすりよってくる。
    『いい子だね』
    目を細めて頭をゆっくり撫でる。それが嬉しいのか頬を染める。そしてはにかみながら膝に頭を乗せてくる。ゆっくり撫でてやると安心したように目を閉じる。
    『今日はお風呂にいれてあげる約束だったね』
    そうささやくと耳が赤くなる。
    『いやなの?』
    意地悪く聞くと首を思い切りふる。そのたびに首輪は音をたてる。
    黒い細身の皮の首輪は白く細い首によく似合う。私が見立てたものだ。
    『じゃあお風呂場に行こうか』
    そういうと私の可愛い猫は首まで赤くなる。
    何度となく夜をともにしても恥じらいを忘れることが無いそんな猫をいとおしく感じる。

    (携帯)
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■5893 / ResNo.4)  可愛いペット3
□投稿者/ 黒 一般人(4回)-(2009/05/21(Thu) 23:09:17)

    たどたどしい手つきで服を脱ごうとする猫。鏡越しに視線を合わせると途端に手がとまる。耳まで真っ赤にして震えている。
    『なかなか脱げないね』 そうささやくと真っ赤になった耳を優しくなぞる。
    猫はまたうつむいてしまった。後ろからそっと抱き締めてやると猫は体を小さく震わせた。
    『手伝ってあげる』
    そう言うと猫は小さくいやいやする。
    従順さを示そうとそっと服を脱ごうとする。
    『ちゃんと出来るの?』
    意地悪く聞いてやると意を決したように慌てて服を脱ぐ。しかし最後の一枚はどうしても脱げないようだ。小さな体をより小さくし隠れる場所を探しているようだ。
    『それもちゃんと脱ぎなさい』
    命令口調でささやくと猫はより赤くなった。
    『出来ないなら…』
    そこまで言うと猫は慌てて最後の一枚を脱ぐ。
    一糸纏わぬ猫は恐ろしく可愛い。食べてしまいたい欲求に駆られてしまう。
    『よく出来たね』
    とびきりの笑顔で猫を誉めてやる。
    『…ありがとう…ございます』
    猫は小さく答えた。
    軽く額にキスを送る。
    『じゃあお風呂に入ろうか?』
    そう言い猫を風呂場へ誘う。


    (携帯)
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■5894 / ResNo.5)  感想です^^
□投稿者/ 有紀 一般人(1回)-(2009/05/22(Fri) 17:08:12)
    ドキドキ・・

    続き楽しみにしています。
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■5895 / ResNo.6)  NO TITLE
□投稿者/ エル 一般人(2回)-(2009/05/22(Fri) 18:13:17)
    やっぱりそうだったんですね♪
    楽しみなのでたくさん小説書いてくださいね

    (携帯)
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■6074 / ResNo.7)  可愛いペット4
□投稿者/ 黒 一般人(1回)-(2009/07/21(Tue) 21:51:34)
    暖めてあった浴室はすでにローズの香で満たされていた。

    猫はおどおどと身の置場がないようだった。

    身につけているものをさっと脱ぐと猫を後ろから抱き締める。

    『…ひゃっ!?…ぁ…』

    幾度となく肌を重ねても猫は初々しいままだ。

    『自分で、体、洗えるよね?』

    そう告げると猫の頬に口付ける。

    『…ぁ…』

    この浴室は広く、備え付けの鏡も大きなものだ。

    猫の恥じらう顔がよく見える。

    (携帯)
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■6283 / ResNo.8)  可愛いペット5
□投稿者/ 黒 一般人(1回)-(2010/12/24(Fri) 22:16:41)

    いつ見ても愛くるしい私の猫。


    こんな日々が続けばといつも願う。



    浴室で恥じらい、体を小さくしている猫。


    視線は床と私を行ったり来たり。


    『わかるでしょ?』


    意地悪く微笑んで頬に口づける。


    色づいた顔のまま、猫はコクンと頷く。



    おずおずとボディーソープに手を伸ばし、ゆっくりと自身の体につけてゆく。


    緩やかでたどたどしい手付きは逆に扇情的だ。



    体のラインをなぞるように撫でてやる。

    (携帯)
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